2022/03/07

藤山正彦のぷち教育学【偏差値 Standard score】

偏差値とは

 学校の先生が定期テストを作る場合、満点を何点にするか、難易度をどうするか、というのは先生の考えで変化させることができます。しかし、それによって個人の点数が上下したら、受験者自身は自分の成績が伸びたのか、力が落ちたのかの判断ができなくなってしまいます。

そこで、どのテストでも平均点を50点として、ばらつき(分布)の具合も補正して表現したものが「偏差値」です。英語ではStandard scoreといいますので、SSと略されます。

偏差値は、その集団の中での位置を知る事もできます。たとえば偏差値60を超えていればその集団で上位15%以内に居ることになります。但し集団の人数にもよりますが偏差値30だとほぼ最下位、70を超えると最上位になりますので、73の人が71に下がっても、順位が変化しない場合もありますし、平均点が30点のテストで、一人だけ満点近い点数を取れば、数値的には意味がありませんが偏差値が100を超える場合もあります。

また集団そのものが変化したら、自分の学力が変化しなくても、偏差値が変化する事もあり得ます。高校生対象の全国模試でもその種類によって数値の出方が違うというのはそのためです。東大・京大受験生を対象とした模試に至っては、全国の腕利きが受験集団となりますので、一般的に優秀な高校生でも、悲惨な偏差値が出ることもあります。

 

偏差値の取り扱い方

 高校2年生の時に受験した模試より、高3の春に受けた模試の偏差値が下がった生徒のお悩み相談に何度か付き合いましたが、これは高3向けの模試というのは既卒生も受験するというのと、高2の時点で本来は高3で学ぶ単元の導入授業を終えている6年一貫進学校の生徒も参戦するなど、集団全体の学力層が一段階上がるためです。

つまり、偏差値=自分の力をはかる物差し、と単純に考えるのではなく、その試験を受験した集団での位置を知る、という程度に考えておいた方が良いかも知れません。また、受験生が陥りやすい勘違いとして模試の問題と、受験する大学の傾向や出題範囲は違うわけですから、合格可能性が高いという判定を鵜呑みにして、その大学に向けた対策をせずに受験するというのは危険です。

例えば同志社大学の理系数学の問題は大半が「数Ⅲ」からの出題なのですが、「数ⅡB」までが範囲のマーク模試でA判定が出ていたとしても、安心をしてはいけません。偏差値が良かったときには励みにする、下がった時はその数値を気にするのではなく単元ごとの正答率を見て、弱い科目や分野に向けた対策を考える、というのが正しい使い方だと言えるでしょう。模擬テストによっては小問ごとの全体の正答率が出ている場合があります。全体正答率が高い問題=みんなができた問題、というわけで、その中で自分ができていなかった問題を復習することで、効率よく成績を伸ばすことができますよ。

参考文献

岩源信九郎 教育と心理のための推計学 日本文化科学社 1995

日本教育工学会編 『教育工学事典』 実教出版2000

日本教育工学会編 教育経営研究の軌跡と展望 ぎょうせい 1986

<文/開成教育グループ 入試情報室 藤山正彦>