2025/11/17

高校受験の面接・志望理由書を完全攻略!押さえておきたいポイントと対策

高校受験では、筆記試験の得点だけでなく、面接や志望理由書を通じて求められる「表現する力」も大きな意味を持ちます。面接では自分の考えを正しく伝える力が、志望理由書では文章で筋道立てて表現する力が問われます。これらは一見すると勉強とは別物のように思えますが、実際には学力そのものを支える重要な要素です。本記事では、面接や志望理由書を攻略するための視点を整理し、高校受験で実力を十分に発揮する方法を紹介します。

INDEX

1.高校受験で求められる総合力とは?

1.1 面接・志望理由書と学力の相互関係

1.2 受験方式と評価基準の基本

2.【面接対策】高校受験面接の流れと準備方法

2.1 面接が課される理由と重視されるポイント

2.2 代表的な質問例と回答の組み立て方

2.3 面接官が見ている態度・マナーと印象アップのコツ

2.4 得点を落とさないための注意点とNG事例

3.【志望理由書】高校受験ならではの書き方の基本

3.1 志望理由書と自己PRの違いと役割

3.2 学校情報のリサーチと志望動機の具体化

3.3 自己分析のやり方:強み・経験・将来像を結びつける

3.4 説得力のある文章構成とストーリー性の作り方

4.まとめ・総括:面接・志望理由書を極めて合格への一歩を踏み出そう

1.高校受験で求められる総合力とは?

高校受験では、単純な暗記力だけでなく、知識を活用する力や物事を筋道立てて説明する力が求められます。具体的には「知識」「思考力」「判断力」「表現力」「自主性」という5つの力が総合的に試されるのです。そのため、入試では筆記試験の得点だけでなく、面接や志望理由書の内容も評価対象となります。つまり、テストの点数だけでなく、自分の考えを言葉や文章で伝える力も学力の一部として見られているのです。この観点を理解して準備することが、高校受験を乗り越える大きな鍵となります。

1.1 面接・志望理由書と学力の相互関係

前述したように、学力は「知識」「思考力」「判断力」「表現力」「自主性」が総合的に合わさって成り立っています。そのため、面接で自分の考えを整理して伝える力や、志望理由書で文章にまとめる力を磨くことは、単なる付け足しではなく、学力を伸ばす大切な要素です。例えば、志望理由書を書く練習を通じて「なぜこの高校を選ぶのか」を論理的に表現できるようになると、国語の記述問題や数学の証明問題にも強くなります。また、面接での受け答えを準備する過程は、判断力や即答力を高める場にもなり、入試だけでなく将来の進学・就職面接でも役立ちます。逆に準備不足のままでは「言いたいことが整理できていない」と評価を下げられかねません。したがって、面接と志望理由書への取り組みは、入試を突破するための土台であり、今後の人生でも活きる学力の一部なのです。

1.2 受験方式と評価基準の基本

入試の評価方法は地域や学校によって異なりますが、大阪府の公立高校入試を例にすると特徴が分かりやすいです。大阪府では、入試の総合点が合格・不合格のボーダーライン付近にある場合、調査書や自己申告書(志望理由書)が重要な判断材料となります。つまり、点数が拮抗しているときに合否を分ける要素となるのです。また、他県でも前期入試や特色選抜では、志望理由書を用いた面接を実施する公立高校や私立高校が複数あります。

例えば滋賀県の守山高校普通科では、学校独自型選抜で志望理由書と面接が課され、全体の総合評価点1000点のうち200点を占めています。

したがって、「筆記試験の勉強が最優先だから」と軽視せず、面接や志望理由書の準備にも十分取り組むことが合格への近道です。

2.【面接対策】高校受験面接の流れと準備方法

高校受験における面接は、筆記試験では測れない部分を評価する大切な場です。多くの高校で面接が課され、受験生の人柄や目的意識などが問われます。面接の内容は志望理由や学校生活への姿勢など幅広く、入試全体の合否に影響を与える場合もあります。したがって、面接の流れを理解し、準備段階から本番を想定した練習を重ねることが重要です。ここからは、面接の意義や質問例、態度や注意点について詳しく解説します。

2.1 面接が課される理由と重視されるポイント

面接が導入されている背景には、学力だけでなく受験生の人間性や将来性を見たいという狙いがあります。学習意欲や進学後の目標が明確であるか、学校生活に前向きに取り組める姿勢があるかといった点が重視されます。また、答えの正確さよりも「自分の考えを相手に伝えられるか」が評価の中心です。そのため、日頃から自分の考えを整理し、根拠を持って説明できるように準備しておくことが大切です。

例えば、志望動機を説明するときに下調べをしている受験生は説得力を持って話せますが、何も調べていない場合は曖昧な回答となり減点につながります。面接は一問一答のテストではなく、対話を通じて総合力を確認する場だと意識して臨むことが大切です。

2.2 代表的な質問例と回答の組み立て方

面接でよく聞かれる質問には、ある程度のパターンがあります。事前に質問ごとの「答え方の型」を知り、練習しておくことで、落ち着いて受け答えができるようになります。ここでは代表的な質問例と、それに対する回答の組み立て方を整理していきます。

まず、面接の質問内容に対する回答は以下の基本手順に沿って組み立てていきましょう。

【共通の基本手順】

ステップ1:結論を先に言う
 最初に要点をはっきり伝えることで、答えの方向性が明確になります。

ステップ2:理由や根拠を述べる
 なぜそう考えたのか、具体的な理由を12つ加えます。

ステップ3:具体例を添える
 自分の体験やエピソードを挙げることで説得力が増します。

ステップ4:再度結論や入学後の展望につなげる
 「だからこの学校で〜したい」「将来〜を目指したい」とまとめると一貫性が生まれます。

① 導入質問

受験番号など、受験生の基本情報について聞かれます。姿勢を正して面接官の目を見て、一拍おいてから、落ち着いた声ではっきり答えるように意識しましょう。

例:「受験番号と氏名を教えてください。」

→「受験番号123番、山田太郎です。」

② 志望動機の説明

基本手順に沿って回答を組み立てていきます。

【ステップ1】結論=志望理由を一言で述べる。

【ステップ2】理由=学校の特色と自分の関心を結びつける。

【ステップ3】具体例=自分の経験を重ねる。

【ステップ4】再結論=入学後の目標や挑戦したいことを加える。

例:「本校を選んだ理由を教えてください。」

→「本校の理数探究コースに魅力を感じ志望しました。中学では自由研究で環境問題を調べ、その成果を発表する中で『自分の学びを深めて人に伝えること』に大きなやりがいを感じました。本校の課題研究活動でさらに探求力を伸ばし、将来は理工学系に進みたいです。」

③ 目標について

【ステップ1】結論=目標を一言で伝える。

【ステップ2】理由=その目標を持ったきっかけや経験を語る。

【ステップ3】具体例=高校生活での計画に落とし込む。

【ステップ4】将来像=卒業後の夢につなげる。

例:「この高校に入学したらやりたいことはありますか?また、卒業後の進路はどう考えていますか?」

→「入学後は英語スピーチ部に入り、発表力を磨きたいです。中学の英語発表会でクラス代表を務め、人前で話す楽しさを知りました。卒業後は国際関係の学部に進学し、世界とつながる仕事を目指したいです。」

④ ニュースや読書について

このタイプの質問は、受験生の意見や関心の広がりを見ています。そのため「事実の要約なぜ印象に残ったか自分の考え行動や展望」という流れで組み立てます。

【ステップ1】事実=ニュースや本の内容を簡潔に要約。

【ステップ2】理由=なぜ印象に残ったのか説明。

【ステップ3】自分の考え=学んだことや意見を述べる。

【ステップ4】行動や展望=高校生活につなげる。

例:「最近のニュースで印象に残ったものを教えてください。」

→「食品ロスの記事を読みました。まだ食べられる食品が捨てられている現状に驚きました。私は、この問題は環境にも大きな影響を与えると思いますし、私たち一人ひとりの意識で改善できる課題だと感じました。そこで文化祭では食品ロス削減の企画を提案し、地域と協力して取り組みたいと思います。」

⑤ 基本的知識に関する質問

基礎知識に関する質問は、知識をただ答えるだけでなく、それを「自分の理解や考え」として表現できると高得点につながります。
そのため「定義具体例意義自分の関心や学び」という流れで答えるのが効果的です。

【ステップ1】定義を端的に説明。

【ステップ2】具体例を挙げる。

【ステップ3】その意義を述べる。

【ステップ4】自分の関心や学びに結びつける。

例:「バリアフリーとは何のことですか?」

→「バリアフリーとは、高齢者や障害のある人が生活しやすいように段差などの障害を取り除くことです。例えば、駅にエレベーターを設置する取り組みが挙げられます。これは誰もが安心して暮らせる社会をつくる考え方であり、私自身も将来福祉やまちづくりに関わるときに大切にしたい視点だと思います。」

2.3 面接官が見ている態度・マナーと印象アップのコツ

面接では、話す内容と同じくらい「非言語的な要素」が評価されます。第一印象を大きく左右するため、基本的な態度やマナーを徹底することが重要です。

入室〜退室の流れ

・ドアを3回ノック「どうぞ」で入室ドアを静かに閉める。

・「失礼します」と言って礼をし、椅子の横まで移動。

・「どうぞ」で着席し、背筋を伸ばして座る。

・退室時は「ありがとうございました」と一礼してからドアを閉める。

姿勢・表情

・椅子には深く腰掛けず、背もたれに寄りかからない。

・視線を泳がせず、適度に面接官の目を見る。

・自然な笑顔を心がける。

声・話し方

・声は少し大きめを意識してはっきりと。

・語尾を伸ばさず「〜です」「〜ます」で締める。

これらを練習して自然にできるようになると、「礼儀正しい」「落ち着いている」といった印象につながります。逆に、背中を丸める、貧乏ゆすりをする、目をそらすといった態度は大きな減点要因になります。

2.4 得点を落とさないための注意点とNG事例

態度やマナーが整っていても、答え方に問題があると評価は下がります。ここでは「言葉の内容」に関する注意点やNG例をまとめます。

志望動機のNG

・「家から近いから」だけで終わる。

・学校の特色に触れない意欲不足と判断される。

知識問題のNG

・「分かりません」で終了する。

→ 最低限「聞いたことはあるが〜」「まだ十分調べられていませんが〜」と補足して前向きな姿勢を見せる。

会話の仕方でのNG

・面接官の質問を途中で遮る。

・長々と話して結論がぼやける。

・「えー」「そのー」のようなつなぎ言葉を多用する。

具体性を出すように注意する

・抽象語(頑張ります/一生懸命やります)はなるべく避け、経験や計画を示す。

例:「部活動での経験を生かして、運動部のマネージャーとして仲間を支えたい。」

言葉遣いと答え方は「準備すれば必ず改善できる部分」です。模擬面接を通して「NG表現」を事前に直すことが、得点を守る大きなポイントです。

3.【志望理由書】高校受験ならではの書き方の基本

志望理由書は、面接と並んで高校受験における重要な評価対象です。自分の言葉で高校を志望する理由を整理し、入学後の学びや将来の目標と結びつけて表現する力が求められます。単なる形式的な作文ではなく、学校側に「この生徒は本校にふさわしい」と思ってもらえるように仕上げることが大切です。ここからは、志望理由書を書くうえで知っておきたい基本の考え方と具体的な取り組み方を整理します。

3.1 志望理由書と自己PRの違いと役割

志望理由書と自己PRは混同されがちですが、それぞれ役割が異なります。志望理由書は「なぜこの高校を選んだのか」「入学後どのように学びたいのか」を示すものです。一方、自己PRは「自分にはどんな強みがあり、どのように学校生活に貢献できるか」を伝える場です。例えば、「本校は探究活動が盛んで、自分の好奇心を伸ばせると思った」と書けば志望理由になりますが、「探究学習では小学校時代から調べ学習に積極的に取り組んで成果を上げてきた」というのは自己PRの要素になります。このように、志望理由は学校との関係性、自己PRは自分自身の特性を強調する場だと整理すると書きやすくなります。

3.2 学校情報のリサーチと志望動機の具体化

志望校への理解を深め、動機に厚みを持たせるための調査手順です。公式情報と体験を組み合わせ、説得力のある根拠に落とし込みます。特にアドミッションポリシー(求める生徒像)は志望理由書や面接の評価基準となる場合も多いため、必ず確認しておきましょう。
【ステップ1】公式情報で基礎固め
学校HP・学校案内でアドミッションポリシーを確認し、求める生徒像のキーワード(例:主体性/探究/地域貢献)を抜き出します。
【ステップ2】一次情報で実感を得る
学校説明会・オープンキャンパス・部活動見学で感じた点を「事実気づき理由」の順にメモ。通学時間も計りましょう。
【ステップ3】志望動機に統合
「学校の特色×自分の経験×入学後の計画」で一文にまとめます。「家から近い」「有名だから」だけで終わらないようにしましょう。

例:「探究を重視する本校の理数探究に共感した。中学での自由研究経験を生かし、課題研究部で発表力を磨きたい。」

3.3 自己分析のやり方:強み・経験・将来像を結びつける

志望理由書では、自分の経験や性格を踏まえて「この高校でどう成長したいか」を書く必要があります。そのためには自己分析が欠かせません。

【ステップ1】経験の棚卸し
教科成績/部活・委員会/検定/行事での役割/家庭・地域活動を書き出します。

【ステップ2】強みに言い換える
経験を行動特性で表現し、具体エピソードを添えて強みとして整理します。

1:「学級委員としてクラスの意見をまとめた」強み=リーダーシップ・協調性

→「文化祭の準備で意見が対立したとき、双方の意見を整理してまとめ、時間内に計画を進めた。」

2:「部活動でレギュラーを目指して努力した」強み=粘り強さ

→「走力が課題だったため毎日自主的にタイムを測り、学期末には記録を大幅に更新できた。」

【ステップ3】学校の特色と接続
3.2
の学校情報のリサーチで抽出したキーワードと自分の強みの「対応表」を作成。合致点を志望理由の核にします。

〇対応表のイメージ

自分の強み・経験

学校の特色(公式HPや説明会で確認)

志望理由につなげる表現例

リーダーシップ・協調性(例:学級委員として意見をまとめた経験)

探究活動やグループワークを重視

「リーダーシップや協調性を生かして課題研究で意見をまとめ、より良い発表につなげたい」

〇対応表を基にして志望理由を文章化する。

「私は文化祭準備で意見が対立したときにまとめ役を務め、全員が納得する形に導いた実績から、リーダーシップや協調性を強みとしています。本校はグループ活動を重視しているため、この強みを生かして課題研究でも意見を整理し、より良い成果発表に貢献したいと考えています。」

【ステップ4】将来像へとつなげる
「高校3年間での目標卒業後の展望」を一本の線に。

良い例:「中学での学級委員の経験グループでの課題研究において、仲間と協力しながら成果を出す姿勢を大切にし、全体でより良い研究を仕上げたい大学では社会学や地域政策を学び、多様な人と協力しながら地域活動や社会課題の解決に携わりたい。」

NG例:強みの羅列のみで、学校での活用や将来と結びついていない。

3.4 説得力のある文章構成とストーリー性の作り方

読み手が追いやすい型を使い、数字や固有名詞を盛り込むことで具体性を高めます。
【ステップ1】型を決める
「きっかけ志望動機入学後の目標将来の展望締め」の順で構成。
【ステップ2】各段の要旨を1行で作る
要旨具体例を12文追加数字・固有名詞を加えて厚みを出します。

(例)

きっかけ:「地域清掃の企画に関わった経験」

志望動機:「協働や発表を重視する本校に魅力を感じた」

入学後の目標:「課題研究活動で地域課題を扱う」

将来の展望:「学外に発信し、将来の進路につなげたい」

締め:「だからこそ本校で学びたい」

【ステップ3】論理の接着剤を入れる
そこで/だから/一方で/具体的には――などの接続語で段落間を滑らかに。
【ステップ4】推敲チェック
主語述語の対応/同語反復の削減/抽象語の具体化/語尾の統一(「です・ます」)。

(推敲チェックを踏まえた完成例)

「私は中学2年のとき、地域清掃の企画で20名のメンバーをまとめた経験があります。そこで協働の大切さを実感し、人と協力して成果を出すことに強い関心を持ちました。そのため、探究活動や発表の機会を重視する本校に魅力を感じています。具体的には、課題研究で地域課題をテーマにし、成果を学外にも発信したいと考えています。将来はこの経験を社会課題の解決に生かし、地域に貢献できる人材になりたいです。このような理由から、私は本校で学びたいと強く希望します。」

4.まとめ・総括:面接・志望理由書を極めて合格への一歩を踏み出そう

高校受験は、単に知識を問う筆記試験にとどまらず、面接や志望理由書といった多面的な力を試す場でもあります。そこでは、知識をどう活用し、どのように自分の考えを表現できるかが評価されます。面接では態度や会話力が、志望理由書では論理的な文章構成力や学校理解の深さが問われます。いずれも「知識」「思考力」「判断力」「表現力」「自主性」という学力の核心に直結しており、決して形式的な課題ではありません。だからこそ、事前の準備と練習が大切です。質問例や文章構成の型を用いれば、練習段階から具体的な力を伸ばせます。NG例を知って修正を重ねることで自信も養われます。筆記試験と並行して面接・志望理由書の対策に取り組むのは簡単ではありませんが、その努力は合格への大きな一歩となります。そして同時に、高校生活や将来の進路に役立つ力を着実に育てることにもつながるのです。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>

 

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