2025/08/01

2025年度公立高校入試分析~過去問研究から傾向・対策を知る~【千葉県】

公立高校入試分析は各都府県の高校入試の対策について「どのような傾向・形式の問題が出題されるのか、それに向けてどのような対策をしていけば良いのか」を正しく理解していただくことを主な目的としています。今後の高校入試対策をより効果的・効率的なものにするために、2023年度、2024年度と2025年度の出題傾向の比較や、2025年度入試の各科目の全体概観・大問別問題分析・おすすめの解答順序、そして中学3年の8月以降の入試対策を掲載しています。

INDEX

1.英語
2.数学
3.国語
4.理科
5.社会

1.英語 試験時間60分 満点100点

全体概観

  • リスニング力の強化

英問英答だけでなく、英語を聞いて適切なイラストを選ぶ問題もあるため、読まれた英語の情報を聞きながらメモを取り、整理して解く演習を繰り返し行うとよい。

  • 条件英作文の対策

大問【6】はイラストに基づく会話の英作文問題であり、前提となる会話文の理解と、その前の会話に繋がる適切な英文の記述力が求められる。書いた英文を繰り返し添削してもらい、文章力を磨くとよい。

  • 長文読解力の強化

選択式の内容一致問題だけでなく、記述式の問題もあるため、語彙・文法の強化を要する。大問【7】~大問【9】の長文、会話文は繰り返し演習し、覚えられていない単語や文法の復習に取り組むとよい。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】~大問【4】リスニング 《解答数:9 配点:27点 難易度:やや易》

大問【1】は会話の最後のセリフに対する応答、大問【2】大問【3】は会話内容の問答、大問【4】は会話内容に関するメモの空所補充の問題が出題されている。英文、質問はすべて2回放送。2023年度では記述問題が出題されていたが、2025年度では記述問題の出題はなく、2024年度と同様の問題構成である。

大問【5】文法及び文構造 《解答数:5 配点:15点 難易度:やや難》

(1)(2)ではカッコ内の単語を適切な形に変える問題、(3)~(5)では語順整序の問題が出題されている。関連する文法・語法は(1)指示代名詞の複数形、(2)不規則動詞の過去分詞形、(3)仮定法・不定詞の形容詞的用法、(4)such as~の用法、(5)第5文型(keep O Cの用法)、不定詞の副詞的用法である。2024年度とは異なり、英熟語の知識の絡む問題が1題出題されている。

大問【6】条件英作文(対話) 《解答数:2 配点:8点 難易度:やや難》

吹き出しの一部が空所になっている2コマのイラストの吹き出し部分に、10語程度の英文を答える形式の問題が2問出題されている。前のイラストの会話に繋がるような形で答えないといけないため、会話文を理解し、それに対する正しい応答となる英作文を記述する必要がある。

大問【7】長文読解 《解答数:7 配点:21点 難易度:標準》

スライドに基づく長文が4問と、広告に関する長文が3問出題されている。スライドに基づく長文では、話者ごとの発言内容の理解と整理が求められる。広告に関する長文では、イラストや表などで英文が簡略化されているため、一つひとつの情報を整理しながら読解していく必要がある。

大問【8】長文読解 《解答数:5 配点:17点 難易度:やや難》

300語程度のスピーチ原稿と、それに関する70語程度の会話文の内容を問う問題が5問出題されている。2024年度と比較して、内容一致の問題が1題増えており、長文読解における全体的な内容把握がより重視されている。会話文の中で出題される自由記述の空欄補充では、2024年度より指定語数が減少しており、より少ない語数で端的に長文内容を言い換えることが重要である。

大問【9】対話文の読解《解答数:4 配点:12点 難易度:標準》

200語程度の対話文の4か所の空所部分の適切な文、もしくは文の1部を挿入する問題が出題されている。選択肢には会話表現特有の慣用表現は出題されず、比較や現在完了形、不定詞、関係代名詞などの幅広い文法知識が求められる。そのため文法で苦手分野を作らないようにしたい。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】~【4】15分→【5】7分→【6】7分→【7】10分→【8】10分→【9】8分→【見直し】3分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 全体的に出題形式に大きな変化は見られない。
  • 大問【5】の文法・文構造に関する問題が難化しており、幅広い文法知識が求められる。
  • 大問【7】~大問【9】の長文・会話文問題の平均正答率が2024年度よりも大幅に低下している。

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【入試対策】

■8~9月:基礎固め

夏休みは、これまでに学習した内容の総復習を行う。英単語は『高校受験英単語ゲットスルー2600(エデュケーショナルネットワーク)』で頻出表現を覚え、文法は『BUILDER受験版(学書)』で復習。長文読解対策は『長文読解練成 標準編(育伸社)』を中心に取り組むとよい。

■10~12月:作文/リスニング

10月以降は実践的な問題演習に取り掛かる。英作文は自分で間違いを見つけるのは難しいため、必ず添削してもらう。また、リスニングが大きな配点を占めるため、この対策も開始する。問題文の音読やシャドーイングなどを行うとよい。

■1月~入試:過去問演習

過去問演習は試験時間内で解けるように時間制限を設けて行うこと。また、リスニング・単語対策は入試直前期まで継続する。長文読解は過去問や『精選全国高校入試問題集(エデュケーショナルネットワーク)』などの対策用の問題を必ずこなし、集中力や読解力を鍛えておく。

2.数学 試験時間50分 満点100点

全体概観

  • 小問集合で確実に点をとる

大問【1】のみで51点の配点がある。比較的易しい問題が多くを占めるため、基本事項を完璧にして、ここで得点をとれるようにしておきたい。

  • 関数・図形の最終問題の正答率が低い

大問【2】大問【3】の最終問題は、関数・平面図形の総合的な力が試される難問である。解くことが難しい場合は、この問題をとばして見直しの時間に充てることが有効である。

  • 会話文形式で出題される問題がある

会話文中の空欄にあてはまるものを答える形式の問題が大問【4】で出題される。会話の中の条件を正しく読み取り、必要な計算を行う力が問われる。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】小問集合 《解答数:21 配点:51点 難易度:やや易》

(1)は①~③、(2)~(7)は①と②の全15問の構成であり、配点は(1)が計算問題で各5点、(2)~(7)各3点である。(1)の①~③は問題が易しい割に配点が高いので、取りこぼしのないようにしたい。(2)~(7)は、幅広い単元から出題され、各設問の①と②は同じ単元から関連する問題が出題されている。例年、確率や作図の問題は、正答率が低くなる傾向にあるため、他の受験生に差をつけるために十分に対策しておきたい。

大問【2】関数 《解答数:6 配点:15点 難易度:標準》

関数 のグラフに関する問題が出題されている。(1)比例定数を求める問題、(2)三角形の面積を求める問題、(3)面積が与えられた時の比例定数を求める問題が出題されている。(1)(2)は基本的な問題であり得点しやすい。(3)は平行四辺形の図形的な性質に着目し、与えられた条件からわかることを整理して解く必要があるため、正答率が5.5%と低い。

大問【3】平面図形 《解答数:8 配点:16点 難易度:やや難》

半円の周上にある点を結んでできる図形に関する問題が出題されている。(1)図形の性質を選択式で答える問題、(2) 三角形の相似を(1)を用いて証明する問題、(3)相似な図形や三平方の定理を用いて三角形の面積を求める問題が出題されている。(2)の相似の証明は記述式のため正答率が低くなっているが、配点が6点で部分点も狙えるため、十分に対策をすることで他の受験生に差をつけることができる。(3)は正答率2.0%の本試験の最難問である。

大問【4】空間図形 《解答数:11 配点:18点 難易度:やや難》

おうぎ形や円錐を空間内で動かしたときの跡についての問題が出題されている。教師Tと生徒Sの会話文で書かれているため、文章量が多い。前半は、おうぎ形を1周転がしたときにある点が移動した跡の長さを求める問題、後半は円錐の頂点を中心として平面上を転がしたときの周期性を考える問題である。円錐の展開図の側面の中心角の大きさと、母線や底面の半径との関係を理解しているかが問われている。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】15分→【2】8分→【3】10分→【4】12分→【見直し】5分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 大問【1】小問集合の平均正答率が7%。 例年、(1)は70%を超えている。
  • 大問【3】平面図形の問題の難易度が全体的に高い。
  • 大問【2】~大問【4】の前半の問題は比較的得点しやすい。

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【入試対策】

■8~9月:基本の確認

計算の達人などの小問集合に特化した問題集を用いて、演習と復習を行う。特に、基本的な計算問題で点を落とさないように、間違えた問題は繰り返し解いておくこと。また、各範囲の典型的な問題についても、解けない問題がないように復習しておく必要がある。

■10~12月:苦手分野の対策

この時期は、実力テストや模試など多くの入試形式の問題に挑戦する。そこで重要なのが、自らの弱点と長所を明確にし、入試までにどの問題で得点していく必要があるのかを理解することである。それに合わせて、単元別の問題集や模試の過去問で演習を重ねておきたい。

■1月~入試:得点力強化

過去問を中心に志望校の入試傾向に合わせた問題演習を行うことで、得点力を強化させる。特に、頻出単元の問題には力を入れて取り組む。一度解けなかった問題は何度も復習して完璧に解けるようにしておく。

3.国語 試験時間50分 満点100点

全体概観

  • 聞き取り問題の完答

例年正答率が高い傾向にあり、2025年は問題が1問減少している。難易度は易しいため、完答が必須。会話の内容、問いをメモしながら問題を解く練習が必要である。

  • 記述問題の対策

記述問題は文字数が多く複数問あるため、空欄で提出せずに必ず解答し、部分点を狙いたい。指定されている語があるため、指定の語を使った文章を作成する演習をしておきたい。

  • 条件作文の対策

条件作文は配点が高く、他の問題との兼ね合いから多くの時間を確保することが難しいため、短時間で書くための対策が必要である。条件に沿った内容にするために、構成をメモ書きして文章を考えるとよい。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【一】聞き取り問題 《解答数:3 配点:6点 難易度:易》

2人の会話を聞きながら内容を把握する問題。2024年から問題が1問減少し、計3問出題されている。いずれの問題も正答率が80%以上であるため、完答が必須である。会話の内容、問いをメモして整理しながら問題を解く力が求められる。会話のテーマは例年異なるため、練習を重ねる必要がある。

大問【二】漢字(読み) 《解答数:4 配点:8点 難易度:易》

単語・熟語の読みを答える問題。(4)のみ正答率が50%を下回っており、他の問題との正答率に大きな差が見られる。早い段階から基礎~標準レベルの漢字を暗記する必要がある。単語と熟語は例年2問ずつ出題されており、熟語のほうが正答率が低い傾向にある。

大問【三】漢字(書き) 《解答数:4 配点:8点 難易度:標準》

単語・熟語の書きを答える問題。大問【二】と同様に単語と熟語が例年2問ずつ出題され、問題によって難易度に差がある。正答率は(1)のみ80%を超えており、(2)(3)は50%前後となっている。(4)は四字熟語の一部を答える問題で、正答率32.6%とやや難しい。故事成語も対策しておく必要がある。

大問【四】論説文 《解答数:8 配点:23点 難易度:標準》

齋藤亜矢『ルビンのツボ----芸術にする体と心』からの出題。内容理解(記号7問、記述1問)が出題されている。例年と異なり、品詞の意味・用法の問題が出題されていない。空欄に適する語や文章を選択する問題が多く出題されるため、前後の文章をよく理解する必要があり、全体的な難易度は高い。

大問【五】小説 《解答数:8 配点:23点 難易度:標準》

三浦しをん『黒のゆらめき』からの出題。品詞の意味・理解(1問)、内容理解(記号6問、記述1問)が出題されている。例年と異なり、抜き出し問題は出題されていない。論説文に比べて、全体としては比較的易しい内容である。記述問題は、指定された語句を手がかりにして解答の根拠を探し、答えるのが有効である。

大問【六】古典 《解答数:7 配点:20点 難易度:やや易》

『正法眼蔵隋聞記』からの出題。古文の知識・文法(1問)、古文の内容理解(記号4問、記述1問)、漢文の理解(1問)が出題されている。 (5)では本文を踏まえての対話文からの出題となっている。古文だけでなく、漢文の理解を求める問題も出題されるため、古典分野を幅広く学習する必要がある。

大問【七】条件作文 《解答数:1 配点:12点 難易度:―》

『イソップ物語』の一部分である登場人物の台詞を選択肢から一つ選び、二段落構成で作文を記述する問題。前段では、その登場人物の発言に込められた気持ちを記述する。後段では、選択肢から読み取れることを自分の体験を踏まえて説明する。例年テーマが異なるため、様々なテーマの作文問題の練習を積み重ねる必要がある。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【一】5分→【二】1分→【三】2分→【四】10分→【五】12分→【六】8分→【七】9分→【見直し】3分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 聞き取り問題の正答率が毎年高い。
  • 大問【四】大問【五】の内容理解は、正答率の低い問題が多い。
  • 古典の問題では、漢文の問題が出題される。

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【入試対策】

■8~9月:基礎固め

古文は内容理解の問題となっており、基本的な単語や文法の理解が前提となっている。そのため、『みにつく国語(好学出版)』などを活用し、古典の頻出単語や文法を日頃から覚える習慣をつける。『BUILDER受験版(学書)』などで読解の演習も行うこと。

■10~12月:苦手分野の克服

作文と資料読み取りの融合問題は、『ロジカル国語表現(好学出版)』を使って対策を行う。グラフ、調査票、アンケートなどを読み取る力が必要。ニュース番組や新聞に日頃から触れ、時事問題を把握しておくとよい。

■1月~入試:過去問演習

入試当日と同じ50分間で過去問の演習を行う。作文を書く時間とその他の問題にかかる時間配分を考慮して取り組むこと。また、入試直前期の仕上げとして、『精選全国高校入試問題集(エデュケーショナルネットワーク)』も活用するとよい。

4.理科 試験時間50分 満点100点

全体概観

  • 4分野に対して大問2問ずつ+小問集合の大問1つ

最初の小問集合を迅速に解答し、時間配分を考えて難問は適宜飛ばしながら解き進めたい。また、時間配分だけでなく、解く順番も個人に合わせて工夫するとよい。

  • 記述問題が無く、知識問題は少なくない

記述問題は出題されないが、今後も出題されない保証は無いため、疎かにしないことが望ましい。各大問に知識問題が出題されるため、こちらは速やかに解答したい。

  • 作図・計算問題は難しい

作図問題が3問、計算問題が5問出題され、中には正答率が10%前後の問題もある。各問題にどれだけの時間を費やすべきかを考えながら解くことが大切である。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】小問集合 《解答数:4 配点:12点 難易度:易》

各分野から1問ずつ出題される。単純な知識問題のみであるため、全問正解が必須。一問一答形式の問題をすべての分野にわたってまんべんなく演習し、基礎知識を徹底的にインプットしておくことが必要。残りの大問を解く時間を確保するため、あまり時間をかけないようにしたい。

大問【2】生物分野 《解答数:7 配点:10点 難易度:やや易》

動物の分類に関する問題が出題されている。4問中3問は知識問題であり、動物の分類方法や各分類内の動物の特徴についてインプットしておくことが求められるが、高度な知識は問われない。4問目は、ある動物を分類するフローを考えさせる問題であり、動物の分類を体系的に理解してインプットしておくことが大切である。

大問【3】物理分野 《解答数:4 配点:10点 難易度:標準》

光の反射・屈折に関する問題が出題されている。特に、入射角と屈折角の関係や光の道筋についての理解が問われる。全体的に正答率の低い大問である。光の屈折によって物体がどう見えるのかについて、普段の演習を通じて考え方に慣れておく必要がある。最後の作図問題は、非常に正答率が低いため、詰まるようであれば後に回しても構わない。

大問【4】地学分野 《解答数:4 配点:12点 難易度:やや難》

気温と湿度に関する問題が出題されている。気温と飽和水蒸気量の関係や湿度についての理解が問われる。飽和水蒸気量や湿度の定義を水の状態変化と結びつけて理解し、身近な例で理解を深めておく必要がある。また、蒸発量の計算問題があるが、非常に正答率が低く、詰まるようであれば飛ばしても構わない。飽和水蒸気量や湿度の計算問題の鍛錬を積んでおくとよい。

大問【5】化学分野 《解答数:4 配点:10点 難易度:標準》

蒸留に関する問題が出題されている。蒸留の仕組みや実験方法についての理解が問われる。また、実験結果から分かることを答える問題もあり、正答率は高いため身構える必要はないが、普段の演習で結果から考察する力を鍛えておくとよい。最後にエタノールの質量を計算する問題があり、質量パーセント濃度の計算をできるようにしておく必要がある。

大問【6】地学分野 《解答数:4 配点:10点 難易度:標準》

太陽の日周運動に関する問題が出題されている。紙テープに各時刻の太陽の位置を記録する実験であり、(1)~(3)は基本的な理解を問う問題で、5~6割程度の正解率である。しかし、最後の問題は、実験系と緯度・地軸の傾きの両方の視点を考える必要があり、正答率は非常に低い。

大問【7】化学分野 《解答数:4 配点:12点 難易度:標準》

亜鉛と銅による電池に関する問題が出題されている。イオン化傾向を踏まえた電子の移動や金属板表面での電子のやり取りについての理解・思考力が問われる。正答率の低い問題は無く、電池についての基本的な理解があれば問題ない。他の受験生にリードされないためにもこの大問は点数を落としたくない。

大問【8】生物分野 《解答数:4 配点:12点 難易度:やや易》

植物の葉のつくりと働きに関する問題が出題されている。(1)~(3)では基本的な知識と実験結果の基本的な解釈が問われ、正答率は高いため3問とも正解したい。最後の問題は、葉の表裏における蒸散量の差を計算する問題であり、正答率は4割を下回るが典型的な計算問題であるため、演習を重ねて正解できるようにしておきたい。

大問【9】物理分野 《解答数:4 配点:12点 難易度:標準》

力学的エネルギーに関する問題が出題されている。正答率が全問5割未満であり、差がつく大問と言える。しかし、力学的エネルギーやその保存の法則について理解していれば難しい問題ではない。最後に計算問題があるが、これはグラフを読み取る力があれば解けるため、日々の学習においてグラフの読み取りの演習をしておくとよい。この大問を制して他の受験生と差をつけたい。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】2分→【2】5分→【3】5分→【4】5分→【5】4分→【6】6分→【7】6分→【8】5分→【9】5分→【見直し】7分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 出題形式は一定だが、各分野の中での単元はランダムに出題されている。
  • 各大問で知識問題が多く出題されている。
  • 作図・計算問題には難問あり。

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【入試対策】

■8~9月:既習範囲の復習

中学1、2年と3年1学期の範囲の復習をする。『BUILDER受験版(学書)』のような3年間の単元別のまとめがある問題集を用いて、基本事項の確認をしておく。一問一答形式の問題を繰り返し、既習範囲の確認問題はすべて答えられるようにする。並行して3年の2、3学期の予習も進めたい。

■10~12月:苦手分野の克服

模試などの結果を受けて、理解が足りていない分野の用語などを一問一答形式から復習する。答えられるようになってからは、新ワークなどの教科書傍用の問題集の確認問題を、苦手分野を中心に演習していくと良い。得意分野は練習問題まで取り組み、解説の隅まで目を通し、周りとの差をつけておきたい。

■1月~入試:過去問演習

過去問を用いて実践的な演習を行う。大問が9問あり、文量がかなり多いため、ポイントを押さえて問題を素早く読む訓練を行う。間違えた問題は、自分の目標点数と照らし合わせて、正答率の高い問題から順番に確認していくとよい。高得点を目指すなら、問題集の作図や計算問題、実験の考察の受験対策のページにも取り組みたい。

5.社会 試験時間50分 満点100点

全体概観

  • 完答問題が重視

選択問題では、ほとんどの大問で完答のときのみに点を与える問題が10問ある。一つのミスが大きな失点を生むため、丁寧に問題を解いていきたい。

  • 出題範囲が幅広い

地理・歴史・公民のすべてにおいて、幅広い範囲で出題されている。歴史では並び替え問題があるため、歴史の流れを把握しておく必要がある。

  • 基礎知識が問われる

2024年と同様に、大問数は8問、設問数は31問の出題である。問題数は多いものの基本的な問題が多数出題されるため、着実に点を稼げるようにしたい。

2025年度 大問別問題分析・おすすめの解答順序

大問【1】総合問題 《解答数:4 配点:12点 難易度:やや易》

例年通り、千葉県に関する問題が複数出題。資料の読み取りや基本的な用語を問う問題など、多様な形式で出題されている。難易度はやや易しいが、文量が多いため、落ち着いて正確に情報を読みとる必要がある。また、地理や歴史、公民など分野に偏りがなく、多様な視点から考える必要がある。

大問【2】日本地理 《解答数:7 配点:15点 難易度:やや易》

日本の地形や産業に関する問題。産業は毎年分野が変わるため、どの分野も対策をしておきたい。また、都道府県に関する問題も出題されるため、各都道府県の地理や産業の特徴を押さえておく必要がある。(4)は例年地形図の縮尺の計算が出題されているが、今年度は地形図とハザードマップについて出題されているため、出題傾向に注意したい。

大問【3】世界地理 《解答数:9 配点:16点 難易度:標準》

例年、世界地図から問題が出題される傾向にある。2025年度は緯度、時差、貿易、地形、気候と様々な範囲から問題が出題されているため、複数の分野の対策が必要になる。(5)の記述問題は文章を2つ書かなければならず、正答率が低い。しかし、部分点がもらえるため無記述は避けたい。

大問【4】前近代史 《解答数:9 配点:16点 難易度:やや難》

飛鳥時代から江戸時代にかけての問題。例年提示される4枚のパネルに関する問題が出題されるため、芸術作品の対策が必要である。日本だけでなく、同時代の世界の歴史についても出題されている。また、時代の範囲は毎年変わるため、すべての時代の対策が必要である。

大問【5】近・現代史 《解答数:7 配点:16点 難易度:標準》

明治時代から戦後にかけての問題。例年、問題によって難易度に大きく差が出る傾向にある。日本だけでなく、外国との関係や外国の社会問題に関する問題が複数出題されているため、対策が必要。また、産業に関する問題も出題されており、他分野との関連についての対策も必要である。

大問【6】経済 《解答数:5 配点:9点 難易度:やや易》

経済分野の問題。(1)(2)では基本的な単語を選択する問題が出題されているため、正答率が比較的高い。保障についての問題は苦手とする人が多く、(3)の各国の社会保険のグラフについての問題は正答率が低い。日本の経済だけでなく、他国の経済についても問われるため、対策しておきたい。

大問【7】政治 《解答数:3 配点:10点 難易度:標準》

政治分野の選挙や裁判所についての問題。江戸時代の選挙事情について問われているため、現代だけでなく過去の政治についても対策が必要。(3)の記述問題は正答率が低く、無答率が全問題で一番高いが、記述問題は部分点がもらえることがあるため、指定された語句をヒントに記述できるようにしたい。

大問【8】国際 《解答数:3 配点:6点 難易度:標準》

発展途上国やエネルギー事情に関する問題。大問【8】では国際組織が複数登場するため、それぞれの組織がどのような役割を果たしているのかを理解する必要がある。2024年度と同様に、(2)は資料からの読み取り問題が出題されている。国際分野の大問のため、様々な国の情勢についての対策が必要である。

おすすめの大問別時間配分・解答順序

【1】6分→【2】6分→【3】6分→【4】6分→【5】6分→【6】5分→【7】5分→【8】5分→【見直し】5分

出題傾向(過去3年間)から見える入試対策(学習のポイント・入試本番までのスケジュール)

【出題傾向】

  • 難易度の高い問題が多数出題。
  • 複数の分野にまたがって出題される。
  • 完答問題が多い。

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【入試対策】

■8~9月:まずは基礎固め

『入試必修STUDY(文理)』『BUILDER受験版(学書)』『Sirius21まとめと完成 標準編(育伸社)』の第1部を使って全体の基礎固めを行う。歴史分野の近代以降は、世界にも目を向け学習する。さらに、地理や公民も全体の範囲の定着を図る。

■10~12月:苦手分野対策

10月以降は、返却された模試などを参考に、自分の苦手分野を把握し重点的に対策する。弱点の補強までは終わらせておくこと。図表や資料を用いた問題の読み取りの練習を行い、得点に結びつけることができるように、問題に解き慣れておくこと。

■1月~入試:過去問演習

過去問を実際の試験時間内で解答し、余裕をもって答えられるように、時間配分も体感的につかんでおきたい。『精選全国高校入試問題集(エデュケーショナルネットワーク)』も活用して総仕上げを行い、不安なく入試本番に臨みたい。

いかがでしたでしょうか。

公立高校入試は中学3年生のほとんどが通る大事な入試です。当記事の分析結果だけでなく、2024年度以前の過去問も必ず研究し、十分な対策をしたうえで挑み、合格を勝ち取りましょう。

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>