2023/08/21
入試情報室より【2026年度から大学入学共通テストもWeb出願に】
大学入学共通テストがWeb出願になる?
2021年度に始まった大学入学共通テストは2025年度から新課程での出題となることでその初年度となる現在の高校2年生が不安がっている話も聞きますが、その翌年、つまり主に今の高校1年生が受験する2026年からWeb出願の導入を検討しているとの報道がありました。
既に多くの私立大学はWeb出願ですので、受験生にとっては、大学入学共通テストもそれに揃うことになり、それほど混乱しないとは思いますが、現役生にとっては高校で先生方の指導を受けながら願書を書いて、高校がまとめて出願するというサービスが無くなり、自己責任になりますので、不安に思う受験生がいるかもしれません。
Web出願で注意したい点
ところで関西の私立中学校では141校中127校、つまり9割以上の学校がWeb出願を取り入れていますし、高校でのWeb出願が進んでいる地域もあります。確かにコロナ禍の影響もあり、家庭のインターネット普及率はここ数年で向上しましたが、Web出願とは、カメラ付きのスマホかタブレット、受験票を出力するためのプリンター、受験料を支払うためのクレジットカードが揃っていることを前提としているシステムです。プリンターやクレジットカードがなくてもコンビニでの出力や支払いもできますが、Web環境も含めてそれらの機器が家に無く、コンビニが近くに無い場所に住んでいる受験生も居るはずですので、どのような対応になるのか、注意したいところです。
また、漢字圏独特の問題ですが、氏名、特に苗字にはスマホやパソコンで入力できない漢字が使われているケースもあります。私立中高では、入学後に正しい漢字を「紙に書いて」提出してもらい、学籍簿を修正するという作業を行っているようです。従ってシステムの構築、保守、管理に必要となる費用と、このシステムで合理化できる人件費を比較すると、果たしてどの程度の節約になるのかも不透明です。そこの準備や議論も是非行っていただきたいのですが、その前にマイナンバーカードの誤交付など政府主導のオンラインシステム開発には残念ながらまだ信頼性に欠ける部分もあり、このスケジュールも含めて不透明なのかもしれません。
<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>