2026/03/23
関西 受験・進学情報だより【大阪府 高校入試制度】
公立の中学校に通うご家庭には必ず訪れる高校受験。高校受験の制度は都道府県や時代によって異なるため、学校成績(通知表)の扱いや選抜方法が、想像していたものと違う場合も少なくありません。受験制度の概要を早い段階で理解しておくことで、必要な対策が見えてきます。早期から適切な対策を行うことで、合格の可能性は高まります。しっかりと準備を進め、志望校合格を実現しましょう!
こちらの記事では、大阪府の高校入試制度について簡単に解説していきます。また、2028年度(令和10年度)入試からの入試変更点もまとめていますので、今後大阪府の高校入試を考えている方はぜひ参考にしてください。
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INDEX ■2028年度入学者選抜からの変更点 |
■2028年度入学者選抜からの変更点
はじめに、大阪府の高校入試について、2028年度(令和10年度)入試からの変更点を説明します。
・入試期間の短縮
現行の特別入学者選抜(2月)と一般入学者選抜(3月)が「一般入学者選抜」に一本化されます。そのため、公立高校入試は帰国生選抜や自立支援選抜など一部の選抜を除き、原則として府内すべての公立高校で3月上旬に試験が実施されます。
・⾃⼰申告書、調査書中の「活動/⾏動の記録」の廃⽌
これまで全員が提出していた⾃⼰申告書は廃⽌し、各⾼校が学校特⾊枠に必要な選抜資料を設定します。なお、⼀般選抜のエンパワメントスクール、定時制‧通信制の課程や⼆次選抜等では、新たにエントリーシートを提出します。
調査書に記載する項⽬は各教科の評定のみとし、「活動/行動の記録」は廃止します。
・学校特色枠の導入
学校特色枠とは
一般選抜(全日制の課程)では、学校特色枠を導入します。⾼校がアドミッション‧ポリシーを踏まえて「特に求める具体的な⽣徒像」を提示し、求める⽣徒像に合致する⽣徒を優先的に合格とします。
⚫︎学校特⾊枠は、原則として募集⼈員の50%以下の⼈数で、学校‧学科等の特⾊に応じて各⾼校が設定します。
⚫︎学⼒検査(1⽇目)に加え、⾯接やプレゼンテーション等、各⾼校が独⾃に設定した試験を受験します。
⚫︎希望者のみが応募します。応募できる学校特⾊枠は1つです。学校特⾊枠のみの受験はありません。
合格者の決定手順
⼀般選抜では、各高校が独自に定める「学校特色枠」による「第1手順」と総合点による「第2手順」の2つの手順で合格者を決定します。まず、第1⼿順による合格者を決定し、次に第1⼿順による合格者を除いた全ての志願者(第1手順で合格とならなかった者、学校特色枠に応募しなかった者)を対象として、第2⼿順による合格者を総合点順に決定します。
※大阪府教育庁リーフレット「令和10年度以降の公立高等学校入学者選抜制度について」より
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出願から合格者の決定までの流れ
合格者の決定手順をふまえて、出願から合格者決定までの全体的な流れを見てみましょう。出願にあたっては、学校特⾊枠に応募するかどうかを選択できます。複数学科を設置している⾼校へは第2志望学科まで出願ができます。その後、指定された日程で学力検査を受験し、学校特色枠を志願する場合は各⾼校が独⾃に設定した試験を2日目に受験します。合否判定については、学校特色枠に応募した場合は前述の第1手順・第2手順で、学校特色枠に応募していない場合は第2手順の段階から合格者が判定されます。
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※大阪府教育庁リーフレット「令和10年度以降の公立高等学校入学者選抜制度について」より
・第2志望校への出願機会
一般選抜(全日制の課程)において、公立第1志望校に加え、公立第2志望校についても出願できる機会を設けます。当該⾼校を第1志望とする志願者数が募集⼈員に満たない場合に、第2志望とした志願者から合格者を決定します。
出願
第2志望校への出願締切は、第1志望校の出願締切よりも後に設定されます。複数の学科を設置している⾼校では、第2志望学科まで志願することができます。 エンパワメントスクール‧ステップスクールを含む全⽇制の課程が対象です。
合格者の決定
第1志望校で受験した学⼒検査(国語、数学、英語)の共通問題の点数と調査書の評定を活⽤して合格者を決定します。第2志望校を志願することによる新たな検査はありません。
・英語資格の読み替え率の変更
大阪府公立入試では、学力検査「英語」において、外部機関が認証した英語力判定テスト(TOEFL iBT、IELTS、実用英語技能検定(英検®))のスコア等の活用が可能です。各種試験のスコア等に応じた読み替え率により換算した点数と、英語の学力検査の点数を比較し、高い方の点数が学力検査の成績となります。2028年度からは、スコア等の読み替え率が以下のように変更になります。
<読み替え率>
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■大阪高校入試の日程と選抜方法
次に、日程と選抜方法の概要を説明していきます。
入学者選抜の日程
2026年度の公立高校入学者選抜の日程は以下の通りです。表を参考に、2027年度以降入試についてスケジュール感をあらかじめ把握しておきましょう。なお、2028年度以降の入試では、特別入学者選抜(特別選抜)と一般入学者選抜(一般選抜)が「一般入学者選抜」に一本化され、試験日は3月上旬となるため注意してください
2026年度(令和8年度)入学者選抜日程
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大阪府公立高校入試について
選抜資料の扱いと調査書について
ここでは主に、特別入学者選抜(特別選抜)と、一般入学者選抜(一般選抜)それぞれについて選抜方法を説明します。
特別入学者選抜(特別選抜)
工業・体育に関する学科、音楽科、演劇科、総合造形科など実技検査を行う専門学科や面接を行う総合学科などで実施されます。原則、出願は1校1学科ですが、募集人員を複数の学科ごとに設定している学校においては、他の1学科を第2志望とすることができます。なお、特別選抜は2028年度入試より一般選抜に一本化される予定です。今回は全日制の課程専門学科と、全日制の課程総合学科(エンパワメントスクール)の選抜方法について説明します。
≪選抜方法≫ ●必須 ○各学校の判断により実施
※専門学科では学力検査と実技検査、総合学科(エンパワメントスクール)では学力検査と面接を実施します。
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<合格者の決定方法(面接実施の場合)>※実技検査実施の場合は、一般入学者選抜と同じ決定方法。
面接を実施する場合(総合学科(エンパワメントスクール)の場合)、2ステップで合格者を決定します。Step1では、国語、数学及び英語の学力検査の成績が府教育委員会の定める基準に達した者の中から、A(面接)、B(自己申告書)、C(調査書の「活動/行動の記録」)を資料として、「学校のアドミッションポリシー(求める生徒像)」に最も適合する者から順に合格とします。その際の評価比率は、A:B:C=2:1:1とします。Step2では、Step1の合格者を除いた者の中から総合点の高い順に合格者を決定します。
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一般入学者選抜(一般選抜)
特別入学者選抜を行わないすべての学科で実施されます。原則、出願は1校1学科です。
≪選抜方法≫ ●必須
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<合格者の決定方法>
一般選抜の合格者は、総合点の高い者から募集人員の110%に当たる者までを対象に、複数のステップに分けて決定していきます。まずStep1で、総合点の高い者から募集人員の90%に相当する者までを合格とします。次に、募集人員の110%に相当する者までのうち、Step1で合格が決まっていない者を「ボーダーゾーン」とします(Step2)。
Step3では、ボーダーゾーンの受験者に対し、自己申告書及び調査書中の活動/行動の記録を資料として、その高等学校のアドミッションポリシー(求める生徒像)に極めて合致する者を優先的に合格としていきます。Step3による合格者が募集人員を満たさない場合は、Step4で改めて総合点の高い者から順番に、募集人員を満たすまで合格者を決定していきます。
選抜方法のポイント
・自己申告書
出題テーマに沿って書き、原則全ての受験生に出願時の提出が求められます。
【テーマ例】
「あなたは、中学校等の生活(あるいはこれまでの人生)でどんな経験をし、何を学びましたか。また、それを高等学校でどのように生かしたいと思いますか。できるだけ具体的に記述してください。」
・学力検査問題の種類(英語・数学・国語)
英語・数学・国語の学力検査問題は、レベル別に分けられた3種類の問題の中から、各学校が選択します。A問題は基礎的内容、B問題は標準的内容、C問題は発展的内容を中心に構成されています。大阪府教育委員会が発表している、それぞれの問題の特徴を見ていきましょう。
【英語】
<筆記>
A問題
基礎的な語彙・文法の理解を問う問題とともに、基礎的な内容の英文を読み取る力を問う問題を中心に出題する。
B問題
基礎的な語彙・文法についての理解を問うたうえで、基礎的・標準的な内容の英文を読み取る力を問う問題を中心に出題する。
C問題
標準的・発展的な内容の英文の中から、話題や論理の流れに沿って必要な情報を素早く読み取る力を問う問題とともに、 一定量以上のまとまりのある内容を英文で適切に表現する力を問う問題を中心に出題する。
※問題文は、指示文を含め、すべて英語で構成する。
<リスニング>
A問題
自然な口調で話された英語からその具体的な内容や必要な情報を聞き取る力を問う問題を中心に出題する。
B問題
自然な口調で話された英語からその具体的な内容や必要な情報を聞き取る力を問う問題を中心に出題する。
C問題
自然な口調で話された英語からその具体的な内容や必要な情報を聞き取る力を問う問題とともに、「読む・聞く・書く」技能を統合的に活用する力を問う問題を出題する。
・英語資格試験の活用
A、B、C問題の全ての種類の検査問題で活用することが可能です。当日受験する学力検査の英語の得点と比較し高い方を最終的な学力検査の得点とします。合格証書を中学校に提出し、中学校長を通じて志願先高等学校長に提出してもらうことで活用が可能です。なお、読み替え率は2028年度に変更予定ですので、2028年度以降に入試を控えている方は注意しましょう。
<読み替え率>※2027年度入試まで
・大阪版中学校で学ぶ英単語集
A問題・B問題・C問題全て『大阪版中学校で学ぶ英単語集』から出題され、大阪府教育委員会のHPで公開されます。
『大阪版中学校で学ぶ英単語集』(令和4年6月改訂)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/9149/r6_eitangosyu_2.pdf
【数学】
A問題
基礎的な計算問題を出題するとともに、「数と式」、「図形」、「関数」、「データの活用」の基礎的な事項についての理解を問う問題を中心に出題する。
B問題
「数と式」、「図形」、「関数」、「データの活用」の基礎的・標準的な事項についての理解を問う問題を中心に出題する。
C問題
「数と式」、「図形」、「関数」、「データの活用」の標準的・発展的な事項について、数学的に処理し判断する力を問う問題を中心に出題する。
【国語】
A問題
基礎的な内容の文章を正確に理解する力を問う問題や、国語に関する基礎的な知識を問う問題を中心に出題する。
B問題
基礎的・標準的な内容の文章を正確に理解する力を問う問題を中心に、問われたことがらについて適切に表現する力を問う問題をあわせて出題する。
C問題
標準的・発展的な内容の文章を正確に理解する力を問う問題とともに、問われたことがらについて適切に表現する力を問う問題を中心に出題する。
・チャレンジテスト
チャレンジテストとは
2015年に大阪府教育委員会が導入した、府独自の統一学力テストです。府内の生徒の学力を分析し、課題を検証することに加え、公立高校入試に影響する調査書(内申書)の評定(絶対評価)が府内で適正に付けられているかを確認し、中学校ごとの評定のばらつきによる不公平をなくすことを目的として実施されます。
「チャレンジテスト」と「調査書(内申書)」の関係
調査書(内申書)の資料となる定期テストは中学校ごとに内容や難易度が異なるため、一般的に「テストが難しい学校では高得点を取りにくく、高い評定が付きにくい」「テストが易しい学校では高得点を取りやすく、高い評定が付きやすい」といった傾向が生じます。
チャレンジテストは、こうした学校ごとの差を是正し、府が示す「評定平均の範囲」を目安に、各学校が評定の付け方が適正かどうかを見直すために実施されるものです。
(チャレンジテスト実施概要(2025年度の情報をもとに作成しています。)
【対象者】
大阪府内の市町村立中学校の生徒
【実施時期】
中学1・2年生:1月
中学3年生:9月
【対象教科】
中学1年生:3教科(英語・数学・国語)
中学2・3年生:5教科(英語・数学・国語・理科・社会)
チャレンジテストの運用ルール・結果が評定値に与える影響
運用ルールは各学年統一で、チャレンジテストの学校全体の「評定平均」が府の平均を上回る場合により多くの生徒に高い「評定」をつけることができ、下回る場合にはその逆になるという仕組みがとられています。
実技4教科(美術・技術家庭・体育・音楽)の評定値の扱いについて
チャレンジテストを実施しない4教科(美術・技術家庭・音楽・体育)の評定学年平均に関しては、府全体の評定平均範囲とチャレンジテストによって示された範囲で評定をつけます。
上記の運用ルールを踏まえて、調査書の評定平均を検証していく手順をより具体的に見てみましょう。
<チャレンジテスト実施5教科(英語・数学・国語・理科・社会)について>
目的:各中学校の評定が、府全体の傾向と大きくずれないように確認します。
(1) 各中学校は、チャレンジテストの自校結果と大阪府教育委員会が公表する府全体の5教科の評定平均をもとに、「自校5教科評定の範囲(評定平均の下限~上限)」を決めます。
(2) 各中学校は、5教科の評定平均が、(1)で定めた自校5教科評定の範囲に入っているかを確認します。範囲外の場合は評価方法を見直します。見直しの結果、通知表の評定よりも調査書の評定が高くなる場合/低くなる場合があります。
例えば、X中学校とY中学校のチャレンジテストの平均得点と評定平均を比較した場合、平均得点が高いY中学校のほうがX中学校よりも「評定平均の範囲」の値が高くなります。つまり、Y中学校のほうがX中学校よりも高い評定をつけることのできる人数が多くなります。
<チャレンジテストを実施しない4教科(美術・技術家庭・体育・音楽)について>
目的:4教科についても、府全体の傾向と大きくずれないように確認します。
(1) 各中学校は、①府全体の4教科の評定平均±0.3の範囲と、②上で定めた自校5教科範囲を組み合わせて、「自校4教科評定の範囲(評定平均の下限~上限)」を設定します。
(2) 各中学校は、自校3年生の4教科の評定平均が、(1)で定めた自校4教科評定の範囲に入っているかを確認します。範囲外の場合は評価方法を見直します。見直しの結果、通知表の評定よりも調査書の評定が高くなる場合/低くなる場合があります。
例えば、府全体の4教科の評定平均が3.60の場合、府平均との差±0.3の範囲は3.30~3.90です。また、自校5教科評定の範囲が2.73~3.33の場合、自校4教科評定の範囲は 下限を2.73(自校5教科範囲の下限)、上限を3.90(府平均との差±0.3の上限)として、2.73~3.90となります。したがって、自校3年生の4教科の評定平均は2.73~3.90の範囲に収まる必要があります。
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■まとめと大阪府高校入試の重要ポイント
・ほとんどの学校において、内申点が重要になります。高い内申点を確保するには、まずは学校の定期テスト対策をしっかり行うことが大切です。
・今年新中学3年生になる方は、内申点対策と並行して入試対策も始めましょう。過去問の傾向を確認し、そこから逆算して、余裕のある計画で学習を積み重ねていくことが大切です。
・2028年度に入試を控えている方は、入試の変更点も踏まえて日々の学習に取り組んでいきましょう。
関西4府県の高校入試制度を比べると、「大阪では、学力検査問題がレベルごとに3種類に分けられている」「滋賀県では全ての学校で学校独自型選抜が実施される」など、都道府県ごとに特徴がある一方で、「公立は内申点と当日の学力検査点で合否が決まる」など、共通点も多く見られます。どの都道府県でも言えることですが、通知表の評定(内申点)をしっかり確保し、入試当日の学力検査で得点するためには、日々の学習の定着と入試対策の両方が欠かせません。早めに準備を進め、入試当日に力を発揮できるようにしていきましょう。
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>