2024/03/18

入試情報室より【乱高下する私立大学の実質倍率】

小欄で昨年5月に、総合型選抜入試の広がりについて紹介しましたが、「系属校」「協定校」などの高大連携枠も増加しており、一般選抜を経て入学する学生の割合は年々減少しています。

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旺文社教育情報センターの集計によりますと、2023年度入試では、一般選抜から入学した学生の割合は、全国平均で39.7%と4割を切っており、特に公募制推薦が盛んな関西圏ではその割合が低い大学が多くなっています。このことによって一般選抜の志願者数も減少しているのですが、合格者枠も狭くなっており、指定校の消化率や公募制背推薦からの手続き率によって、その倍率が乱高下する状況が生まれています。

ここで一例として、大阪府南部和泉市にある桃山学院大学の状況を見てみましょう。桃山学院大学は国際系、ビジネス系を含む文系学部のみの大学ですが、一般選抜からの入学者割合が、2022年度入試では22.6%、2023年度入試では20.1%となっています。まず、大学全体の一般選抜(年度によって名称変更していますが、A日程、前期日程)の受験倍率(合格者数÷受験者数)の推移を見てみましょう。

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すると2019年の5.59倍から2023年度の1.26倍と同じ大学とは思えないほど変化しています。特に社会学部の社会学科は昨年の1.34倍から今年は5.61倍へ、経済学部は昨年の1.26倍から4.45倍へと極端に跳ね上がっています。

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2024年度からは大学進学希望者数が大学入学定員合計を下回り、「大学全入時代」などと世間では言われていますが、それは統計上の話で、個別事例では、このように高倍率の入試が実際に行われています。

一般選抜だけで勝負する場合は特に一つの大学や学部にこだわるのではなく、同一大学の隣接分野や他大学も含めて併願することが重要です。できれば、金銭的負担は発生しますが、年内に行われる併願型の学校推薦型選抜(公募制)で合格校を一つ保持しておくという安全策もお勧めします。

いずれにせよ、大学受験においても早めの準備が大切だということは間違いないと思います。

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>