2024/02/19
関東 受験・進学情報だより【神奈川県 高校入試制度】
公立の中学校に通うご家庭には必ず訪れる高校受験。この高校受験、地域や時代で制度が変わるので、学校成績(通知表)がどう扱われるのかや入試本番の試験回数(何回受けられるの?)が想像と違っているかもしれません。
受験制度の概要を早いうちに理解しておくことで、対策が見えてきます。すべき対策を早期に行うことで、合格率が上がります。しっかり対策することで志望校合格を実現しましょう!
今回は、フリーステップの教室のある東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の高校入試制度を簡単に説明していきます。こちらの記事では神奈川県の解説をしていきます。
INDEX |
神奈川県公立高校
受検概要
ここが気になる! |
これが答え! |
備考 |
受検可能回数 |
1回(※) |
共通選抜を1回のみが基本 (※ 定員に満たない学校が二次募集を行うことがあります) |
いつの内申点を使用するか |
2年生の学年末 と 3年生の2学期 |
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内申点の内訳 |
上記の内申点を、2年:3年=1:2の割合で使用 |
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内申点:学力検査点 |
3:7、4:6、5:5、6:4(※) |
※ 学校により異なる |
学区制 |
なし |
市立高校の場合には、市外からの合格枠に制限がある場合も |
公立高校入試詳細
- 共通選抜
神奈川県の公立高校入試には推薦入試などの制度は無く、共通選抜の1回があるのみです。
基本的に2月の14日~16日に実施されます。
共通選抜は内申点と5教科(英数国理社)の学力検査点で合否を判定する方式の入試です。一部学校ではこれに加えて「特色検査」を行うところもあります。
内申点:学力検査点の比率は学校によって違いますが、5:5や4:6が主流で、難関校が3:7の割合を採用している傾向にあります。一部の学校のコースなどでは6:4という比率のところもあります。全体的に、内申点の占める比率は大きいと言えるでしょう。
また、例年、共通選抜二次募集もありますが、これは定員に満たなかった学校が行うものですのでチャンスが二回あるとは考えない方が良いでしょう。
- 特色検査
上で説明したとおり、一部の高校では5教科の試験の他に「特色検査」を実施します。この特色検査は学校が独自に内容も配点も決めるため、対策や重要性をよく確認しておく必要があります。
実際にどのような「特色検査」が行われているか見てみましょう。
横浜翠嵐高校:自己表現(複数の教科にまたがるような内容の総合問題):約23%分の配点
川崎市立橘高校:面接:約33%分の配点
横浜市立横浜商業高校スポーツマネジメント科:実技(既定の種目から選択し技術の確かさ技能の高さを検査):約17%分の配点
- 二段階選抜
公立高校入試では、内部的にですが2段階の基準で合否を決めています。第1次選考で募集人員の90%を決め,第2次選抜で残りを決めるのですが、1次と2次で数値の扱われ方が違います。
まず、第1次選考ですが上で説明したとおり内申点+学力検査点(+実施している場合は特色検査点)で合否を判定します。第2次選考では、学力検査点は1次同様に使用しますが、内申点が「主体的に学習に取り組む態度」という通知表のうちの一部分に置き換わります。これに、特色検査が実施されている学校は特色検査点が加えられます。
たとえば鶴見高校の場合、第1次選考では【学習の記録(評定):学力検査】が【5:5】ですが、第2次選考では【主体的に学習に取り組む態度:学力検査】が【2:8】になります。
基本的には9割までを決める第1次選考の基準を満たすように内申点と学力を上げていきましょう。
- 学力向上進学重点校
神奈川県では、将来の日本や国際社会でリーダーとして活躍できる人材を育成する学校として学力向上進学重点校を設定しています。指定された学校では、大学進学指導の充実を図り進学実績向上に重点を置いた指導が行われます。
令和6年度は以下の8校が学力向上進学重点校となります。
横浜翠嵐高等学校 湘南高等学校 柏陽高等学校 厚木高等学校 川和高等学校 横浜緑ケ丘高等学校 多摩高等学校 小田原高等学校 |
これらの学校は入試で求められる得点が高いことはもちろん、特色検査に「自己表現」が採用されているため、独自の対策が必要になります。
私立高校
受験概要
ここが気になる! |
これが答え! |
備考 |
受験の主な種類 |
単願推薦・書類選考・併願・一般 |
併願優遇と一般は同日のことが多い |
いつの内申点を使用するか |
主に3年生の2学期 |
2 |
基準内申 |
3教科(英数国) 5教科(英数国理社) 9教科(全教科) 学校ごとにどの基準で見るかは異なる |
複数の基準を用意している学校もある |
入試詳細
順番に見ていきましょう。
- 単願推薦
いわゆる推薦入試です。私立高校を第一志望にする際には基本的にこの単願推薦で出願することになります。
例年、1/22以降に行われます。
出願条件は内申点です。たとえば3教科で12のように基準が求められます。たとえ基準に届いていなくても個別に相談ができる場合があります。英検・漢検・数検などの検定や部活での活動実績で加点してもらえるケースもありますし、部活動や委員会での実績などを考慮してくれる学校もあります。検定に関しては3級以上で加点対象とする学校が多いので、中学生は中3の夏までに3級以上を目指しましょう! 学校により異なりますが、中堅くらいまでの学校であれば、出願できる内申基準を満たしていると、非常に高い確率で合格できます。(いわゆる上位校では、一般入試同様試験結果により合否が決まります)
試験当日は面接などを行う学校が多いです。
もちろん、第一志望であることが条件になりますので、単願は「合格したら入学する前提」での出願になります。
- 書類選考
学力検査や面接も無しに、合否を書類のみで決定する方式で、多くの学校で採用されています。ここで使われる「書類」とは、基本的に中学校の調査書ですので、内申点が基準を満たしているかが重要になります。
書類選考にも単願と併願があります。
- 併願
こちらは一般入試に分類されますが、実質推薦に近いです。
第一志望が別にあるが、もしもそちらの学校に合格できなかった場合、併願で出願した学校に入学します、という約束のもと出願できる方式です。
例年、2/10以降に行われます。
いわゆる「おさえ」のための制度だと考えると分かりやすいです。
出願条件は単願同様、内申点です(単願よりも高い基準になっていることが多いです)。検定などで加点できる場合もあるのも同様です。
公立高校を第一志望にする方は、私立の併願優遇を1校確保しておいて、公立対策に集中するというのがスタンダードなやり方になります。
こちらも学校により異なりますが、中堅くらいまでの学校であれば、出願できる内申基準を満たしての出願は高い確率で合格になります。試験当日は学科試験と面接などを行う学校が多いです。(いわゆる上位校では、一般入試同様試験結果により合否が決まります)
単願推薦同様、検定で加点があったり、部活動や委員会の活動による加点もあったりするので、まずは成績表などを持って学校との相談会に参加してみましょう。
試験当日は基本的に下記の一般入試と同じ試験を受けます。
- 一般入試
学力テストにより合否が決まる方式の入試です。私立高校では一般的に英数国3教科での受験になります。
- 試験の名称は学校により異なりますので、必ずご自身の志望校をご確認ください。
- 私立には都道府県による受験の可否はありませんので、隣県の私立高校も候補に入ってきます。ただし、お住まいの都道府県以外の高校に通われる場合は助成金が変わってくる場合もございます。
まとめ
- 公立第一志望でも私立第一志望でも、内申点が重要!
- まずは学校の定期テスト対策をしっかり行うのが大事です。
- 私立の場合は、単願でも併願でも、検定の取得で有利になるケースがあります。
関東1都3県の高校入試制度を比べてみると、「東京では、公立の推薦があったり、英語のスピーキングテストがあったりする」「千葉では国語のリスニングがある」など、おのおの特徴がある一方で、「公立は内申点と当日の学力検査点で合否が決まる」「私立は単願・併願の推薦制度がある」「推薦のためには内申点を基準として使う」など似ている部分も多くあります。
どこでも言えることですが、普段の定期テストや提出物でしっかりと通知表の点数=内申点を取って、入試当日の試験で良い点を取るためには、普段の勉強の定着と入試対策が必要になってきます。
日々の勉強を頑張り、志望校の合格を勝ち取るために教室では教室チーフが相談に乗ってくれます。早め早めの対策をしていきましょうね。
<文/開成教育グループ 教育技術研究所 小川真史>