2023/07/03

関東関西有名中学入試分析【中学受験 夏の過ごし方(実践編①)】

先月の私のコラムでは「中学受験 夏の過ごし方(計画編)」と題して、中学受験生の夏期のすごし方や学習計画のポイントをお話しました。今回は「中学受験 夏の過ごし方(実践編)」と題して、夏休み期間の学習計画や学習方法について、具体的に日付を示しながら説明をしていきたいと思います。

中学受験を目指す皆さんには、この夏、充実した受験勉強を進めて欲しいと思いますが、今年も厳しい暑さが予想されるなか、毎日、朝から夜まで勉強漬というのは、小学生にとって、体力的にも精神的にも現実的ではありません。心身ともに無理をせず、メリハリをつけて受験勉強を進めることがポイントになります。

体力的にも精神的にも余裕をもって、効果的に夏の学習を進めるために、期間ごとの過ごし方と特に重要になる朝の過ごし方を中心に、これから述べていきたいと思います。

夏の期間別の過ごし方 前半期と後半期


 夏を期間別に、前半期(7月後半~8月前半)とお盆を含めた後半期(8月中旬~後半 小学校授業再開までの期間)の2つの期間に区分したいと思います。2023年の夏、7月15日(土)から8月20日(日)までの期間を"夏休み"として考えてみます。以前は7月20日頃から8月31日までが夏休み、9月1日に始業式という小学校が、首都圏でも関西圏でも一般的でしたが、近年では8月の第4週から授業再開が一般的になっています。今年の8月は20日日曜日、21日月曜日ですので、21日(以降)に始業式や授業再開とする小学校が多いかと思われます。

一か月強の夏休みですが、8月中旬には"お盆"があります。集団授業塾・個別指導塾とも"夏休み"には夏期講習を実施するところがほとんどですが、"お盆"期間には、塾でも授業を実施せず"休校期間"となるのが一般的です。

例えば個別指導学院フリーステップでは、今年の場合、8月11日(金・祝日)から17日(木)までが夏期講習の休止期間となります。この期間を"お盆"と考え、"夏休み"のなかで"お盆"より前を前半期、それより後を後半期とします。前半期は27日間、後半期は10日間です。

前半期と後半期、それぞれの時期の心構えや学習ポイントについて述べていきたいと思います。

前半期の学習ポイント


前半期と後半期としていますが前半期こそが"夏休み"と考え、お盆前までの"夏休み"に取り組むべき学習課題を完了させられることがベストです。夏休みスタートの段階で「夏休みは1か月(以上)あるから」と考えると、勉強や宿題は後回しにしがちになります。夏休みの勉強や宿題は前倒し、前倒しで進め、終わらせられるものは早期に終わらせることが受験勉強の鉄則です。

前半期の"前倒し"の勉強とは、具体的にはどのように進めていくことなのでしょうか。私は7月15日から8月10日までのカレンダーに、この日にどの単元を学習するのか、どの教材の何ページを学習するのかを書いておくことをおすすめします。

その際のポイントとしては、

  • 1週間(月曜日から日曜日)を大きなタームとして考える。
  • フリーステップのように毎週日曜日は休講日の塾の夏期講習に通う場合、日曜日には原則予定を書き込まず、学習が遅れた場合の予備日とする。
  • 仮にある日に決めた学習テーマが完了しなかった場合であっても、翌日は翌日の学習テーマを進める(進められなかった分は日曜日に学習)。
  • 7月15日までに8月10日までの学習テーマはあらかじめ決める。

夏休み前半期の学習計画について、小学6年生の社会で具体例を示したいと思います。7月15日から8月10日まで27日間あります。(夏休み開始当初の7月16日以外の)日曜日を除くと24日間です。フリーステップで主に中学受験生用に使われるテキスト『小学実力練成エフォート』の社会Aは5つの章、社会Bには8つの章、合計13章が掲載されています。日曜日を除き、毎日1章ずつ進めて13日(1周目)。残り11日間のなかで、1日2章ずつ、7日間で2周目を進めていきます。このスケジュールで学習が進んだ場合は、残りの4日間や日曜日には、章末にある完成問題や巻末に掲載されている総合問題や入試特集(演習問題)を進めていきましょう。他方、仮に勉強がスケジュール通りに進まなかった場合は、日曜日を使って遅れを取り戻していきましょう。

『エフォート』社会の各章は「要点のまとめ」、「基本問題」、「発展問題」の3つのパートで主に構成されています。「要点のまとめ」は用語や事象が文章で説明されていて、学校の教科書や集団塾の授業の講義をダイジェストにしたようなパートです。「基本問題」は「要点のまとめ」で説明されている用語・事象について、一問一答形式の問題が掲載されているパートです。「発展問題」は各章のテーマに関連した入試問題が掲載されているパートです。

「完成問題」、「入試特集」、「総合問題」というパートもあり、もちろん、時間に余裕のある受験生は夏期にこれらのパートも進めて構いませんが、算数・国語・理科の学習も並行して進めることも踏まえて、夏期においては「基本問題」と「発展問題」の学習に範囲を絞るのを基本とされるといいでしょう。

1周目の学習として、例えば、まず、「基本問題」見開き2ページを15分ほどで解き、8割以上の正解率であればそのまま「発展問題」に進み、正答率が8割未満であれば「要点のまとめ」に戻り、読み込みと太字用語の理解や記憶に努めます。『エフォート』社会の各章は3つから5つの単元で構成されていますが、1日90分から120分の時間を使って進めます(1単元あたり30分程度が目安)。

2周目は1周目で解いた内容の復習のため、1日あたりの章の数は増えますが、1章あたり60分以内の時間でサクサクと進められるはずです。基本問題と発展問題のなかで、前回解けなかった問題や間違えた問題を解き直し、さらに「完成問題」も解き進めていきましょう。

後半期の学習ポイントへ続く

<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>