2025/05/26

中学生のための効果的な国語の勉強法

 国語の力は、すべての教科の土台になります。しかし、どう勉強すれば成績が伸びるのか悩む人も多いでしょう。この記事では、中学生に向けて効果的な国語の学習方法を紹介します。

INDEX

■国語力を伸ばすための基本
 ○語彙力を高める方法
 ○文法力の身につけ方
 ○読解力を鍛えるステップ
■学校外でのサポート活用
■まとめと国語力を伸ばす学習の要点

 

■国語力を伸ばすための方法

 「国語力とはなにか?」と聞かれても「○○だ」とすぐに答えられる方はそういないでしょう。「国語力」とは、以下の4つの総合力のことを指します。まずは「国語力」をつくる4つの力について見てみましょう。

①語彙力・文法力(語の意味や使い方、文章構造を理解する力)
 正確な意味を把握し、状況に応じた表現ができる力で、すべての土台となるのがこの力です。中学生で学習する古典では、この力が求められます。

②読解力(情報を正確に読み取る力)
 教科書や資料、問題文から「何が書かれているか」「筆者の意図は何か」をつかむ力です。現代文では、①語彙力・文法力と並行しながら伸ばしていきましょう。

③表現力(自分の考えや感じたことを伝える力)
 作文や話し合い、発表などで「相手に伝わる」文や言葉を使える力。文章を構成するために①語彙力・文法力が必要となります。加えて、そこに自身の主張を込める必要がありますので、②の読解力も必要となります。

④批判的思考力(情報を鵜呑みにせず、自分で考える力)
 説や意見に対して「なぜ?」「本当?」と問い直せる力。こちらは、総合的な力となります。①語彙力・文法力を土台に、②読解力や③表現力を高めたあとに、養成していくことをおすすめします。

 最後に紹介した④批判的思考力については、①~③の力が、ある程度まで鍛えられていないと、なかなか取り掛かりにくいものです。今回の記事では、まずは①~③の力をつけることにフォーカスして説明していきます。

語彙力を高める方法

 語彙力は、文法力と並んで、国語力の「地盤」であり、すべての言語活動(読む・書く・話す・聞く)に通じる非常に重要な要素です。まずは、語彙力を高めていく方法について説明していきます。

読書習慣を日々の生活に取り入れる

 読書は語彙力を高めるために効果的です。文章を読む中で、文脈に応じた語句の使い方や意味を自然に学ぶことができるからです。例えば、「軽い」という語は、荷物などの物理的な重さについて使われる以外に、「彼の言葉は軽く聞こえる」など、真剣さが足りない、いい加減な印象を表す場合も使われます。読書では、こうした語句の使い分けに繰り返し触れることができ、自然に語彙の運用力が身につきます。

 長時間の読書が苦手であれば、短い時間から始めて習慣化しましょう。まずは自分の興味に合うジャンルの本を選び、1日10分だけ読むことから始めましょう。気になった言葉に付箋を貼るなど、言葉に注目しながら読むと、自然と語彙力も高まります。続けるうちに読むことが楽しくなり、少しずつ読む量も増えていきます。大切なのは、「毎日少しずつ続ける」ことです。

わからない言葉を調べる習慣をつける

 課題や教科書、本でわからない言葉が出てきた場合に、そのままにせず、その場で調べることで、正しい意味や使い方を理解でき、記憶にも残りやすくなります。また、文脈の中で覚えることで、実際の場面で使える語彙が自然と増えていきます。語彙力を伸ばすために効果的な調べ方について紹介します。

ステップ1:文脈から意味を予想する
 まずは前後の文や話の流れから、その語の意味を自分なりに推測してみましょう。

ステップ2:意味を確認する
 推測した意味が正しいかを辞典や辞典アプリなどで調べ、正確な意味を確認します。

 古文の場合は活用形も確認しましょう。

ステップ3:ノートに記録する
 さらに、調べた言葉とその意味はノートに書き出しましょう。その際、例文も一緒に記録しておくと、記憶に残りやすくなり、後から見直すのに便利です。

ステップ4:現代語との違いを意識する(古文の場合)
 古文の場合は、似た形の現代語と比較し、意味や使い方の違いに注目することで理解がより深まります。例えば、あはれ(哀れ)という語は、現代語では、「かわいそう」「悲しい」という限定的な意味で使われます。一方、古文では、しみじみとわき上がってくる気持ちや感動を表し、嬉しさ・悲しさなど幅広い感情に使われます。こうした違いに注目しながら調べると理解がより深まります。

文法力の身につけ方

 続いて、文法力を身につけていく方法について説明していきます。

形・音・意味をセットで覚える

 古文や現代文の文法を覚える際には、「形・音・意味」をセットで覚えると効果的です。たとえば古文では、「けり」という助動詞を「過去・詠嘆の意味がある」とだけ覚えるのではなく、「連用形接続」「已然形『けれ』」といった形や、「けり」と読む音も一緒に確認すると記憶に残りやすくなります。以下に具体的なステップを述べていきます。

ステップ1:まずは「形」を確認
 古文では、助動詞や助詞の活用表や接続の種類を確認します。現代文では、接続語や指示語の文中での位置や文法的な働きを確認します。
例:「けり」は連用形に接続。活用は「(けら)/〇/けり/ける/けれ/〇」

ステップ2:「音」を声に出す
 実際に声に出して読み、耳で聞き、リズムで覚えます。音読やリズム読み(例:「(けら)/〇/けり/ける/けれ/〇」)は特に効果的です。聞く・話す力も使うことで、記憶にしっかり定着します。

ステップ3:「意味」をイメージと結びつける
 単語や助動詞の意味を、例文やイラスト、具体的な場面と結びつけて理解します。
例:「けり」は、昔の出来事を語る場面を思い浮かべると覚えやすい。
例文:「今は昔、竹取の翁といふものありけり。」(昔々、竹取の翁という人がい。)

ステップ4:セットで確認し、アウトプットする
 「形・音・意味」をまとめて思い出す練習をします。音読しながら活用を言い、意味と使い方を短い文で説明する練習が効果的です。
例:「けり」は「昔を語るときに使う」「『聞こえけり』のように使われる」

 言葉は目で見るだけでなく、耳と口を使って理解を深めることで、文法の知識が実践的な読解力へとつながります。

ノートまとめと教材の活用法

 また、文法事項の整理や確認には、ノートや教材の活用もおすすめです。ノートは、「文法の用語」「例文」「自分の気づき」の3つに分けてまとめると理解が深まります。また、学校のワークやプリントは「間違えた問題」「理由」「正しい答え方」を書き加え、見返せるようにしておくと効果的です。理解→整理→復習の流れを作ることで、文法が確かな力になります。以下は、ノートの書き方の例になります。

ノートの書き方の例0523.jpg

読解力を鍛えるステップ

 続いて、読解力を鍛えるためのステップについて述べていきます。読解力、言い換えると「情報を正確に読み取る力」とは、単に文章を読むだけでなく、

・「何が書かれているか(内容把握)」

・「なぜそれが書かれているのか(筆者の意図)」

を的確に受け取り、解釈できる力を指します。

 中学生のうちに読解力をしっかりと身につけることで、文章の理解や表現が格段に深まります。

段落ごとの要点把握の練習

 読解力を高めるには、段落ごとの要点を的確にとらえる力が欠かせません。文章は、各段落がそれぞれの役割を持ちながら全体の意味を構成しています。特に説明文では、基本的には一段落に一つの中心的な内容があり、それを押さえることで筆者の主張や展開がつかみやすくなります。

 練習としては、まず各段落を読み終えたあとに「この段落では何が言いたいか」を10~15字程度で自分の言葉でまとめてみる方法が効果的です。語数の制約を設けることで、表現力の強化にも繋がります。教科書や新聞記事など身近な素材でくり返し練習していきましょう。後に紹介する、接続詞を意識した読み方もあわせて実践することで、段落同士のつながりがより理解しやすく、文章の構成も把握しやすくなります。

接続詞の理解と活用法

 接続詞の理解は、読解力を高めるうえで重要なカギとなります。接続詞は文と文、段落と段落の関係を示す役割をもち、筆者の論理の流れを読み取る手がかりになります。「しかし」は逆の展開を、「たとえば」は具体例を示すなど、接続詞ごとの働きを理解することで、文章の構造や意図がつかみやすくなります。以下に、接続詞を意識して読む習慣をつけ、文章読解に役立てていくための練習方法を紹介していきます。

例文:日本の食文化は多様である。たとえば、地域ごとに異なる郷土料理が存在する。また、季節に応じた食材を使う習慣もある。しかし、近年はファストフードの普及により、その伝統が失われつつある。

ステップ1:接続詞に印をつけて読む
 教科書や問題文を読みながら、接続詞(しかし・だから・たとえば・つまり等)に〇や傍線をつけて目立たせます。これにより、文章の論理展開に注目しながら読む癖がつきます。例文の場合は「たとえば」「また」「しかし」がそれにあたります。

ステップ2:前後の関係を理解する
 接続詞の前後の文がどんな関係かを、自分の言葉で簡単に説明する練習をします。
例:
・たとえば:前の文「日本の食文化は多様である」を受けて、具体例を紹介している。
・また:前の具体例に加えて、さらに別の例を追加している。
・しかし:前までの内容(伝統的で多様な食文化)とは逆の流れ(伝統の喪失)を示している。

ステップ3:説明文を接続詞ごとに分解して再構成
 段落内の接続詞に注目し、文の順番や意味の流れを自分で整理し直してみる練習も効果的です。文章の構造理解につながります。

例:

1.【主張】日本の食文化は多様である。

2.【具体例①】たとえば、地域ごとに異なる郷土料理が存在する。

3.【具体例②】また、季節に応じた食材を使う習慣もある。

4.【逆の展開】しかし、近年はファストフードの普及により、その伝統が失われつつある。

文章構造を意識した解答方法

 国語の問題を解く際には、文章の構造を意識することがとても重要です。論説文や評論文は一般に、「主張」「理由」「具体例」「まとめ」といった順で構成されています。その流れをつかむことで、筆者の考えや文の意図が理解しやすくなり、設問に対しても根拠を持って答えることができます。段落ごとの役割や接続詞の使い方に注目する練習を積むことで、全体のつながりが見え、文章の構造を把握しやすくなります。段落ごとの要点理解や接続詞への意識に加えて、文章構造を意識し、的確な解答を作成していくために意識すべきポイントを2つ紹介していきます。

ポイント1:主張と具体例を区別する
 主張は筆者が最も伝えたいこと、具体例はそれを補強する材料です。設問で問われていることが「筆者の考え」なのか「具体的な説明」なのかを見極めて根拠を探すことが重要です。

ポイント2:設問に対応する位置を特定する
 問題文の指示に従い、該当箇所に絞って丁寧に読む習慣をつけましょう。例えば、設問が「筆者の考えは何か」を問うものであれば、主張の段落に注目します。逆に「具体例からわかること」を問う設問なら、中盤の具体例についての段落を丁寧に読む必要があります。全文に目を通すのではなく、必要な場所に注目することで時間を有効に使えます。

 

■学校外でのサポート活用

 これまで語彙力、文法力、読解力のそれぞれの学習方法を説明していきました。しかし、「そもそも自分に今、どの力が足りておらず、どこから始めればよいかわからない」という方もいらっしゃることでしょう。2019年に行われた全国的な調査では、中学生の約5割が教科書の日本語を正確に理解していないことが判明しています。

 この経緯からフリーステップではオリジナルで「基礎読解力判定テスト」を開発しました。これにより、文法力・語彙力・読解力において、どこに課題があるのかを発見できます。また、個々の課題に合わせた専用の対策も用意しています。

 また、国語の学習では、文章のテーマやジャンルの幅が広いために、どうしても人によって文章の好き嫌いや相性の良し悪しが出てくることがあります。また記述問題に関しては数学の計算問題のように明確な答えがあるわけではないので、正誤判定もしづらく感じます。さらに、語彙力や読解力は定量化しづらく、テストの点数にもすぐには反映されないため、自身が「(語彙力・読解力が)伸びた」と実感しにくく、モチベーション維持が難しくなります。こういった要因が重なり、国語の学習おいては学校外での個別サポートが他科目に比べて難しいという側面があります。
これらを克服するためには、成果が見えづらい国語学習に対するモチベーションを保ち続けることができる環境を整えたり、苦手なテーマやジャンルの文章でも噛み砕いて理解へと導いてくれたりする講師の存在が必要です。

 フリーステップでは個別指導塾の特性を活かし、毎週決まった曜日に習慣的に学習する時間を設けることで学習ペースを確保し、読解はもちろん、反復学習による暗記が必要な知識系(漢字、語彙、語句、文法など)の学習も習慣化することができます。また生徒一人ひとりの具体的な課題点を講師が把握することで、その場で即座にアドバイスや改善方法を提示できます。そして、生徒の興味や得意分野を把握し成功体験を積み重ねさせることで、学習意欲を持続させる指導ができます。フリーステップでは独自に「Lapテスト」という、授業内容の定着度を図る確認テストを導入しており、このテストをクリアすることで「習慣的な学習の定着」と「成功体験によるモチベーションの持続」の両方を叶えることができます。

 また、My Step Log(マイ ステップ ログ)という機能では、一つ一つの授業の理解度や進捗の管理が可能です。これまでの成績推移も記録しておくことができるので、要対策(苦手)単元を割り出し、効率的に学習を進めることができます。

 

■まとめと国語力を伸ばす学習の要点

 国語の力は、一朝一夕で身につくものではありません。だからこそ、日々の積み重ねが大切です。中学生に必要な国語力を構成する語彙力・文法力・読解力・表現力・批判的思考力といった力は、それぞれがつながり合い、全体として国語力を形づくります。読書習慣をもち、分からない言葉を調べる癖をつけるなど、言葉の意味や使い方に注意を向けること。段落ごとの要点や接続詞の働きを意識し、文章の構造を理解しながら読むこと。そして、自分の考えを言葉で表現してみること。こうした基本を着実に繰り返すことが、確かな力となります。自分の課題を知り、学び方を工夫することで、国語力は必ず伸びていきます。焦らず、一歩ずつ取り組んでいきましょう。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>