2022/04/18

入試情報室より【コロナ禍の中、学校教育はどのように変化したのか】

文部科学省初等中等教育局は令和4年1月11日~2月16日に全国の土日祝日を除いて連続5日以上休業している学校に対し、その期間中の学習指導について調査を行いました。

(新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業期間中の学習指導等に関する調査(令和4年3月18日 文部科学省))回答数は4,625校(小学校、中学校、高等学校、義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校)で、その休校期間中の学習支援を何も行っていない4校(0.1%)以外は何らかの対応が行われていたようです。88.9%が教科書やプリント教材による課題を指定し、ICTの活用も84.4%の学校が行っていたそうです。この調査データも価値があるのですが、これを過去と比較してみました。因みに2020年4月からの調査は突然の休校要請の直後という事もあり、質問項目が少なかったり、途中で質問内容が変わったりしていますが、令和2年(2020年)4月、夏季休暇の延長措置が行われた令和3年(2021年)9月、そして今回の令和4年(2022年)3月の3回を比較してみました。 夏季休暇の延長措置 休耕期間中の対応.jpg 教科書や紙の教材の活用について、令和3年9月がへこんでいるのは、そもそもの夏季休暇用宿題があるわけですから、それにさらに追加の課題を与えなかったという点と、感染拡大防止のための夏季休暇延長ですから、課題配布のために登校日を設けるのは難しいという事情もあったのでしょう。そんな中で特筆すべきは「同時双方向web会議システムの利用」が4.9%→31.2%→67.4%と急増している点です。2年前は家庭の通信環境、情報機器の整備状況等で特に公立の学校での導入は難しかったオンライン授業ですが、この春までにその障害の多くが解消したことがよくわかります。 また、学校や地域の教育委員会が作成した学習動画も6割以上の学校で利用されており、そちらの整備も進んだことを示しています。

2021年度入試では、全国の公立高校で試験範囲が削減されるなど特別な対応がなされましたが、2022年度はそのような対応も無かった事から、休校期間があっても、カリキュラムは消化された、という事でしょう。 文部科学省はこの3月、大学に対してできるだけ対面の授業を行うように要請を行いましたが、今後の感染状況によっては再びオンライン授業の比重が高まる可能性もありますし、ビジネスの世界でもオンライン面談や会議が一般的になりつつあります。中学生、高校生もこの機会にICT・オンラインのスキルを身につけておくのも良いかも知れません。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>