2021/10/11
関東関西有名中学入試分析【中学入試 過去問の取り組み方(実践編)】
国語を例にした過去問演習の方法
①国語が苦手なら、
過去問の前に「読み方」と「解き方」を
身につけることからスタート
②入試本番と同じ制限時間で解き、
得点率が安定しているなら
5分から10分短く解く
③志望校独特の問題対策は
過去問演習と別に対策を
①国語が苦手なら「読み方」と「解き方」を丁寧に身に着けることからスタート
国語の中学入試問題の中核は文章読解です。文章読解問題の「読み方」と「解き方」が身についていないまま制限時間内に過去問を解いても、時間が足りない、仮に時間が足りたとしても、直感で解いた問題が多く、得点率が低い、ということになりがちです。
直近で受験をした模試の国語の時間が足りず、大問3つ以上の設問が白紙のまま解答することができなかったり、そもそも、読解問題の「読み方」や「解き方」を習っていない場合は、いきなり制限時間を設けた過去問演習を進めることはせず、まずは塾の授業で「読み方」や「解き方」を習い、身につけていきましょう。そして、1か月先ぐらいの模試で制限時間内に解けるための解法学習と演習を進め、その模試の国語問題が制限時間内に解けるようになれば、国語担当講師と相談して、過去問演習のスタート時期を決めていきましょう。
②入試本番と同じ制限時間で解き、得点率が安定しているなら5分から10分短く解く
国語を苦手としている受験生は①のステップを踏んでから、国語が得意、または国語が得意という意識はなくても模試では制限時間内に解けていて、模試での国語の偏差値も安定している場合は第一志望校や併願校、第一志望校と入試のレベルや作問が似ている学校の過去問を、入試本番と同じ制限時間のもとで解いていきましょう。
新しい過去問から?古い過去問から?など、過去問を年度の解く順番についてですが、国語に限らず、第一志望校の最近4回分は入試直前時に解くために残して、それら以外過去問について、
➊受験は考えていないが第一志望校と問題のつくりが類似し、
かつ合格偏差値も近い学校の過去問(できれば国語の制限時間が第一志望校と同じ問題)
→➋志望順位の低い順番で受験予定校の過去問
→➌第一志望校の過去問 の順番で進めるといいでしょう。
いずれも古い問題(ただし、第一志望校以外は過去5年以内のもの)から解き進めていきましょう。過去問を解く曜日ですが、学校の授業のない、土日や休日の午前中が理想です。ただし、秋から冬休みにかけての土日や休日には模試やプレテストが実施されることが多く、模試やプレテストに参加をする日は、帰宅後、休息を入れてから、夕食後の時間帯に進めるということも考えていきましょう。ちなみに、夕食までの時間帯は模試やプレテストの間違え確認や復習を進めてください。
入試本番と同じ制限時間内で過去問を解きますが、演習量をこなしていくうちに、入試と同じ制限時間内に解き終えることができ、かつ自己採点でも入試本番の合格最低点(の割合)を、余裕をもって超えることができるようになれば、入試本番の制限時間より5分または10分短く設定をして、または自宅ではなく、塾の自習室など、入試本番により近い環境のもとで引き続き過去問演習を進めましょう。
③志望校独特の問題対策は過去問演習と別に対策を
中学受験の国語入試問題では、説明文や小説などを読んで設問に答える問題を中心に、漢字や熟語、ことわざ、文法の知識を問う問題もどの中学校でも出題されます。他方、近年では、作文や小論文の形式の問題も国語の入試のなかで出題されることも増えてきました。
問 もしあなたが極限の状況で
「国を選ぶか、友を選ぶか」の選択に迫られた時は、
どちらを選びますか。
その理由とともに百字以内で答えなさい。
横浜雙葉中
この問題は横浜雙葉中(横浜市中区)の国語入試問題の中で出題されたものです。理由を明確にして、自分の考えを説明していくこのような問題は、作文問題というよりは小論文問題とも言えるものです。小論文の書き方や論証の仕方をあらかじめ学習していないと、単に「国が重要だから」とか「友だちは大切だから」とか、論証がない文章となる可能性がありますし、そもそも、「何を書いたらいいのか?」を考えるだけで時間が終了してしまします。
このような小論文問題など、一般的な国語入試問題とは異なる問題が志望校で出題をされている場合、該当するような問題の解き方を習っていないのであれば、過去問演習では、このような問題は飛ばして解き進めてください。そのうえで、小論文や作文など、塾などで解き方を習い、問題演習を重ねてから、過去問演習でも解くようにしていきましょう。
国語をベースにして、制限時間を設けた過去問演習のポイントを説明してきましたが、算数の過去問演習の進め方も、基本的には国語と同様です。つまり、
①算数各単元の「解き方」が身についているか確認をする。「解き方」が身についていない単元があれば、過去問演習に入る前に、速やかに「解き方」を習い、問題演習で定着を図る。
②入試本番と同じ制限時間での過去問演習を進める。土日や休日の午前中を中心に。
③志望校独特の出題形式があれば、過去問演習とは別個の対策を。算数の場合は文章も書かせる問題や図やグラフを作成させる問題など。
これらのポイントに留意をしながら、過去問演習や入試対策を進めていきます。
過去問は単なる問題集ではなく、志望校合格のための「案内図」と言えるものです。過去問を解くことによって、自分の「合格への道しるべ」を確認し、無理なく、かつ効果的に受験勉強を進めていきましょう。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>