2026/01/26
入試情報室より【新しい学校種】
学校教育法が定められたのは1947年(昭和22年)の3月。つまり太平洋戦争終結の2年後というまだまだ社会は混乱した時期でしたが、ここから現在の学校制度が始まることになります。この法律の第一条では「この法律で、学校とは、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする。」とされ、これ以外の教育機関はこの名称を使うことができなくなりました。逆にここで定義された学校には予算措置を含め、行政の支援がおこなわれることなりました。しかし、その後、社会の変化に伴って新しい学校種が追加されました。
【高等専門学校】
1961年6月の法改正によって追加された学校種です。高度経済成長期だった当時は企業での即戦力育成が喫緊の課題となっており、1962年にはなんと全国で12の国立高等専門学校(以下、高専)が誕生しました。いまでは全国で51校(国立のみ)となっています。高専といえば「ロボコン」などで知られる工業系の専門学校が有名ですが、電波高専や商船高専などそれ以外の専門分野の高専もあります。高専は中学卒業時からの5年(商船系のみ5年半)で、卒業と同時に「準学士」となります。その後2年間の専攻科に進んで「学士」を取得、または大学の3年次に編入することも可能です。因みに学校の種別としては高等教育機関、つまり大学と同じ扱いとなっていますので、ここの教員は大学の教員と同じく、教員免許は必要ではありません。
【中等教育学校】
1998年6月の法改正で生まれた学校種です。前期中等教育に相当する「中学校」と後期中等教育に相当する「高等学校」を合わせた6年制の学校です。法改正以前から私立の中高一貫校など6年制の学校は存在していましたが、それぞれ中学校と高等学校という2つの学校を設置しており、所管も中学校は市町村、高等学校は都道府県と分れていることから、事務的に煩雑となっていました。また、進学校などで常態化していた中学校での高校内容の先取り授業は、厳密には学習指導要領から逸脱していることになります。そこで、国公立大学の附属校や公立校を中心に「合法的に」先取り学習が可能となる学校種が求められることになりました。因みに入学に関してですが、地域の公立の中学校と同じく、中等教育学校の前半は義務教育ですから、学校教育法施行規則の規定により「学力検査」を行うことができません。従って入学者選抜は教科別の入試ではなく「適性検査」と呼ぶことになっています。
【義務教育学校】
2016年4月の法改正によって作られた学校種です。小学校と中学校を合わせた9年制の学校です。地方の過疎地などでは中学校と小学校が隣接していて、中学に進学してくるのはここの小学生のみ、といった地域もありますが、一般的には複数の小学校から一つの中学に進学してくるなど、生徒を取り巻く環境が大きく変化します。そのような状況で実は問題行動や不登校の生徒が急増するのはこのタイミングだ、という指摘もあります。そこで小中が一体化した学校種が求められるようになりました。児童数の減少に伴い、都市部でも小学校の統廃合が進んでいますが、併せて義務教育学校に組織替えするケースも増えてきています。早期からの教科担任制の導入による教員負担の軽減や、授業時間の統一、学校行事(体育祭など)の共催化など、兄弟姉妹がいる家庭の負担軽減といった合理化が可能となっています。
【専門職大学】
2017年5月の法改正によって定義された新たな学校種です。大学を卒業すると「学士」の学位が得られますが、同じ年数を専門学校に通ったとしても学位を得ることはできません。しかし、専門性が求められる職業人の育成も大切です。そこで一般の大学では必要とされる教養などの単位を削減し、その代わり実習や実験の時間を確保した新たな学校種が考え出されました。卒業すると「学士(専門職)」という学位も得られます。しかし全国で19校しかない専門職大学はその位置づけと知名度がまだまだ低いようです。例えば仙台市に2023名に設置された「電動モビリティシステム専門職大学」の入学定員は40名ですが、初年度の入学者は3名、2024年度の入学者も2名に留まり、2025年度からの募集を停止、在校生の卒業とともに廃学する方針が発表されています。この学校種が定着するのはもう少し時間がかかるかもしれません。
【特別支援学校】
かつては盲学校、聾学校、養護学校と機能的な違いによって別の学校種とされていましたが、複数の障害を併せ持つ子どもへの対処や地域との連携など、社会環境の変化に合わせて2007年4月より「特別支援学校」へと一本化されました。この学校は在籍する生徒への教育だけではなく、地域の(他校に在籍する)発達障害、学習障害などを持つ生徒の教育に関する助言や援助も行うことになっています。現在では大学の教職課程では通常の教育実習に加えて特別支援学校での実習も義務化されていますが、このような背景によるものです。
このように時代に合わせて学校種も変化しています。今後も社会の変化に合わせて必要とされる教育目標も変容させる必要があり、それに伴い新たな学校種が生まれてくることでしょう。オンライン環境やデジタルコンテンツを利用した学校など、技術を生かした学びの形態が新たな学校種となるかもしれません。
<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>