2020/11/23

関東関西有名中学入試分析【冬から入試直前の対策(勉強法編)】

いよいよ12月。中学受験に挑む小6生はみなさんすでにラストスパート真っ最中かと思います。残されたわずかな時間、志望校合格のためにどのように過ごすべきなのか、その過ごし方によって大きく変わってきます。今回は中学受験を間近に控えた小6生の冬期・入試直前の勉強法について述べていきたいと思います。

勉強法編その1 早寝早起き・朝学習の習慣を

中学入試は「午前入試」が中心となります。「午前入試」は午前8時台または午前9時台に入試が開始されるのが一般的です。午前8時台・9時台から実力が100%発揮できるように準備を進めることが大切です。そこで重要になるのが早寝早起きの習慣です。

大脳生理学において、脳を活発に働かせるためには、起床から3時間から4時間必要であるとされています。例えば、午前9時に入試開始だとすると、遅くとも午前6時に起床をしていないと脳は活発に働くことはできない、ということになります。冬の寒い早朝、早起きはつらい季節にはなりますが、受験が終わるまでの辛抱、できれば、午前5時台には起床をしておきたいものです。もちろん、睡眠時間は充分に確保してください。できれば午後9時台には、遅くとも午後10時には就寝できるように、塾を含めた、夜の学習計画を考えていきましょう。

早起きとともに重要になるのが「朝学習」です。起床をした午前5時台から朝食や(平日)小学校へ行く準備をする午前7時台までの2時間ほどの時間帯に進める「朝学習」をどのように進めるかを考えていきましょう。

「朝学習」の時間帯は約2時間と述べましたが、「朝学習」は2時間みっちりと勉強をしなければならない、というものではありません。入試直前期の「朝学習」の目的は、脳の活性化を促進することと入試への実戦力を養うことの2点です。脳の活性化のためには脳が疲れない程度の、思考力を"適度に"使う問題を使うこと。入試への実戦力強化のためには入試同様、制限時間内に解き進める練習を進めること。これら2点を踏まえた素材を「朝学習」で使います。

 

【資料2】入試直前期の朝学習 具体例

 5:15  起床

 5:15~5:30 着替え 軽い飲食

 5:30~5:45 算数一行問題(制限時間設定あり)

 5:45~6:00 算数問題答え合わせと間違えた問題の類題練習

 6:00~6:10 休憩

 6:10~6:25 国語記述問題(制限時間設定あり)

 6:30~6:40 ラジオ体操(軽い飲食)

 6:45~7:00 理科計算問題練習(制限時間設定あり)

 7:00~7:15 理科問題答え合わせと間違えた問題の類題練習

 7:15  朝学習終了

 

【資料2】に「朝学習」の具体例を示してみました。算数、国語、理科、いずれも15分間の制限時間を設定した問題演習を進めたうえで、算数と理科は答え合わせと類題演習の時間を設けています。

「朝学習」で使用する具体的な教材ですが、第一志望校よりも難易度が易しいとされる、受験予定のない中学校の過去問題集のなかから、第一志望校の入試傾向やカテゴリーが近いところの過去問を選ばれるといいと思います。ここでいう「カテゴリー」とは、例えば、同志社大学系列の中学校を第一志望校とした際、"関関同立"と称される、関西地方の難関私立大学の系列中学校の中で、同志社大学系列以外の、関西大学・関西学院大学・立命館大学の系列中学校のように、「早慶」、「MARCH」、「関関同立」など、志望校や志望校の系列大学が称されているグループのことです。特にグループ名称がない場合は、例えば、カトリック系の男子進学校を第一志望校とする場合、首都圏の場合は暁星中学校(東京都千代田区)、サレジオ学院中学校(神奈川県川崎市)など、近畿圏の場合は明星中学校(大阪府大阪市)、六甲学院中学校(兵庫県神戸市)、淳心学院中学校(兵庫県姫路市)など、「カトリック系男子校」という志望校と類似するカテゴリーから問題を選んでもいいでしょう。

「朝学習」は一日の良いスタート、ひいては入試のための脳の活性化を目的とするため、難しい問題に取り掛かる必要はありません。算数であれば入試問題の前半によく出題される計算問題や一行問題、国語であれば字数制限(40字~100字)のある記述問題一問、理科であれば化学分野や物理分野でよく出題される、計算が必要な問題を事前にセレクトして、15分間という制限時間で「はやく」、「正確に」解く実戦力を養うことを意識してもらいたいと思います。

勉強法編その2 ランダム出題に慣れていく

フリーステップのみで学習をしてきた方も、集団塾でも学習をしてきた方も、今までの中学受験の学習では、授業ごとに学習をする単元やテーマを決めて学習を進めてきたと思います。テストや模試も、その時期に学習をした単元やテーマを中心とした出題となっていたはずです。しかし、中学入試の問題は、今までに学習をしてきた単元やテーマの全範囲のなかから"ランダム"に出題されることが一般的です。単元やテーマの範囲が決まったテストでは得点ができても、過去に学習をした単元やテーマも含めて"ランダム"に出題をされると思うような得点がとれない受験生も珍しくはありません。冬期の受験勉強では、過去問を含めた"ランダム出題"の問題に慣れていくことも重要なテーマとなります。

"ランダム出題"対策に最適な問題集は志望校の過去問題集です。しかし、志望校の過去問だけでは数が足りない可能性もあります。その場合は「勉強法編その1」でも述べたような、志望校と類似をするカテゴリーの中学校から、志望校の出題形式や傾向が似ているところの過去問も組み合わせていくといいでしょう。

具体的な学習方法ですが、過去問全問を制限時間内に解く、というシンプルなものです。ポイントとしては、①解答用紙を原寸大にコピーしてそれに解答を書く、②解けなかったり、間違えたりした問題の解きなおしや単元・テーマの再学習は当日中に進める、③平日は算数のみ、理科のみなど、1科目のみで可能、③土日や学校休み期間など、午前中に時間がとれる日は、午前中から入試全科目を通して解く、の4点です。入試直前期になりますので、解答用紙の原寸大コピーを使ったり、午前中から学習できる日には入試全科目を解くなど、入試本番のシュミレーション体験であることも意識しましょう。また、このランダム学習によって、忘れかけていた単元・テーマや入試に出題されやすい単元・テーマを洗い出して、効率的に復習や補強を進めることが可能です。

ランダム学習に使う過去問を使う順番ですが、最初に第一志望校の過去問の最新ではないものを2回分、その次に志望順位の下位または受験をしない中学校の過去問、次第に志望順位が上位の学校となっていき、入試の1週間前には第一志望校または第一志望の準じた中学校の過去問という順番をお勧めいたします。いきなり第一志望校の過去問に取り掛かる理由は、第一志望校の入試傾向や合格に必要な課題を最初に把握しておくことで、これからの受験勉強のテーマや強化ポイントを明確にできること、入試直前期に取り組む第一志望校の過去問の目標得点が設定しやすくなり、目的意識を持った受験勉強を進めることができること、です。

受験直前期は受験生個々の志望校入試に合わせた学習と心身の調整が重要になります。今まで述べてきた朝学習や過去問演習、ランダム学習を取り入れながら、志望校合格を勝ち取りましょう!

<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>