2025/07/18

入試情報室より【関西の難関私立大学の受験動向】

 毎年「関西8大学大研究」という大学受験向けのイベントを開催していますが、今年も713日に行われ、多くの高校生、保護者に来場していただきました。そのイベントの中で「高校教員セミナー」というのも実施しましたが、その中からいくつか最新情報をご紹介しましょう。

【関西8大学の志願状況と実質競争率】

合計出願者数推移

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 4大学とも志願者は増えていました。それに伴って一般倍率も少し上昇しています。この4大学のなかでは特に関西大学が狭き門となっています。

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 産近甲龍の志願状況は公募推薦による受験者も多いので、分けて紹介します。まず、公募制推薦の出願状況です。京都産業大学が大きく伸びていますが、これは併願方式を導入したため、見かけの出願数に影響が出たかたちです。

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 同じように実質倍率も計算してみました。すると、各大学は昨年よりも狭き門になっています。

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 次は一般選抜(共通テスト利用含む)の出願状況です。

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 日程変更した甲南大学が大きく伸ばしていますが、それ以外の大学でも伸びています。

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 甲南大学は受験者の増加に対して、合格者数は昨年とほぼ同数だったため、結果的倍率が急上昇しました。

 

 次に関西8大学の学部、募集単位ごとの志願動向と次年度の狙い目を紹介します。

◆関西大学
 2023年度の法学部は異常値。2024年度のラインに落ち着く見込み、理系では電気電子と建築は高め安定、化学は低め安定。設置2年目となるビジネスデータサイエンス学部は難易度上昇の可能性があるため、要注意。

◆関西学院大学
 志願者増だが合格者も増。総合政策以外の文系の学部間の差は比較的少ないが、近年法学部は志願者減。理系は志願倍率と合格最低点が比例する。工学部の物理工学、生命環境学部環境応用化学が狙い目か。

◆同志社大学
 グローバル地域文化学部ヨーロッパコースは高めで安定、社会学部社会学科は変動に注意。京田辺の文化情報学部は狙い目。理工学部情報システムデザイン学科、インテリジェント情報工学科は高め安定か?

◆立命館大学
 総合心理、国際関係落ち着く。経済は狙い目。産業社会の倍率は隔年現象を起こすが、合否ラインは大きくは動かない。理工学部建築都市デザイン学科、高め安定。キャンパス移転の情報理工はさらに難易度上昇か?

◆京都産業大学
 全体的に志願動向は弱めだが、現代社会学部、理学部の宇宙気象は高め安定。文系なら外国語か文化学部を併願すると安心。

◆近畿大学
 総合社会学部心理系専攻と経営学部は高めで安定。国際学部東アジア専攻の韓国語は注意。東大阪では理工学部エネルギー物質学科が狙い目。和歌山では生物理工食品安全工学科が狙い目。

◆甲南大学
 日程変更による倍率上昇にも注意。文学部は学科による差が大きい。狙い目だったマネジメント創造学部は難化。知能情報学部は要注意。

◆龍谷大学
 文学部歴史学科日本史学専攻、心理学部は高めで安定。キャンパス移転の社会学部も要注意。先端理工学部知能情報メディア課程は最難関か。農学部食品栄養学科も要注意。

 と、このような話を学校の先生方に差し上げました。今回関西8大学大研究に参加しなかったが、受験を考えている皆さんは、これらを参考に、併願受験の作戦を組み立てていきましょう。

 

< 文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦 >