2026/03/09
関東関西有名中学入試分析【中学受験算数 関関同立の中学入試からみる中学受験算数のポイント】
中学受験に関する私のコラムですが、今回から算数について数回述べていきたいと思います。今回は中学受験の算数の入門編として、初めて中学受験に臨むご家庭や受験勉強を開始したてのご家庭または受験勉強を進めようと考えているご家庭向きに、中学入試の算数の概要を説明したうえで、どのような学習戦略や勉強方法が必要になるかを示していきたいと思います。
今回は関関同立と称される、関西圏の有名私立大学(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)の系列中学校の入試問題を例示とした内容となります。難関国立大学や医学部医学科への進学者が多い、算数の入試難易度も高い中学校の受験においては、小学校の算数学習内容を超えた問題が多く、特化をした進学塾への通学など、独特の対策が必要になるのが現実です。他方、関関同立の中学校の算数入試問題は小学校での学習内容で対処できる問題もあり、難易度が上がる問題でも中学受験用の市販の参考書や問題集の学習で対処可能なものが多いのが特徴です。首都圏の有名私立大学(明治大学、青山学院大学、立教大学など)の系列中学校や首都圏、関西圏の他の人気私立中学校の算数入試問題も同じような出題傾向があり、中学受験の算数の目標点、到達点を知るにあたっては格好の問題となります。
それでは、関関同立の中学校の2025年度の算数入試問題から見る、中学受験算数の学習ポイントについて述べていきたいと思います。
※今回は関西大学中等部(以降、関大中)、関西学院中学部(以降、関学中)、同志社中学校(以降、同志社中)、立命館中学校(以降、立命館中)の4校の算数入試問題(複数回入試がある場合は初日の問題)を分析したうえでの内容となります。
過去問からみる中学受験算数のポイント
その1 計算練習、四則計算を丁寧に、正確に
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上の2問はそれぞれ、関大中と関学中の算数問題の一番初めに出題された問題です。整数の四則計算(たし算、ひき算、かけ算、わり算)を組み合わせた問題です。小学校の計算ドリル水準の基本的な問題です。四則計算は原則としてかけ算・わり算の部分から先に計算をします。四則計算の組み合わさった問題に慣れていない段階なら、例えば関大中の問題であれば12÷8×2の箇所を()で括って、計算順番のミスをしないように解いていきましょう。
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計算問題では=より左側(左項)の計算をして=の右側(右項)に解を書くのが一般的ですが、上記に示した同志社中、立命館中の計算問題のように、右項に式の解の数値を示したうえで左項にある□にあてはまる数値を求めさせる問題が出題されることもあります。このような計算を逆算といいますが、逆算も小学校で習い、小学生用の計算ドリルにも問題が掲載されています。
その2 計算問題をより容易に、解きやすくする技法を身につける
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この関大中の計算問題ですが、分数中心ですが、0.5という小数も含まれています。0.5を1/2と分数にしたうえで、"÷1と1/2"は"×2/3"と"1と1/6"は"×6/7"にする(分数のわり算をかけ算にする)などして、約分できるところを約分しながら、できるだけ平易な計算式にして解いていきたいものです。
小数と分数が混ざった計算問題はどこの中学校の入試問題でも頻出されていますが、小数を分数に置き換えて(例えば、0.25は1/4、0.125は1/8、0.75は3/4など)、小数のわり算はわる数の分子と分母の数値を反対にしてかけ算にするなど、計算しやすい数式に置き換えるトレーニングも必要になります。
その3 文章問題の正確な理解力養成を
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文章を読ませ、その内容から計算式をつくり答えを求めさせる文章問題は計算問題と並び、中学受験算数で必ず出題される問題形式です。上記の2題はそのなかでも、計算式の作成のみを必要とする、比較的平易な文章問題です。平易な問題ですが、だからこそ問題文の正確な読み取りと、その後の計算式の正確な作成が重要になります。
他方、より長文の文章問題となると、以下のようなものになります。 ![]()
この立命館中の文章問題は速さや道のりに関する問題の解法を習っていることが正解を導く前提条件となりますが、この文章に書かれている内容を線分図、そして計算式に正確に落とし込むことも正解への絶対条件となります。
算数の文章問題の読解にあたっては、国語の入試で求められるような多種多様な語彙力は必要ありません。むしろ、問題文から、どのような図や計算式が必要になるか、その図や計算式を正確に書くことができるか、そして正確に、制限時間内に計算を解き進めることができるか、が求められてきます。
その4 特殊算の問題を確認し、対策方法を考える
読者の皆さんはつるかめ算ということばをご存知でしょうか。以下のような問題がつるかめ算になります。
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鶴と亀の足の本数の違いに着目し、合計数(匹数と足の数)からそれぞれの匹数を求めさせる問題です。つるかめ算の解法については、参考書や塾では面積図を作って計算式を導き出す解法がよく示されています。
つるかめ算の他にも、食塩水などの濃度に関連した濃度算や速さや道のりに関連した旅人算、年齢に関連した年齢算など、中学受験の算数においては特殊算と呼ばれる、特定の解法を知っている前提となる文章問題の類型があります。
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上記の3題はいずれも関学中で出題されたものですが、それぞれ、つるかめ算、濃度算、通過算、の特殊算の典型問題です。(1)は面積図、天秤図、食塩の量からの計算式など、解法は多種にわたりますが濃度算の標準的な問題です。(2)は例題のつるかめ算より「チョコは2割値上げ」の部分に捻りがありますが、アメの数を5と7の最小公倍数で合わせた式を使うと、チョコの元値およびチョコの2割値上げの値段に基づく倍数が導き出せます。(3)はトンネルや橋、そして電車の長さを意識した線分図をつくり、そこから速さの3公式を用いた計算で答えを導き出します。
いずれの問題も特殊算個々の概念の理解やそれぞれの基本的解法を学習してくことが、正確に、素早く解くポイントになります。特殊算の解法については、公立小学校では中学受験で出題される全ての特殊算を取り扱うことは難しく、中学受験用の参考書やテキスト、塾や動画授業で学ぶのが一般的となります。
中学受験算数学習 初期の重要ポイント
ここからは上記のポイントを踏まえて、主に中学受験の初学者向けに、算数の学習における小学校(授業や宿題)でのポイント、家庭学習のポイント、塾を使う場合のポイントを述べていきたいと思います。
小学校の学習のポイント:集中力を高めてノートをとる。計算練習は時間を決めてコツコツと。
今まで述べてきましたが、関関同立を含めた有名私立中学校の算数入試問題は(一部の難関校を除き)小学校での学習内容で解ける問題も多く、小学校での学習も中学受験対策につながります。入試問題を解く際と同様に、算数の授業では集中力を高めることと手を動かすこと、すなわちノートをとることが特に重要です。単元が進むにつれて、計算式や図・表をつくりながら解くことが求められる問題が増えてきます。学校の先生が板書をする式、図、表をノートに書きながら集中して授業に臨みましょう。また、計算問題などの宿題は制限時間を決めて、時間内に正確に、早く解く練習の場として進めましょう。そろばんや公文式などを習っていて暗算が得意な人もいるかもしれませんが、計算問題が苦手な人は暗算に走らず、筆算をしながら丁寧に計算問題を解いていきましょう。
家庭学習のポイント:小学校範囲の速習。解説・解法がわかりやすいものを使う。
家庭学習で中学受験の算数対策を進めるにあたって、まずは小学校6年生までの算数範囲の速習開始から進めることをお勧めいたします。四則計算や分数、小数の計算にまだ不安がある場合は、計算方法の確認・定着や計算問題演習も抜かりなく、毎日進めてください。そのうえで、来春から新4年生の方は4年生用のテキスト・問題集、新5年生の方は5年生用のテキストに着手しましょう。6年生になる前の春休みまでには6年生までの小学校の一般的な算数範囲の学習を完了し、新6年生になってからは特殊算や入試過去問をベースにした問題演習→解法学習に入るのが理想的です。新6年生の方は、6年生用のテキストを進めるか、6年生の内容も含んでいる中学受験用の基礎~標準レベルのテキストを進めるか、現状の算数の学力状況(模試の成績など)を踏まえて選択するといいでしょう。
国語、社会、理科と比べて、算数は途中式、図、表のつくり方、すなわち紙面への手の動かし方が重要になる科目のため、児童が自己学習のみで身につけることは難しい科目です。保護者などの大人や家庭教師がついて解法や手の動かし方を確認しながらの学習が理想ですが、それが難しい場合、問題の解説が動画になっている教材や解説がわかりやすく、字数を多いものなど、独学の進めやすいテキストや参考書を慎重に選んでいきましょう。
今回は関関同立の中学校の算数入試問題の内容や傾向を踏まえ、中学受験に向けた算数学習の初期のポイントについて述べてきました。
中学受験の算数は特別な対策やテクニックが必要だったり、難問や奇問が出題されるイメージが強いのですが、一部の超難関校を除くと、人気校の算数入試問題も小学校での学習内容をベースとしたオーソドックスな出題となっているものが多いです。とはいえ、平素からの計算練習や計算式、図、表をかきながらの問題演習をコツコツとこなしていくこと、積み重ねていくことが重要です。受験を希望する中学校の算数の入試過去問を確認したうえで、入試までの期間を踏まえて、どのようなプロセスで受験勉強を進めていくのか、保護者の方は検討をしつつも、受験生の皆さんは学校、家庭学習、塾での課題を丁寧に、コツコツと、進めていきましょう。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>