2022/11/14
人に寄り添う。成長させる。【講師フォーラム参加レポート】
発展~寄り添いと成長~
これは、今年度の講師フォーラムのサブタイトルです。今回の優秀教室や優秀講師の発表を聞いて、人に寄り添うことは、人を成長させることであり、ひいては、団体や集団を発展させることへつながっていくのだ、と感銘を受けました。発表内容を振り返りながら、そう考えた理由を報告していきます。
はじめに:講師フォーラムとは
フリーステップで毎年一度行われているイベントです。今年はオンラインでの開催となりました。成長力や合格力が評価され優秀教室に選ばれた4教室、および点数UPなどで優秀な成果を上げた講師を表彰するとともに、取り組んでいることを発表・共有し、フリーステップ全体のクオリティを上昇させることを目的としています。
優秀教室発表
今年度の優秀教室は、「日生中央教室(兵庫県川辺郡)」「石橋教室(大阪府池田市)」「松原駅前教室(大阪府松原市)」「堺東駅前教室(大阪府堺市)」でした。この4教室の発表後、講師投票によって、最優秀教室を決定します。
この章では、それぞれの教室での発表を振り返り、各教室の取り組みを紹介していきます。
日生中央教室
「生徒に成績UPの結果で喜んでもらう」のを目標に掲げていた日生中央教室ですが、そのためには課題がありました。テストまでに生徒の苦手が克服できないまま、定期試験を迎えてしまうことが多かったのです。
逆算型の授業のために、学校のテストの日程と、フリーステップのイベントを一目見て分かるようにするための「イベントカレンダー」を作成しました。これによって、テストへの意識を常に持つようになり、勉強の計画が立てやすくなりました。Lapテスト(フリーステップが作成した、各単元の内容確認小テスト)をテスト二週間前までに終わらせるようにしました。そうすると、Lapテストを通じて明らかになった苦手範囲を、テストまでの二週間を使ってしっかり復習できるようになりました。
以上さまざまな取り組みにより、勉強に対する生徒の意識、授業に取り組む講師の意識が変わりました。点数UP事例は前年度の二倍以上になったと言います。その頑張りは保護者へも伝達しました。「生徒に成績UPの結果で喜んでもらう」という当初の目標は、「保護者と生徒が成績UPの結果で一緒に喜ぶ」という喜ばしい結果へと上方修正されたのです。
石橋教室
学習塾として、生徒の成績を上げることは当然のことです。ではそれ以上に、生徒に来てもらえる塾を目指すためには、どうすればいいのでしょうか。石橋教室の出した結論は、「生徒・保護者に親身な塾」という考え方でした。そのため力を入れたことは、人間関係の構築、つまり、生徒が担当講師以外の講師とも関われる環境づくりです。
生徒へのサポートとして、生徒の担当講師以外の講師を「学習サポーター」となって月一回15分程度の面談を行うようにしました。生徒が担当講師以外にも気軽に質問できる空気感を構築したのです。
担当講師だけではなく、教室全体として、生徒の指導をする。その姿勢が功を奏し、生徒の増加率でめざましい成績となりました。生徒が同級生などにフリーステップを紹介し、それで入塾となった生徒数は、全教室平均の二倍の数値をたたき出しました。
松原駅前教室
前年度の松原駅前教室は、「講師の指導の方向性・力量がバラバラ」「講師と教室チーフ間の意思疎通ができていない」という課題を抱えていました。そこで、「情報共有」「講師力育成」に尽力するようにしました。
まず、「情報共有」という観点では、教室チーフと講師の間での会話が増加するようにしました。その結果、相互に情報が共有されるようになり、保護者面談において的を射た提案や指導を行えるようになり、面談のクオリティが上昇しました。それによって授業の質もまた向上しました。
新人講師に対する「講師力育成」は、①授業やカリキュラムの構成において、PDCAサイクルを意識させるため、新入社員研修で使われているようなグループワークを行うこと。②教室チーフ→ベテラン講師→中堅講師→新人講師、という階層別運営を行うことで、効率よく指導すること。③授業カリキュラムを作成するとき、生徒の性格や志望校なども書いておくというルールを設け、講師間で情報の差が生まれないようにすること。など、計五本の柱を紹介していました。
以上のような取り組みによって、個人指導や発問型指導といった、フリーステップの強みを最大限に活かした授業を行えるようになりました。
堺東駅前教室
生徒の退塾率が高く、それに悩まされていたという堺東駅前教室。課題解決のためには、教室一丸となって目の前の生徒に全力で向き合うしかないと考えました。
堺東駅前教室は、勤務年数が一年未満の講師が講師全体の三分の一を占めていました。彼らのレベルを底上げ・均一化するために、教室独自の講師マニュアルを作成しました。また、「メンター制度」という、理系講師と文系講師のペアをつくり、互いに授業内容や生徒の勉強進度について確認する制度を設けました。これらの取り組みにより、講師の質を向上させることができました。
続いて、「生徒と向き合う」という点では、各学期に一回、生徒と担当講師との面談の時間を設けたほか、保護者アンケートの結果を授業前に講師間で共有するようにしました。結果、一人ひとりに心がけるようになりました。
取り組みを続けていった結果、退塾率の減少を達成できたほか、点数UP事例、大学受験合格率も大幅に上昇しました。「生徒と保護者という顧客に向き合うことが大切である」として発表は締めくくられました。
最優秀教室
講師投票によって今年度の最優秀教室に選ばれたのは「日生中央教室」でした。しかし、どの教室も素晴らしい取り組みであったと思います。共通していることは、教室の抱える課題を明確にし、そのための改善策を継続的に講じているということです。よりよい教室に成長していくためには、それが肝要なのです。
ところで、筆者は、「どの教室が賞を取るか」よりもむしろ「優秀教室の取り組みを聞いて他教室がどうするか」が大切であると考えています。記事前半に述べた通り、この講師フォーラムは、フリーステップ全体の質を向上させることを目的としています。つまり、インプットしたものを、各教室がどういう風にアウトプットするかが大切なのであり、それによって講師や教室が成長してはじめて、今回のフォーラムに価値が生まれるのです。
次章では、「講師の成長」について、見ていきましょう。
優秀講師発表
続いて、優秀講師の発表を振り返っていきます。
合格体験記アワード......大森甲斐先生(門前仲町教室)
大森先生が最も意識していることは、「意思統一と目標管理」だそうです。本気で「志望校に行きたい」と意識してはじめて、目標実現のために本気で動くのだと言います。
そのため、合格というゴールのためには、生徒の不断の努力だけでなく、講師が生徒を分析し、モチベーションを管理することが必要不可欠となるのです。
点数UP優秀講師......出麹美紀先生(宮山台教室)
「生徒を知る」ことが大切だと語る出麹先生。コミュニケーションを通じて、「質問ができるのか」「意見が言えるのか」も含めた性格や、モチベーションや理解度を知ることが重要なのです。
そうして、生徒ごとに授業の進め方や取り扱う問題を変えることで、効率よく、点数UPさせることができるのです。
体験授業優秀講師......神原楓太先生(住道教室)
体験授業では、生徒の不安を80分で解消する必要があります。そのため、アイスブレイクが大切だと言います。生徒と講師の相互理解を深め、積極的に授業に参加してもらいようにするために必要なのです。
また、体験授業中に一番大切にしていることは、「小テストで満点を取る」授業を行うことだそうです。そうすると、「フリーステップに通えば点数UPする」と実感できるのです。
エキスパート講師取り組み発表......西関東ブロックリーダー・澁谷卓未先生(東久留米教室)
試験に合格し、「エキスパート講師」に選ばれた講師は、保護者面談に同席することができます。それによって、今までは生徒を通じてしか得られなかった情報を、保護者の目線を通じても得ることができるようになったと言います。
保護者の意見・想いも取り入れて指導することが「成長する」授業であると理解した澁谷先生。視野が広がり、人として成長できたと語っています。
まとめ:寄り添いと成長
記事冒頭、「人に寄り添うことは、人を成長させること」であると述べましたが、その通りであったのではないでしょうか。生徒に寄り添うだけではなく、保護者にも寄り添うことで、成績という面で生徒のみならず講師自身が成長するのです。
そして、講師の成長は、今まで以上に人に寄り添おうとする姿勢を生み出します。顧客たる生徒・保護者へ寄り添おうと思うからこそ、「このままではいけない」「もっと良くできる」という上昇志向が生じてくるのではないでしょうか。
「この教室が抱える問題は何だろう」「解決するためにはどうすればよいだろうか」......今年度の優秀教室となった4教室はまさに、人に寄り添うことで成長したと言えるのではないでしょうか。
<文/開成教育グループ 個別指導統括部 フリステウォーカー講師編集部:仲保 樹>