2025/07/07

【中学生向け】計画的な夏休みを過ごすために

 夏休みは自由な時間が増える一方、計画的に過ごさないと学力差が広がりやすい時期でもあります。本記事では、学年別・教科別の学習ポイントや効果的な勉強計画の立て方を紹介し、充実した夏を過ごすヒントをお伝えします。

INDEX

■科目別のアプローチと勉強計画の立て方
 各学年の勉強方法
 自分に合ったレベルの問題を解く
 教科別の学習ポイント
■中学生の夏休みの過ごし方を知る
 【夏休み】中学生の1日の勉強時間
 解決策として通塾という選択肢
 夏休みに避けるべき4つの習慣
 教科別の学習ポイント

■科目別のアプローチと勉強計画の立て方

 夏休みは、普段と比べて自由な時間が増えるので、学習習慣をつけてそれを維持するためには、あらかじめ「計画を立てる」ことが重要です。基本は下のステップ1・2に沿って計画を立てていきましょう。学年別に意識しておくべき点や、教科別のポイントも本記事でまとめた章があるので、計画を立てる際の参考にしてみてください。

【ステップ1】何(What)をやるのかを書き出そう
 「夏休み明けのテストで80点以上を目指す」などの目標を考え、やらなければならないこと、やりたいことなどをまとめて「やることリスト」作成しましょう。教科別にリストアップすることで、頭の中にあった情報が整理されて、目で見える形になるため、「夏休みにはこれをやるのだ」ということをはっきりさせることができます。

 また、優先的にやっておくべきは苦手単元の克服です。各科目の苦手としている単元を洗い出し、やることリストの内容にメモをして加えておきましょう。

【ステップ2】いつ(When)までにやるのかを決めよう
 次に、やることリストの内容をどのようなペースで進めるかを決めましょう。重要なのは「いつから」「いつまでに」「どんなペースで」行うかです。たとえば、英語の宿題を7月25日から始めて、8月10日までに終わらせたいとします。宿題が全部で60ページあるなら、16日間で終えるには、毎日4ページずつやればいい計算になります(60÷16=約4ページ)。さらに、1ページにかかる時間が15分なら、4ページで約1時間必要になります。このように、1日にかかる時間を前もって計算して、無理のないように計画を立てましょう。予定通りに進めるためには、実際よりも少し多めに時間がかかると見積もっておくと安心です。もし1日あたりの学習時間が18時間など無理のある計画になっていれば、優先順位を決める必要があります。その際は、先ほども述べた苦手な単元の克服を優先すると効果的です。

【夏休みやることリストの例】

教科

内容(教材名、ページ)
※苦手単元についてのメモ

いつから始めて、
いつまでにどのペースやるか

英語

学校の夏休み宿題:

ワーク P1~60

7/25から始める。

8/10までに1日4ページずつ。

英語

塾の宿題:

「BUILDER (学書)」P21~70

※不定詞・動名詞が苦手単元なので、優先的に取り組む。不明な点は塾の先生に聞く。

7/30から始める。

8/10までは1日2ページ

お盆期間は1日5ページ

お盆休みが終わるまでに完了

各学年の勉強方法

 中学1~3年生において、夏休みの学習で意識すべきポイントをまとめています。基本の方針としては、今までの学習の復習と、苦手分野の克服です。

【中学1・2年生】

 2学期の中間テストでは、1学期の期末テスト後に学習した内容も含まれます。各教科の課題を計画的に進め、プラスアルファの学習も行うことで実力アップを目指しましょう。

 1年生は、英語・数学・国語を中心に、1学期の学習内容の復習をしましょう。この3つは、1年生の学習内容を2年生以降の学習で発展させることが多い積み重ねの教科です。1学期の積み残しを2学期以降に持ち越さないようにしましょう。

 2年生は、1学期の学習内容の復習を中心に、これまでの学習内容の苦手分野の克服にも取り組みましょう2年生の学習内容は入試問題で出題されやすいため、夏休みのうちに基礎を固めておくことが重要です。

【中学3年生】

 学校からの課題は夏休みの前半には終わらせておきましょう。並行して、理解・定着が不十分な分野を復習し、模擬試験、最終的には入試問題に対応できる力を身につけていきます。全教科の得意分野、苦手分野を自己分析し、綿密な計画を立てて復習に取り組むようにしましょう。

自分に合ったレベルの問題を解く

 自分で学習を進めていく場合のポイントは、自分に合ったレベルの問題を解くことです。自分に合ったレベルの問題を解くことで、無理なく理解を深められ、達成感も得やすくなります。その結果、学習への自信や意欲が高まり、継続的な成長につながります。問題集を自分で選ぶ場合は、まずは内容を見て、少し考えれば解ける問題が中心の問題集を選んでいきましょう。

教科別学習ポイント

 夏休みに特に意識して取り組みたい教科別の学習ポイントと、対応する単元のキーワードを学年ごとにまとめています。問題を選ぶ際の参考にして、学校のワークや市販の問題集に取り組みましょう。

中学1年生

数学:中学数学の計算分野に慣れる
 1年生の夏休みには、正負の数・文字式・方程式を中心に演習していきましょう。小学算数に比べて専門的になった中学数学は、xやyなどの文字を含む式やマイナスを扱う計算に慣れていくことが大切です。これらは文章題と絡めての出題が多いため、何を求めるのか、何を文字にすればいいのかを考えられるようにしましょう。
【単元】正の数と負の数・文字式・方程式

国語:接続語・指示語の使い方を学ぶ
 1年生は読解の基礎を固める目的で、接続語・指示語の使い方を学び、文章の前後関係・構造を掴むようにしましょう。苦手意識が芽生える前に読解の基礎やスキルを身につけ、この先の2・3年生の学習や受験にスムーズに臨めるようになりましょう。ポイントは、主語と述語の関係性を整理することにあります。
【単元】文章の構造・指示語・接続詞

英語:動詞を使い分ける
 1学期で学習したbe動詞と一般動詞の識別や、人称・主語による動詞の使い分け、疑問文の語順といった英文法の復習をしましょう。ポイントはどのbe動詞を使うか、三人称単数現在のsを付ける条件の見極め、疑問文・否定文の順序などです。ただ暗記するのではなく、そのようになる理由を確認するまでできるように心がけましょう。
【単元】be動詞・一般動詞の肯定/否定/疑問文・三人称単数現在形

理科:暗記分野を復習する
 理科は、暗記分野を中心に復習しましょう。1学期で学習した化学の範囲を中心に、小学校の理科との相違点をもとに内容を覚えていきましょう。化学・生物・地学分野においては、暗記で解決できる場合が多いですが、2学期から学習する物理分野では内容理解が多く問われるため、今のうちに対策しておくことが重要です。
【単元】身の回りの物質とその性質・気体の発生と性質・水溶液

社会:世界や日本の地域構成について覚える
 社会では、世界の国々や日本について復習していきます。地理分野の基礎となる部分なので、世界の各地域の文化などの特色・日本の地域構成をしっかりと覚えておきましょう。温帯や亜熱帯、寒帯といった気候や、緯度と経度などもしっかり理解しておきましょう。
【単元】世界の地域区分・日本の地域区分

中学2年生

数学:複雑な問題に対応できる計算力をつける
 2学期以降に出る複雑な文章題に備えて、夏のうちに計算問題の演習を重ね基礎力を固めていきましょう。一次関数のグラフを書くときは、傾きと切片をしっかり意識して、丁寧にグラフをかけるようにしておきます。また、速さや距離を求めるような連立方程式の文章題では、問題文に出てくる情報を一度図にまとめて整理する癖をつけると、ミスが減って力がついていきます。
【単元】単項式/多項式・文字式・連立方程式・1次関数

国語:場面の変化に注意する
 2年生では、長くなる文章に対応できるように接続語・指示語の応用の使い方に慣れていきましょう。小説では、登場人物の性格や置かれた状況を把握するため、話の冒頭に主人公や話の設定がある場合は必ず目を通し、本文中の場面の変化にも注目しましょう。また、文法では助詞と助動詞の用法について学習していきましょう。
【単元】接続語・指示語・助詞・助動詞・小説

英語:時制(現在・過去・未来)と不定詞を理解
 過去形や過去進行形、未来形といった単元では、不規則動詞などの変化の見分け方を理解して文を作れると良いでしょう。他にも、最重要の分野である不定詞・動名詞では、各用法を全て押さえておくことはもちろん、不定詞・動名詞を使った文を完全に書けるようにしておきましょう。平易な長文読解にも取り組むと、更に力をつけることができます。
【単元】不定詞・動名詞・一般動詞の過去形/過去進行形・未来の文

理科:暗記より理解を優先して学習
 2年生になると、1年生のときよりもいっそう内容理解を優先させる必要があります。そして、フレミングの左手の法則のように、3次元的な考え方が必要な問題に対応するためには、基本的なパターンの問題を何度もくり返して練習することが効果的です。
 3年生で学ぶ化学の内容は2年生の学習を土台にしているので、これまで学んできたことを確実に身につけるため、内容理解と問題演習にいっそう力を入れて取り組みましょう。
【単元】光の反射/屈折・凸レンズの働き・音の性質

社会:歴史の前後関係を意識する
 社会は2つの分野に分かれての学習になります。歴史分野に絞って、文明のおこりから江戸時代までを復習する直行型の人は、覚えづらい事象を前後関係から年号とともに理解し、暗記していきましょう。地理分野で地形図や都道府県、歴史分野で室町時代末期から江戸時代全般を学習する並行型の人は、有名な山地や川、各地の名産品を覚えましょう。
【単元】古代までの日本・中世の日本~江戸幕府の成立と対外関係・日本の地域的特色と地域区分・日本の諸地域

中学3年生

数学:今までの学習内容総復習
 3年生の数学は、今までの学習内容の総復習を行います。特に、連立方程式、1次関数、展開・因数分解、平方根、2次方程式については徹底的に演習していきましょう。ほかにも、文章題では文章から文字を使って立式することに慣れておくとよいでしょう。数学は日頃の積み重ねがなによりも重要になる教科です。計算ミスが多い場合、コツコツと計算演習を重ねていくことも重要になります。
【単元】連立方程式・1次関数・式の展開/因数分解・平方根・2次方程式

国語:説明文・小説の読解力をつける
 入試で必ず出題される論理的文章や文学的文章の内容を正確に理解するための読解力をつける訓練を行います。また、公立高校志望者は入試で作文の出題があるため、こちらも対策しておくことが必須です。古文や和歌に関しても、頻出単語や修辞法を覚えられているか確認しておきましょう。
【単元】小説・随筆・論説・古文の基礎

英語:重要単元総復習(現在完了、分詞など)
 現在完了形や分詞、不定詞、関係代名詞といった最重要単元を学習します。現在完了形では、過去形との状況や意味の違いを正確に理解することが重要です。あわせて、時制の復習を行い、動詞を適切に変形できるようにしておきましょう。また、高校入試に備えて長文読解能力を鍛えておくことも必須になります。
【単元】現在完了形・現在分詞や過去分詞の形容詞としての用法・to不定詞・動詞の時制

理科:一つひとつの事柄を理解する
 3年生で学習する内容は、暗記のみに頼ることが難しくなります。一つひとつの事柄に対して、原理・原則を理解したうえで覚えることを心がけましょう。理科は、実験や観察の問題など、問題文から設定された条件をとらえることが必要な問題が多いため、秋以降は、演習を重ねなくてはなりません。夏休みの間に、その下地を作っておきましょう。
【単元】夏休みまでに学習した範囲

社会:時事問題に注意を払う
 この夏の学習は、地理・歴史・公民をまんべんなく学習して苦手分野を洗い出していきましょう。実際の入試問題では、地歴公民の融合問題が時事問題と絡めて出題されます。その対策として、毎日意識して新聞やニュースに触れておき、社会で話題になっている問題を把握しておきましょう。
【単元】夏休みまでに学習した範囲

 

■中学生の夏休みの過ごし方を知る

 夏休みは、学力を伸ばすチャンスである一方、生活リズムが乱れやすい時期でもあります。1日の過ごし方や勉強時間の目安を知り、自分に合った学習スタイルで計画的に取り組むことが大切です。

【夏休み】中学生の1日の勉強時間

 中学生に求められる夏休みの勉強時間はどのくらいでしょうか。今回はフリーステップの夏期講習で使用している基本レベルの教材「夏の特訓ゼミ(好学出版)」をもとに考えてみましょう。本教材は1学期の復習のみにしぼった教材で、どの教科も6つの単元・各8ページで構成されています。1単元の復習に2時間かかると仮定すると、各教科5教科の復習を夏休みに行う場合、中学1年生は計60時間が必要です。夏休みは約1か月なので、1日あたり2時間の学習時間が必要となります。これに加えて、学校や塾の宿題に1日1時間かかるとすると、合計で1日3時間の勉強が求められることになります。中学2年生もほぼ同様ですが、中学3年生は今までの総復習を行うため、さらに多くの勉強時間が必要です。少ないと考えるかもしれませんが、これは毎日休まずに勉強した場合の計算です。実際には部活動や私用などで予定通りに進まない日もあるでしょう。このように考えると、勉強時間を十分に確保することが難しいと分かります。

解決策として、通塾という選択肢

 夏休みは学校がない分、自分で勉強時間を確保する必要があります。計画通りに進められるか不安な場合や、教科書や問題集の解説を読んでも理解できない単元がある場合は、通塾という選択肢を検討してみましょう。塾を利用することで、学習計画の立て直しや進捗管理、分からない箇所の即時解決が可能になります。自習では難しいペース管理やモチベーション維持もサポートされ、効率よく学習を進めることができます。フリーステップでも生徒一人ひとりに合った丁寧なサポートを行っているので、気軽に相談してください。

夏休みに避けるべき4つの習慣

 夏休みは学校がないため、生活習慣が乱れやすくなります。一度崩れた生活習慣を戻すことは容易ではないため、普段と大きく異なった生活リズムにならないよう心がけましょう。ここでは、夏休み終了後も元気に過ごすために避けるべき5つのことを紹介していきます。

① 就寝・起床時間の大幅なずれ
 夜更かしや昼夜逆転は体内時計を乱し、日中の集中力や学習効率を低下させます。起床・就寝時間は学校と±1時間以内におさめましょう。

② スマホやゲームの長時間使用
 夜遅くまでの使用は睡眠の質を下げ、生活リズムの崩れにつながります。スマホやゲームの使用時間は1日1~2時間程度に制限することが望ましいです。また、21時以降は使用しないようにしましょう。

③ 予定のないだらだら過ごし
 1日の計画がないと時間の感覚が乱れ、活動と休息のバランスが崩れます。ざっくりとでも1日のスケジュールを立てるようにしましょう。「午前に勉強」「午後に部活や自由時間」「夜は課題図書」など、1日を3つの時間帯に区切るのが効果的です。

④ 朝食を抜く習慣
 朝食をとらないと体温や代謝が上がらず、体も頭も目覚めにくくなります。朝食は起床後30分以内に食べるようにしましょう。

 夏休みの過ごし方次第で、2学期以降の学力や自信は大きく変わります。学習計画を立て、生活リズムも整えながら、自分に合った方法で取り組んでいきましょう。困ったときは、塾のサポートも活用してみてください。

 

■総括【中学生向け】計画的な夏休みを過ごすために

 夏休みは学力向上のチャンスですが、そのためには計画的な学習と生活習慣の維持が重要です。目標設定と「やることリスト」で計画を立て、苦手分野の克服を優先しましょう。学年別に合わせた学習ポイントを押さえ、自分に合ったレベルの問題に取り組むことが大切です。生活リズムの乱れを防ぎ、バランスの取れた夏休みを過ごしましょう。学習だけの相談ではなく、目標設定や計画を立てる上でも、困ったときにはいつでもフリーステップの学習プランナーや講師を頼ってください。

 

< 文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所 >