2026/02/09
関東関西有名中学入試分析【中学受験の英語とは?特徴と勉強法を確認しましょう!】
中学受験に関する私のコラムですが、今回から来年以降に中学受験を見据えている方を対象とした内容となります。今回は中学受験における入試科目としての英語についてです。
高校受験や大学受験においては(大学入学共通テストの科目も含めて)多くの学校で入試必須科目となっている英語ですが、中学入試においては、海外生活経験が長かったり、日本国内でもインターナショナルスクールに通ってきた児童を対象とした帰国生入試を除く一般入試では、英語が入試必須科目となっている中学校は極めて少数です。算数・国語の2科目、もしくは算国に理科を含めた3科目(主に近畿圏)、算国理に社会科を含めた4科目、のいずれか入試必須科目の組み合わせとしている中学校が大多数です。ですが最近では、入試方式や入試日程の一部で英語を必須科目にしたり、選択科目にしたり、英検®などの外部英語資格の取得級やグレードに応じて得点認定・得点加算をしたりするなど、入試において英語を活かすことができる入試を実施する中学校が増えてきています。今回は中学受験における英語について、特徴やトレンド、英語を入試科目として活かす場合の注意点や勉強方法などを述べていきたいと思います。
■中学受験における英語のポイント
その1 英語は必須科目ではない しかし、英語を活かすことは可能
先程も述べましたが、中学入試を実施する私立・国公立の中学校(中等教育学校)の入試において、英語が必須科目となっているケースは(帰国生入試を除き)極めて少数です。例えば、首都圏の私立男子校・女子校で中学入試最難関とされる開成中学校と桜蔭中学校(いずれも東京都)は国語・算数・理科・社会必須の4科目入試です。関西圏で中学入試最難関校とされる灘中学校(兵庫県)は国語・算数・理科必須の3科目入試です。三校とも英語の入試科目、英語資格の利用、帰国生(別枠)入試の実施はありません。三校とも英語に関してもハイレベルな教育を進める学校ですが、受験生の英語力を入試段階で問うことはしていません。その他の中学校の入試においても、学力試験ベースの一般入試においては、算数や国語は必須であっても、英語ができなければ受験できないということはありません。
他方、英語を入試必須(選択)科目とするコースや日程、入試方式を設けたり、英語資格の級やグレード、点数を入試に活用したりする中学校は増えています。例えば、慶應義塾湘南藤沢中等部(神奈川県)の一般入試では国語・算数・理科・社会の組み合わせ、または国語・算数・英語の組み合わせ、いずれかの組み合わせの学力試験を選択することが可能です。西大和学園中学校(奈良県)の一般入試(本校会場・他地域会場とも)では国語・算数・理科(社会追加選択可能)の3・4科目入試とは別に国語・算数に加えて英語の筆記試験・面接試験もしくは英検®取得級の結果を総合評価し合否を決める入試方式があります。英語1科目のみの入試方式を実施している中学校もありますが(例 郁文館中、東京都市大等々力中、ドルトン東京学園中など。いずれも東京都)、極めて少数であり、英語だけで受験できる学校から志望校を、という考え方だと学校の選択肢は少ないのが現状です。
その2 英語入試のレベルはまちまち
首都圏模試センターの調査によると、首都圏の2025年度入試において、140校が英語(学力試験or英語資格点数認定)を使った中学入試を実施しました。各学校が受験生に求めている学力水準にもより、英語入試問題の難易度は学校により大きく異なります。上記で示した慶應義塾湘南藤沢中は(学校公表で)英検®準1級程度、西大和学園中は(学校公表で)英検®2級以上の英語力を求める内容となっていますが、英検®4級や同3級程度の作問としている中学校もあります。中学校のホームページの入試情報や入試Q&Aのところに記載されているケースが多いですが、不明な場合は直接中学校に問い合わせてみるといいでしょう。
その3 入試内容は英検®ベースが多い
英語の入試問題の内容ですが、それぞれの中学校が難易度の目安としている英検®(級)の記述問題の形式に類似しているケースが多くなっています。そのなかでも、短文の語句空所補充問題、会話文を含む長文の空所補充問題、内容一致問題が多く出題されています。学校や方式によっては英作文や英語によるエッセー、リスニングテストも出題される場合もあります。英検®2級や同準1級を難易度の目安にしている中学校の場合は、英検®の他に大学入学共通テストのリーディング問題に似た長文読解問題が出題されているケースもあります。
※著作権保護の関係で中学英語入試や英検®、共通テストの過去問の引用掲載はしていませんが、詳細は各中学校のホームページや入試問題集、英検®・共通テストの過去問題集をご参照下さい。
■中学受験で英語を受験(勉強)科目にするかしないか 判断のポイント
その1 志望校・志望するコースが中学入学後、英語の学力を要求する場合
入試において英語の入試(選択)科目に入れている中学校や当該コース(例称 国際コース、国際学級、グローバルコースなど)は入学後、英語の授業が多かったり、英語圏への留学や研修旅行などが行われるケースが目立ちます。もちろん、中学入学後にも英語力を養成する、鍛えていく授業やカリキュラムとなりますが、その授業やカリキュラムについて行くことができる英語力が備わっているか、逆に言えば、授業やカリキュラムについて行けない、脱落する可能性が高い児童ではないことを確認するため、英語の入試や英検®(級)の認定が行われていると見るべきだと思います。
その2 志望校・志望するコースの入試目安を見据えた英検®ベースの実力の有無
先程、中学校やコースによって、英語の入試問題の難易度の水準は異なると述べました。入試科目として英検®ベースの英語の受験勉強を進めるにあたっては、志望校・志望コースの(英検®ベースの)英語入試難易度に対して、新6年生であればそのマイナス1のグレード以内、新5年生であればそのマイナス2のグレード以内の英検®(級)を取得できているかが目安になると考えます。1年間で1グレード、2年間で2グレード、他科目の勉強も考えると、英検®ベースの実力養成のペースはこのように考えるのが現実の範囲だと思います。
例えば、英語入試問題の難易度水準が英検®準1級である慶應義塾湘南藤沢中等部を英語選択で受験しようと考える場合、新6年生(現5年生)であれば英検®2級(以上)、新5年生(現4年生)であれば英検®準2級(以上)の英語の学力があることが求められると考えます。
このことは高校受験を目指す中学生や大学受験を目指す高校生にも言えることですが、英語は短期間で急激に、一朝一夕に実力がつく(偏差値が上がる)科目ではありません。単語・熟語・文法を習いながら、英文に触れる時間を重ね、短い文章から長い文章への読解演習を積み重ねることの着実性が求められる科目です。もしも、英検®ベースの英語入試難易度と現在の英語学力、入試までの(受験勉強の)期間との差異が大きい場合は、たとえ英語が好きであっても、国語・算数・理科・社会ベースの入試に向けた受験勉強を進めるほうをお勧めいたします。
■中学受験の英語の受験勉強法
ここからは中学受験において英語を受験科目(のひとつ)と決めた場合の具体的な勉強法を述べていきたいと思います。
1.英検®ベースで学習を進める
英検®ベースでの英語入試問題が中心ということは、中学受験における英語の受験勉強も英検®ベースに進めることが基本となります。志望校・コースの入試難易度目安となっている英検®の級について、既にその級を取得している場合は1グレード上の級の取得を目標に、まだその級を取得していない場合はその級の取得に向けて、英検®用の市販の参考書や問題集、塾の授業・テキストを進めていきましょう。
文法・語法・語彙に関する短文の語句空所補充問題、会話文を含む長文の空所補充問題、内容一致問題は多くの中学校で入試に出題されています。これらの設問対策の学習を重点的に進めていきましょう。他方、英作文(エッセー)、リスニング、英語面接は、入試では問われない学校やコースもあるかと思います。算数、国語などの他科目の入試の有無や学力状況にもよりますが、英作文、リスニング、面接は慣れや経験値が大きく影響するものです。入試でも課される場合や英検®(級)の認定方式や加点方式での受験の可能性がある場合はこれらの対策も継続的に進めていきましょう。
2.読解、単語・熟語など、メリハリのある勉強が大切
算数や理科、社会と比べて、英語は特に勉強時間の"メリハリ"が重要な科目です(このことは同じ語学科目でもある国語にも言えます)。ここで言う"メリハリ"とは、体調に応じた勉強内容や勉強の質の変更、強弱をつけることを意味します。
英語の勉強の柱は、①文法など、英語の仕組みや体系を理解すること、②単語、熟語、構文など、英語に関する知識を習得すること、③読解、作文、会話など、①と②で習得した英語力を運用・実践すること、の3つになります。そのうち①と③は学習において集中力や思考力を必要とします。集中力や思考力が働かない時間帯に英語の長文読解問題を進めても効果はありません。他方、②は理解・記憶(暗記)のため、集中力や思考力が弱い時でも学習は可能です。
そのため、集中力や思考力が冴えている時間帯は長文読解や英作文など、③に該当する内容の学習を重点的に進め、他方、疲れている場合や眠たい時間帯は(それでも勉強をしなければならない場合)単語、熟語、構文など、②に該当する知識習得系の学習を重点的に進めます。頭の働きや体調によって、勉強内容に"メリハリ"をつけて学習を進めることが英語学習の要諦です。
3.(上級編)別のカテゴリーの入試問題を演習用として使う
ここで述べるのは志望校の英語入試難易度が英検®の準1級や2級など、ハイレベルな場合かつ受験生が既に当該英検®級(以上)の英語学力を有している場合の内容になります。
中学受験において一般入試で英語入試科目を実施している中学校やコースは限られているため、特に英検®準1級などのハイレベルな英語力が入試で求められるところの入試過去問は数が限られてきます。他方、英検®のなかでも最難関の1級と準1級とではレベル差が特に大きく、英検®準1級を持っているから英検®1級対策の教材の学習をしましょうと、安易には言えるものではありません。その場合は、例えば、他の中学校の帰国生対象の英語入試や関係する高校(一般入試)などの過去問を演習用に活用することを検討してみましょう。
例えば、慶應義塾湘南藤沢中志望で既に英検®準1級、もしくは英検®1級を取得している場合、帰国生入試であれば聖光学院中、洗足学園中や渋谷教育学園渋谷中・同幕張中など、難易度の高い中学校の英語過去問や慶應義塾系列の高校(慶應義塾湘南藤沢高、慶應義塾高、慶應義塾女子高、慶應義塾志木高)の一般入試英語過去問のなかで、作問が類似している問題を演習用として使うことも可能です。慶應義塾系列の高校の英語入試問題は全国の私立高校入試のなかでもトップクラスの難易度の内容ですが、英検®準1級(大学中級レベル。慶應義塾大を含む難関大学の英語入試合格レベル)以上の英語力がある場合は十分に対応可能なはずです。
4.(基本編)中学英語の体系を速習しよう
志望校・志望コースの英語入試問題の難易度が英検®4級または3級の水準で、英検®の取得級が3級未満(もしくは未取得)の場合、もちろん、英検®4級や3級対象の参考書や問題集を進めていくことも重要ですが、先取りにはなりますが、中学校(3年間)で習う英語体系を速習することもお勧めしたいと思います。
英検®において、4級は中学中級程度、3級は中学卒業程度のレベルとなっています。公立中学校での英語学習内容をしっかりと習得すれば英検®3級に合格できるということです。公立中学校での学習内容ということは高校受験用の(基本的・標準的な)教材やツールで学習することも可能です。高校入試用の参考書や(動画などを含めた)学習ツールは英検®用のものよりも多種多様にあるため、自分にあったものや内容や分量の過不足ないものが選びやすくなります。公立高校受験生向けの中学3年間の英語をまとめた参考書や問題集を、市販のもの、もしくは塾で購入できるものを使うことが可能です。
例えば、志望校の英語入試問題の難易度が英検®3級程度であり、英検®3級(以上)の取得も見据えて受験勉強を進める場合、入試までの期間に余裕があるのであれば、薄手で構わないので、中学3年間で習う英文法や構文をまとめた参考書やテキストを、期限を決めて学習をしてから英検®(3級)対策を進めるといいでしょう。be動詞、一般動詞、助動詞、不定詞、動名詞、関係代名詞など、どのようなもので、どのような表現があるかを速習します。中学生ではないですし、高校受験という訳でもありませんから、おおまかに理解と把握ができれば構いません。そのうえで(中学範囲である)英検®3級の参考書やテキスト学習を進めると、理解のしやすさや学習の進捗度は向上します。今(2月から)の学習であれば、春休み・塾での春期講習期間も含めてゴールデン・ウィークが明ける時期までに、クラブや習い事など、または算数や国語などの学習で今の時期はまだ余裕がないならば、今年の夏休み期間に進めるのはいかがでしょうか。
今回は中学受験における入試科目としての英語について、その特徴や勉強法などを述べてきました。中学受験で英語を入試科目に検討するにあたっては、現時点の英語の学力の違いはあるかもしれませんが、英語が好き、英語を活かしたいと思っている方がほとんどだと思います。英語の小説を読むことが好きだったり、英語の歌を聴いたり、英語での映画を観るのが好きだったり、旅行や留学に興味があったり、英語の学習に積極的になれる方が多いのではないでしょうか。
中学受験に向けた英語の学習は(英検®対策も含めて)小学校での英語学習を超える学習内容が必要なため、算数や国語などよりも、受験生のみなさんの主体的、能動的な学習が必要になります。参考書や問題集を使ったり、塾や英語教室を使ったり、インターネットを使ったり、学び方も多種多様ですが、自分に合った学習方法を見定め、メリハリをつけながら学習を進めて欲しいと願っています。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
※このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>