2021/10/25

入試情報室より【大阪府の高等学校の大学合格実績、20年前と見比べる】

今回は大阪の高校に関する分析です。大阪の公立高校は、2007年からの橋下府政の元、2011年の進学指導特色校(TOP10高)の指定や2014年の学区撤廃など、大学進学に特化した一部の公立高校に受験学力の高い生徒を集める、という改革を実行しました。その成果を検証するべく、私立高校も含めて、20年前の2001年の毎日新聞社「高校の実力2001」のデータを元に、比較の表を作ってみました。

難関10大学

まず、旧帝国大学7大学+東工・一橋・神戸を加えた「難関10大学」で比較してみました。実数比較だと学校の卒業生数による影響が大きく出ますので、まず、それぞれの年度の卒業生数で実績数を除した「率」を計算し、その差でランキングを作りました。

大阪府公立高校_難関10大学合格実績.jpg

北野高校は146→214、豊中高校が0→9020年前の豊中高校は、大阪市立大が17名、大阪府立大18名の合格実績はありますので、国立大へも何人か合格したと思いますが、少なくともこの資料には難関10大学の実績が記録されていません。3位が天王寺高校。ここまで見ると府立高校は強くなったね、という話になりますが、4位の開明、5位の大阪桐蔭、10位の大躍進している桃山学院などは私立です。つまり、私立もそれに負けずに伸びてきています。また、7位にTOP10高、つまり進学指導特色校ではなく、制服もない自由な校風の春日丘高校がランクインしています。

次年度から移転し校名変更する大阪国際大和田や校名が変更し共学化した常翔学園も、今やトップ進学校の仲間入りを果たしています。

この表には入れていませんが、府立高校でも進学実績を逆にここ20年で落としている学校もあります。TOP10高では、四條畷高校が105→78名、生野高校が58→41名と減少しています。

関関同立大

大阪府公立高校_関関同立_大学_合格実績.jpg

関西の難関私大、「関関同立」の実績変化も見てみましょう。関関同立に関しては大学の新たな学部やキャンパスの拡充等、募集定員の増加もあり、合格実績が増加している高校も多くなっています。1位は難関10国立大の変化率でもランクインしていた春日丘高校。学区の統合により、TOP10高への流出が考えられそうなものですが、こちらの学力層も多く留まっていることがわかります。9位の槻の木高校は島上高校と高槻南高校を統合し、島上高校の校地に19年前に生まれた学校ですが、そのリニューアルが成功した例だといえるでしょう。ここでも私立高校も負けていません。関関同立の実績も伸ばしてきている私立が4校ランクインしています。公立の中堅校でも大きく実績の伸ばしている学校も見られます。

ここでは学校名は出せませんが、逆に減っている学校を見てみると、英語に強いイメージの学校が目につきます。2001年当時は私立独自の英語教育、国際理解教育の充実が進学実績にも現れていましたが、英検の低年齢化や公立高校でも海外研修を取り入れるなど、相対的にその優位性が下がっているとも考えられますが、難関大学との協定が結ばれ、むしろ大学進学に有利になった学校もあります。大学合格実績は高校教育のある一面を表しているに過ぎませんが、保護者の皆様が高校受験をした頃のイメージと異なっている学校も多いので、比較のためにも複数の学校説明会への参加をお勧めします。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>