2023/12/18

入試情報室より 【大学入試 最新情報】

年が明けますと、入試のシーズン。1月中旬の大学入学共通テストの様子も毎年テレビニュースで報じられますが、これから中学・高校・大学の入試が3月まで続きます。

しかし、実は大学入試に関しては1月以降といえば「後半戦」なのです。

2023年度に学生募集をした日本の大学・大学校の数は、全国で793校なのですが、その内590校、つまり74.4%が私立大学です。在籍している学部学生数の割合も同じように私立大学が74%を占めています。この私立大学に関して、入学者の入試方式別の資料があるのですが、年々一般選抜による入学者が減少し、2023年度にはついに4割を切っています。

入試情報室より.jpg

つまり、年内には6割以上の入学者のお席が決まっているわけです。国公立を含めても半数近い受験生が年内に進学先を決めていますので、「後半戦」というわけです。

これは平均値ですので、個別に大学ごとの資料を作ってみました。因みにこのようなデータを公表していない大学(慶應義塾、明治、立教、獨協など)もありますので、わかる範囲とはなりますが、首都圏の規模の大きい大学について調べてみました。一般選抜による入学者割合が高い順に並べています。

選抜方法別入学者割合(首都圏主要大)2023.jpg

ご覧のように13大学が一般選抜からの入学が50%を超えていますので、首都圏では年内入試(12月までに行われる推薦系の入試)の割合が比較的低くなっていますが、先に述べたように年々増加しています。

次に、近畿圏の状況です。同じように一般選抜による入学者の割合が高い順に並べてみました。

選抜方法別入学者割合(近畿主要大)2023.jpg

すると、なんと一般選抜による入学者割合が50%を超えているのは5大学しかありません。中には10%台の大学もあります。昨年も高校によっては12月までにほとんどの3年生が進学先を確定させているところもあり、その雰囲気から逃れる(?)ために1月以降の受験を考えている生徒は図書室や塾の自習室などで勉強していたようです。

これも大学による差があるのですが、「総合型選抜」も広がってきています。かつては「AO入試」と呼ばれた入試方式ですが、9月に出願、その後書類審査やプレゼンテーションなどを経て合格が決まるというものです。書類審査は志望理由書や取り組んできた探究活動のまとめなどが評価されるのですが、出願するための準備に結構時間が必要です。その大学のその専門分野を選んだ理由や、自分の特性との相性などをについて説得力のあるものを作るために1年以上費やしている受験生もいます。このような入試方式も面白そうだな、と思ったら、早めに詳細を調べて準備に取り掛かることをお勧めします。

さて、実は現在の高校3年生と2年生以下では使っている教科書が異なります。指導要領の改訂が行われたため、科目名や扱う範囲、単元も違っています。それに伴い大学入試問題も変化すると考えられます。そこで、現時点で2025年度入試について公表している関西8大学について、どのような方針なのかを簡単にまとめてみました。

入試情報室より_関西8大学新課程.jpg

現時点で、数学の新単元は2015年度入試にはどの大学も出題しない、新しい教科でもある「情報Ⅰ」は共通テスト利用で利用する程度、現代史について日本史と世界史が合体した「歴史総合」は多くの大学で範囲外、となっています。今年の高校3年生は浪人すると不利、高校2年生は新課程入試初年度なので、過去問が無くて準備ができない、などといわれていましたが、私立大学入試に関してはそれほど気にしなくても良さそうです。そもそも全国の同学年は同じ条件ですので、過度に心配になる必要はありません。

というわけで、年々早期化する大学入試に備え、現在の高1、高2生はもちろん、現在の中3のお子さんも、高校合格後、すぐに高校内容の予習を始め、大学入試に関する情報収集なども早めにしておくことをお勧めしたいと思います。もちろん今年の高校3年生、既卒生で一般選抜を考えている皆さんは、最後の仕上げをがんばりましょう。保護者の皆さんは、体調管理、栄養管理、時間管理(試験の多くは朝始まるので、寒い時期ですが朝型にしておくことがおすすめ)をよろしくお願いいたします。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>