2026/02/23
入試情報室より【「地理歴史科・公民科」は「暗記科目」ではありません】
個別指導学院フリーステップでは自由に受講科目を選べますが、「社会科(地理歴史科・公民科)は暗記科目だから」と選択してくれない生徒が多いようです。しかし社会科とは一問一答的な学習で多くの知識を身につけることが求められる科目なのでしょうか。そこで2026年度の大学入学共通テストの地理歴史・公民科目の問題分析を通じて、大学入試に必要とされる力を明らかにしてみたいと思います。
【歴史総合、世界史探究】
漫画「ベルサイユのばら」が問題文に取り上げられたことでネットニュースにもなった世界史です。今年も全問テーマ史と資料問題で構成されています。一方で文章量の方は減少し、読みやすくなった印象です。昨年通り近現代史の出題が多かったように思います。
また、大問2は法制度、大問5は税制度という社会史における大きなテーマが1つの大問で丸ごと取り上げられたことが特徴的でした。歴史上の事象を元に、当時の民衆の生活を考えさせる出題でした。
【歴史総合、日本史探究】
世界史同様、こちらもテーマ史によってすべての問題が構成されています。近現代の政治史について、戦前と戦後の内閣のリーダーシップを比較して考察する問題など、歴史の因果関係を大切にする出題が多くみられました。因みに大問3では「1つ目の選択肢は①と②のどちらを選んでも構わないが、2つ目の選択肢は1つ目で選んだ選択肢に対応するものを選ばないと得点できない」という特異的な完答問題が初めて出題されました。
【地理総合、地理探究】
昨年から地理の大問1は生活文化に関わる出題となりました。大問3では、地域によって異なる二酸化炭素濃度の変化や水資源など地球環境関連が出題されました。資料を読み込んで判断する問題となっています。
大問4は衣料品の生産と流通をテーマとした産業分野の出題でした。現代史と第一次産業、第二次産業に関する知識を掛け合わせて考えることを求めているようです。
【公共、倫理】
「歴史総合」「地理総合」と組み合わされる50点満点の「公共」の問題を見てみました。まず大問1と大問4は「倫理」や「政治・経済」と組み合わされているので、それ以外の2問を紹介します。大問2は選挙制度に関し多数決の計算法(ボルダルール)や政治参加のバリエーションなど、「公共」という科目導入の目的の一つである主権者教育という側面が体現されている出題でした。
大問3はアルバイト給与の未払いなど権利保障の仕組みについての内容でした。このような若者にとって身近な話題が出題されたことは、普段から身の回りの社会問題に関心を持つことの大切さを実感させられます。
【倫理】
大問1は「公共」の大問1(社会保障制度の現状と課題)と、大問2は「公共」の大問4(グローバル化が進む現代社会の文化や宗教)と共通問題となっています。大問3の「悪」とどう向き合うかに関する出題は仏典や西洋思想まで幅広い出題となっており、なかなかの解きごたえでした。大問5は技術革新と生命倫理、大問6は自然破壊や、最先端技術による気象制御など科学技術の光と影を問う出題でした。
【公共、政治・経済】
大問1と2は「倫理」と同じく「公共」からの流用でした。残りの4題はいずれも政治と経済の融合問題となっていますが、昨年よりも政治分野が増えてバランスよくなってきた感じがします。大問3では関税問題など現在の国際社会、大問4ではバブル崩壊後の金融政策がテーマになるなど、時事問題にも強い受験生を増やしたいというメッセージを感じます。
今回の出題からもわかるように「知っている事」を問うのではなく、その知識を使って「どのように考えてきたのか」を問う出題となっています。つまり地歴公民は「知識量」ではなく「確かな知識を元にした深い思考力・洞察力」が試される科目になったともいえるでしょう。
学校の社会科の授業で行われている討論や調べ学習も大切です。社会科で多くの知識が必要なのは変わりませんが、今日では複数の資料の読み取りと比較、そこから因果関係を見つける力が求められる科目となっています。フリーステップでも社会科の授業を選択してみると、その科目の面白さに気がつくのではないでしょうか。
< 文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦 >