2024/12/16
中学生のためのノート取り完全ガイド
みなさんは普段どのように授業ノートを取っていますか?板書をそのまま写す、色ペンを多用する、先生の言葉をもらさないように余白なく記入する...たくさんの工夫をされていると思います。今回はそんなみなさんのお役に立てるよう、教科別におすすめのノート作りのポイントをお伝えしたいと思います。みなさんの授業の復習やこれからの学習に活用してみてください。
■ノート取りの基礎知識
はじめに、ノート取りの重要性や基本的なノート取りの仕方についてお話しします。
1.なぜ良いノートを取ることが重要なのか
ノート取りの効果と中学生にとっての役割
一般的に、ノートを取る=板書をそのまま写す、というイメージが強いかもしれません。しかし、ノートを取るにあたって非常に重要なのは「板書されたことを理解しながら書き写す」ということです。ただ板書を写すだけでは、受け身の行動になってしまいます。ですが、板書された内容を自分なりに理解しながら書き写すことは能動的な行動であり、積極的に学習に取り組むことに繋がります。この少しの意識の差で、同じ授業を受けていても周りの同級生との意識の差は大きく異なってきます。また、理解しようと能動的に取り組むことにより、その時限の学習内容が記憶に残りやすくなります。
45分間の授業の積み重ねが定期テストや将来の高校受験へと繋がりますので、ノート取りとは日ごろの学習習慣の基礎とも言えるのです。
2.ノートの基本ルールと準備方法
①教科ごとのノートを用意する
小学生のころにも漢字ノートや算数ノートなどいくつかのノートを使用していたと思いますが、中学校では第一に学校で取り組むすべての教科(この記事では、国語、数学、英語、理科、社会とします)にそれぞれノートを準備する必要があります。
小学校と比べて中学校では予習復習の重要度が増します。新しい単元に取り組む前に既出の単元の理解度を深めるためにも各教科のノートをしっかりと取って復習することが大事になってきます。そのため、必ずすべての教科用のノートを用意しましょう。
②なるべく見やすい字で書く
先ほど述べたように予習復習にノートを多用するため、ノートに書いてある内容を見返した時に自分で理解できることが重要になります。後で見返した際に何が書いてあるのか最低限読める文字、図面を書くようにしましょう。
③見開きで使い、学習内容が変わったら次のページに移る
ノートは見開き単位で使い、学習内容・単元が変わったら、ページの途中でも次のページに移ります。全体の構成がわかりやすくなり、余白には気づいたことも書きこめます。
④間違えた問題は必ず解きなおし、理由も書く
間違えた解答は消しゴムでは消さず、赤色で正確に書き、どこを、なぜ間違えたかのかをわかるようにしておきます。理由も書くことで自分の弱点がわかるようになり、間違いを繰り返しにくくなります。
必要な文房具とノートの選び方
先述したように、まずは各教科用にノートを1冊ずつ用意しましょう。現在は色んな種類のノートが販売されています。英語用の罫線ノートや、文字列を揃えたり、図形やグラフが書きやすいよう罫線の上にドットが薄く書かれているものや、目への負担軽減を考慮された薄いグリーンを基調としたもの、机の上に置いた際に平らに置けるものなどたくさんありますので、自分の好みや使いやすさで選んでみましょう。教科ごとに使いやすいノートが異なるので、いろいろなノートを試してみることをオススメします。
また、鉛筆やシャープペンシルはBもしくはHBのものを使いましょう。小学生の時よりも圧倒的に板書の量が増え、ノートの限られたスペースの中に書く文章や図形、グラフなどによりペン先が潰れやすくなります。そのため、ペン先の潰れにくいBもしくはHBの鉛筆やシャープペンシルを使用しましょう。赤色のボールペンを用意しておくこともオススメします。人は本能的に赤色に反応するようになっています。そのため、私たちの身の回りでも信号機やパトランプ、消火器など、「危険」を表すサインとして幅広く利用されています。自分が間違えた問題を「危険」と認識できるように、赤色で答えを書くようにしてください。
見出しやマーカーの活用法
①日付と教科書やワークのページ(P)を書く
いつ勉強したのか、教科書やワークのどこを勉強したかが、復習するときにわかりやすくなります。
②見出しは位置を揃える
単元名・問題番号の数字の種類・文字の大きさを揃え、また書き出し位置もそろえることで、どこに何が書いてあるのか、わかりやすくなります。
③色は基本2色で書く
色が多すぎると、どこが大事かわからなくなります。基本は黒、目立たせたいところは赤で書きます。追加で色を使うとしても3色以内に収めることが理想です。
■実践!効率的なノートの取り方
1.科目別のノートを使った勉強法
国語:要点のまとめから文学作品の分析方法まで
まず国語の授業ノートは向きを変えて縦書きにして使い、後から書き込みをすることや見やすさを考え、行と行の間は間隔をあけてゆったりと使うようにしましょう。また、メモ欄を作っておくと先生の説明や自分が気づいたことを書いておくことができます。
国語は定期テストなどで抜き出し問題や要点をまとめる問題が頻出されます。そのため、日ごろから文章中の言い換えや文章の区切り部分、要点をノートで確認できることが大切になります。まずは教科書など文章を読んだ後に、内容をポイントごとに分けて、大きく3つ程度に分けてみましょう。文章自体の内容を短い文で表すことができれば、テストで長文を読む際に役立ちますし、作文を書くときにもわかりやすいあらすじの文を作ることができるようになります。また、内容ごとに重要な部分を抜き出す練習をすることも大事です。だいたい15文字~20文字あたりを目安にその段落やテーマにおいて重要と考えられる言葉のかたまりを抜き出す練習をしておきましょう。
数学:公式と解法の整理から練習問題の記録まで
数学のノートを取るときは余白をたっぷりととり、見やすくすることが後から復習する上で大変便利です、とにかく後から見直したときにわかりやすいかどうかが重要です。
数学は公式が多く登場する教科となっています。そのため、公式と解法は常にセットで覚える必要があります。見開きで公式と解法をまとめると、両者を同時に確認することができ、問題を解いたり、復習しやすくなったりします。また、計算途中での間違いや公式の理解の不十分さを明確にするためにも練習問題で間違えたところに消しゴムは使わず、赤ペンで直した後に見直す習慣をつけましょう。本番では公式は問題用紙に記載されていないので、公式を見ずに解けるようになるまで繰り返し練習問題に取り組むことが必要不可欠です。
英語:単語の意味と文法規則のまとめ
中学校では、「聞く」「話す」に加えて、「読む」「書く」の技法が必要とされます。そのため、ノートの取り方が重要となってきます。小学校で習った内容に加えて、さらに多くの英単語や英文法を覚えなければなりません。その日に習った英単語や文法は記憶が新しいうちに反復して記憶に刻みつけるようにしましょう。文法や前置詞を理解する際には図を利用するのも一つの手です。図解すると、自分の頭の中も整理することができます。
また、本文の並び替え問題、日本語訳、英語訳問題なども定期テストの頻出問題です。本文をきっちりと理解することで単語の意味と文法規則の両方を理解することにつながります。音読しながらノートに書き写すことは「読む」「書く」技法と同時に「聞く」「話す」に繋がるためオススメです。
理科:用紙と図解から実験結果の整理まで
理科の授業では、実験結果や経過を書き込むことのできるものや重要ポイントごとにまとめられたプリントが配られるものが多いため、ノートに貼り付けておくことをオススメします。紛失の危険性やノートとの関連性がわからなくなってしまうので、配布されたらすぐにノートに貼るようにしましょう。ノート見開きの左ページにプリントを貼り、右ページにメモや補足説明を書いておくことで後からの復習にとても便利です。もしページにおさまりきらない大きさのプリントの場合には、半分や適当な大きさに折ってからノートに貼り、あとはノートにおさまるように折り込んでおきましょう。また、理科の実験や観察に積極的に参加することによってプリント学習だけでなく、実体験を通じて、実験に使う道具や実験の手順、実験中に注意しなければいけないことなどを学ぶことができます。
理科のノートは、図を利用することで、後から見直したときに大変わかりやすいノートになります。たとえ先生が図で板書をしていないことでも自分の理解が図を描くことでイメージしやすい場合には、図を活用するようにしましょう。図を書く際には、後から書き加えることや細かい部分のことを考慮して大きくわかりやすいことを何よりも意識しましょう。
社会:年表作成と地図を使った学習法
社会の授業では、重要ポイントをおさえたまとまりのある板書をする先生が多いため、しっかりと板書を写すことでまとまりのあるノートになります。ただし、覚える量に比例して、板書の量も増えるため、ノートの使い方を自分なりに工夫する必要が出てきます。(一つの時代の流れの板書を断ち切らないためにノートを横向きに使用するなど)
教科書や参考書、先生の板書の中でも重要な用語には太字や赤字で示され、先生からマーカーなどで線を引くよう指示があることが多々ありますが、マーカーを引いて満足してはいけません。重要語句やポイントに関する歴史の流れや関連する人々まで学習しておくことでテスト問題を読んで回答する、入試問題をはじめとした応用問題にも対応できるようになります。
このように社会は覚えることが大変多いため、ぜひ「一問一答問題集」を作ってみてください。作り方は、ノートの真ん中に縦線を引き、左側に質問、右側に答えを書きます。一度行った後も下敷きなどで右側を隠してしまえば何度も復習することができ、大変便利です。
さらに社会の授業では、国や地域の名前が多く出てきます。名前は知っていても、その場所がどこのあるのか知らないことは意外に多いものです。新聞やテレビのニュースで出てくるような国や地域は時事問題として入試に取り上げられる可能性が高くあるため、地図帳で位置を確認し、しるしをつけたり、ノートに図を書いたりして忘れないようにしましょう。
2.授業後のノート見直しと効果的活用
①宿題をやるときは授業中に書いたノートを見ながらやる
授業で間違えた問題は宿題でも間違える可能性があります。間違えた理由をノートに書いているので、宿題をやるときにノートを見れば理由や解法が書いてあり進めることができます。
②間違えた問題は何度でもやり直す
間違えた問題をそのままにしていても、実際のテストや入試で点数を取ることはできません。宿題をしている時には「わかる」から「できる」ように何度もやり直します。
③暗記するときは覚えているかどうかの確認ができる
宿題の目的の1つに「暗記」があります。単語や用語、漢字など覚えるべきことは覚えなければいけませんが、重要なことは書くことではなく、覚えているかどうかということです。そのためにも、ノートは正確に板書しましょう。
3.色分け、図解、索引ページの活用
①余白は広くとる
余白があると見やすく、間違い直しや気づいたことも書けて覚えやすくなります。見直しをするときにそこに新しい知識を書き加えていけば、より学習が深まります。
②表やグラフはフリーハンドでも正確に書く
フリーハンドで正確に書くクセをつけると、より正確な形が理解できる上に、テスト本番で役立つことになります。
③色は基本2色で書く
繰り返しになりますが、基本は黒、目立たせたい(重要、間違えた)ところは赤で書きます。追加で色を使うとしても3色以内に収めることが理想です。3色目は古文の口語訳など注意点などとは違うものを記入する際に使用するといいでしょう。
④索引ページの活用
教科によっては教科書の最後辺りのページに教科書内に出てくるキーワードの一覧や解説が載っています。その一覧や解説を使って自分のわからない部分を補完することで、よりわかりやすい自分のためのノートが仕上がっていきますので活用してみましょう。
■ノートの活用と進化
ノートを使った効果的な復習と長期記憶への移行
ドイツの心理学者、エビングハウスの忘却曲線にあるように人の記憶は1日後には7割近く忘れてしまうと言われています。しかし、復習をすることで記憶は9割近くまで戻り、記憶も持続するとされています。新しく習ったことはその日のうちにノートをひらいて復習をするようにしましょう。
■まとめ:中学生がマスターすべきノートの取り方のすべて
ここまでノート取りについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。ノート取りは日々の学習とは切っても切れない関係性にあります。気をつけることはたくさんあるように見えますが、共通していることがほとんどです。日々の授業で行うノート取りを少しでも有意義なものにするためにも、まずはできそうなことから取り入れてみてください。
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>