2025/01/20

高校受験の心構え ~受験生になるということ~【中2生へ】

 今年4月から受験学年を迎える中学2年生の皆さんへ、受験生の心構えについて紹介します。

 さて、早速ですが質問です。皆さんにとって、受験生になるとはどういう状態だと思いますか?「えっ、受験学年=受験生ではないの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、受験学年になっても、受験に対する心構えや日々の勉強に対する向き合い方が伴っていないと「受験生である」とは言えません。そこで、今回は高校受験の心構えを紹介していきます。自分ができているかどうかを確認しながら読んでみてください。

INDEX

■受験に向けた準備の心構え
 計画的な学習の重要性
 効率的な勉強法の選択と時間管理
■メンタルの持ち方と維持
 目標を設定し、ポジティブ思考を養う
■学校や塾、模試や過去問の活用
■一緒に入試を戦う仲間を作る
■高校受験の心構えに関するまとめと総括

 

■受験に向けた準備の心構え

 先ほども述べたように「中3=受験生」ではありません。受験生とは、意識的に受験に向けて勉強をする生徒のことです。そのため、中学1年生や中学2年生でも意識的に受験に向けて勉強している生徒は受験生といえるのです。部活等で忙しいという理由で受験生になることを後回しにすると、4月~引退までの期間の勉強時間の確保が十分できません。部活引退後は全員が同じように頑張り始めます。つまり、4月~引退までの勉強量や内容の差がずっと埋まらないのです。この差は、入試本番の合否の差に大きく関わってきます。そのため、ぜひ皆さんには中学3年生になる前に受験生になって欲しいのです。受験生になるために必要なことをチェック項目形式で用意しました。自身に当てはまるものが何個あるのか確認してみてください。

<受験生になるために必要なこと>

①受験に必要な勉強道具をそろえている
 受験勉強のためにどの教材を使って勉強をするのかを決めておきます。受験科目すべての今の時期にあった参考書・問題集に加えて、「お気に入りのシャーペンと消しゴム」「各教科別のノート」などは一通り揃えておきましょう。

②勉強に集中できる場所がある
 勉強に集中できる場所をできるだけ多く作りましょう。塾の自習室、図書館の自習スペース、自宅の机、リビングなど、自分にとって集中しやすい空間や場所を探してみましょう。少なくとも1つ、できれば2つ以上集中できる場所があると、気分を変えて勉強をすすめることができるので良いでしょう。

③行きたいと本気で思う志望校が決まっている
 オープンキャンパスや学校説明会に積極的に参加して、自分が行きたいと思える志望校を決めていきましょう。何となくではなく、「ここへ行きたい!」と心から思える志望校であればあるほどベストです。その志望校選びが、受験勉強の意欲につながるからです。

④各回の模試目標偏差値を理解している
 入試時期から逆算して、各回の模試試験では志望校に対し、どのくらいの偏差値の獲得を目指せば良いのかを理解しておきましょう。1つの目安としては、春休み後の模試で志望校の偏差値-5~-7を獲得、夏休み後の模試で志望校の偏差値-2~-3を獲得と考えてください。

⑤受験校決定時期の理解
 こちらは地域によって異なりますが、2学期に行われる学校の実力テストの結果、外部模試の結果、学校の内申点などをもとに11月ごろに受験校を決定することが多いです。これらを踏まえて1年の勉強スケジュールを立てていきましょう。

⑥勉強する場所に気が散るものは置いていない
 誘惑に打ち勝つ心も受験生には必要となります。スマホや漫画、趣味のものなど誘惑となるものが周りにあると、集中力が奪われます。ついつい気になってしまうものは目の届くところには置かないようにしましょう。

⑦1週間で何をやるかの計画を立てている
 1週間で何の勉強をすすめていくのか具体的に決めていますか。「教材Aのp.2040まで」や「英単語は毎日20個覚える」などの計画目標を立てましょう。後に計画を立てる際に意識するポイントを紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

⑧1日のスケジュールを前日の夜までに決めている
 明日のスケジュールは前日の夜までに決めておきましょう。いつから何をやるか決めるスケジュール表を作成して、翌朝起きたらすぐ実行に移していけるようにしましょう。

⑨スキマ時間に何の勉強をするか決めて実行している
 通学時間や学校の休み時間、家に帰ってからのちょっとした空き時間などで何の勉強をするか決めておきましょう。英単語の暗記や歴史の一問一答など、短い時間でも可能なことを複数用意しておくと良いでしょう。

⑩模擬試験を受けた後、自分自身の課題を分析している
 まず、大前提として塾や学外で実施される模試(模擬試験)は定期的に受けていきましょう。そしてその模擬試験を受け終わった後は、解きなおしとどこが出来て、どこが出来なかったのか課題点の分析が必要不可欠です。自分自身の課題点がわかっている状態にしておくとその後の学習が非常に効率的かつ効果的になります。

⑪勉強できないことを周りのせいにしない
 勉強でわからないことがあったときや、テストの結果が悪いときに、問題集や学校の先生のせいにしていませんか。他人やモノを変えることは難しいですが、自分自身を変えることはできます。成績を伸ばすことができる受験生は「なぜ、わからなかったのか?」「なぜ、テスト結果が悪かったのか?」を素直に原因分析して改善できる心構えを持っていることが多いです。

⑫やる気に甘えず、毎日勉強をしている
 やる気に満ちているときだけではなく、やる気が出ないときにも勉強ができる習慣をつけていきましょう。誰しもやる気が出ないときはあります。そんな場合でも、毎日学習する習慣がついていることが"受験生である"といえます。「やる気が出ないときは、得意な科目もしくは英単語の音読暗記をする」といったように、やる気が出ないな...という日は何をするか決めておくのがおすすめです。

上記12個の項目を中学2年生の段階でひとつでも多くクリアできている状態を目指しましょう。

計画的な学習の重要性

 中学3年生の1年間は、学校・部活に塾、そして模試と非常に忙しくなることが多いです。そのため、1年の流れを把握し、優先順位をつけることが大切です。合格を確実に勝ち取るためには、目標を定め、自分の現状を知り、限られた時間を有効に活用することが必要となります。まずは、計画的に学習することが受験生としての第一歩です。以下に、計画を立てる際のポイントと計画表の一例をご紹介します。ポイントを参考に、学習計画を立ててみましょう。

<計画を立てる際のポイント>

1日の計画の立て方

① 絶対削れない予定から埋めていくこと。まずは、学校や部活・習い事を埋めていきましょう。

② 余った時間の配分を考えること。どの科目をいつにするかを決めていこう。

③ 休憩も適度に入れること。リフレッシュも必要です。時間を決めて休憩しましょう。

起床時間・睡眠時間

① 睡眠時間は絶対削らない。中学生なら17時間の睡眠時間は確保しましょう。

② 起床時間と就寝時間は固定にしておく。生活リズムが整い、頭が働きやすくなります。

予備日を用意する

① 土日を丸一日勉強で埋めない。計画表では土日に予備時間を確保し、平日にできなかった分をやる時間にしましょう。

② 予備日があれば予定が狂っても調整できるので、1週間の計画がうまく終わることができます。

<計画表の一例>

名称未設定-1_計画表.jpg

効率的な勉強法の選択と時間管理

 限られた時間で効率的に学力を伸ばしていくには、各教科の学習ポイントを押さえて勉強していくことが効果的です。以下に、中学3年生での勉強に向けた各教科における重要なポイントをまとめてあります。ぜひこれからの学習に役立ててください。

【英語】 

~不定詞・現在完了・受け身を正しく身につけよう~
 中学2年生までに習う現在完了(経験・完了・継続)、不定詞の3用法(名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法)、受け身は非常に重要な単元です。これらをしっかりと理解している状態にしておきましょう。

~比較表現をおさえておこう~
 2年生の終盤に習った比較の単元は入試でも頻出です。特に並び替え問題では比較表現が使われていると気づけなければなりません。まずは基本の比較級・最上級を使って分を作るということから最上級⇔比較級、比較級⇔比較級の言いかえが出来るようにしておきましょう。

~志望校の出題傾向を掴み、入試に対応できる読解力を養おう~
 高校入試での英語は、基本的に長文読解がメインとなります。教科書でしか長文にふれていないと、初見の文章にはとても対応できません。最初は手ごろな分量の長文から演習していき、長文を読むことに慣れていきましょう。早いうちに志望校の過去問をチェックして、長文の長さや出題形式の確認も行っておきましょう。

【数学】 

~関数の復習を行っておこう~
 高校入試では、2次関数のグラフである放物線と1次関数のグラフである直線との融合問題が頻出です。そのため、2年生までに習った内容で「グラフ上の点を代入すれば関数が成り立つ」「交点を求めるには2式を連立させる」といったような基本的なポイントを押さえなおしましょう。

~平面・空間図形の基本知識をおさらいしておこう~
 2年生までの図形分野の基本知識を復習しておきましょう。3年生で習う、平行線の比、円周角の定理、相似、三平方の定理で、特に相似と三平方の定理は、3年生の後半で習うにもかかわらず入試でよく出る単元です。また、2年生までの図形分野の合同条件や球や錐の表面積や体積の求め方なども一緒に使用することもあります。そのため、2年生までの図形範囲を一通り復習しておくとよいでしょう。

~早い時期に入試問題にチャレンジしてみよう~
 入試問題には2年生までの知識で解ける問題も出題されているため、早い時期に1度入試問題に挑戦し、2年生までに習ったところで苦手な分野・問題がないか確認してみましょう。そこで見つけた弱点については、必ず問題にチェックをいれておき、理解できるまで復習を行いましょう。

【国語】

~説明文では、段落構成や要旨を捉えよう~
 説明文では、段落どうしの関係を捉えられるようになりましょう。また、各段落がどのような役割を果たしているのかを整理し、結論を中心にして文章全体の要旨を把握できるよう、くり返し演習しましょう。

~古文では、文法に着目して訳をしてみよう~
 仮名使いと代表的な古文単語を覚えたら、次は助動詞に着目しつつ現代語訳ができるようになりましょう。係り結びの法則などもよく出題されます。係り結びは「ぞ・なむ・や・か・こそ」と限られています。それぞれ文末の「活用形」が「連体形」や「已然形」になるという決まりがあります。

~選択問題・記述問題など問題形式ごとの解法を身につけよう~
 入試に向けて、設問ごとの解法を身につけていきましょう。選択問題では消去法が重要です。明らかに本文の内容と反する選択肢や、「本文に書いていない」ことを消しましょう。記述問題では「書き抜き」「本文中の語句を使って」などがありますが、ポイントは、「解答に必要な部分を見抜くこと」です。

~志望校の出題傾向をつかみ、必要な対策をしよう~
 公立と私立ではもちろん出題傾向が異なりますし、私立でも学校ごとに出題傾向が異なります。読解問題は文学史や作文(小論文)が必要な場合もあります。特に作文(小論文)はぶっつけ本番では対応できないため、定期的に文章を書いて、添削指導を受けるようにしましょう。書けそうな話題ごとに分量を割り振って考えるのがポイントです。

【理科】

~既習分野の復習をして基本知識の総ざらいをしておこう~
 理科に関しても、2年生までの復習をしっかりしておくことをおすすめします。理科は物理・化学・生物・地学の4分野から構成されているので、得意・不得意に関わらずすべての分野の基本用語を復習することと計算問題の解法の復習を行っておきましょう。

~志望校の出題傾向を知り、全単元を網羅しよう~
 理科は近年、実験などの意図や結果を問う記述形式の問題が増えてきています。記述形式の問題などは内容を丸暗記するのではなく、「何故実験をするのか?」、「実験の結果はどうなったのか?」などを理解していきましょう。理科は入試では全単元が出題されるとは限りませんが、どの単元が出題されても対応できる実戦力をつけておきましょう。

【社会】

~地理・歴史分野の総復習をしよう~
 高校入試では地理・歴史・公民から満遍なく出題されます。また、3年生では新しく公民を勉強しますので、地理・歴史についてはある程度3年生までに用語の復習を行っておくことが望ましいです。新しく公民の用語などを覚えていく一方で、地理・歴史分野は問題演習に取り掛かる準備をしておきましょう。

~「つながり」を意識した学習で知識を定着させ、入試に備えよう~
 地理・歴史・公民のどの分野においても、物事の「つながり」を考えることがとても重要です。地理分野での主要農作物は「なぜ」その地域で多く生産できるのか、歴史分野では出来事の前後関係を理解することが重要です。また、過去問演習にて弱点箇所が見つかれば、必ずその周辺箇所の復習も行うようにしましょう。

~志望校の出題傾向を知り、全単元を網羅しよう~
 入試の社会では、一問一答的な純粋な知識問題はほぼ出題されません。身につけた知識をもとに考えさせる問題や、資料の読み取り問題などが出題されます。社会は暗記科目と捉えられがちですが、地理・歴史・公民を組み合わせた問題も出題されるなど、知識がそれだけでは点数にはなりにくい問題作りがされているので、実戦的な問題での練習期間が必要になります。用語や流れの理解は早めに完了させ、問題演習の期間をなるべく長く取れるようにしましょう。

 

■メンタルの持ち方と維持

 入試に向けて勉強していく中、多くの受験生は緊張・不安・焦りといった感情と向き合っていくこととなります。そういった感情に左右されず、入試直前まで質・量・効率よく学習をすすめるためには、自分のメンタルを意識して良い状態に保っていく必要もあります。前向きなメンタルを維持する一つのコツとして、目標を明確に設定していく方法がありますのでご紹介します。

目標を設定し、ポジティブ思考を養う

 高校受験への第一歩は「志望校の決定」です。「志望校の決定」は、「進学したい高校を選ぶ」以上に重要な意味合いを持っています。最初に「<受験生になるために必要なこと>」で述べたように、「ここへ行きたい!」と心から思える志望校ができれば、自然と勉強へのモチベーションが高まり、受験をポジティブに捉えやすくなります。また、志望校を選んでいくことは、将来なりたい自分について考えていくことでもあります。この機会に保護者の方と一緒に真剣に考えてみましょう。以下から、志望校の決め方についてご説明します。

①将来の夢「なりたい自分」を思い描く

・自分の興味や適正を把握した上で、自分の理想の将来像を想像する
まずは、今の学力や偏差値などは何も考えず、これまでの経験を振り返り、自分の興味や適正を把握した上で、自分の理想の将来像を想像してみてください。有名人でも身近な人でも構わないので「こういう風な大人になりたい」と考えてみます。

・「将来の選択肢を広げることのできる」進路を選ぶ
 もちろん、将来のことを考えてみたけれど「わからない、決められない」という人も多いと思います。そういう人は、現段階で無理に決める必要はありません。その場合は、「将来の選択肢を広げることのできる」進路を選びましょう。働く条件に「大学卒業」を条件にしている仕事、職業が多いため、今の時点では「大学進学を前提とした進路」を想定することをおすすめします。

②夢の実現につながる「学科・コース」は何かを調べる

・どうすればその夢を実現することができるのかを調べる
 例えば、税理士や公認会計士が自分の夢であるという場合、商業高校などの簿記を勉強する高校に行くほうが、先を見据えた賢い選択と言えます。大学入学時に簿記資格を取得しているかいないかでは、国家資格に向けた勉強だけでなく、大学の講義を受ける上で大きな差があることは間違いありません。自分の夢やなりたい将来像が明確な人は、その分野を勉強できる学科やコースが設置されている高校があるかどうかをよく調べてみましょう。大学に行かなければ勉強することのできない分野の場合には、その大学に合格するための道を考えます。

③学科・コースがある高校を「リストアップ」する

・自分の理想の実現につながる「学部・コース」が設置されている高校をリストアップ
 「学科・コース」の名称が同じ高校であっても学習カリキュラムといった中身が違うこともあるため、よく調べる必要があります。調べる際は、各高校のHPや学校案内資料を活用しましょう。

④自分自身で見聞きした情報をもとに志望校を決定する

・オープンキャンパスなどに行き、自分の目でしっかり確かめる
 高校にもそれぞれの特色があり、歴史や伝統、学生の気質によって学校の雰囲気も当然異なりますので、必ず自分の目で見て確かめる必要があります。オープンキャンパスには積極的に参加しておきましょう。

 

■学校や塾、模試や過去問の活用

 中学3年生の1年間を受験生として効率よく勉強をすすめていくには、学校や塾、模試や過去問を上手く活用していく必要があります。以下ではそれぞれの活用方法を紹介していきます。

学校や塾を最大限活用しよう

 進路や勉強・学習方法で悩んでいることがあれば、一人で悩まず、学校や塾の先生に相談してみましょう。学校や塾は勉強するだけの場所ではなく、様々な進路についてのアドバイスや情報を提供してもらえる場所でもあります。学校の進路指導の先生や塾の先生は、最新の受験情報や地域の高校に精通している場合が多いので、自分の特性や性格に合った高校や学科、そのための学習方法を一緒に考えてくれますと思います。ネット情報ばかりに頼るのではなく、周囲の話しやすい大人に相談してみることも選択肢として持っていてください。

 また、大人だけではなく、先輩の話を聞いてみるのもおすすめです。塾に通っている場合は、同じ中学校の先輩が在籍していれば、その先輩から直接、高校の校風や様子などの実際の高校生活について詳しく聞くことも出来るかもしれません。ぜひ一度相談してみましょう。

模試・過去問を活用しよう

 ただやみくもに勉強するのではなく、模試(模擬試験)や過去問を活用していくことが志望校合格への近道です。まずは、模試を受ける意味やメリットについてお伝えします。

●模試を受けるメリットって?

 「試験の雰囲気とは?どういう流れで進むの?」「なじみのない場所・環境で試験に集中できるの?」「その集中を入試全科目が終わるまで維持させることができるの?」「力を出しきるためにどういう工夫をすればいいの?」そういった不安を軽減し、入試を実感するために、「模試」で入試本番さながらの問題と雰囲気を体感して下さい。模試は一般的に「腕試し」や「志望校判定」のためだけのものと考えられがちですが、実際には実戦に慣れる場であり、復習する場であり、苦手な分野・得意な分野を明らかにする場です。模試の様々なメリットを利用して、志望校合格へと近づきましょう。

①試験会場・入試の雰囲気に慣れる

 模試を数多く受験し、試験会場やテストに慣れておきましょう。特別な機会でなければ入れない場所で、他校の知らない受験生に混じって、実際の入試とほぼ同じ時間帯・制限時間で本番同様の試験を受けることができます。

②受験校決定の指標として成績を利用できる

 模試を受験すると成績表が返却されます。それには、模試を受ける際に記載した志望校の合格可能性や自分の偏差値もわかるため、受験生全体の中の自分の立ち位置が想定できます。さらに、志望校選びや、これから入試に向けてどのように対策していけばよいかなど、受験戦略に大いに役立つ情報を手にすることができるのです。

③苦手単元・弱点分野の洗い出しと受験戦略の見直しができる

 返却された成績表を見ることで、ただ自分の得点を知るだけでなく、苦手な教科・単元の中で「どの分野が苦手なのか」ということまでピンポイントで洗い出すことができるため、苦手単元・弱点分野の克服に向けて、より精度の高い対策を練ることができるのです。

④実戦だからこそ見えてくる課題

 模試で、本番と同じ緊張感・時間帯・制限時間で解いてみることで初めて見えてくる問題や課題があります。新たな課題が見えると、具体的な対策を行うことができます。「対策を立て、次の模試で試し、その手ごたえを感じる」。これをくり返し行い入試本番に向けた準備を進めていきましょう。

⑤模試をモチベーション維持に役立てる

 入試まで同じモチベーションを維持し続けることは、とても困難です。モチベーションを保ち続けるためには、短期目標を立てるのが効果的です。こまめに模試を控えていることで、次の模試までに「この分野の用語をマスターする」「問題集をもう1周やる」など、小さな目標が生まれ、勉強がしやすくなると考えられます。そうした取り組みが次の模試の成績アップにつながりますし、自分の頑張りを「成績」、「偏差値」といった目に見える形で確認できることで、自然とやる気もアップします。

●模試の受験回数はどのくらいがいいのか?

 模試受験ペースは7月までは「2ヵ月に1回程度」、夏休み以降は「月1回程度」をお勧めします。各府県の主要模試は必ず受験して、学校や塾とは異なる母集団で自分の実力を測ってみましょう。

模試を受験した後には以下の3点に気をつけましょう

 模試を受験する前には、どのくらいの成績をとるのか、目標をしっかり決めておきましょう。さらに、次の模試を受ける際は、前回の模試でのミスや、解けなかった問題を再度確認しておきましょう。模試を最大限に活用して、志望校合格に大きく近づきましょう。

アートボード 10.jpg

 最後に、早い段階での過去問の活用方法です。

ポイント① 出題傾向、時間配分、配点を知る

 学校ごとに入試問題の傾向は必ず存在します。それに加え、頻出の単元や出題方式ごとの対策をすることで、点数の底上げが可能です。

ポイント② 現時点での自分の力と合格点との差を知る

 合格に必要な得点と現状の学力を比較し、何が足りないのか足りない部分をどう補うのか計画を立てる材料となります。特に2年生までの学習内容の定着度をしっかりと確認して科目や分野や単元で優先順位を付けて学習できるようにしましょう。

 特に2年生の段階ではが非常に重要になります。自分が受ける試験がどんな試験なのかを知ることは、先々の受験勉強の計画を立てる上で非常に重要になるからです。やみくもに全部勉強するのではなく、自分の現状と戦う相手(入学試験)を把握して有利に受験勉強を進めましょう。

 

■一緒に入試を戦う仲間を作る

 受験勉強ではモチベーションが上がり下がりするのが普通です。また、受験勉強は孤独な戦いだと思っている人も多いと思います。そんなときは学校の友達、塾の友達など、一緒に受験勉強を頑張る仲間を作りましょう。

 自分が辛いときでも、仲間が頑張っている姿を見ると自分も頑張ろうと思えるものです。そして仲間がそう思った時にはあなたの勉強する姿で頑張ろうと思ってくれると思います。同じ目標(高校)でなくても、受験というものに向かって頑張っている姿というのは自然とやる気を引き出してくれます。また、勉強方法を共有することもできるというメリットもあります。ぜひ、受験まで一緒に頑張る仲間を作ってみてください。また、受験生にとって家族も入試を一緒に戦う仲間と言えるでしょう。なかなか勉強のモチベーションが上がらない時や焦りや不安といった気持ちにやさしく寄り添ってくれると思います。受験を孤独な戦いだと思い込まず、辛いときは周りの人に頼ってみてはいかがでしょうか。

 

■高校受験の心構えに関するまとめと総括

 受験生とは、意識的に受験に向けて勉強をする生徒のことです。少しでも早く受験生になり、1年後の受験で自分の力を出し切れるように、まずは受験のための環境整備や志望校の設定、学習計画を立てて勉強する習慣をつけていきましょう。また、受験に向けたストレスやプレッシャーと上手く付き合いながら、効率的に受験勉強を進めて行くためには、各教科のポイントをおさえた勉強法や、明確な目標の設定、学校や塾、模試や過去問などの活用方法を身につけていくことも大切です。

 ぜひ今回の記事で紹介してきたコツやポイントを参考にして、受験生として良いスタートを切りましょう。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>