2020/08/31

【高1・2生必見】今から始める大学受験英語対策(関西8大学大研究より)

先日開催された関西8大学大研究・大学進学ガイダンス、皆さんはご覧になりましたか?

今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となってしまいましたが、当日サイト閲覧者数は11,585名を越え、難関私立を目指す皆さんや、志望校に悩んでいる皆さんにとって、とても有意義なイベントとなりました。

今回は次の受験を目指す高校12年生の皆さんに、今年の関西8大学大研究の中から役立つ情報をお届けします!

関関同立、産近甲龍の受験を考えている皆さんのために行われた、各大学別の英語試験攻略法をまとめた「英語入試問題完全攻略」では、各大学傾向に合わせたそれぞれの対策法について説明がありました。しかし、中にはそれぞれの対策に入る前の共通の英語学習方法もありました。今回はそちらをお伝えします。

8大学それぞれの出題傾向

まず、各大学の問題構成と出題傾向から見ていきましょう。

〈関西大学〉

関西大学の英語の試験問題は、会話文と長文読解で構成された計3問からなるマーク式の問題です。全体の約9割が長文読解問題であり、全体の語句数も多いことが特徴です。多くの文章を時間内に読むための読解力を重視した問題になっています。

問題のほとんどが長文読解ですが、ポイントとなるのは単語力、文法力などの知識の部分です。文中の単語の言い換えに気づけるようになるための同義語の知識や、段落整序問題を考えるための接続詞の知識などが重要になります。また、関西大学の問題傾向として、設問文が英語で書かれています。設問の内容は概ね何パターンかに分かれるため、よく用いられる単語を覚えることで対応できます。

〈関西学院大学〉

関西学院大学の英語の試験問題は、長文読解、文法・語法問題、語句整序問題、会話文で構成された計6問からなります。全学日程はマーク式ですが、学部個別・関学独自日程ではマーク・記述併用式であることに注意してください。

とにかく問題数が多く、全て解ききるにはスピードが重要となります。また、記述問題では、英文和訳の問題が出題されます。得点するためにはとにかく文法に忠実に訳すことを意識して解答することがポイントです。文法・語法の問題では、文脈や雰囲気に惑わされず、きちんと構造を分析した上で解答できるようにすることを心がけてください。

〈同志社大学〉

同志社大学の英語の試験問題は、長文読解と会話文で構成された計3問からなる記号問題を含む記述式の問題です。

長文読解問題の比率が高く、知識、読解力ともに高い水準が必要となります。長文読解の問題の中では類語や同意表現を問う問題が多く、文脈から意味を判断する問題も出題されます。また、会話文の中に和文英訳の問題が出題されるのが同志社大学の特徴です。なんの文法がポイントとなっているのかを読み解くことが得点へのヒントとなります。

〈立命館大学〉

立命館大学の英語の試験問題は、長文読解、会話文、文法・語法問題、語彙問題で構成された計5問からなるマーク式の問題です。

長文読解の割合が低く、問題数もそこまで多くはないため、きちんと知識があれば着実に点数をとることができます。特徴としては、長文読解の内容一致問題で、本文に一致するものしないものの他にどちらとも判断しかねるものという選択肢があります。本文の内容と選択肢を比較し、明らかに判断できるものを消去していくことがポイントとなります。

〈京都産業大学〉

京都産業大学の英語の試験問題は、公募推薦入試と一般入試で異なります。

公募推薦入試は文法・語法問題、長文読解、会話文で構成された計4問からなるマーク式の問題です。一般入試は長文読解、同意文選択問題、会話文、文整序問題、論理性把握問題、文法・語法問題、発音・アクセント問題で構成された計8問からなるマーク式の問題です。

公募推薦入試では文法・語法問題の配点が高く、基本的な知識が問われます。一般入試でも文整序や同意文選択など問題形式のバリエーションは増えるものの、文法・語法を問う問題の比率が高くなっているのが特徴です。いずれも時間に対して問題数がやや多いため、時間配分をきちんと意識することが着実に得点するためのポイントとなります。

〈近畿大学〉

近畿大学の英語の試験問題は、会話文、空欄補充問題、文法・語法問題、同意文選択問題、語彙問題、語句整序問題、長文読解で構成された計7問からなるマーク式の問題です。

公募推薦、一般入試ともに問題形式は全く同じですが、解答時間が60分と短く、時間配分を意識することが重要となります。言葉の定義と例文から当てはまる語彙を選ぶ形式の語彙問題が特徴的であるため、過去問演習で慣れておく必要があります。

〈甲南大学〉

甲南大学の英語の試験問題は、公募推薦入試と一般入試で異なります。公募推薦入試は長文読解、文法・語法問題、会話文、中文適文補充、適語補充で構成された計4問からなるマーク式の問題です。一般入試は読解、会話文と文系のみ解答が必要となる自由英作文問題1問で構成されたマーク・記述併用式の問題です。

公募推薦、一般入試ともに読解力重視の問題となっており、全体の67割が読解問題です。また、一般入試を受験する文系のみの自由英作文が特徴的ですが、起承転結を意識して簡単な単語で書くことがポイントとなります。また、読解問題の語数が多いため、読解スピードも重要となります。

〈龍谷大学〉

龍谷大学の英語の試験問題は、長文読解、会話文、語句整序問題で構成された計4問からなるマーク式の問題です。

公募推薦、一般入試ともに問題形式は同じです。読解問題が全体の6割前後と比率が高く、読解力が重視されます。解答時間は長めで、会話文の比率が比較的高いことが特徴です。

共通点とこれからの対策

以上の傾向から、高校12年生から始められる対策をお伝えします。

全体としてみれば、出題される問題は長文読解問題や会話文問題の割合が高くなっています。では、早いうちから長文の対策をすればいいのでしょうか?

結論から言えば、答えはNOです。確かに長文を時間内に読む練習もいずれは必要になります。ですが、今の時点でするべきことは長文をスムーズに読めるようになるための単語の暗記や、文法・語法の学習を進めることです。なぜなら、単語や文法は文章を読むために絶対に必要な知識であり、実際に設問でも単語力、文法力を問う問題が頻繁に出題されるからです。

例えば、同志社大学の大問Ⅰ-Bの長文読解では、同意表現を選択する問題が出題されることがあります。文中の単語や熟語に下線が引かれ、その語と意味の等しい選択肢を選ぶ問題です。こうした問題を解くためには、その単語がどのような品詞で、文章の中でどのような意味合いで用いられているかを判別することだけでなく、その語がどんな意味の語であるのかという単語の知識が必要です。さらに品詞を判別するには、その語が用いられている文がどの文型でどんな文構造をしているのかを見極める文法力が必要となります。

これらの問題をスムーズに解けるようになるためには、単語帳などで単語を覚える際に意味を一つだけでなくいくつか一緒に覚えることがおすすめです。また、単語帳にはほとんどの場合、単語ごとに類義語が掲載されています。こうした類義表現も一緒に覚えられるとなお良いでしょう。

文構造を判断できるようになるには、基本の文型や構文の知識ももちろん必要ですが、それを踏まえて構造分析をする回数をこなして構造分析に慣れることも大切です。学校のテキストでも、塾のテキストでも、長めの文章を読むときには意識して構造を見るようにしてください。主語にはS、動詞にはV、副詞節は[ ]で括る、などの印を自分で決めて、文章を読みながら印をつける癖をつけることも構造分析に役立ちます。

また、併願パターンを考えて学習を強化するポイントを定めていくこともお勧めします。例えば、京都産業大学と近畿大学では出題傾向が似ています。この2校を併願で志望するのであれば、他の6大学よりも文法・語法の問題の割合が高く、その出題形式がバラエティーに富んでいることを意識しなければなりません。同意文選択問題や整序問題も出題されることから、基礎的な文法を覚えるのに加えて同意表現や接続詞の知識を強化することが必要になります。

他にも、甲南大学と龍谷大学は問題の難易度や共に読解力重視で長文読解の比率が高い点で似た出題傾向にあります。長文問題が多いということは、読解速度が重要となります。短時間で大まかな内容を把握できるように、時間をはかって英文を読む練習や、会話文問題を解くための会話独特の表現を覚えることが必要になります。

このように、各大学の出題傾向を踏まえて、志望大学の問題を解くために自分に足りない基礎力を強化することが、今からできる重要な英語試験対策です。

受験なんてまだまだ先のこと、なんて思わずに、志望校に向けて今からできる試験対策を始めてみてはどうでしょうか。

<取材・文/開成教育グループ 個別指導部フリステウォーカー講師編集部:浅田朋香>