昨今話題となっているChatGPTとは、自然言語処理技術を駆使して、人工的に構築された対話システムです。数十億もの言語データを学習し、人間のように自然な文脈理解や返答生成ができるようになっています。このAIは、様々な場面で利用され、例えば、カスタマーサポートやチャットボット、知識検索エンジン、さらには、文学創作支援まで多岐に渡って活躍しています。

一方で教育現場では生徒がレポート作成などに利用しないように制約を加え、イタリアでは個人情報の不当な収集やプライバシー法への抵触などを理由に国レベルで禁止にするなど、その扱いについては賛否両論が渦巻いている状況です。

そこで、試しに「宝塚音楽学校」を中学生向けに紹介する文章を2つ作ってみました。

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（その１）

宝塚音楽学校は、日本を代表するエンターテイメント集団である宝塚歌劇団のために、才能ある少女たちを育成する学校です。卒業生には、松本潤さんや北翔海莉さん、珠城りょうさんなど、数多くの著名人がいます。彼女たちは、宝塚歌劇団で主役を務めたり、映画やテレビドラマに出演したりするなど、日本のエンターテインメント界を支えています。宝塚音楽学校で学ぶことで、舞台での表現力や歌唱力を身につけ、将来的には自分の夢を追いかけることができます。

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（その２）

宝塚音楽学校は、日本を代表する宝塚歌劇団のために、才能ある少女たちを育成する学校です。その卒業生には、天海祐希さんや黒木瞳さん、はいだしょうこさんなど、数多くの著名人がいます。彼女たちは、宝塚歌劇団をはじめ、映画やテレビドラマに出演し、日本のエンターテインメント界を支えています。また、宝塚音楽学校では、高校卒業資格を取得できる通信制の高校も設置されています。将来的に舞台や芸能界で活躍するための基礎教育とともに、高校卒業資格も取得できるのが特徴です。

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どちらも「中学生向けに100文字程度で宝塚音楽学校を紹介してください、」というコマンドを与えたのですが、（その２）については出身者名や「通信制の高校」というワードも入れるように指示して作成したものです。実は宝塚音楽学校は2年制の各種学校ですから、高卒資格を取るためには通信制高校の利用などが必要なのですが、この学校内に通信制の高校が設置されているわけではなく、向陽台高校など通信制の高校と提携している、というのが正確なところです。それはさておき、具体的な指示をしなかった（その１）では卒業生として松本潤さんが挙げられるなど情報としては大きく外している上にネット上のどのような情報からこの文章を書いたのかがわからないというところが問題なわけです。

そこで、キーワードを追加し引用元を明記するように指示すると次のような文章ができました。

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（その３）

宝塚音楽学校は、宝塚歌劇団のために才能ある少女たちを育成する学校です。卒業生の中でも代表的な3名には、元宝塚トップスターの真矢みきさんや、元月組トップ娘役の蘭寿とむさん、そして元花組トップ娘役の柚希礼音さんがいます。彼女たちは、宝塚歌劇団で活躍するだけでなく、舞台やテレビドラマ、映画などでも幅広く活躍しています。高校卒業資格については、宝塚音楽学校自体にはないため、卒業生の多くは通信制の高校を卒業しています。引用元：「宝塚音楽学校について」、宝塚歌劇団オフィシャルウェブサイト、https://kageki.hankyu.co.jp/revue/backstage/school/

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100文字程度と指示しているのに200文字を越えているのはどうかとは思いますが、これでちょっとそれっぽい紹介文ができました。しかし、ここに至るまでに内容の検証や必要なキーワード選定などを行いましたので、この程度の紹介文ならChatGPTを使わないほうが近道だと思います。

というわけで、この技術を使うためには、文書を批判的に読むという姿勢と判定する知識が必要になるわけです。そう考えると、今年で3年目を迎えた大学入学共通テストはセンター試験と比べて文字数が大幅に増え、それぞれの科目の本質的な力を発揮する前に時間切れになるという批判もありますが、今回紹介した技術を使いこなすためには必要な力なのかもしれません。

＜文／開成教育グループ　入試情報室　藤山正彦＞