2023/05/22

入試情報室より【大学入試で「総合型選抜」はどこまで広がっているのか】

大学入試には様々な選考方式がありますが、大学によって独自の名称が乱立しわかりにくい状況となっていました。そこで2021年度より文部科学省はいわゆる推薦系の入試の名称を「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」の2つに整理し、例えば従来行われていた公募推薦入試の事を「学校推薦型選抜(公募)」などと呼ぶようになりました。

従来のAO(アドミッションオフィス)入試は「総合型選抜」という呼称になりました。受験者の力を活動歴や研究レポート、プレゼンやディスカッションといった様々な面から「総合」的に判断するという意味です。国公立大学でも広がりを見せており、旧来の予備校型の対策授業では対応できない、という声も聞かれるようになりました。しかし、実際にはどうなのでしょうか。

関西の有名私大「関関同立」「産近甲龍」「摂神追桃」の12大学に関して、入学者に占める選抜方式の割合を調べてみました。元の数値は旺文社ムック「大学の真の実力2022年版」を参照しています。

総合型選抜の割合が高い順に並べてみました。そのベスト3を発表します。

 

3位 関西学院大学

教育系の学部を中心にAO入試には積極的でしたが、2022年度入試では、入学者の8.3%にあたる511名がこの方式で入学しています。学校推薦型(指定校)の割合が高い事でも知られていましたが、こちらの割合は次第に減少してきているようです。

 

2位 甲南大学

学校推薦型選抜(公募)でも個人面接を用意するなど、入学者総数が関西学院の3分の1ほどというサイズ感を生かして入学者選抜は丁寧に行っています。そんな中で2022年度は入学者の10.9%にあたる254名がこの方式で入学しています。甲南大学には甲南高校という系列高校がありますが、そこからの入学者数は4.1%95名と多くはありません。

 

1位 桃山学院大学

グローバル系の印象が強い文系中心の大学ですが、やはり海外渡航経験など語学系のキャリアが優遇される入試方式が多くなっています。2022年度入試では16.1%にあたる276名がこの方式で入学しています。

さて、少なくとも関西の私立大学に関しては最も割合の高い桃山学院でも16.1%、この12大学合計では3.8%に過ぎません。

その大学の研究内容に強い興味関心があり、英検などの民間資格や化学オリンピックのような大きな大会への出場歴がある場合は総合型選抜を活用したほうが良いのですが、そうでなければ、まだ大学入学の大半は学力での勝負となります。学校の授業を大切にして基礎的な知識や技能を身につけるということはこれからの時代でも変わらず大切なのでした。

 

総合型選抜

指定校

付属・系列

その他

公募制推薦

一般選抜

合計

一般率

総合選抜率

桃山学院大学

276

588

18

114

332

388

1716

22.6%

16.1%

甲南大学

254

683

95

43

71

1177

2323

50.7%

10.9%

関西学院大学

511

1647

883

115

7

2965

6128

48.4%

8.3%

立命館大学

399

873

1245

594

0

4862

7973

61.0%

5.0%

摂南大学

98

305

73

58

1096

924

2554

36.2%

3.8%

神戸学院大学

103

759

122

35

785

939

2743

34.2%

3.8%

京都産業大学

136

368

233

52

1375

1784

3948

45.2%

3.4%

関西大学

211

1783

681

423

58

3763

6919

54.4%

3.0%

追手門学院大学

40

807

73

31

574

566

2091

27.1%

1.9%

近畿大学

96

1018

1032

502

1571

4639

8858

52.4%

1.1%

同志社大学

24

1490

1132

239

111

3428

6424

53.4%

0.4%

龍谷大学

0

913

287

99

1050

2830

5179

54.6%

0.0%

関西12大学_総合型選抜.jpg

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>