2025/07/07
関東関西有名中学入試分析【中学受験 志望校合格を手繰り寄せる夏休みの過ごし方】
中学受験を考えている小学生のみなさん、勉強は順調に進んでいますか?新学年がスタートして約2カ月がたちましたが、早いもので、もうすぐ夏休みになります。塾に通っていらっしゃる方の場合、塾から夏期講習の案内が届いているかと思います。
「夏休みは受験勉強の天王山」とか「夏を制する者は受験を制する」とか、聞いたことありませんか?来年入試がある小6生の中学受験生にとっては極めて重要な期間となります。志望校合格を左右する、受験が可能な学校の範囲が決まってくる期間と言っても過言ではありません。
他方、来年受験ではない小5生や小4生にとっても、今までの学習内容をチェックし、学習が遅れている単元やテーマを学び進めるなど、重要な時期となります。
今回は中学受験を目指す小学生の夏休みの過ごし方について、受験学年(小6生)、非受験学年、そして受験学年・非受験学年共通事項、それぞれのポイントを説明していきたいと思います。
中学受験生の夏の過ごし方のポイントは、来年受験の小6生と再来年以降受験の小学生とでは変わってきます。小6生の場合は、約半年後にせまった入試本番までに残された期間から逆算をしながら、小学校での学習内容の総確認と弱点補強、そして志望校の入試内容の確認がポイントとなります。他方、小5生や小4生の場合は、今までの学習内容の確認と定着に加え、第一志望校のみならず、興味のある中学校の情報取集と受験の方向性の確立がポイントとなります。そして、どの学年であっても、家庭学習や夏期講習で学習する内容を具体化することが極めて重要になります。まずは小6生の夏の過ごし方のポイントについて述べたいと思います。
小6生のポイント
その1 【小学校・塾の学習内容の総確認と弱点補強】
中学受験の集団授業の塾の場合、ほとんどの進学塾が小6生の夏までに中学受験一般の学習範囲の授業を終え、夏期講習以降は過去の入試問題などを使った入試演習型の授業に入ります。国語、算数、理科、社会、いずれの科目も、中学受験にあたって学習をすべき範囲を習得した前提で、塾でも受験生それぞれの志望校に応じた問題演習を進めていきます。
中学受験用の模試も、7月までは出題範囲が限定されたものが一般的ですが、9月以降の模試は「総合問題」として出題範囲の制限のないものとなります。
また、9月以降には「開成中」、「桜蔭中」、「灘中」、「早稲田(大学)系中学・慶應(義塾大学)系中学」など、一部の有名難関中学校の入試傾向に沿った模試も実施されますが、それらも出題範囲が限定のないものとなります。
つまり、小6生の夏までには中学入試で問われる範囲の学習は完了して、それ以降は入試問題演習に入るのが中学受験学習においては一般的であり、もし、夏までに中学受験の学習範囲で未習の単元が残ってしまうと、それだけ入試型演習の学習に入る時期が遅れてしまい、9月以降、余裕のない状況となってしまいます。
9月以降、余裕をもって志望校対策の学習を進めるためにも、7月までに模試を受験したり、塾でのテキストのまとめ問題をあらかじめ解いたりして、ご自身の弱点分野を把握しておくことが大切になります。その「弱点分野」を克服するために、まだ学習ができていない小学校の学習分野が残っているのであれば、その未習分野を夏期講習までに学習を終えるカリキュラムを、塾の先生に組んでもらいましょう。
特に理科と社会については、過去に学習をした内容を忘れてしまい、模試や問題集のまとめ問題で得点ができない小6生をよく見かけます。模試やテキストのまとめ問題によって理科・社会の現状を確認し、理科・社会の弱点や未習単元が多くみられる場合には、苦手分野の克服や未習分野をなくすためにも、塾の夏期講習の受講においては、理科や社会を強化するカリキュラムを考えていきましょう。
その2 【入試問題の傾向から学習ポイントを決める】
小6生の受験生、保護者の皆さん。志望校の過去問には目を通されていますか?私が書いた過去の中学受験に関するコラムでも述べてきましたが、中学入試の出題形式は学校によって大きく異なる場合があります。
一般的に中学入試は、選択肢で選ばせる問題や漢字、(算数・理科の計算問題の答えとして)数字、語句で答えさせる出題が中心にはなりますが、近年は文章で答えさせる記述問題(ひとつの文章で答えさせる問題)や論述問題(二つ以上の文章を作成して、答えることが求められる問題)を出題する学校が増えてきています。麻布中(東京都港区)や武蔵中(同練馬区)のように、国語に限らず、理科や社会でも比較的長い文章の解答を求める論述問題を毎年のように多数出題をする中学校も少なくはありません。
記述問題や論述問題に答える力は一朝一夕で身につくものではありません。志望校が論述問題を出題する傾向にあるのであれば、文章表現力や論理的思考力、発想力を鍛える必要があります。とはいえ、志望校の過去問をいきなり解き進めても、解けない、書けない、と思われます。ひとまずは志望校入試の過去問を調べて、その傾向を把握し、受験生それぞれの状況に応じて、問題への取り組み方、解答にたどり着くための考え方、文章の書き方を身につけていく段階です。
夏は集中力が落ちやすく、特に記述問題や論述問題の自己学習は効率が悪くなりがちですが、暑くなる前の午前中やお昼寝からの起床後の時間帯など、頭の働く時間帯を意識して、効果的に学習を進めていきましょう。集中力がない時間帯においては、志望校の過去問の問題文、設問文、解答用紙の(記述問題・論述問題の)解答欄、模範解答文を眺めるたけでも有効です。
他方、志望校の入試過去問では記述問題や論述問題はあまり見受けられない場合は、例えば、小5生までに習った範囲の知識や理解の確認や入試問題を使った演習力強化など、塾の先生に相談をして、受験生本人の現状と志望校の入試傾向から夏期講習の強化ポイントを決めていきましょう。
非受験学年のポイント
その1 【今までの学習範囲の確認と定着】
小5生までの非受験学年の夏の学習ポイントは今までの学習範囲の確認と定着です。今までの学習範囲がどれくらい身についているかを確認するためには、模試や学力診断テストをペースメーカーとして活用することが有効です。
【資料1】 首都圏模試小5合判模試 第1回出題範囲
国語 物語文・小説、論説・説明文、詩、かなの知識、漢字・熟語の知識、ことばのきまり、ことばの知識、ことわざ・慣用句など 算数 整数・小数・分数の仕組み・四則計算、約数・倍数、数の範囲(以上・以下・未満) 周期を利用した問題、等差数列、三角形・四角形の面積、三角形・四角形の角度 立方体・直方体の積み上げ・体積(角柱と円柱は除く)、つるかめ算、植木算 理科 種子のつくりと発芽、太陽の動き、温度による体積の変化、酸素・二酸化炭素 社会 地図の見方(地図記号、縮尺、経度や緯度など)、各地の人々のくらし、日本の国土(地形、気候、都道府県など) |
【資料1】に示したのは、首都圏模試センター主催の小5生対象「小5合判模試」第1回(7月6日実施予定)の各教科の出題範囲です。特に算数と理科は、かなり具体的に出題単元が示されています。首都圏模試に限らず、中学受験向けの模試は小学校や塾で標準的に学習する進度に応じて、模試の出題範囲が決まっています。
仮に(6月末までに学習する予定の単元も含めて)模試の出題範囲の中でまだ学習をしていない単元があれば、今の段階からも学習を進め模試に間に合わせるか、夏に学習をすることをあらかじめ決めたうえでの夏期講習のカリキュラムを組む必要があります。他方、出題範囲は既に学習済み、もしくは6月末までには学習完了予定であれば、模試受験前には大まかな夏期講習のカリキュラムや受講予定日程を組んだうえで、模試終了後、あまりできていなかった単元や派生単元(例えば、理科で「酸素・二酸化炭素」の単元ができなかった場合、気体発生や化学反応など、化学に関する単元)を夏期講習のメインテーマとするといいでしょう。模試の結果が良かった場合には、今回の模試で出題されなかった単元や出題された単元の発展問題など、現状の学力や志望に応じて、夏期講習のカリキュラムを決めていきましょう。
その2 【中学校を知り、受験勉強の方向性を決める】
非受験学年の皆さんの場合、中学受験をすることは決めていても志望校が決まり切っていない、第一志望校は決まっているけれど併願校は決まっていない、というご家庭もいらっしゃるかと思います。そのようなご家庭にとって、夏休みは中学校に関する情報収集の重要な時期となります。
例年夏休みの時期には、私立中学校の多くは学校説明会や入試説明会を実施します。大規模なホール会場や大学キャンパスなどで、多くの私立中学校が集まっての個別相談会も実施されたりします。この時期は各中学校とも夏休みの期間となり、通常授業や部活動、クラブ活動の見学をメインとした中学校個別のオープンスクールの実施は少なくなり、外部会場で多くの中学校が一斉に集まり、個別の説明会や相談会を行うケースが多くなります。
一方、インターネットによって中学校を知る、相談できる機会も増えてきています。数多く私立中学校がYouTube上に公式ページを設けて、学校紹介や入試説明、在校生や卒業生のインタビューなどの動画を掲載しています。また、動画中継によるオンライン学校・入試説明会やZoomによるオンライン個別相談の実施をしたり、企画をしている中学校もあります。各都道府県には全ての私立中学校が加盟する協会・連合会があり、そちらのホームページでオンラインを含めての、各学校のイベントや説明会の日時などを紹介しています(【資料2】のホームページ参照)。
【資料2】首都圏・近畿圏の私立中学校団体情報ホームページ(抜粋)
東京都:東京私学ドットコム中学校版(東京私立中学高等学校協会)
https://j.tokyoshigaku.com
埼玉県:埼玉私学ドットコム(埼玉私立中学高等学校協会)
http://saitamashigaku.com
千葉県:千葉県の私立中学・高等学校情報サイト(千葉県私立中学高等学校協会)
https://chibashigaku.jp
神奈川県:神奈川県私立中学高等学校案内(神奈川県私立中学高等学校協会)
https://phsk.or.jp
大阪府:大阪の私立中学校(大阪私立中学校高等学校連合会)
https://www.osaka-shigaku.gr.jp/jrhighschool/index.php
京都府:京都府私立中学高等学校連合会
https://www.kyotoshigaku.gr.jp
兵庫県:兵庫県私立中学高等学校連合会
https://www.hyogo-shigaku.or.jp/chukoren/index.html
滋賀県:滋賀県私立中学高等学校連合会
https://shiga-shigaku.com
奈良県:奈良県私立中学高等学校連合会
http://nara-shigaku.net
このようなイベントや説明会、個別相談などを通じて、志望校や受験を考える学校が、より具体的に見えてくると思います。志望校が具体化したら、志望校合格のために必要なことを逆算して考えることができます。「合格のため、偏差値はどれくらい必要なのか」、「国語、算数、理科、社会。入試の配点はどうなのか」、「記述問題や論述問題の対策が必要なのか」など。志望校合格に必要なことを踏まえて、この夏の課題や強化ポイントも具体化して、夏休み期間の学習に活かしていきましょう。
ちなみに夏休みの時期には、本来は高校生や大学受験生を対象とした大学のオープンキャンパスが数多くの大学で実施されます。特に大学附属校や大学系列校、特定の大学への進学を前提とするコースの中学校を志望する方には、早いと思われるかもしれませんが、当該大学のオープンキャンパスにも足を運び、大学や大学生の姿を見たり、大学のキャンパスの雰囲気を体感することお勧めしています。
受験学年・非受験学年共通のポイント
その1 【夏休みはお盆まで!先手必勝の勉強計画を!】
地域や学校によっても異なりますが、近年の小学生の夏休みは7月の20日前後から8月の最終週(前)の日曜日までの期間となっているケースが多いと思います。2025年のカレンダーを見てみると、7月18日(金)、19日(土)、20日(月)、21日(月・海の日)となっているため、この時期に終業式→夏休み開始という小学校が多いと思われます。他方、8月終盤では23日(土)、24日(日)、25日(月)となっているため、24日までが夏休み、25日から始業式というケースが多いのではないでしょうか。
例えば、7月19日(土)から夏休み開始、8月24日(日)を夏休み最終日、翌25日(月)から新学期開始という「夏休み」期間を想定してみます。この場合の「夏休み」は37日間となります。「夏休み」期間のなかには「お盆」があり、ご両親の実家へ帰省をしたり、家族で旅行に行かれる方もいらっしゃるかもしれません。2025年のカレンダーから見ると、8月9日(土)、10日(日)~17日(日)となっており、8月9日から17日の期間に「お盆」として帰省や旅行をされる方が少なくないのではないでしょうか。
7月19日から8月8日までで21日間となります。他方、「お盆」明けの8月18日から同24日までは7日間となります。受験生ご自身は「お盆」をどのように過ごすのかによっても異なりますが、もしも「お盆」の時期が帰省等の理由で勉強に集中するのが難しい場合、8月8日までの21日間に中学受験に関する夏休みの学習テーマを進め、完了をさせる前提の計画を組みましょう。
保護者の皆さまが小学生の時だった頃思い出してみてください。7月20日前後、夏休みに入った解放感、遊ぶ一方で勉強は「後で(後の期間に)やる」という考えだった方が多いのではないでしょうか。9月1日(前後)まで夏休みの時代はお盆明けからまだ2週間以上「夏休み」が残っていて、お盆明けから勉強を間に合わせるということもやりやすいスケジュールでした。しかし、近年は夏休みの期間が少なくなり、お盆明けの期間は1週間ほどになります。受験勉強以外に小学校の課題や自由研究などもあるはずです。そもそも、「後でやる」という考え方でお盆明けに学習課題を積み残しておくと、特に小学生の場合はその積み残した学習課題をやっつけで、手を着けるだけの、学習効果の薄い「作業」となってしまいます。学習効果の高い「受験勉強」とするためにも、夏休みにおける中学受験勉強のテーマは夏休みの前半、できるだけお盆に入る前までに完結をする計画を組みましょう。
ちなみに、お盆明けから始業式までの期間の学習についてですが、計画通りに勉強が進んだ場合は、受験学年(小6)ならば、志望校の過去問を解き始めてもいいでしょう。もちろん、志望校の合格最低点の水準に得点は届いていないかもしれませんが、問題集や塾テキストでは解けたのに入試問題では思うように得点がとれない単元やテーマを確認して、その単元テーマの演習学習を進めるといいでしょう。他方、非受験学年の場合は新しい単元やテーマの学習は9月まで待つとして、既習テーマに関する国語、社会、理科の記述問題や論述問題にチャレンジをするのもいいでしょう。それに対して、仮に計画通りの学習が進まなかった場合は、受験学年・非受験学年とも、残りの7日間を使って「夏休み」の学習テーマの完結に全力を注ぎましょう。
その2 朝学習の充実で勉強効率を上げる
地球温暖化が進み、夏は年を追うごとに猛暑の日が多くなっています。気温が30℃を超える時間帯の学習は集中力が減退し、学習効率の下がった「活動」となります。もちろん、エアコン(クーラー)の効いた部屋での学習となる場合が多いのですが、エアコンの効きすぎによる体調不良のリスクもあります。そこで、エアコンを使わなくても、またはエアコンに使用を控えめにしても学習しやすい時間帯となる朝と夜が、夏休みの学習の上では重要になります。夜は一日の終わりの時間帯のため、疲労が多く、集中力が必要な学習内容には向きません。となると、起床後の朝の学習が、夏休みにおいては非常に重要となります。
夏、最も学習がはかどる時間帯は暑さがやわらいでいる早朝です。そして、これは中学受験に限った話ではありませんが、夏休み期間の学習において、最も差がつく要因は朝の学習の有無や朝学習の内容です。
夏期は通常の時期より早起きをして、午前6時までには起床をして、学校の有無に関わらず、午前7時30分頃までは朝学習を進めることを強くおすすめします。
では、朝の時間帯にはどのような学習が効果的なのでしょうか。具体的には塾の先生にも相談して学習内容や使用教材を決めて頂きたいと思いますが、私のおすすめは、思考力を"程よく"使う項目の学習を朝に進めることです。
算数であれば計算問題や文章題、図形問題の中でも基本的な問題(いわゆる一行問題と呼ばれる小問)、国語であれば比較的短い文章を読ませたうえでの短め(20字程度)の記述問題、理科であれば重さ・化学反応・天体分野の計算問題です。
あくまでも"程よく"頭を使う問題であることがポイントです。この時期の朝学習の目的は、暑さが厳しくなる前の時間帯に脳を早く目覚めさせること、一日の学習の良いスタートとリズムをつくることにあります。朝の時間帯に難問や長い記述問題、論述問題を解く必要はありません。一問を解くために長時間を費やす必要のある問題を朝からいくつも解くと、朝学習だけで疲れてしまい、その後の時間帯の学習に悪影響が出やすくなります。
例えば、午前5時30分に起床(もちろん、就寝時間は早めに)。着替えや軽い飲食をしてから、午前6時頃から30分間を算数。午前6時30分からのラジオ体操をはさんで、午前6時50分から30分間を国語または理科を進めます(【資料3】に朝学習のモデルプランを示しました)。
お盆休みの期間を含めて、7月19日から8月25日(新学期初日も朝学習をしましょう)までの38日間。1日1時間。この38時間の朝学習により、時間数以上の充実感と実力のレベルアップを感じることができるはずです。
【資料3】 夏期朝学習のモデルプラン
5:30 起床 |
今回は「志望校合格を手繰り寄せる夏休みを過ごし方」と題して、受験学年、非受験学年、そして中学受験生全般に関わる夏休みの過ごし方、受験勉強の計画・実践について述べてきました。夏休みは志望校合格を"手繰り寄せる"か"手放してしまう"か、その計画と過ごし方で決まると時期と言っても過言ではありません。夏休みが終わると、特に小6生は学習を纏めて進める時期が入試直前期の12月過ぎまでありません。
今年も猛暑が予想されます。猛暑の時間帯も猛勉強をする必要はありません。むしろ、お昼から夕方前の最も気温が高くなる時間帯はお昼寝をするなど、猛暑ともうまく付き合いながら、勉強が集中できる期間や時間帯にメリハリをつけて学習を進めていきましょう。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>