2021/03/08

春休みの学習アドバイス【教科書改訂に備えよう!】

 成績アップを目指すなら、春休み中の学習は非常に重要です。どの学年であっても、春休み中に「前学年の復習」+「次学年の予習」に取り組んで、しっかり次学年に備えられることが理想的です。特に「前学年の復習」を重視できるといいですね。一方、新中1・新中3・新高1生は、感染症対策による休校や、学習指導要領改訂の影響を受ける可能性のあり少し注意が必要です。後述しますので、ぜひそちらも参考にしてください。

全学年対象 学習のポイント

 4月から始まる新学年の学習内容の多くは前学年までに学習した内容の発展的な内容になることが多く、特に小学生の算数、中学生の英語、数学、理科の化学分野、高校生の英語、数学、古典、理科などの教科はこの特徴が顕著に現れます。
 前学年までの内容で理解があやふやなところがある場合は、新学年での学習内容が思ったよりも難しく感じることでしょう。新学年での学習をスムーズに進めるには、この春休みで3学期に学習したことを中心に前学年の内容を復習することが重要です。

 また、中高生の皆さんは、1学期の中間試験はどの学年でも年間の定期テストの中で一番易しくなる傾向があります。したがって、学年末テストの結果があまりよくなった場合も、大幅な点数アップを実現できる可能性が非常に高いです。その場合は復習に加えて、新学年の1学期の予習を行うことをお勧めします。特に新中1生と新高1生は、新しい学校での初めてのテストなので、高得点を取るために予習は必ずやっておいた方がいいでしょう。

新中1生・新中3生・新高1生はココに注意を!

 昨年は学校の一斉休校期間があったため、多くの学校において、本来学習すべき内容に対して十分に学習を進められていない可能性が予測されます。旧学年で積み残した学習内容は、新学年での学習に持ち越されますが、新中1生・新高1生は所属する学校が変わるため注意が必要です。もちろん、入学先の学校が対応する場合も多いかと思いますが、不安な方は自学習で行っておくと安心です。

■新中1生

 新中1生の皆さんは、特に算数において小学校6年生の教科書の中で、小学校で学習していない内容がないか確認しましょう。小学6年生算数の後半で学習する「図形の変動」「面積」「体積」「比」「比例・反比例」「データ考察」「場合の数」の単元は、いずれも中学1年生の数学でさらに内容を深く学習する単元になります。

 また、英語についても小学校で学習した表現や単語などはできれば書ける・話せるように復習しておくことをお勧めします。4月以降、中学校の学習指導要領が改訂され、教科書も改訂されます。旧課程(旧教科書)と新課程(新教科書)で一番大きく変化するのは英語です。詳細は後述しますが、中学校に進学するまでに小学校で扱っている英単語や表現は話せる・書けるように覚えておくと中学校の英語をよりスムーズに理解して進められると思います。

■新中3生

 新中3生の皆さんは、特に英語において、2年生までに学習していることをしっかりと復習しておきましょう。新中1生の注意点でも述べましたが、4月以降、中学校の学習指導要領が改訂され、教科書も改訂されます。旧課程(旧教科書)と新課程(新教科書)で一番大きく変化するのは英語です。中でも新中3生の新教科書には、旧課程では高校で学習する英文法や単語が入ってきており、扱われている英文のテーマもやや難しくなります。詳細は後述します。結論として、中2までに学習した文法事項や単語は春休みの内にしっかりと復習しておきましょう。

■新高1生

 新高1生の皆さんは特に英語・数学・理科において、次の単元の内容を学習しているか確認しましょう。

英語:関係代名詞の制限用法、後置修飾
数学:確率、図形の相似、円周角と中心角、三平方の定理
理科:運動とエネルギー

 これらは一部の都道府県の公立高校入試の出題範囲から除外されている単元です。したがって、中学校の授業でも詳しく扱わない可能性があります。ただ、いずれの単元も高校では深く学習します。以上の単元で、もし学校で全く習っていない単元があれば、春休みの内に自学習で学習しておくことをお勧めします。

中学校の教科書改訂について

 新中1生と新中3生の注意点でふれた教科書改訂について、変化が一番大きい英語についてご紹介します。英語の教科書改訂の大きなポイントは次の3つです。

1.学習する英単語の量・質ともに変化

 旧課程の教科書では中学校で学習する英単語数は約1200語でしたが、新課程の教科書では1600語~1800語になります。また旧課程では小学校での英語の学習は含まれませんが、新課程では小学校の教科書で600語~700語学習していることになります。したがって、小・中学校で合計すると、旧課程では1200語、新課程では2200語~2500語になりますので、新課程では旧課程の単語数の約2倍、とてもボリュームアップしています。

 また、今までは高校で学習していたようなやや難しい単語も中学校の教科書で一部扱う形になります。例えば、discuss~「~を議論する」という英単語は大学入試の文法語法問題で、使い方(語法)の正しい理解がよく問われる英単語です。また、大学受験生でも英作文で「~について議論する」という日本語に対してdiscuss about~と間違った使い方をよくします。この単語は「議論する」という日本語訳だけの暗記では不十分で、「他動詞である」「目的語は直接動詞の後につける」という使い方の理解も求められる単語です。こういった単語が特に中学校3年生の教科書に出てくることになり、語法も含めた理解が求められるという点で学習する単語の性質がグレードアップしています。

2.学習する文法項目の変化

 旧課程において高校で学習していた文法事項の一部が、新課程では中学校の教科書で学習します。現在完了進行形・原形不定詞・仮定法・感嘆文などです。これらの単元の大半は中学校3年生の教科書で扱います。時制では特に英作文において現在形と現在完了形、過去形と現在完了形の使い分けが難しいといった声が中学生から聞かれますが、今後はそこに現在完了進行形との使い分けも求められることになりますので、時制についての深い理解が求められます。仮定法は、日本語訳と英語の動詞の時制が一致しないことがあり、高校生でもよくわからないという声が多い単元の1つです。

3.英文の題材、素材が変化

 新課程の教科書では英語に限らず、どの教科でも2015年の国連サミットで採択された目標であるSDGs : sustainable Development Goals「持続可能な開発目標」を重要テーマとして扱っています。このテーマ自体は近年、大学入試、公立高校入試の問題では既に扱われています。時事的・社会的課題に関するテーマは日本語でもやや難しいと感じるかもしれませんが、そういった内容を英文で読んでいくことが求められます。その他、AIや他教科で学習したことを英語の視点で学ぶといった題材、素材が増加しています。

 以上3つが変化のポイントになります。「今まで(小学校の英語の教科書、中1・中2の教科書)よりも難しくなったな」と感じる場面は多くなると思います。これまでの学習内容に理解が不十分なところがあるとその場面はより多くなるでしょう。ですので、まずは新しい学習内容の理解に専念できるように、新しい学年の内容を予習するよりも前学年までの内容の復習をまず優先的に行うことをお勧めします。

 習っていないことの学習は自分一人ではなかなかできないことですので、ぜひ春期講習などを利用しましょう。フリーステップではどの学年であっても春期講習では前学年の復習を重点的に行いますが、3月の通常授業と春期講習で新学年の内容の予習も行います。

フリーステップの春期講習

以上のことを参考にして春休みの勉強を行うようにしてみてはいかがでしょうか。

<文/開成教育グループ 個別指導部 教育技術研究所>