2024/06/17

関東 受験・進学情報だより【高校授業料減免制度】

 皆さんこんにちは。
 今回は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県における高校授業料の減免制度について説明します。

 難しい言葉ですが、簡単に言うと、高校にかかる学費のうち「授業料」にあたるお金は国や都道府県から助けてもらえるよ、という制度のことです。

 「私立高校は高いし......」といったイメージを抱いている方も多いかと思いますが、この制度についてよく知ると選択肢が広がるかもしれません。ここ数年間でかなり変わった部分もあるので、上のご兄弟姉妹がいらっしゃる場合でも要注目です。

 以下の順で説明していきます。

INDEX

①国からの助成

②東京都の助成

③神奈川県の助成

④埼玉県の助成

⑤千葉県の助成

⑥公立高校と私立高校の学費の差

 なお、本記事の情報は20245月のものとなっておりますので、必ずお住まいの地域の最新の情報を改めてお調べください。また、本記事は高校授業料減免制度の大まかなところを伝えることを目的としています。細かい部分は必ずここから先で紹介しますHPにある、国や各都府県のページ並びにそこから担当部署に問い合わせることでご確認いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

①国からの助成

授業料の助成

文部科学省HP:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm


――高等学校就学支援金ってどんな制度?――

 授業料を助成することにより、教育の実質的な機会均等に寄与することを目的にした制度です。ただしどの家庭も一律の支援があるわけではなく、家族構成や世帯年収の幅ごとに支援の内容が変わります。こちらは返済不要の授業料支援です。

 この制度により、公立高校にお通いの場合は"授業料"が無料になります。

 私立高校の授業料はこの支援金でもまだ無料になっていない場合が多いと思いますが、その残りの分を各都県がそれぞれの制度で助けてくれるというイメージです。

 支援の条件は世帯のお子様の人数などで変わってきますが、世帯年収が約590万円までのご家庭には、公立にお通いの場合は118800円まで、私立にお通いの場合は396000円まで支給されます。約590万円以上の場合は、公立無償化の額である118800円までは支給されます。

授業料以外の助成

文部科学省HP:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1344089.htm


――高校生等奨学給付金ってどんな制度?――

 上記のHPにはこの制度の目的として、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の機会均等に寄与することが挙げられています。
 制度の概要としては全ての意思ある生徒が安心して教育を受けられるよう、授業料以外の教育費(※)負担を軽減するため、高校生等がいる低所得世帯を対象に支援を行う制度としています。

 授業料以外の教育費とは、教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等があたります。

 この制度では「世帯収入」や「第何子なのか」、「通っている学校の種類(全日制/通信制)」によって金額が変わってきます。

世帯状況

国公立高校

私立高校

生活保護受給世帯【全日制等・通信制】

32,300

52,600

非課税世帯【全日制等】(第1子)

122,100

142,600

非課税世帯【全日制等】(第2子以降)

※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合

143,700

152,000

非課税世帯【通信制・専攻科】

50,500

52,100

 詳しくは上記HPでご確認ください。

②東京都の助成

授業料の助成

東京都私学財団HP:https://www.shigaku-tokyo.or.jp/pa_jugyoryo.html

――私立高等学校等授業料軽減助成金ってどんな制度?――

 都内にお住まいで、私立高等学校等に通う生徒の保護者の方の経済的負担を軽減するために、授業料の一部を助成する制度です。
 令和6年度から、私立高等学校授業料軽減助成金の所得制限がなくなります。例えば、全日制の私立高校に在学されているお子様をお持ちの世帯年収約910万円未満のご家庭の場合、在学校の授業料を上限に国の「就学支援金」と合わせて最大484000円まで支援してもらえます。世帯年収が約600万円のご家庭では、国からの授業料支援は118800円になりますが、東京都が最大362200円の支援をしてくれることで上限484000円まで授業料の負担がなくなるということです。こちらの制度は都外の学校も対象になります。(通信制課程は除く)

 東京都以外の自治体が認可している私立通信制高等学校については、私立都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金(都の制度)を参照ください。これらは対象者・申請時期など細かい条件等ありますので、必ず上記HPでご確認ください。

③神奈川県の助成

神奈川県HP:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3e/jyosei/gakuhisien/gakuhihojyo.html

――神奈川県私立高等学校等学費支援制度ってどんな制度?――

 私立高等学校等に在学する生徒の保護者等の経済的負担を軽減するため、入学金・授業料を補助する制度です。対象は生徒・保護者等ともに県内在住、かつ県内設置(通信制の場合、本部校が県内設置)の私立高等学校等に通う生徒。対象校は県のHPを参照してください。

 例えば、私立高校に在籍されているお子様をお持ちの世帯年収が700万円未満のご家庭の場合、入学金補助10万円、授業料に関しては、国の「就学支援金」県の学費補助金で最大46万8000円まで支援してもらえます家族構成や世帯年収によって、支給額などが変動しますので、詳しくは必ず上記HPでご確認ください。

④埼玉県の助成

授業料や入学金などの助成

埼玉県HP:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0204/fubofutan2.html

――埼玉県私立高等学校等父母負担軽減事業補助制度ってどんな制度?――

 県内の私立高等学校等に通学する生徒の経済的負担を軽減するため、国が授業料への補助を行う「高等学校等就学支援金」のほかに、授業料や施設費等納付金、入学金の軽減補助を埼玉県が行っています。所得の状況により、授業料及び施設費等納付金が実質無償化される場合があります。

 因みにこの制度は高校に限らず、埼玉県が認可した私立の小学校、中学校、特別支援学校(高等部及び専攻科)及び高等専修学校(修業年限3年以上の課程)も対象となります。(それぞれ別の条件や支援内容となりますので、別途お調べいただきますようお願いいたします)

 説明のとおり、授業料以外の支援もあるのですが、年収によって「入学金」「施設費等納付金」「授業料」のどれを支援してもらえるのかが変わるという制度になっています。これも返済不要の支援です。世帯年収500万円未満の場合、入学金10万円、施設費等納付金20万円、授業料に関しては国の「就学支援金」と7,000円の補助が県から受けられます。世帯年収が590万円を超えると、国からの授業料支援が118800円のみになってしまいますが、入学金10万円、授業料を上限284200円という支援が県からされることになります。(※世帯年収が約609万円未満の場合)

⑤千葉県の助成

授業料や入学金などの助成

千葉県HP:https://www.pref.chiba.lg.jp/gakuji/shiritsutou/gakuhi-josei/genmen/genmen.html

――私立高等学校等授業料減免制度ってどんな制度?――

 県内私立高等学校等に通う生徒の保護者の負担を軽減し,生徒の修学促進を図るために創設された制度です。この制度は私立高校の設置者への補助となっています。県が保護者の方に直接支援するものではありません。

 対象はやはり世帯年収で区分されます。①生活保護受給者、②世帯年収約640万円未満、③世帯年収約750万円未満という3段階です。授業料に関しては、

①②:国の「就学支援金」と合わせて授業料全額を免除

③:在学校の授業料の3分の2から国の「就学支援金」を引いた分を免除

となっています。

 入学金軽減制度もあります。対象は①生活保護受給者、②世帯年収約350万円未満で、入学金の全額、または、15万円のいずれか低い方が支援されることになります。

⑥公立高校と私立高校の学費の差

 ここまで説明してきた制度により、授業料はほぼ無料になるケースが多いということはお判りいただけたかと思います。しかし、「学費」全体で言うと、授業料は大きな割合を占めるものの、お金のかかる部分は他にもいろいろあります。

 私立高校ですと、大まかに分けて「入学金」+「授業料」+「その他」という構成になっており、この「その他」の部分の内訳は以下のようになります。

  • 施設維持費
  • 実験実習費
  • 修学旅行などの積立金
  • 課外活動費
  • 個別指導費
  • 補講費 などなど

 見てきたように、支援があるのは授業料や入学金の部分に対してですので、これらいわゆる「その他」の部分は軽減されないことにご注意ください。ただし、私立高校では設備が優れていることが多く、その恩恵にあずかれるのもこういった費用があってこそであることは理解しておきたいところです。

 では少し例を出してみてみましょう。

都立A高校の場合
都立A高校-02.jpg

3年間の合計で265650円となりました。

 では続いて、東京都の私立B高校に通う、世帯年収が約590万円未満のケースを見てみます。
私立B高校-03.jpg

 3年間の合計で1742800円となりました。公立に比べるとやはり高額にはなっていますが、支援前は3064000円だったことを考えるとかなり支援してもらえていることが分かります。他の県の制度を適用してみても、おおよそ同じくらいになります。

 いかがでしたでしょうか。この金額に対して感じるところは各ご家庭で違うと思いますが、どのような支援があり、その結果3年間でどのくらいかかるのかといった情報は非常に大切であることはどのご家庭にも共通かと思います。

 最後にもう一点注意です。これらの支援金制度は「年度ごと」になりますので、高校在学中に世帯年収に大きな変化があった場合、支援額も変わってくることになります。また、支援額や条件等制度面も年度で細かく変わることがあります。

 重ねて申し上げますが、あくまで本記事は高校授業料減免制度の大まかなところを伝えることを目的としていますので、細かい部分は必ず国や各都府県のHP並びにそこから担当部署に問い合わせることでご確認いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 皆様の進路決定の一助となれば幸いです。

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>