2022/09/26

入試情報室より【こんなに違う 公立高校入試】

学年暦が4月から始まる日本では、そろそろ入試シーズンに突入するわけですが、高校受験を控えた中学生にとっても、志望校や受験方式の選択やそれに向けての準備などで忙しくなってくる時期でもあります。

ところで、「公立高校」(都立・区立・府立・県立・市立など)に関し、受験生自身の居住する都道府県のルールさえわかっていれば良いのですが、今回はその違いについて紹介したいと思います。

フリーステップが展開する地域から、隣接関係にある近畿5府県と首都圏3都県を例に話を進めていきます。

公立高校入試_近畿5府県・首都圏.png

日程と入試回数

まず、「特別選抜」「推薦」「特色選抜」「前期」など2月入試の名称が都道府県によって異なります。京都は「前期」「中期」「後期」という日程の呼び方を行いますが、「後期」は欠員になった学校のみで実施される入試で、実質「中期」が最後のチャンスとなっています。回数については埼玉県、千葉県は1回、大阪府も普通科は実質1回、一方他の都府県は普通科も含めて2月入試が用意されており、その日程で不合格になっても次の日程に挑戦することが可能です。

学区制度

基本的に都道府県立の学校は、その都道府県に在住している中学生しか出願することができません(転居の予定がある場合や寮を併設している学校など例外あり)が、さらにそれを地理的に細分化した「学区制度」が多くの都道府県にありました。例えば大阪府も1962年までは13の学区に細分化され、その後1972年までは5学区制、2006年までは9学区制、2013年までは4学区制となっていましたが、2014年に学区制度は廃止され、希望すれば府下全域の高校をどこでも受験することが可能となりました。(因みに今でも部活動の大会や発表会は旧々9学区制の地域割を利用した「第ブロック」という呼び方がなされています)東京都も1952年から学区合同選抜制度が導入され、学区をさらに細分化した「学校群」が1981年まで存在していましたが、この選抜方式は段階的に縮小し、2003年にはついに学区制度が無くなりました。

一方、千葉県、兵庫県、京都府は今でも学区制度が維持されており、普通科を志望する中学生は、居住地によって受験できる高校が限られます。

学区制度.png

合否判定に使う資料

「公立入試には内申点が大事」というのは知られていますが、実は内申点の計算方法も都道府県によって異なります。例えば兵庫県は中3の評定のみを利用し、大阪府では中1~中3のすべての評定を利用しますが、(中1:(中2:(中3)=1:1:3という配点にします。同じく中学3年間の評定をすべて利用する埼玉県ではその配点が1:1:2など学校によって異なります。教科間のバランスについて、大阪府や奈良県、千葉県の場合は9教科の評定はすべて同じ比重ですが、東京都や京都府では学力検査を行わない教科の評定は2倍するなど、科目による比重も異なります。さらに東京都では通知表の観点別評価をすべて点数化して細かく計算する(都立大田桜台高校など)学校もあります。

入試問題に関しても多彩です。大阪府は英数国の3教科だけ、A(基礎)、B(標準)、C(発展)と3段階の問題が用意されており、高校側が選択することになっていますが、京都府の前期選抜は学校が個別に作成する学校と、教育委員会作成の問題を利用する学校に分かれており、東京都に至っては自校作成、グループ作成、統一問題利用と3通りに分かれます。配点も単純加算ではなく都立深川高校の外国語コースのように傾斜配点を行い、合否判定する高校もあります。

合否判定.png

男女別の定員

女性は戦前、戦中期、幼少期であっても家庭内の労働力として扱われ、学習機会が奪われるケースも珍しくありませんでした。そのような女性の救済という目的もあり、戦後の学制改革以降全国の公立高校の多くは男女別の定員を定めました。しかし、現代ではそのような男女による学力差はもはや存在せず、それに伴って男女別定員制度は段階的に廃止されました。しかしなぜか、東京都だけにその制度が残っており、それによって男女で合格最低点が異なる(女子の方が高くなる場合が多い)ことが問題となってきました。メディアでの報道の影響もあったのでしょうか、東京都教育委員会は段階的に廃止する方針が昨年発表されました。

公立高校入試制度は戦後の学制改革から各地域で独自の進化を遂げ、今やこのように多様化しています。転居などで他の都道府県にお住まいになる場合はもちろん、受験までまだ年数のある学年の方は、さらなる制度改革も考えられます。常に最新の情報を確認するようにしましょう。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>