2025/04/07
小学生の英語学習完全ガイド
2020年より小学校英語は小学5・6年生において教科化されました。それに従い、小学生のうちから英語に触れ、今後の英語学習の土台を作っていくことが重要になっています。今回の記事ではそのような重要性を増している英語について、小学生からどのように学習していけばいいのか、そのポイントをお伝えしていきます。
INDEX ■小学生から始まる英語教育の概要と重要性 |
■小学生から始まる英語教育の概要と重要性
最初に述べた通り、2020年から小学5・6年生の教育課程において正式に英語が教科化され、早くから英語を学ぶ重要性が増しています。英語学習はどのような変化を遂げており、どのように勉強していく必要があるのか説明していきます。
小学生から英語を学ぶべき理由
英語力の早期育成は、今後の学習のうえでも、将来社会に出ていくうえでも重要視されています。急速なグローバル化の進展の中で、国際共通語である英語力の育成は大きな課題となっています。社会で生きていくうえで、異文化理解や異文化コミュニケーションは今後もますます重要になっていくでしょう。そのような背景を受けて、文部科学省は、小・中・高等学校を通じて、英語教育の充実・強化を進めていく方針を打ち立てました。小学5・6年生には成績がつく教科として英語が追加され、中学英語は小学校英語を理解した前提で進むようになります。そのため、将来の入試を見据えた学習においても、また今後の社会で生きていく力の育成のためにも、英語の基礎を早期から積み上げていく必要があるのです。
英語教育必修化とカリキュラムの概要
小学生から英語教育が必修となっている現在、教育カリキュラムはどのように変化しているのでしょうか。文部科学省によると、小学生の英語教育の目標としては、「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、外国語による聞くこと・読むこと・話すこと・書くことの言語活動を通して、コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成すること」を掲げています。それを受けて、現行の小学英語教科書は以下の特徴を持っています。
・小学生では中学内容の文法を前倒しで学習
・学習する単語はほとんどが重要単語
・「聞く」「話す」「書く」「読む」の4技能をバランスよく育成し、「話す」、「書く」も交えた活動型授業が中心
一般的な小学校の英語の授業では、デジタル教科書を用いた豊富な音声を聞く活動により、「Listening(聞く)⇒Speaking(話す)⇒Writing(書く)⇒Reading(読む)」の流れで学習します。Listening・Speaking(聞く・話す)活動の比重が高いのが特徴です。小学3・4年生は英語に慣れ「聞く」「話す(やり取り・発表)」の習得を目指し、歌・ゲーム・絵を見て答えるなどの授業を中心に、小学5・6年生は小学3・4年生の内容をベースに「発音」「イントネーション」「アクセント」も学びます。
また、中学で学習する「コミュニケーションで使用する基本文法や慣用表現(疑問詞・代名詞・不定詞・動名詞、不規則動詞の過去形など)」も先行して学びます。その中で、文の構造も学ぶカリキュラムとなっています。
そして小学校4年間で学ぶ600~700程度の単語は、そのほとんどが重要基本単語です。そのため、小学内容の英単語は必ず覚えるようにしましょう。
さらに、中学校の英語授業は、これまでは「読む」が中心でしたが、2021年度から教科書では、「聞く」「話す」「書く」「読む」をバランスよく学習するスタイルに変化しています。また、中学生の教科書で「be動詞」、「一般動詞」から学ぶ際、小学生の教科書で学習した単語は身についていることが前提として授業が進むため、小学校内容の習熟度が大きく影響します。
小学5・6年生の学習ポイント
小学5・6年生で意識していきたい英語の学習ポイントをお伝えしていきます。
ポイント1:書いて覚える
小学5年生から英語が「教科」になりますが、小学校では聞き取りや話すことが中心で英単語を書く時間は十分に確保されていません。小学校での必須英単語数は600~700語とかなりの量かつ重要単語です。英単語の覚え方を身につけるためには「書く」「読む」練習を中心に学習していきましょう。
ポイント2:まねをする
例えば、日本語を覚えた時にどのように覚えたのか、というと基本的に「まねる」ことから始めたと思います。英語も日本語と同じ「言葉」であり、まずは「まねる」「習うより慣れろ」が重要です。まずは、例文を参考にして「読む」「書く」練習をすることを中心に学習していきましょう。
ポイント3:実際に話したり、書いたりして覚える
各学年で学ぶ表現は下記の通りです。「自分で話す」「自分で書く」ことを交互に行いながら英語の表現を覚えていきましょう。5年生・6年生それぞれで学習する表現は以下の通りです。
【小学5年生】
自分のことを話す、書くための表現を実際に話したり、書いたりして覚える
小学5年生では「私の名前は~です」「私は~が好きです」「私は~が欲しいです」、「私は~ができます」など、自分のことを伝える表現を学びます。目標はこれらの表現を覚えることですが、「私は~が好きです」であれば、実際に自分の好きなものを当てはめて話す・書く練習をしましょう。
相手のことを聞き、読むための表現を実際に聞いたり、読んだりして覚える
また、自分のことを伝える表現だけでなく、「あなたは~が好きですか?」「あなたはいつ~ですか?」「あなたはどこで~ですか?」など、相手のことを知るための表現も学びます。誰かに相手役を担当してもらい、話していることをよく聞くようにしたり、教材に書かれている文章をよく読むようにします。また、自分のことを話す表現を覚える時と同様、相手になったつもりで、「自分で話す」「自分で書く」ことも交互に行い、しっかりと覚えるようにします。
【小学6年生】
自分の町や学校行事、他の人のことなどを説明する表現を実際に話したり、書いたりして覚える
小学6年生では「3月にひなまつりがあります」「学校にはコンピューター室があります」「彼はダンスが非常に上手です」など、自分や目の前にいる相手以外のことを伝える表現を学びます。覚える際には、自分の好きな場所や好きな行事、好きな有名人などを当てはめるのもよいでしょう。
"過去"のことを表す表現を覚える
また、現在のことだけでなく、「私は夏休みに祖父母の家に行きました」「晴れていました」「泳ぎました」など過去の出来事を表す表現を学びます。日本語では、現在のことであれば「~します」、過去のことであれば「~しました」と文末の表現が変わりますが、英語でも同様の変化があります。規則を理解して覚えることも大事ですが、まずは「現在の表現」と「過去の表現」を交互に口頭で表現したり、実際に書いたりすることで覚えることが大切です。
ポイント4:英検®にチャレンジする
小学校での英語の一つの目標として、小学5年生は英検®5級、小学6年生は英検®4級合格を目指すということをおススメします。英検®を小学生のうちに4級程度まで合格しておくことで中学校の英語の学習(定期テスト対策の勉強)が余裕をもって進められるという利点があります。さらに中学生以降も3級~準1級などの上の級を取得することで、高校入試や大学入試で優遇措置が受けられます。現在の小学生が大学を受験する頃には入試で英語の資格(英検®・TEAPなど)を持っているのは当たり前の時代になっている可能性が高いです。高校生になって急に上級の級を目指すよりも小学生から計画的に段階的に進めることで、無理なく取得できるようにするとよいでしょう。
■小学生がつまずきやすい英語学習の課題
英語力の育成は今後の学習において非常に重要になってきます。そのため、小学生では英語に対して苦手意識を作らず、学習に前向きな姿勢で取り組めるようにしていく必要があります。ここでは、小学生が英語でつまずきやすいポイントとその対策をいくつか紹介していきます。
英語の発音や読み方の課題
英語の発音や英文の読み方についても、慣れない発音や日本語との違いにつまずきやすいポイントとなっています。例えば、英語には日本語にはない子音(例えば、「th」や「r」)があります。「th」は、舌を歯の間に軽く挟む音(/θ/ または /ð/)で、日本語にはないため難しいと感じることがあります。「r」も、日本語の「ラ行」とは異なる音で発音されるため、特に「l」と「r」の違いが混同されやすいです。また、日本語のローマ字読みが習慣になっていると、英語の発音にその癖が影響することがあります。例えば、「dog」を「ドッグ」と発音してしまったり、「see」を「シー」と読んだりすることがあり、これを正しい英語の発音に直すことが求められます。このような発音の課題には、繰り返し練習をすること、音の違いに耳を慣らすこと、そして、ネイティブの発音を真似することが大切です。英語を使ったゲームや歌、動画教材などを活用して、楽しみながら英語の発音に慣れていくこともおすすめです。
文法理解への苦手意識を克服していく方法
小学英語教科書では、中学で学習する文法を前倒しで学習していきます。文法や言葉の仕組みについての解説は避け、英語嫌いにならないような内容となっています。また、先述した通り、英語も日本語と同じ「言葉」であり、まずは「まねる」「習うより慣れろ」が重要です。小学校の授業では英語を「聞く」「話す」練習をする割合が高いため、特に「書く」「読む」練習を積極的に積んでいくことで、4つのアプローチから英語のルールに慣れていってほしいです。
■小学生向けのおすすめ英語教材
英語を学ぶうえでは、学校で使用する教材の他に、英検®対策で使用されるような教材もおすすめです。実用英語技能検定(英検®)は、小学生から社会人まで、累計約1億人が受験している日本最大手の英語検定試験です。「聞く」「読む」「話す」「書く」といった4つの技能の能力をバランスよく測ることのできるテストで、日常会話から社会的な題材まで受験者のレベルに応じた幅広い話題を対象にしています。英検®のための勉強をすることで、総合的な英語力を育成できます。また、英検®を受験することで、自身の英語力を把握でき、目標を立てやすいというメリットもあります。英検®にチャレンジすることで、自分の英語力が把握できるため、「今の自分はどこまでできるのだろうか」と腕試しをしたい小学生には、もってこいの検定でしょう。また、1つの級を合格した後は「さらに1つ上の級を取ろう!」という学習の目標になるため、英語学習の意欲を保つにも最適です。英検®に合格し、級を取得できれば、入試においても優遇措置を受けられる可能性があります。まずは自分のレベルや理解度に合った英検®の教材を探し、ぜひ、英検®の受験にもチャレンジしてみてください。
フリーステップの英検®対策講座はELST® (イーエルエスティー)というアプリと個別指導の授業を併用させて行います。ELST®とは英語4技能の学習アプリです。5級から準1級まで対応しており、1次試験のReading、Writing、Listening、2次試験のSpeaking、Listeningの対策が可能です。AIによる自動採点でSpeakingとListeningの力を集中的に強化するができます。また、英検®の各級ごとの語彙と例文が様々な方法で学べる単語学習も搭載しています。このELST®に個別指導を組み合わせることで生徒一人ひとりに合わせた英検®対策を実施しています。
※「英検®」は公益財団法人日本英語検定協会の登録商標です
※ELST®は株式会社サインウェーブの登録商標です
※ELST®の自動採点機能は、サインウェーブ社独自の採点基準で英検®の採点基準とは異なります
※ELST®内のコンテンツは、公益財団法人日本英語検定協会の承諾や推奨、その他の検討を受けたものではありません
※AI自動採点について公益財団法人 日本英語検定協会による如何なる監修も指導も受けておらず、採点の品質について同協会から認められたものでは一切ございません
■中学校に向けて、英語力を育成するためのアプローチ
ここでは、中学校での学習に向けてやっておきたい勉強について紹介していきます。やりやすいものを取り入れてみてください。
【「書く」学習を取り入れる】
前述したとおり、中学生になると定期テストなどが行われるため、小学生の時よりも英語を書くということが増え、重要度も高まると思います。そのため、小学校高学年では、中学校に進学した後も見据えた学習に取り組んでおいてほしいと思います。
【単語の学習】
まずは、アルファベットの大文字・小文字をきちんと書けるようになりましょう。特に小文字のaとuなどかたちが似ているアルファベットをきちんと書き分けられるようにしておきたいです。そして、アルファベットがきちんと書けるようになったら、小学校で習った単語のスペル(綴り)を書けるように練習しましょう。単語の学習方法をいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
〇イメージと一緒に覚える
単語を学習する際に、スペルと意味だけを覚えるのはなかなか大変だと思います。そこでイラストや写真などイメージと一緒に学習するのをおススメします。単語を見たときに先にイメージが浮かぶようになるので、記憶の定着に役立つと思います。英単語長の中にはイラストがついているものもありますので、それらを活用することもおススメです。
〇音とセットで覚える
先ほどはイラスト(イメージ)とセットで覚える方法でしたが、これはその単語の発音を活用する方法です。覚えたい単語の発音を「聴いて」、スペルを「見て」、「書く」という方法です。発音とスペルを結びつけるので、正しい発音でスペルを覚えていくことになります。これはリスニングにとっても役立ちますし、自分で「発音」しながらスペルを書く練習を行えば、発音の練習にもなります。
〇毎日少しずつ覚える
英単語を毎日少しずつ覚えていきます。1日に覚える単語の数を決めて、毎日少しずつ進めると良いでしょう。例えば、1日に3~5単語を覚え、翌日には前日覚えた単語を復習からスタートします。単語の学習は回数を重ねることが大切なので、無理のなく継続できる量を設定して取り組みましょう。
〇復習とテストを取り入れる
覚えた単語を定期的に復習することで、記憶に定着させることができます。また、定期的に覚えることができているかの確認テストを行うと覚えている単語とまだ覚えられていない単語を把握することができます。毎週土曜日を確認テストの日にするなど、習慣化することも重要です。
〇目標を立てて達成感を味わう
小さな目標を立てて、達成することで自信をつけます。例えば、表を作って10個単語を覚えたら1枚好きなシールを貼るなど、頑張ったことや達成したことが目に見えるようにするのもおススメです。
【文法の学習】
中学校では、英文法の細かいルールの学習を行うことになります。しかし、小学生の間は文法ルールを教えてもらっても用語が難しくて、きちんと理解できないことが多いでしょう。そのため、学習のポイントでも説明したように小学生の間は、学校で習った表現をきちんと書けるように練習しましょう。例えば、小学校5年生で「私の名前は~です」「私は~が好きです」という表現を習います。そのフレーズを使って自分のことを説明できることに加えて、その英文を書く練習をしてみましょう。一つのパターンを書けるようになったら、周りの単語を少し変えて練習してみましょう。例えば、「私の名前は~です」を「お父さんの名前は~です」に変えて文を作ってみましょう。
【リスニング力とスピーキング力を高める】
中学生では、「書く」や「読む」が増えるという話をしました。ということは、「聞く」「話す」が減るということです。そのため、「書く」の練習をしておきましょうと前述しましたが、「聞く」「話す」という技能の練習も積極的に行っておきましょう。小学生がリスニングやスピーキング力を高めていくには、動画や音声教材の使用がおすすめです。子供の好みに合った動画や教材を使用することで、楽しみながら続けることができるので、効果を上げることにつながるでしょう。
〇シャドーイングでリスニング力とスピーキング力を同時に鍛える
シャドーイングは、英語の音声を聞きながら、同じように真似して発音する練習法です。この方法を使うと、リスニング力とスピーキング力を一緒に鍛えることができます。
やり方:英語の動画や音声を再生し、ナレーターやキャラクターが話す内容をそのまま真似します。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、簡単な短いフレーズに取り組んだり、遅めのスピードから初めたりしてみましょう。何度も繰り返して、発音やアクセントを真似してみましょう。
〇英語のポッドキャストやオーディオブックを聞く
英語のポッドキャストやオーディオブックは、通学やお休み時間、家でのリラックスタイムに手軽にリスニング練習ができる方法です。特に、短い話や簡単なストーリーを聞くことができます。
やり方:小学生向けのオーディオブックやポッドキャストを選びます。短いエピソードを選んで、毎日少しずつ聞くようにします。聞いた内容について、親子で一緒に内容を確認してみると理解が深まります。
■小学生英語学習のまとめと成功の秘訣
2020年から小学校5・6年生で英語が教科化され、早期から英語を学習していく重要性が増しています。小学校英語では、「聞く・話す」を中心に学習が進み、小学5・6年生は基礎文法や重要単語を学びます。中学英語は小学校の学習を前提に進むため、早い段階からの準備が大切です。特に学校の英語授業では割合が低い「書く・読む」練習を積んでいく必要があります。小学生がつまずきやすいのは、単語暗記・発音・文法の理解などです。この内、特に単語学習と発音をアプリや単語帳など学習しやすいものを活用し、楽しみながら継続して学ぶことができる工夫をしていきましょう。また、英検®5級・4級に挑戦することで、学習の目標が明確になり、中学以降の学習にも役立ちます。小学生から英語に触れていき、楽しく学び続けることで、将来の学習の土台や社会での活用につながります。今回の記事を参考に、小学生から英語学習を無理なく継続していきましょう。
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>