2020/07/08

入試情報室より【〈高校受験〉併願校の選び方・使い方】

3生の皆さんは、そろそろ受験する高校名が具体的に絞られてくる時期になってきましたが、秋口になっても「私は公立高校しか考えていないので、私立高校は受験したくない」などという正直な?生徒さんの声を聞くことがあります。確かに、第一志望校合格に向けて努力しようとしているときに、あまり進学したくない高校について調べておきなさいといわれると、気持ちいいものではないと思うのですが、ここでは、第一志望の公立高校に安心して出願するために、私立高校の合格切符を持っておきましょう、という話です。ここで、開成教育グループの2020年度入試結果をもとに、大阪の3つの私立高校の「合格コース」と「出願した学校名」の相関を表したグラフを作成してみました。

関西大倉高校

関西大倉高校は北摂~兵庫県の第2学区の難関公立高校の併願校として知られている学校です。「特進S」という最難関コースに合格した受験生の8割以上が「TOP10高」と呼ばれる最難関公立高校に出願しています。逆に合格者でも「総合コース」だった場合は、「TOP10高」(ここでは豊中高校のみ)への出願が1割程度というわけです。

関西大倉高校.jpg

近畿大学付属高校

近畿大学付属高校は大阪府の東部にありますので、大阪市内~奈良県の難関公立高校の併願校にもなっています。高校からの募集ではご覧のようにコースが5つに分かれています。「スーパー文理」の合格者のなんと95%以上が「TOP10高」に出願しています。「英語特化」というコースは単純にランキングの中に入れにくいのですが、それぞれの合格コースによって出願校が全く異なることがわかります。

近畿大学附属高校.jpg

桃山学院高校

桃山学院高校は大阪市内~大阪南部の併願としても使われる学校です。高校からの募集は5コースですが、このグラフでは「国際A」と「国際B」をまとめて「国際」と表記しています。ここでも、「国際」は少しわかりにくいのですが、「S英数」~「文理」の3コースで見てみると、「S英数」合格者の95%が「TOP10高」に出願しています。

桃山学院高校.jpg

大阪の3校を例に出しましたが、このように複数のコースを持っている学校は、合格コースによってその後の出願校を決めるという使い方ができるわけです。つまり公立高校受験の1か月以内に実施される模擬試験は無く、実質私立高校入試がその役割を果たしているわけです。

公立の志望校よりも極端にレベルの低い私立高校を受験して「滑り止め」にしておこうという作戦もありますが、それだと次にどの公立高校に出願するかという判断材料にはなりません。もちろん特待生の権利確保など、他の使い方もありますが、やはり複数コースを持つ、自分の学力相応の私立高校を受験することが、その後安心できる出願につながります。併願私立高校は、その範囲で、もしもの時には母校にしてもいいかな?という観点で併願私立高校を選んでみることをお勧めします。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>

【フリステWalker 第141号(2020.7月)掲載】