2022/05/23

入試情報室より 【大学受験「入試結果」を読み解く】

各大学から2022年度入試の結果分析のデータが提供される時期がやってきました。その情報は「受験ガイド」などという名称の大学案内に付属する入試情報冊子に掲載されているケースが多いのですが、受験生は案外そのデータを読み込んでいないように感じます。確かに「過去」のデータよりも、次年度の志願者数も考慮に入れた模試の判定のほうが信ぴょう性の高い指標ではありますが、同じ大学内での学部間の差や受験者層の違いなど細かいデータは入試結果を見なければわかりません。

例として、関西大学2022年度入試、21日~27日に行われた一般入試についてのデータを元に文系の12の募集単位に関してまとめてみました。

グラフの縦軸は合格最低得点率です。学部によって試験回数は異なりますが、すべての日程の合格最低点(基準点)の平均値を割合表示したものです。横軸はすべての日程の実質倍率です。「政政」は政策創造学部政策学科、「政国」は政策創造学部国際アジア学科、など学部学科を12文字で省略しています。
関西大学2022年入試 合格最低点・実質倍率相関(文系)するとどうでしょう。シンプルに考えれば受験生が多いと合格最低点は高くなりそうなものですが、「社」=社会学部は倍率が低いわりに得点率が高く、逆に「人健」=人間健康学部は倍率がとても高いのに合格最低点は低くなっています。つまりそれぞれ受験者層が異なり、たとえば社会学部は関西大学の他学部との併願で受けるのではなく、ワンランク上の大学との併願を考えている受験生が多いことが読み取れるため、次年度入試でも、志願倍率が低かったとしても高い得点力が必要なことがわかります。

一方、理系の9の募集単位に関してもまとめてみました。同じく「環境」=環境都市工学部エネルギー環境・化学工学科、「化」=化学生命工学部、化学・物質工学科、などと略しています。
関西大学2022入試 合格最低点・実質倍率相関(理系)すると、グラフの点の並びが右斜め上の一直線上に並びます。これは実質倍率が高ければ、合格最低点も高くなる、という事を表しており、関西大学の理系学部の受験者学力層は分野が異なっていても似通っており、逆に定員増などで次年度競争倍率が下がれば難易度も下がることを意味しています。簡単にできることではありませんが、関西大学もこのデータを元に今後「化」の定員を減らし「電気」や「建築」の定員を増やす事を検討し始めている可能性もあります。

今回はグラフ化して説明しましたが、このようなデータを大学側が提供しており、特に合格最低点については過去問演習の時に重要になる情報ですので受験ガイドの「入試結果」のページの活用もお薦めします。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>