2026/04/20

入試情報室より【近畿圏の私立大学 2026年度入試動向速報】

今年の大学入試の状況もそろそろ明らかになってきました。3月末時点で得た情報を元に、今年の入試を分析してみました。

【上位校~中堅校の難化】

「年内に行われる推薦系の入試の広がりで、一般選抜に臨む受験生は減る」といった予測をする受験関係者もいましたが、受験生の学力ゾーンによる二極分化がさらに進んだ印象です。指定校推薦をメインに考えていた中堅以下の大学を考えている受験生の間では、選考方法の多様化や、募集枠の拡大などで、出願しやすくなった総合型選抜の利用が広がっています。一方で、関西学院大学は過去最高の出願者数となるなど、関関同立をはじめとする上位校では、一般選抜への回帰現象がみられます。新課程入試初年度だった昨年度の受験生が既卒生として残っていることに加え、難関大に挑戦する強気の現役受験生の増加によって、難関大の志願者は増えたようです。

上位大学は定員管理の観点から合格者数を一定数に留める必要があることから、志願者増は実質倍率の上昇につながっています。あくまでも速報値ですが、関西学院大学の全学部合計の実質倍率は、2.5倍(2024年度)→3.2倍(2025年度)→4.3倍(2026年度)。関西大学も3.9倍(2024年度)→4.3倍(2025年度)→4.9倍(2026年度)と連続で難化しています。

【摂神追桃の状況】

近畿圏では産近甲龍、特に近畿大学と龍谷大学の公募推薦入試は、関関同立の併願(前哨戦)として利用されるケースが多いのですが、今年の各種模試の関関同立の志願動向などから、入学率(歩留まり)の高まりを予測したのでしょうか、こちらも合格者数を絞り込みました。その結果、例えば龍谷大学の公募制推薦の実質倍率は4.8倍(2024年度)→5.5倍(2025年度)→6.4倍(2026年度)と難化しました。中でも経営学部は12.1倍、社会学部も8.9倍と多くの受験生が不合格となり、摂南大学や追手門学院大学の一般選抜の出願動向に影響があったと考えられます。特に昨年度、一般選抜の平均倍率が2.4倍とお手頃感(?)のあった摂南大学は前期(3科目+2科目)+中期の出願数が昨年度の232%と受験生が集中しました。

一方、公募制推薦の志願者数ではそれほど変化の無かった摂神追桃は、定員確保の観点から例年通りの合格者を発表しました。しかし産近甲龍の不合格によって、入学率も上昇。結果的に一般選抜から入学できる「お席」が空いていない状況となりました。そこに先に述べた産近甲龍の不合格者が一般選抜に流入したわけですから当然高倍率となります。結果的に摂南大学は先に述べた2.4倍(2025年度)→4.6倍(2026年度)といきなり狭き門になってしまいました。特に経営学部に関して摂南大学は13.7倍、追手門学院大学では9.5倍と厳しい戦いとなりました。摂南大学は受験料の割引制度や併願制度の充実も志願者数の増加に影響を与えたのかもしれません。

【新設学部の動向】

ここ2年ほどで新たに募集を始めた学部について、いくつか取り上げてみたいと思います。

・関西大学 ビジネスデータサイエンス学部(2025年度開設)

開設初年度の一般選抜倍率は4.2倍と関西大学全体の平均レベルでしたが、今年は7.2倍と人気が集まってきました。経済学部や商学部との住みわけが明確になると、さらに難化してくると考えられます。

・立命館大学 デザイン・アート学部(2026年度開設)

出願のスタート時点では出足が鈍かったとの情報もありましたが、結果的には一般選抜+共通テスト利用の出願は998件となっています。合格者数は未確定ですが、1学年180名規模ですから、結構高い倍率になったのではないでしょうか。

・京都産業大学 アントレプレナーシップ学環(2026年度開設)

学部横断型の履修プログラムで起業家マインドを育成しようという先進的な「学環」です。定員30名ですが、初年度から多くの受験生が集まりました。一般選抜では志願者133名に対し、合格は23名。いきなり5.8倍です。ワンキャンパスならではの複数学部受講は魅力的だと受験生に支持されたのかもしれません。

・近畿大学 看護学部(2026年度開設)

堺市泉ヶ丘への医学部、附属病院の移転に併せて設置される看護学部です。元は看護専門学校を設置していましたが、全く異なる組織となるようです。何といっても病床数800ICU(集中治療室)も10床から24床に増えた新病院は魅力です。一般選抜では1,000名以上が出願し、実質倍率は21.0倍と狭き門となりました。

・追手門学院大学 理工学部(2025年度開設)/桃山学院大学 工学部(2026年度開設)

2015年に文部科学省により策定された「理工系人材育成戦略」をうけて、2024年度には全国に約50の大学に理系学部の設置を制度面、資金面で支援する方針が示されました。近畿圏でもその動きが形となってきています。

この2大学の募集状況ですが、まだ受験生に認知されていないのでしょうか、どちらもそれほど高い倍率とはなっていません。今後の手続き状況によっては、次年度狙い目となる可能性もあります。

・京都橘大学 デジタルメディア学部(2026年度開設)

画像、映像などの自動認識やゲームやアニメに応用できるクリエーターやエンジニアを養成するという最先端の分野ですが、1学年100名に対して、一般選抜では1,218名が出願、合格は70名と、17.4倍の高倍率となりました。臨床工学も学べる工学部や看護や救急救命で有名な健康科学部など、医療系の専門分野の存在感が増してきていますが、ここでデジタル系という新たな人気学部ができたことになります。

【次年度に向けて】

各大学の入試統計は4月頃には発表され、入試ガイドなどに掲載されると思いますが、前年度の倍率だけをみて受験する学部や募集単位を選ぶ受験生も見られます。その結果、難化と易化を繰り返すという不毛な隔年現象が発生します。実質倍率だけではなく合格最低点(得点率)を複数年度確認し、学部・学科の難易度の序列を確認し、併願作戦に役立てるようにしていただきたいと思います。

< 文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦 >