2023/12/04

関東関西有名中学入試分析【入試直前ファイナルチェック】

 中学受験を控えた小6生・保護者のみなさん、入試本番まで残りわずかとなりました。受験生のなかにはすでに「前受験」の中学校の入試を受けられた方もいらっしゃるかもしれませんが、入試本番の雰囲気、どのように感じましたか?今回は"志望校合格"のための入試直前ファイナルチェックとして、入試直前期のポイントを述べていきたいと思います。

チェックポイントその1

入試配点と直前勝負ポイントを確認する


 あなたの入試科目数は何科目ですか?4科目、3科目、2科目、もしかしたら1科目という受験生もいらっしゃるかもしれません。それぞれ、入試に必要な各科目の学習を進めていく必要がありますが、入試直前期の追い込み学習では、受験に必要な各科目をまんべんなく進めることも必要です。しかし、より重要なのは、短期間で得点力が伸びやすく、「伸びしろ」が大きい科目や単元の学習を強化して、少しでも得点を上げるという方針で受験勉強を進めていき、入試本番で合格最低点を越えることです。その学習方針の前提として確認と意識をして欲しいのが、入試の科目と配点です。

【資料】 中学入試の科目配点例

学校例 算数配点 国語配点 理科配点 社会配点
A中学 100点 100点 100点 100点
B中学 100点 100点 50点 50点
C中学 100点 100点 100点 (試験なし)
D中学 100点 100点 (試験なし) (試験なし)

 

 【資料】に中学入試の科目ごとの配点例を示しました。A中学とB中学は4科目入試、C中学は近畿地方ではよく見られる算数・国語・理科の3科目入試、D中学は算数・国語の2科目入試です。同じ4科目入試でも、A中学とB中学とでは理科、社会の配点が異なります。A中学は理科、社会の配点が国語、算数と同じ(均等)なのに対して、B中学は算数・国語の配点が理科・社会の2倍になります。3科目入試のC中学は理科の配点が算数・国語と同じになります。D中学の配点は算数と国語が同じです。それぞれの中学校の入試配点から見た、入試直前期の受験勉強戦略を考えていきたいと思います。

 短期間の学習で得点力が上がりやすい科目は、一般的には社会と理科です。社会と理科(特に、植物や動物などの生物分野)は知識事項の学習が多く、理解・記憶・暗記に基づく知識項目の学習により、これまでの模試の偏差値が高くない場合でも、入試本番までに得点力を上げることができる可能性は十分にあります。

他方、思考力や計算力、情報処理の力が問われる算数や、文章読解力や文章読解の前提ともなる語彙力が求められる国語は短期間での学習効果には個人差が大きく、入試直前期に短期集中で時間を多くかけて学習を進めても、思うように得点力が伸びないケースもあります。

もっとも、このような理由から入試直前期に算数や国語の勉強を全く止めて理科・社会ばかりを進めるのは、算数や国語の入試問題に対する「慣れ」や「カン」をさびつかせることになりお勧めできません。4科目入試・3科目入試の受験の場合、算数・国語の演習も進めつつ、理科・社会の知識項目の総復習が入試直前期のポイントとされるといいでしょう。

 特にA中学やC中学のように理科(社会)の配点が算数・国語と同じ場合、理科・社会の学習状況、具体的には、入試過去問演習の理科・社会の得点状況から、入試直前期の受験勉強の進め方が変わってきます。

たとえば、A中学・C中学のように科目配点が100点満点として、理科・社会の入試過去問演習の得点状況が受験校の合格最低点(割合)よりもマイナス10点以上の場合、理科・社会において、受験校が求める学力水準にまだ到達していない、まだ理科・社会の勉強を強化しなければならない事項がある、と言えるでしょう。

他方、A中学・C中学の受験生で、理科・社会は合格最低点(割合)を超えている場合やB中学のように理科・社会よりも算数・国語の配点が高い場合は、理科・社会の学習も続けつつも算数・国語のなかで入試直前期に強化すべきポイントも学習しながら、バランス良く進めていくことが重要になるでしょう。D中学のような算数・国語の2科目受験の場合はもちろん、算数・国語に特化をした受験勉強となります。

理科・社会の具体的な入試直前期勉強法については「チェックポイント2」、算数・国語の勉強法については「チェックポイント3」で述べていきたいと思います。

チェックポイント2

理科・社会の入試直前期勉強法


 入試直前期の理科・社会の勉強法ですが、現在も進めている志望校の過去問演習における理科・社会の得点状況によって変わります。志望校入試の例年の合格最低点の割合よりも低い割合の得点率の場合と合格最低点の割合を超える高い得点率をキープできている場合で、理科・社会の学習内容は変わってきます。

志望校入試の例年の合格最低点の割合よりも低い割合の得点率の場合、理科・社会の基礎的・標準的学習事項・テーマが定着しきれていない、もしくは忘れてしまっている学習事項・テーマがあると考えられます。そのような「弱点」や「盲点」となっている学習事項・テーマを再確認するために、

受験校の過去問演習の答案用紙・出題項目表や今までに受験をした模試、(近畿地方の受験生の場合)プレテストの成績表や答案用紙を見直して下さい。

市販をされている中学入試の過去問題集の前半部分や模試・プレテストの個人成績表には出題された問題の項目やテーマ、単元が掲載されており、個人成績表の場合は受験生ご自身の正解率や受験生平均の正解率が数値またはグラフとして載せてあるはずです。過去問の場合、例えば、受験校入試の例年の合格最低点の得点率が約70%であるとすると、理科・社会の過去問のなかで、得点率が70%を下回る項目やテーマを確認しチェックをしましょう。模試やプレテストの場合は成績表にある設問ごとの受験生全体の正解率(70%以上)が高いにもかかわらず受験生ご本人は不正解だった問題が目立つ項目やテーマをチェックしてください。

チェックをした理科・社会の項目やテーマについて、今まで学習をしてきたテキストや問題集の問題を改めて解いてみましょう。理科であれば「太陽・天体の動き」、「人や動物の器官やはたらき」、社会であれば「関東地方」、「工業地帯・工業地域」、「明治時代~大正時代」など、テキストや問題集のもくじで単元やテーマの該当ページを探し、解き進めていきます。志望校が求める学力水準にもよりますが、問題の正解率が60%を下回る場合は、その項目やテーマを授業に組み入れて強化をしていく必要もあるかと思います。

一方、理科・社会において、過去問の得点率が合格最低点を上回り、模試やプレテストも含めて、得点率が著しく低い項目やテーマが見当たらない場合は、文章を書かせる記述問題や論述問題、作図問題など、思考力や表現力、文章力が求められるタイプの問題演習を進め、仮に入試本番で、算数・国語などの他科目で実力が発揮できなかった場合でも、理科・社会の高得点でその分をカバーができるように得点力を磨いていきましょう。

また「関東関西有名中学入試問題分析【入試直前ファイナルチェック(算国編)】」では算数・国語の入試直前期勉強法についてお話しします。あわせてそちらもご覧になってください。受験生のみなさんが体調を整えながらも受験勉強を進め、それぞれの第一志望校の合格を勝ち取られることを心から祈っています。

<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>