2024/11/01

中学校と小学校の違いを徹底解説

 小学6年生が中学1年生に進級したとき、学校生活や授業のやり方など小学校と中学校の違い(学習面・生活面・人間関係など)になじめないことを原因とした、いろいろな問題が皆さんの前に立ちはだかります。

 中学校に入学すると目新しいことがたくさんあります。いろいろな小学校から児童が集まり、担任も学級担任制から教科担任制へと切り替わります。クラブ活動も本格的となり、慣れないことばかりで不安に感じ、そのさまざまな変化に戸惑ってしまうこともあるかもしれません。皆さんがそんな変化から生まれる多くの壁に悩まされないよう、今回は小学校と中学校の違い、そして新中学生として持つべき心構えをお伝えいたします。

INDEX

■教育カリキュラムの違い
 1.学習科目の変化と教科の種類
 2.定期テストと学校成績(内申点)
 ・定期テストとは
 ・定期テストの結果で何が決まるのか
 ・学校成績はなぜ重要なのか
 3.成績評価の方法
■学校生活の変化
 1.クラブ活動と部活動
 2.イベントと行事
■中学生の心構え
 1.中学生の心構え10カ条
 2.中学入学までにやっておきたい学習のポイント
  ・中学入学までにやっておきたい学習のポイント【数学】
  ・中学入学までにやっておきたい学習のポイント【英語】
 3. 私立中学に進学される方へ(中学受験後の過ごし方)
  ・中学受験後も学習習慣を途切れさせないことが大事
  ・中学受験時の時の学習習慣を大きく崩さない
  ・中学受験時にできなかった単元の復習
  ・英語・数学を中心に1学期の先取り学習をする
■中学校と小学校の違いの要約と総括

■教育カリキュラムの違い

1.学習科目の変化と教科の種類

 中学生になると、授業内容はもちろん、授業時間も今までと変わってきます。中学生になると下記のように学習科目が変化します。

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 トータルの授業時数は中1から中3まで1015となっており、これは小学校4年生から6年生までと同じです。小学校6年生と中学校1年生で科目変更がみられるのが、①算数が数学になる ②体育が保健体育になる ③図画工作がなくなり、技術になる の3つです。授業時数で違いがみられるのが、①国語の時数減少 ②算数(数学)の時数減少 ③外国語の時数増加 です。主教科(5教科)のトータル時数はどちらも630で違いはありません。

 ただし、中学生になると、学習内容が小学校と比べて高度になるため、定期テスト対策や入試に向けた実力養成には、小学生の頃の学習量のままでは全く足りなくなります。また、定期テストの範囲は、教科書4050ページ分になる場合もあり、教科書以外のワークやプリントもテスト範囲に入ることがあるため、定期テストで点数を取るためには早くから準備をして、計画的に学習量を確保する必要があります。

2.定期テストと学校成績(内申点)

定期テストとは?

 小学校では学習している単元が終わるごとにテストがありましたが、中学校で年5回(学校によっては4回)、テスト期間(23日)という間に、123教科のテストが行なわれます。この期間は通常の授業は実施されません。

定期テストの結果で何が決まるのか

 定期テストの結果は、学校成績(内申点)に直結します。学校成績は、定期テストの結果・出席日数・提出物・授業態度などによって決まりますが、この学校成績の中で最も大きな割合を占めるのが定期テストです!

学校成績(内申点)はなぜ重要なのか

 とても重要です!公立高校入試での、「合否を判定する総合点」に占める内申点の割合は、3割~5割です。つまり内申点は、入試当日のテストと同じくらい重要なのです!1年生の最初の定期テストから高校入試が始まっているのだと意識しましょう。

3.成績評価の方法

 成績評価の方法を簡単に紹介します。

観点別の学習状況の評価

 現行では学力三要素(知識及び技能、思考力・判断力・表現力、主体的に取り組む姿勢)を踏まえ、観点ごとに評価(ABCの3段階)

総括的な評価としての評定

 観点別の学習状況の評価をもとに総括的な学習状況を示すため、5段階(小学校は3段階。小学校低学年は行わない)の評定を行う。

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■学校生活の変化

1.クラブ活動と部活動

 中学校に入ると放課後にクラブ活動に参加することができるようになります。クラブ活動の種類は学校によってさまざまです。練習日や時間も各クラブ活動によって異なるため、自分でクラブ活動、塾などの習い事、課題に取り組む時間など日々のスケジュールの管理が大事になってきます。しかし、クラブ活動には経験豊富な先輩が所属しています。先輩から学ぶことはたくさんあります。クラブ・部活動に必要な技術面だけでなく、勉強を教えてもらったり、悩んだときに相談に乗ってもらったりと頼れる存在ができます。先輩からたくさん色んなことを教わりましょう!

2.イベントと行事

 小学校では運動会と呼ばれていたものが体育祭になり、秋ごろには文化祭と呼ばれる大きなイベントが毎年行われます。体育祭は、小学校では紅組と白組と大きな枠組みだったものが、学校ごとでチーム分けの規模は変わり、小学校の時とはまた違った雰囲気の行事になります。クラスで応援グッズを作ったり、横断幕を作ったりすることもあります。文化祭では、劇をしたり、学習発表をしたりします。入部した部活動によっては文化祭で発表することもあります。文化祭では、体育祭よりも時間をかけて準備することが多いため、より細部までこだわり、協力していいものを作り上げようと学年全体で協力して一つのものを作り上げようと一致団結する意識が高まるイベントになります。どちらも1年に1回だからこその特別なイベントになりますよ。

■中学生の心構え

1.中学生の心構え10カ条

①中学生としての自覚を持つ。
②目標を持ち、計画を立て、実行する。
③自分のスケジュールに責任を持ち、行事日程や提出物の期日を常に把握しておく。
④中学校の授業をまじめにきちんと受ける。
⑤平日は1時間半程度、定期テスト前は3時間程度、毎日勉強する。
⑥塾の学習内容の復習は非常に大切。たとえ15分でも毎日必ず実行する。
⑦宿題は時間をかけて、真剣に取り組む。
⑧テスト類はきちんと整理し、間違えたところは必ず解きなおす。
⑨読書は全ての学習の基本。読書習慣を身につける。
⑩学習・クラブ活動に関わる人間関係を大切に育む。

2.中学入学までにやっておきたい学習のポイント

 中学入学までにやっておきたい学習ポイントについて、積み重ねの教科である数学・英語でやっておくべきことをまとめておきます。

中学入学までにやっておきたい学習ポイント【数学】

・小学校で学んだ四則計算に抜けがないか確認しよう

 小学校で学んだ四則計算で、特に小数や分数の計算については計算方法・計算のきまりをもう一度しっかり確認し、中学校の授業をスムーズに受けられるよう準備しておきましょう。

・長さ・面積などの数量や割合に関する計算を正しく行えるようになろう

 これまでに1km=1000m1g=1000mgなどの単位の変換や、速さ・割合などの身近な数量の計算について学習してきました。これらの考え方は、中1の文字式の単元では全員理解しているものとして進められます。この時期に十分に復習しておきましょう。

・正負の数の計算まで先取りしておこう

 中1最初の単元である正負の数ですが、早く正確に計算できるための工夫を今のうちに身につけ、中学校ですらすらと計算できるようにしておきましょう。

 

中学入学までにやっておきたい学習ポイント【英語】

・小学校で学んだ英単語を覚えておこう

 小学校3年生~6年生のあいだで学んできた英単語は600700単語と数は多いですが、月、曜日、国、食べ物、職業、会話の中でよく出てくることばなど重要基本単語ばかりです。今のうちからコツコツと復習しておき、覚えている英単語の量を増やしておきましょう。また、中学校での英語の教科書に関しては、小学校で学んだ単語は「当然読める・覚えている」という想定で作られています。これら小学校での600700の単語をまったく覚えていない、読めないという状態では中学に入ってからかなり出遅れてしまいます。小学校での英語の授業はあまり読み書きに力を入れないこともありますので、塾での授業や自習も使って単語の定着させておくことをおすすめします。

be動詞・一般動詞の語順を理解しておこう

 中学1年生の最初の単元は文法の基本となる、be動詞・一般動詞を学習します。小学校ではコミュニケーションとして学んできた内容ですが、be動詞や一般動詞における語順が理解できているかを復習しておきましょう。

 また、2020年度から英語が必修化され「話す」「聞く」などのコミュニケーションだけでなく、小学校56年生では「外国語」として中1で学習する動詞の過去形や助動詞、代名詞などの英語の基礎も学習しています。これらについても教科書を見返したり簡単なドリルに取り組んでみたりするなど復習しておけるといいですね。ただ、英語に対しての苦手意識が芽生えないように楽しんで行うことが大切です。

・リスニング・スピーキングスキルを向上させよう

 英語を聞き取るスキルを養いましょう。英語の歌、アニメ、または英語で語られた物語を聴くことでリスニングスキルが向上します。また、学校やオンラインの英語学習プログラムを活用し、継続的にリラックスした状態で英語を聴いたり会話したりする機会を設けることが効果的と言われています。

3.私立中学に進学される方へ(中学受験後の過ごし方)

 中学受験を間近にひかえた小学6年生にとっては、今まさにラストスパートの時期ですね。受験生の皆さんは、「中学受験を頑張ったあとに少しはゆっくりしたい」と思うかもしれません。もちろん休息は大切です。しかし、受験後すぐに気持ちを切り替えて中学入学に向けた学習習慣を身につけていくようにした生徒の方が、合格して通うことになった中学校での生活を上手に過ごせるほうが大変なことになってしまいます。ここでは、中学受験が終わった後のやっておくべき過ごし方についてご紹介します。

中学受験後も学習習慣を途切れさせないことが大事

 さて、まずは下記のグラフをみてください。

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 こちらのグラフは、ある中学校の数学(算数)のテストの点数(よこ軸)と人数(たて軸)との関係を表したグラフで、中学入試結果~1学期中間テストまでの点数の移り変わりを示しています。グラフを見ると、中学受験の結果が出た時点では平均点付近を頂点としたゆるやかな山型になっていますが、入試後の課題テストの時点から真ん中のグラフのように成績の分布は上位層と下位層に分かれていきます。1学期の中間テストではこの差はより一層開いていき、一番右のような形のグラフになっていきます。皆さんがこのグラフのどの位置になるようになっていくかは、中学受験後の勉強の積み重ねで変わってきます。

中学受験時の学習習慣を大きく崩さない

 まず一つ目は、中学受験の時の学習習慣を大きく崩さないことです。先ほどのグラフで説明したように、中学校からの学習についていけるかいけないかで、定期テストの成績や学力は二極化していきます。特に、私立中学校や公立中高一貫校の場合、学校のカリキュラムの進度が早いため、学力の差はどんどん広がっていきます。努力して入学した中学校ですから、勉強にもついていけて楽しく学校生活を送りたいですよね。そのためには、次の3つを実践していきましょう。

・毎日のやることを自分がすぐ確認できるようにメモしておくこと

・毎日決まった時間に勉強を開始すること

・学校までが電車やバスでの通学の場合は、電車内でできる勉強を準備してスキマ時間を活用すること

 これら3つをやるだけで学習が習慣化されます。実践して、学習習慣を維持しましょう。

 また、私立中学に多い中高一貫校では高校受験がないため、中学高校と過ごしていく6年間の中盤あたりで中だるみしやすくなってきます。受験がない代わりに、何かしら将来に向けた短期的・中期的目標を設定することで、モチベーションを維持できるようにすることがポイントです。

・定期テストで全科目80点以上をとることを目指す

・英語や数学の検定試験を受検する

・得意な国語・社会に関する読み物を毎週読み、実力をつける

 このような目標を設定することで、学習意欲の低下を最小限に抑えることができます。自分なりの将来のための目標を決めて、やる気を維持できるようにしていきましょう!

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・中学受験時にできなかった単元の復習

 中学受験後の具体的な学習としては、受験の際に解くことができなかった問題の単元や、小学校内容の復習をすることから始めていきましょう。その理由として、中学校の学習内容が小学校の学習内容の延長にあることが挙げられます。

 こちらの図は一例ですが、小学生で習った「整数」や「小数・分数」などが中学生の「代数」といった学習内容につながっていることがわかります。つまり、中学校での学習は小学校での内容を理解していることを前提に進んでいくということです。そのときに小学校での学習内容を理解できていない場合、大きく周りと差がついてしまう状況ができます。そのような事態を防ぐためにも、これまでの復習はきっちりと行っておきましょう。

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・英語・数学を中心に1学期の先取り学習をする

 最後に、英語や数学を中心として、中学校で学習していく内容の先取り学習をしておくことをおすすめします。入学直後から優秀な成績を維持している生徒のほとんどは、中学入試直後の23月中に上記の「復習」とともに「先取り学習」を行っているというデータが残っています。英語・数学は得意不得意が分かれやすい科目となっていますが、中学入学前にあらかじめ学習を始めておくことで、順調なスタートを切り、ほかの生徒に差をつけることが可能になります。

 小学校に比べ学習内容が急激に難しくなり、授業スピードも格段に上がる中学校での学習ですが、このように入学前からしっかりとした学習習慣を身につけておくことで、多くの中学生が直面するような成績の伸び悩みや、授業についていけなくなるといったことが最小限にできます。まず目の前の受験が控えていますが、中学受験後も将来の目標のために頑張っていきましょう。

■中学校と小学校の違いの要約と総括

 中学生になると学習面だけでなく、様々な変化を目の当たりにします。それでも学習面についてしっかり準備をしておくことで少し余裕をもって新しい生活に入っていくことができると思います。そのためには、予習復習の習慣を少しでも早く身につけておくことやスキマ時間と呼ばれる時間に教科書に目を通すなどのクセづけができると中学校生活を通して少しでも学習時間を確保することに繋がります。また、クラブ活動などもあるため、小学生の頃のように自由に使える時間が圧倒的に少なくなります。1度しかない中学校生活を有意義なものにするためにも、勉強に部活に学校生活にと後悔の残らないよう、意識的にスケジュールを立て、メリハリのある中学校生活をおくりましょう。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>