2020/12/07

【中学受験保護者対象】過去問題集の活用法

 入試直前期は受験中学校の過去問題を使った実践的な勉強をすることが中心となります。今回はお子様が過去問題を有効に活用できるように、入試の過去問題の効果的な使い方のポイントを4つ紹介します。

※細かな点で判断できないことは塾の先生など中学入試問題の専門家にきくことをお勧めします。

≪ポイント①≫最新年度を除いた新しい年度の問題から解答する

 数年分の過去問題が一冊にまとまっている「赤本」を始めるときに注意しなければならないことは「最新年度を除いて、新しい年度の問題から始める」ことです。最新年度は入試本番の直前にいわばリハーサル用にとっておきます。古い年度からではなく新しい年度から始める理由は新しい年度の問題の方が、みなさんが受ける問題傾向に近いと考えられるからです。新しい問題から始めて、途中の年度から大きく傾向が変わったなら、それより古い問題にはそれほど時間をかけなくても良いことになります。逆に古い年度の問題から解いていくと、古い傾向の問題に時間をかけて、出題が予想される新しい傾向が疎かになる可能性もあります。

≪ポイント②≫出題傾向(必ず出題される単元とそれ以外の単元の区別)の把握

 入試問題には、各校の特色が必ず反映されます。したがって、過去問題を研究することによって、「どの教科に重点を置けば良いのか?」「どの分野に重点を置けば良いのか?」などが、明確に分かります。例えば、多くの中学校の算数の入試問題に共通する出題傾向として大問1は計算問題が出題されるというのがあります。その他にも、A中学は算数の大問3では必ず「速さについての問題」が出題される、B中学は大問2では「規則性についての問題」が出題される、あるいはC中学では大問番号は固定されていないが、毎年必ず面積比を利用して解答する図形問題が出題される、などです。これらの特徴は「赤本」のはじめの方に「出題傾向と対策」のような形で年度、大問ごとに出題されている単元が記載されているので、そこを参照してもらうことで分かります。

≪ポイント③≫効率良く(解答順序と時間配分を決めて)問題を解く練習をする

 これは、問題数、試験時間、問題配列を踏まえて、本番でどのように問題を解いていくか、シミュレーションをしておくことです。例えば、『算数の問題で試験時間は50分、大問1は計算問題、大問2は割合に関する問題、大問3は図形の面積に関する問題、大問4は流水算、旅人算、通過算のいずれか、大問5は規則性に関する問題、暦算、時計算のいずれかが出題される』という出題傾向の学校を受験するとして、「自分は計算と図形が得意でだいたい満点が得点できる、反対に割合や速さにかかわる問題が大の苦手で時間をかけなければならない」といった状態であれば、解答順序と時間配分は『大問18分→大問38分→大問510分→大問212分→大問512分』のようにして解こうと決めておくことです。これを決めるためには実際に何年度分かの過去問題をいろいろな解答順序や時間配分で解答してみないと判断できません。各学校の合格最低点は学校により異なりますが満点を取らなければならないわけではありません。ですから、制限時間内に合格に必要な得点(目標点)をとるための手順をいろいろ試しておくとよいです。

≪ポイント④≫復習すべき単元を絞り込む(頻出単元で自分が得点できていない)

 直前期になると入試までに残された時間は少ないです。過去問題で点数が合格点に届かないからといってすべての内容を再度復習するというのは非効率です。復習すべき単元を絞り込んで集中的に復習した方が点数の伸びが期待できます。
 単元の絞り込みを行うには、出題傾向の把握、お子様の大問別・単元別の平均的な得点状況、お子様が平均的に得点できない単元の問題が「合格するには正解すべき問題(基本~標準の難易度)」なのか「場合によっては正解する必要がない問題(難しい問題で合格者でも解けない人が多いであろう問題)」なのかを見極める、以上3つの情報から判断します。この3つの中で正解しなければならない問題か正解しなくていい問題かの判断はなかなか難しいので塾の先生に判断してもらうことが安心です。
 例えば、『算数の問題で大問1は計算問題、大問2は割合に関する問題、大問3は図形の面積に関する問題、大問4は流水算、旅人算、通過算のいずれか、大問5は規則性に関する問題、暦算、時計算のいずれかが出題される』という出題傾向の学校で「大問134はほぼ正解できる。大問2はほぼ正解できない、大問5は正解できたりできなかったりで特に得点できない単元があるわけではない。算数の合格点にはあと5点程度足りないことが多い。大問2は標準的な難易度しか出題されない、大問5は難問が出題されることも多い。」このような状況であれば大問2の割合についてのみ基本から入試標準レベルの復習を集中的に行うことが最も合格点に届く可能性の高い作戦となります。大問5は単元が複数の可能性があり、かつ難問も出題されることがあるので、復習の優先順位は大問2より明らかに低くなるということです。

 過去問題の活用にかかわる4つのポイントはいかがでしたでしょうか?フリーステップでは過去問題集に加えて、オリジナルの問題分析情報誌「中学入試問題分析・傾向と対策」や進路情報誌「WAY TO GO!小学生版」も利用して生徒のみなさんの志望中学の傾向を授業担当講師がしっかりと把握しています。また、一人ひとりの得手不得手を分析し、過去問題集に加え、類似問題演習に最適なフリーステップ独自の問題編集を行っている「中学入試問題パターンツール」も利用して試験までに効率よく点数をあげられるように指導しています。

 「とにかくがんばる」以上に、どの分野をどのように強化して点数をとるのか、狙って成績をあげる段階にはいってきていますので過去問題の分析と対策は今からしっかり行っていきましょう。

<文/開成教育グループ 個別指導部 教育技術研究所>