2025/12/15

【保存版】同志社大学の英語配点と得点戦略

受験生のみなさんは、志望校に向けての対策をどのように行っているでしょうか。「過去問を2~3回分解いておけばいいや。」と漠然と取り組むだけでは、高い効果は見込めません。過去問を使って演習する最大の意味は、一般の問題集から得ることができない情報を手に入れられる点にあります。出題形式や文章の特徴、論述の深さ、問題の誘導などには大学ごとに傾向があり、実際に過去問を解くことでその「大学のクセ」をつかむことができます。これは一般的な問題集では得られない貴重な情報です。また、間違えた問題を丁寧に分析することで、同じタイプの失点を繰り返すことが減り、本番での得点力の向上につながります。この記事では、同志社大学の英語の出題パターンを詳しく解説します。志望校合格に向けて、ぜひ今後の学習に役立ててください。

INDEX

■同志社大学英語入試の全体像と出題傾向
■非公開配点を推測するポイントと大問別戦略
■時間配分と目標点数の考え方
■同志社英語対策に必要な学習法と参考書選び
■まとめ・総括

 

■同志社大学英語入試の全体像と出題傾向

同志社大学の英語は、試験時間100分、大問3題(長文問題2題・会話文問題1題)で構成され、200点満点です。小問数は日程によって多少違いがあり、2025年度入試では4749問でした。なお、大問ごとの配点は公開されていますが、小問ごとの配点は非公開です。

大問Ⅰ・Ⅱの長文問題は、問題数や細かい配点に毎年多少の違いはあるものの、どの年度も共通して合計150点配点です。扱われる長文はどちらも700900語で、これは一般的な大学入試の問題の中でもかなり語数の多い部類に入ります。テーマは科学、文化、医学など多岐にわたり、学術的な内容であるため高い語彙力が必要となります。また大問の会話文問題では、会話中の空所に入る文を選択する問題と、日本語で書かれた一文を英訳する問題の2種類が出題されます。長文問題よりも語の難易度は低く読みやすいものの、400600語とこちらも語数は多めです。また、日常会話を題材としていながら、1つのテーマについて深く議論する場面が多いため、やや難解な語が使われる場合もあります。全体として、語数の多い文章を読みこなす読解力が問われる形式といえます。

さらに、多くの私立大学の入試問題はすべて選択式であるのに対し、同志社大学には大問またはに和訳問題、大問に英訳問題があり、計2問が記述式で出題されます。特に英訳問題は日常的な会話表現を英語にする形式で、答えが一つに決まらないため、自分の持っている知識をうまく組み合わせて自然な英文を作る力が試されます。

〇試験形式と問題構成

大問Ⅰ・Ⅱの出題形式は基本的にAF6種類で構成されています。このうちAEは共通して出題され、Fの和訳問題は大問のどちらかで1問のみ出題されます。

A:空所補充

B:下線部の語句の同意表現

C:下線部の内容の同意表現

D:部分的な語句整序問題

E:文章の内容一致 F:英文和訳問題

ただし、上記の出題形式以外の問題も稀に出題されます。2021年以降には以下のような問題が出題されました。いずれも文章全体または一部の内容理解を問う問題であり、AFの分類でいえばEの系統と同じといえます。試験中、想定外の問題に困惑しないよう、本文を読む前にまず問題文を一読しておくことが重要です。

・本文の内容に合うように4つの文を時系列順に並べ替える問題(2021年度)

・文章中の欠落した1文を挿入する場所を問う問題(2021年度)

・段落の適切な小見出しを選ぶ問題(2023年度 / 2024年度)

・文章に合う標題を選ぶ問題(2024年度)

・下線部の内容の具体例として適切でないものを選ぶ問題(2025年度)

〇問題別の特徴

下表は各問題で何の力が問われているかを示しています。「知識」と「思考」の部分の「低」~「最高」の表記は「(語彙・語法・文法などの)知識量」と問う問題であるか「読解力・思考力」を問う問題であるかを表しています。例えばBCはどちらも下線部の内容を問う問題ですが、Bでは語彙の知識量を問う問題にかかる比重が高く、Cでは前後の文脈から類推して下線部の内容を理解するため思考にかかる比重が高くなっています。単純に【難易度=知識依存度+思考負担】というものではなく、「思考負担」の値が高い問題ほど問題の難易度も高い傾向にあります。

大問Ⅰ・Ⅱ

設問

難易度

読解の焦点

知識レベル

思考レベル

主技能

A

易~標準

細部

語彙 / 文脈理解

B

易~標準

細部

語彙

C

標準

段落

意味抽出

D

最難

細部

最高

文構造の理解

E

全体

要約理解

F

細部

中~高

文構造の理解 / 語彙

問題の前半のABは語彙力の知識を問う問題、後半のCFは思考力を問う問題が出題されます。

大問Ⅲ

設問

難易度

読解の焦点

知識レベル

思考レベル

主技能

A

細部

語彙 / 文脈理解

B

細部

語彙

 

■非公開配点を推測するポイントと大問別戦略

配点を公開している大学の問題を参考に推測すると、難易度の高い問題ほど高い配点になることが予想されます。大問Ⅰ・Ⅱでは、ABは比較的易しいため配点が低く、CFは高い配点になるでしょう。また、大問Ⅲの英訳問題も難易度の高さから高い配点になると予想されます。英訳問題は記述形式であることに加え解答のハードルが高いため、無回答の受験生も多いことが考えられます。つまり、このでの得点は他の受験生に差をつけられると言えます。

なお、大問の細かな配点や問題数は受験日によって異なります。ただし、どの日程においても大問の合計点は共通して150点です。具体的な配点の目安については、202525日実施分の予想配点を参考にしてください。

〇大問Ⅰの配点予想(2025年度25日日程)

配点83

A:各3点(計9点)

B:各3点(計24点)

C:各3点(計12点)

D7点(完答)

E:各6(18)

F13

〇大問Ⅱの配点予想(2025年度25日日程)

配点67

A:各3点(計9点)

B:各3点(計24点)

C:各3点(計9点)

D7点(完答)

E:各6点(計18点)

〇大問Ⅲ(会話文・英作文)の配点予想

配点50

A:各4点(計32点)

B18

 

■時間配分と目標点数の考え方

大問Ⅰ・Ⅱは日程により問題数が異なるため、時間配分はその日の出題形式によって多少異なります。英文和訳の問題がどちらかの大問で1問出題されるため、英文和訳が出題されている方の大問に時間をかけて解答してください。

大問Ⅰ 3743 / 大問Ⅱ 3743 / 大問Ⅲ 15

2025年度では合格最低点は以下のようになっています。

学部ごとの合格最低点(一部抜粋)

神学部        全学部 360/500 学部個別 359/500

社会学部(社会学科) 全学部 381/500 学部個別 372/500

法学部        全学部 365/500 学部個別 372/500

学部により多少の違いはありますが、500点満点中380点以上(76%)を目標にしましょう。400点以上を安定して取る力がつくとかなり合格に近づくことができるでしょう。

〇実戦的な解答順序とテクニック 

大問Ⅰ・Ⅱの長文問題のEの問題で、8つの選択肢から本文の内容に一致する文を3つ選ぶ問題が出題されます。この問題では、いわゆる「スキャニング」と呼ばれる、解答の根拠にあたる部分を見つけ出す力が問われます。本文を読む前に選択肢に目を通し、何を問われているかを把握してから読解に入ることで、解答の根拠にあたる部分を探す時間を節約することが重要です。また、選択肢が8つと多いので、すべての内容を一度に暗記することは困難です。選択肢の内容を日本語でメモをとっておきましょう。選択肢の18の順番に対応する形で、解答の根拠となる部分も書かれています。つまり12に対応する内容は文章の前半、78に対応する内容は文章の後半に書かれているケースが一般的です。

また、過去問を使って学習をする際には、「正しくない選択肢がどのように作られているか」という点にも注意をすることが重要です。例えば過去(2024年度 法学部・グローバル・コミュニケーション学部日程)に以下のような問題が出題されました。この文章はアムステルダムで行われているすべての自動車を電気自動車に変えるという都市計画について書かれた英文です。

〔選択肢の英文〕

Amsterdam boasts more than 6,000 energy supply for electricity-powered vehicles, far exceeding the number of bases in Oslo and London.

(アムステルダムは電気自動車のための6000か所以上の公共エネルギー供給地を誇っており、それはオスロやロンドンの拠点数をはるかに超えている。)

〔本文の該当部分〕

The Dutch capital has more than 6000 public EV recharge points, making it one of Europe's top-three cities for charging infrastructure, alongside Oslo and London.

(オランダの首都には6000か所以上の公共の電気自動車充電ポイントがあり、オスロやロンドンと並び、充電が充実しているヨーロッパでトップ3の都市の1つである。)

一見すると同じ内容であると誤解してしまいますが、下線部のみが本文と選択肢で内容が異なっています。このように、一部の表現だけを変えているパターンが、正しくない選択肢で多く見られます。そしてほとんどの場合、文の後半に正しくない部分が隠されています。そのため、選択肢の後半部分は特に文章の内容と違いがないかをじっくりと見比べる必要があります。

〇過去問活用・配点と目標点

 過去問を使って演習を行うことで、以下のメリットがあります。

① 出題傾向を把握できる

② 時間配分の戦略を立てることができる

③ 自分の弱点を客観的に把握できる

④ 出題者の意図を読み取る力がつく

⑤ 学習の成果を数値で確認できる

①~⑤のメリットについてもう少し詳しく解説します。

①過去問を解くことで、よく出るテーマや形式、問題の難易度の傾向をつかむことができます。これにより、どの分野を重点的に学習すべきかが明確になります。特に大問Ⅰ・Ⅱで出題される文章内容の理解を問う問題(CE)では、正しくない選択肢がどのように作られているかに注意を払いましょう。選択肢の作り方には、出題者のクセが表れやすいためです。

②試験時間内に全ての問題を解き終えることができるのかを確認し、どうしても時間内に解き終えることができない場合はどの問題を優先するのか、戦略を立てる必要があります。事前に入念な戦略を立てることにより試験当日の緊張の軽減にもつながります。

③得点や解答の見直しを通して、理解が浅い単元や苦手な形式を発見できます。その結果、復習の優先順位を立てやすくなり、効率的な学習計画を立てることができます。例えば、大問Ⅰ・Ⅱで出題される長文問題の中でも、語彙の知識を問う問題(AB)、文章の内容を読み取る読解力を問う問題(CE)、文構造の理解を問う問題(DF)のように、問題によって求められる力が異なります。同志社大学の問題は文章を理解するうえで必要な能力がバランスよく出題されることが特徴です。

④各大学には出題者の癖があります。特にその癖が表れやすいものが長文問題の内容一致問題の「正しくない選択肢」の作り方です。これは23年分解いただけで判断することは難しいですが、より多くの問題を解くことでいわゆる出題者の「引っかけ」の作り方を見抜きやすくなります。

⑤同じ大学や模試の過去問を定期的に解くことで、得点の伸びを客観的に確認できます。これにより、努力の成果を実感でき、学習のモチベーション維持にもつながります。

 

■同志社英語対策に必要な学習法と参考書選び

同志社大学の英語で高得点を狙うためには、長文読解力・語彙力・文法力・英作文力をバランスよく鍛えることが重要です。この章では、まず長文読解や英作文の土台となる語彙・文法の強化ポイントを整理し、そのうえで、実際の過去問や参考書を使った具体的なトレーニング方法を紹介します。

〇基礎~応用を支える語彙・文法強化のポイント

① 語彙力

大問Ⅰ・Ⅱで出題される文章は学術的なテーマのものが多く、使用される語彙も高度です。Aの空所補充の問題では、適切な前置詞を選ぶ問題が多く出題されます。空所の前後の語と組み合わせた熟語の知識を問われている可能性が高いため、熟語の暗記も必須となります。また、Bの問題では下線部の意味に近いものを選ぶ問題が出題されます。そのため、同じ意味の単語、もしくは似た意味を持つ単語はまとめて暗記しておくことが重要です。出題される単語はCEFRの基準でB2C1レベルです。難解な英文を正しく理解するためには、語彙力の強化が必須です。語彙を増やすには多くの時間と労力がかかるため、早い時期から対策をすることが合格へのカギとなります。

同志社大学を含め、難関大学と呼ばれる大学では、大学入試向けの英単語帳に収録されている語を中心に30004000語程度の語彙力が必要とされています。まずは3000語の単語の暗記を目標にして学習に取り組みましょう。「3000語」と聞くととても多く感じるかもしれませんが、1年間(12か月)で3000語覚えるとすると、1か月あたり約250語、1日あたり89語ずつです。これまでの学習で既に知っている単語も含まれるはずなので、実際に「新しく覚える必要がある語」はもっと少なくなります。大切なのは、一気に覚えようとせず、毎日少しずつ継続して取り組むことです。

CEFR(セファール:ヨーロッパ言語共通参照枠)とは英語の難易度を判定するための国際的な基準。B2(中上級)は実用英語技能検定(以下、英検R)2級~準1級レベル、C1(上級)が英検R準1級~1級レベルにあたる。

〈単語帳について〉

ほとんどの受験生のみなさんは学校で指定された単語帳を購入しているかと思います。まずは今持っている単語帳に掲載されている英単語を完璧に暗記しましょう。そのうえで、さらに高いレベルの語彙力をつけていくためにおすすめの単語帳と、その特徴を紹介します。

システム英単語(駿台文庫)

1章から5章まで分かれており、1章(高校基礎レベル)から4章(最難関大レベル)まで徐々に難易度が上がっていきます。「1章や2章の単語は分かっているから3章から勉強しよう」といったように自分のレベルに合わせたところから始められることが利点です。この単語帳の一番の特徴は、5章で収録されている多義語のページです。大問Ⅰ・ⅡのBの問題で出題される同意語句を答える問題ではしばしば多義語が出題されます。この問題の対策として5章は非常に有効です。

・速読英単語 上級編(Z会)

難関大をめざす人向けの英単語帳で、学術的なテーマで使用される上級語約900語が収録されています。通常の大学入試向けの単語帳よりも難易度が高い語が収録されていることが特徴です。また、長文が収録されているため読解の演習と同時に英単語を学習することができます。

・英検準1級 でる順パス単(旺文社)

本来は英検の受験に向けた単語帳ですが、英検準1級の長文では学術的なテーマの文章から出題されるため、同志社大学で出題される文章と傾向がかなり近いです。難解な語彙のみを収録されているため、基礎レベルの単語は完璧に暗記できたうえで、より高いレベルの語彙力をつけたい人におすすめの単語帳です。

② 文法

大問Ⅰ・ⅡのDでは文章中の1文が部分的に空所になっている形式の語句整序が出題されます。日本語の意味が提示されないため、かなり高難易度の問題です。一般的な整序問題と同様に語順の感覚が必要ですが、それに加えて、「どの品詞がどの位置に入るのが自然か」を判断する文法力が不可欠です。まずは選択肢の単語の品詞を見極め、その品詞を入れるべき位置を推測していきます。このような問題に対応するには、文型(第1〜第5文型)や時制、助動詞、関係詞、前置詞などの基本文法を一通り復習しておくことが重要です。〈おすすめの教材(文法・語法)〉

・大学入試 全レベル問題集 英文法4 私大上位レベル(旺文社)
・大学入試 全レベル問題集 英文法5 私大最難関・国公立大レベル(旺文社)

タイトルの通りレベル別に分類された問題集です。同志社大学は5の私大最難関・国公立大レベルに分類されていますが、4の中にも入試問題に直接関係する内容が多く含まれているため、まずは4から学習することをおすすめします。前置詞・準動詞・動詞の語法に関する章は特に重要です。大問Ⅰ・ⅡのAの空所補充の問題では、選択肢が前置詞の問題が多く出題されます。その多くの場合、前の動詞と組み合わせた動詞の語法が問われます。これらの単元は、知識量を試す問題であるため、演習を重ねて知識の定着を図りましょう。Eで出題される動詞の部分的な空所補充の問題の中では、選択肢の語形変化している動詞を空所にどのようにあてはめるかが、解答のポイントとなる場合が多いです。また、510章でtellsayの使い分けについての解説があります。これは大問Ⅲの和文英訳の際に役立ちます。この2つの単語の使い分けがあやふやな人は読んでおきましょう。

〇実践力アップをめざす長文読解と英作文の練習法

【長文読解】大問Ⅰ・Ⅱ

同志社大学の長文問題では、難易度・語数ともに高い水準が求められます。これに対応するためには、「多読」と「精読」をうまく組み合わせた学習が非常に効果的です。

多読とは、"たくさんの英文を読む"練習です。内容を完璧に理解する必要はなく、「文章の流れや要点をつかむ」ことが目的です。わからない単語があっても立ち止まらずに読み進め、「だいたいこういう内容だな」と把握する力を養います。多読を続けることで、英語を英語のまま理解するスピードが上がり、語感も自然に身につきます。教材は英語ニュースサイト(BBC Learning EnglishNewsela など)や、自分の興味のあるテーマの記事が最適です。

一方で、精読は"1つの文章をじっくり読み、正確に理解する"練習です。文構造を丁寧に分析し、主語・動詞・修飾語の関係を確認します。知らない単語や文法事項は調べてノートにまとめると効果的です。精読を行うと、文法理解と論理的読解力が鍛えられます。

理想的には、平日に短い英文で多読、週末に長文を精読するなど、多読(量)と精読(質)を交互に行うことが望ましいです。これにより、速さと正確さをバランスよく伸ばすことができます。

〈問題タイプ別対策〉

(空所補充問題)

空所補充では「前置詞」「関係詞」「接続詞」が問われることが多く、難解な単語など語彙力を問う問題が出題されることはありません。それぞれの対策を見ていきましょう。

前置詞
空所の前の単語を組み合わせて動詞の語法を問う問題が中心です。選択肢が前置詞の場合はその前にある動詞に注意を払いましょう。以下の問題は2021年度(神学部・商学部・心理学部・グローバル地域文化学部日程)に出題された問題の抜粋です。

America, where the number of hours worked has been climbing and where cellphones and email reminded us ( X ) our jobs 24/7.

(X) 1 for 2 in 3 of 4 to

空所の前にあるremindedに注目してください。remindremind A of BABを思い出させる」という形を知っていれば、この文を訳すことなく3が答えであると判断することができます。

関係詞
文法の知識が問われています。特に関係代名詞と関係副詞の違いが理解できていない人は必ずその点を学習しておきましょう。

接続詞
空所の前後関係を正しく理解できているかが問われる問題です。例えば、「原因」→「結果」や「判断」→「根拠」といった文章の流れに注意を払いましょう。

B(類語選択問題)

文章中の下線部の語句と同じ意味の語句を選ぶ問題です。下線部と選択肢の単語の知識のみで判断できる場合がほとんどですが、出題される単語のほとんどが難解な語ばかりで高い語彙力が試されます。ただし下線部の後ろの部分と結合して連語となっている場合も稀に出題されます。下線部の単語が明らかに中学で学習するレベルの英単語の場合は後の部分との熟語である可能性を疑いましょう。

C(同意表現選択問題)

Bの問題とかなり近い形式の問題ですが、Bよりもやや長いフレーズの同意表現が問われます。Bが語彙力を問う形式の問題に対して、Cでは抽象的な表現に対して正しく意味を読み取ることができているかが問われます。そのため、下線の部分のみの意味で判断するのでなく、その前後の内容とつなぎ合わせて意味を判断する力が求められます。

D(部分的な語句整序問題)

文章中の1文の5~6か所が部分的に空所になっていて、その空所の中の3か所(日程によっては2か所)を答える形式の問題です。一般的な語句整序問題と考え方は同じですが、日本語が提示されていないため高度な文法の知識と与えられた情報の中で組み合わせを判断する力が求められます。ポイントは動詞の語形変化に注目することです。例えば主節が過去形の文の中に動詞の原形の選択肢がある場合、toや助動詞の後に続く、選択肢に~ingの形がある場合には前置詞とセットになる可能性があるというように、他の選択肢とつなげていくための判断材料になります。

E(本文についての正誤問題)

8つの文の中から文章の内容と一致するものを3つ選ぶ形式の問題です。選択肢が多いため、すべてを頭に入れた状態で文章を読むことは困難です。文章を半分程度読み終えた時点で前半5つの正誤を判断、残りの半分を読んだ時点で後半の5つの正誤を判断して解答を導き出してください。

F(英文和訳)

文章中の1文、もしくは文の一部に引かれた下線部を日本語にする問題です。文の構造(特に主節の主語と動詞がどこにあるか)の判断が重要です。その後は動詞の語法に注目して第1~5文型のどれにあたるかを判断します。当然、出題される文はどれも複雑な構造であるので、文構造の理解力が試されます。文の構造の判断が難しいものとして、複数のandが存在する問題が挙げられます。以下の問題は2022年度(法学部・グローバル・コミュニケーション学部日程)で出題された問題の抜粋です。四角で囲まれた2か所のandはどことどこを結んでいるかわかるでしょうか。

However frivolous it seemed, its simplicity clarified his thinking and allowed him to isolate the key points of good experimental design and good statistical analysis.

まず、最初のandclarified his thinkingallowed him statistical analysisを結ぶ働きをしています。2つ目のandgood experimental designgood statistical analysisを結ぶ働きをしています。このようにandが複数存在する場合、それぞれのandがどことどこを結んでいるかを判断することが重要となります。コツとして、andの後ろに注目をしてください。andは同じ種類の形(例えばandの後ろに動名詞が続いていれば前にも動名詞がありその2つをandで結んでいる)を結ぶというルールがあります。そのため同じ形を前から探すことで、1つ目のかたまりがどこから始まるかが判断できます。1つ目のandの場合は後ろに動詞が続いているため前の動詞から探し、2つ目のandは後ろに〈good+名詞〉と続いていて、good experimental designとあるのでこの2つを結んでいると判断することができます。

〈おすすめの教材(長文)〉

ライトパス英語 読解編(成学社)

Part1 読解キーポイント」と「Part2 テーマ別演習」の2つに分けてPart 1では解答の根拠となる部分をどのようにして見つけるかといった問題を解くためのテクニック、Part 2では長く難解な文章を正しく読み取るためのテクニックに焦点をあてて解説がされています。特にPart1の第4講(2)「言い換え表現」の中で解説されている抽象的な言葉と具体的内容の説明は、大問Ⅰ・ⅡのC(本文中の下線部が引かれた抽象的な言い回しの具体的内容を選択肢の中から選ぶ問題)の問題に非常に役立ちます。また、大問Ⅰ・ⅡのEで本文の内容に合う文を選択する問題が出題されますが、選択肢が正誤を判断する際にPart 1 8講「因果関係を読み取る」や第10講「賛否の対比を読み取る」の内容が非常に役立ちます。

【会話問題】大問Ⅲ

① 空所補充対策

会話文の中にある8か所の空所部分に適する文を10個の選択肢(2つ使用しないものが含まれる)から選ぶ問題です。選択肢の英文は直訳しただけでは意味を理解することができない会話表現特有のフレーズ(piece of cake「朝飯前だよ。」など)は出題されません。会話表現の知識を問う問題ではなく、文章の内容を正しく読み取ることができているかどうかが問われる問題です。空所の前後のつながりと読み取り、空所にどのような内容が入れば自然な会話の流れであるかという視点から適切な選択肢を判断します。また、空所直後の it that にも注意が必要です。これらが指す内容が空所に入ることが多いため、文脈をもとに「具体的に何を指しているか」を考えることがポイントです。

② 和文英訳対策

日常的な会話の一文を英訳する問題が出題されます。ここで重要なのは、出題者が「その文で何の文法事項を使わせようとしているのか」という出題意図を見抜く力です。重要な文法事項としては、「関係代名詞や前置詞を用いた後置修飾」、「過去完了」、「仮定法」、「比較」の4つが挙げられます。

例えば2018年度 (政策・文化情報(文・理)生命医科・スポーツ健康科(文・理)学部日程)で以下の問題が出題されました。

「特に水泳は、身体に過剰な負担をかけずに運動するにはよい方法なんだ。」

この問題でポイントとなる部分は「身体に過剰な負担をかけずに運動する」をどう英語に置き換えるかです。ここで重要なのが、2語以上で名詞を修飾する場合、修飾する語句は名詞の後ろに置く(後置修飾)ということです。これは中学の文法で学習する基本的な知識ですが、日本語にそもそも後置修飾というものがないため、苦手な人が多いです。「運動をする」をdo exerciseと表現して、このexerciseに対して「身体に過剰な負担をかけずに」という内容をあとに置くと考えて、without placing a heavy burden on your bodyと表現します。このようにこの問題では、「あなたは後置修飾というものを正しく理解していますか。」という出題者からのメッセージを受け取ることができるかどうかが重要です。もちろんburden「負担」やplace A on BBAを与える」などの語彙力も求められます。そのため、英文を構築するための文構造の理解と語彙力の両方の学習が必要です。

〈おすすめの教材(ライティング)〉

必修編 英作文のトレーニング(Z会)

同志社大学の和文英訳で出題されるレベルと非常に近いため実践的な演習として使いやすいです。特徴としては、間違えやすい例とその間違いに対する解説が充実しています。また解説が、教師役と生徒役のキャラクターの会話形式でされているため、固い表現の多い文法書よりも読みやすいです。最後の暗記例文が100個収録されていますが、そのまま丸暗記しておくだけで和文英訳の際に役立つフレーズが多く含まれている点もおすすめです。

 

■まとめ・総括

同志社大学の英語入試は、長文2題と会話問題1題からなる100分・200点満点の試験で、特に記述式の和訳・英訳の出題が特徴です。解答時間は、長文2題に約80分、会話問題に15分を目安に取り組みましょう。また、思考力を要する問題や英訳問題の配点が高く、ここで得点できるかが合否を左右します。入試科目全体で76%(380点)、確実に合格を狙うためにはコンスタントに80%400点)を目標にしましょう。

対策としては、「多読」と「精読」を組み合わせることが重要です。それから、語彙面では、類義語や熟語、前置詞の使い方をまとめて覚えることが効果的です。文法では、語句整序や英作文対策を通して、文の骨格や修飾関係を正しく把握する力をつけていきましょう。また、会話問題の英訳では、出題文から問われている文法を見抜く力がカギです。仮定法や比較、後置修飾などを重点的に復習しましょう。
このように過去問演習を通じて出題傾向をつかみ、時間配分や弱点を分析することで、実戦力を高めることができます。

今回は同志社大学の英語について入試問題分析やその対策方法を紹介しました。フリーステップ教育技術研究所では、同志社大学以外にも関西大学・関西学院大学・立命館大学の関西の難関私立大学(関関同立)や産近甲龍の最新入試問題に関して前期日程の問題をすべて分析しています。これにより「大学受験に強い」を実現させています。なお、他教科・科目の分析や対策方法は、「WAY TO GO! 関西8大学大研究Special(開成教育グループ)」に掲載されています。詳しくは最寄りのフリーステップの教室へお問い合わせください。

他大学・教科・科目の分析も参考にして、多くの合格を勝ち取りましょう。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>