2023/08/07
関東関西有名中学入試分析【中学受験する?しない?オープンスクールと学校祭で決めよう!】
小学生のみなさん、小学生の保護者のみなさん、中学受験はされますか?中学受験をテーマとしている私のコラムですので、中学受験を前提とされている方が多いと思います。他方、中学受験をするかしないかを検討中という方もいらっしゃるかと思います。
中学受験をするかしないかを決める材料として重要なのが、受験を検討している中学校を知ること、体感することです。中学校を知る、体感する方法はいくつかありますが、今回は中学校主催のオープンスクール(オープンキャンパス)と学校祭(文化祭・学園祭)について、お話をしたいと思います。
中学校の公開行事について
私立中学校や中高一貫の国公立中学校が受験を検討している小学生やその保護者を対象に実施をしている、もしくは公開をしている行事は、①学校説明会・入試説明会 ②オープンスクール(オープンキャンパス) ③学校祭(文化祭・学園祭)、の3つが中心になります。学校によっては体育祭(運動会)や〔キリスト教主義の学校の場合〕クリスマス関連の行事を小学生や保護者に公開しているところもありますが、中学受験を実施する多くの中学校は上述の3つの行事を実施しています。
①の学校説明会・入試説明会は保護者を対象としたものとなります。学校の概要、建学精神、学習カリキュラム、大学進学実績、そして次年度の入学試験についての説明など、保護者が知りたいと思う情報の提供が中心となります。②のオープンスクールは受験を検討している小学生を対象としたイベントで、授業や部活動の体験、在校生や教員との対話、制服の試着など、中学校生活を体験してもらうことを狙いとしたイベントです。③の学校祭・文化祭は、部活やクラブ活動の発表や模擬店、クラスによる演劇や合唱の発表など、本来は在校生のための行事ですが、小学生やその保護者にも公開をしている中学校もあります。
受験生自身が体感するイベントの重要性
3つの行事とも、中学受験を検討しているご家庭にとって重要なのですが、中学受験をするかしないかを迷っているご家庭にとって特に重要なのは、オープンスクールと学校祭です。
受験校の入試の難易度や入試科目数、お子さまの現状の学力状況にもよって差異もありますが、私立中学校や国公立の中高一貫の中学校(中等教育学校)に入学をするには入学試験を合格する必要があり、その合格のためには入試が終了する前の期間、お子さまは"受験勉強"中心の生活となります。今まで習い事やスポーツ、ゲームを楽しんできた生活から、受験終了まではそれらをセーブする生活が必要になるかもしれません。「たのしいことをセーブする」。このことは高校入試や大学入試にも言えることなのですが、中学生や高校生よりも自我の形成が発育途上である小学生にとってより難しいことであり、"受験勉強"の期間を乗り越えるには強い動機づけ(モチベーション)とその維持が必要となります。そのためにも中学受験をするのであれば、受験を考えたいと思う中学校のオープンスクールや文化祭を実体験して、その中学校に自分が合うか合わないかを感じ、合うと思えたならば受験勉強のモチベーションとすることが、この秋中学受験をするかしないかを決めかねているご家庭にとっての大きなポイントになるかと思います。
ポストコロナの秋 オープンスクールも文化祭も復活へ
2020年から2022年の(2019)新型コロナウイルス感染症の拡大で、中学入試を実施している中学校のほとんどが、オープンスクールなどの外部向けのイベントを中止したり、規模を縮小したり、オンライン(インターネット)中心の実施だったりとなっていました。しかし今年からは、ほとんどの中学校では2019年以前の、従来どおりの公開型のオープンスクールや学校祭を実施することとしています。ただし、オープンスクールの場合も、学校祭の場合も、以前に比べると、参加のために事前予約が必要とする中学校が多くなっています。
ちなみに大学の附属校・系列校の中学校の受験を検討されている場合、8月から11月にかけて、大学のオープンキャンパス(8月実施が多い)や大学祭(10月・11月実施が多い)も見てみるのをおすすめしています。こちらは本来、大学受験間近の高校生の参加が中心ですが、大学(キャンパス)や学生の雰囲気を知るという意味で、散策感覚で来る小中学生の親子連れもよく見かけると、以前、大学関係者の方が話していました。
オープンスクールと学校祭 攻略法をお教えします!
オープンスクールと学校祭。具体的にどのようなもので、どのように参加し、行動をしたらいいのでしょうか?
オープンスクールは授業、部活動、学校生活を再現し、小学生に体感をしてもらうことを目的としています。つまり、学校として自信があること、アピールしたいことを小学生向きにアレンジして提供する傾向にあります。
例えば、英語の先生やカリキュラムに自信がある学校の場合は英語ネイティブ教員や英語が得意な在校生の高校生を交えて英語でゲームやクイズをしたりとか、理数教育に自信のある学校・理科や算数(数学)が好きな小学生にアピールをしたい場合は化学反応が生じる実験や生物観察をしたり、部活動の練習に体験したり試合用のユニフォームを試着したり、という感じです。
他方、学校祭(文化祭)は在校生が楽しむこと、成長をすることが目的とされて実施されます。クラス単位や部活動単位での発表(合唱、演劇などのパフォーマンス、創作物の展示)、飲食などの模擬店、学校によっては受験検討の小学生を対象とした催しやイベントを実施してくれるところもあります。
受験生に「アピール」する要素が強いオープンスクールと比べて、学校祭のほうが中学校の校風や在校生の素(す)の部分がわかりやすい傾向があります。例えば、アニメやアイドル、ネットゲームなどのサブカルチャーに関して、在校生がパフォーマンスをしたり、ゲーム大会やマニアックなトークがあったりして、今の中学生や小学生(高学年)が興味を持っていることを垣間見ることができます。
オープンスクールも学校祭も、催しやプログラムの時間割が決まっているかと思いますが、全てプログラムに参加する必要はなく、希望するプログラム、興味のあるプログラムのみに参加可能なところがほとんどだと思います。中学受験をするかしないかを検討している小学生にとってオープンスクールや文化祭の参加目的は、この中学校を好きになり、もしくは興味を持ち、今後、中学受験を志すにあたっての受験勉強の動機づけに繋がるか否かです。訪問した中学校に、お子さまご本人が好印象を持てるか否かが重要です。そのためには、オープンスクールも文化祭も、気になるプログラムや催しを(もちろん、年上の人、初対面の人への礼儀やマナーをわきまえつつも)"つまみ食い"する、気軽なスタンスで参加し、楽しまれるといいでしょう。
オープンスクールも学校祭も、もちろん、受験する前提で考えている中学校には必ず行って欲しいのですが、もしも時間的に余裕があるのであれば、今現在は受験を考えていないところでも、受験する可能性の高い中学校とよく比較をされたり、ライバル関係とされる中学校のオープンスクールや学校祭も、参加を検討されるのをお勧めします。別の中学校も体感をすることで、志望校としている中学校の特色が比較をすることでよりわかりやすくなります。例えば、早稲田大学の系列の中学校志望(早稲田大高等学院中、早稲田実業中など)の場合は慶應義塾大学の系列の中学校も見てみたり、同志社大学の系列の中学校(同志社中、同志社女子中、同志社香里中など)志望の場合は、立命館大学や(同じキリスト教プロテスタント主義の)関西学院大学の系列の中学校も見てみるといいでしょう。
ちなみにオープンスクールや学校祭では、中学受験を検討している小学生には特典やプレゼントがあるケースもあります。よくあるのは、食堂(学食)や給食サービスの中学校の場合、在校生と同じランチメニューを試食できることです。在校生と同じメニューとは異なり、有名外食店や卒業生が経営するお菓子屋さんのスイーツを食べながら在校生とトークができるという学校もあると聞きました。他方、最近では公立中学校でもオープンスクールや学校見学会を開催しているケースが増えています。中学受験そのものをする、しないを検討している場合は中学受験をしない場合の進学先となる公立中学校の体感も必要です。
オープンスクール・学校祭の後 中学受験をする場合 しない場合
中学受験をするかしないかを迷っているご家庭がオープンスクールや学校祭に参加をした後、どのように行動をしたらいいでしょうか?中学受験をしたいと決められた場合は情報収集と"受験勉強"のスタート、中学受験を見送る、もしくはまだ迷っている場合は今現在、打ち込みたいことの確認と今後を見据えた学力養成の方向性の決定です。
中学受験にお子さまご本人が前向きになられたならば、まずは受験したいと考える中学校の入試についての情報収集が必要です。そこで、本コラムの初めの方で述べた、保護者対象の学校説明会や入試説明会が重要になります。とはいえ、受験勉強スタートを決めた時期に、タイムリーに学校説明会や入試説明会が実施されるとは限りません。まずは受験したいと思われる中学校のホームページにアクセスをしてください。中学校のホームページには入学希望の方やその保護者向けのページが必ずあります。まずは最新の生徒募集要項(入試要項)を確認してください。そして入試に必要な教科を確認しましょう。国語、算数、理科、社会、場合によっては英語や作文(小論文)。理科や社会も必要なのか、国語と算数の入試なのか。"受験勉強"に必要な教科を確認しましょう。そのうえで、学校説明会や入試説明会などのイベント予定の確認や予約、学校の概要、建学精神、学習カリキュラム、大学進学実績など、保護者の方が事前に知りたい事項の確認をされるといいでしょう。
"受験勉強"のスタートにあたっては、まずは今現在までに小学校で学習をしている単元や解法が身についているかを確認しましょう。中学入試の出題の土台は小学校での学習内容です。中学受験に向けて、早速塾通いという前に、小学校での学習内容の確認をしてください。確認方法ですが、書店やAmazonなどで市販をされている小学生の各学年用の問題集を使い、今まで小学校で学習をした算数や理科の単元・テーマの章末問題を解き、7割以上の正答率となっているかを確認します。正答率が7割未満の単元やテーマは学び直しや復習が必要です。問題集や参考書で学習を進めていきましょう。他方、正答率が7割以上であれば、中学受験に向けた学習塾や教材の検討や選択に入っていいでしょう。
一方、中学受験に前向きになっていない場合、もしくはまだ中学受験をするかしないかを決めかねている場合ですが、スポーツでも習い事でも、今、お子さまご本人が夢中になっていること、打ち込みたいことを優先させてあげましょう。そのうえで学力養成面においては、中学受験をするしないに関わらず重要である国語と算数(数学)の小学校での学習内容の定着と、中学・高校での学習内容の変化や深化、そして高校入試や大学入試での英語の変化も著しい英語に触れる機会を増やしたり、体系的に無理なく学ぶ機会を設けることも、考えてみてもいいでしょう。
今回は中学受験をする、しない、の決定のターニングポイントとなるオープンスクールや学校祭について、そして中学受験をする場合、見送る場合の最初のポイントについて述べてきました。中学受験をする場合、その準備、受験勉強のスタートは早い越したことはありませんが、受験勉強をする小学生のお子さまの意欲や気持ちが何よりも重要です。その意欲や気持ちの形成のターニングポイントとして、オープンスクールや学校祭を活用してください。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>