2023/07/03

関東関西有名中学入試分析【中学受験 夏の過ごし方(実践編②)】

後半期の学習ポイント


後半期の学習についてです。前半期の解説でも述べたように、"後半期"はお盆を含めても10日間と短い期間です。短い期間ですが、特に小6の受験生にとっては本格的な"受験勉強"への導入期間として、極めて重要な時期となります。

受験生の場合は志望校の入試過去問や9月受験予定の模試の過去問を解き、今後志望校の入試傾向に沿った演習型学習に進む前に、強化すべきテーマや単元、出題形式のチェックと学習を進めます。

今までは単元ごと、テーマごとに学習をしてきましたが、入試問題や模試は各単元がランダムに出題されます。ランダムな出題形式に慣れると同時に、間違えた問題の単元の復習や覚え直しを進めます。新しいテキストや問題集を使うよりは、今までに学習をしてきたテキストや問題集から、過去問のなかで思うように解けなかった問題の単元の確認をし、類題を数多く解き進めていくのです。

過去問については、8月の段階では解ける問題が少ないのでは、と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。今の時期は過去問の形式や傾向、特徴をつかむ時期であり、実際の入試の合格最低点(合格基準点)をクリアしなければいけない時期ではありません。1月または2月の入試本番で合格最低点をクリアするための、8月後半や9月の学習テーマを見つけるための過去問演習です。もちろん、得点が高いに越したことはありませんが、得点が高いか低いかにはこだわらず、出来なかった単元や事項のなかで、この10日間で強化するところを見定めて、塾での学習や問題演習を進めていきましょう。

他方、非受験学年の場合は、引き続き単元ベースの学習を進めることが中心となりますが、通年用のテキストを使った学習であれば章末問題を使った復習学習をおすすめします。後半期10日間に、1学期と前の学年で学習をした単元の章末問題を進めて、今までに習った内容の総チェックを進めるのです。

たとえば、算数の場合、夏期講習に入る前に学習を完了した単元や特殊算のまとめ問題を、1日あたり2テーマ解き進めていきます。塾で使う算数テキストには、単元やテーマの章末にまとめの問題も掲載されています。

フリーステップで使われている『小学実力錬成エフォート算数』というテキストの場合、各章や特殊算の単元ごとに"発展問題"という章末問題パートがあります。夏休みに入る前に学習を完了させている章の"発展問題"について、2章分×9日(日曜日を除外した場合)、直近に学習完了をした章から18章分を解くのです。"発展問題"は見開き2ページで、30分~40分と制限時間を設けて解き進めていくといいでしょう。"発展問題"が難しい(正解率5割未満が続く)場合には、『エフォート』より易しめのテキスト(例『小学ウィンパス』など)の章末問題で、学習した単元の復習を進めてみましょう。

夏は朝の学習が超重要!


 今までは時期別の学習内容について述べてきましたが、最後に、夏の一日の過ごし方について述べたいと思います。夏、最も学習がはかどる時間帯は暑さがやわらいでいる朝です。そして、これは中学受験に限った話ではありませんが、夏休み期間の学習において、最も差がつく要因は朝の学習の有無や朝学習の内容です。

夏期は通常の時期より早起きをして、午前6時までには起床をして、学校の有無に関わらず、午前7時30分頃までは朝学習を進めることを強くおすすめします。

 では、朝の時間帯にはどのような学習が効果的なのでしょうか。具体的には塾の先生にも相談して学習内容や使用教材を決めていただきたいと思いますが、私のおすすめは、思考力を"程よく"使う項目の学習を朝に進めることです。

算数であれば計算問題や文章題、図形問題の中でも基本的な問題(いわゆる一行問題と呼ばれる小問)、国語であれば比較的短い文章を読ませたうえでの短め(20字程度)の記述問題、理科であれば重さ・化学反応・天体分野の計算問題です。

 あくまでも"程よく"頭を使う問題であることがポイントです。この時期の朝学習の目的は、暑さが厳しくなる前の時間帯に脳を早く目覚めさせること、一日の学習の良いスタートとリズムをつくることにあります。朝の時間帯に難問や長い記述問題、論述問題を解く必要はありません。一問を解くために長時間を費やす必要のある問題を朝からいくつも解くと、朝学習だけで疲れてしまい、その後の時間帯の学習に悪影響が出やすくなります。

 例えば、午前5時30分に起床(もちろん、就寝時間は早めに)。着替えや軽い飲食をしてから、午前6時頃から30分間を算数。午前6時30分からのラジオ体操をはさんで、午前6時50分から30分間を国語または理科を進めます(【資料】に朝学習のモデルプランを示しました)。

お盆休みの期間を含めて、7月17日から8月22日までの37日間。この37時間の朝学習により、時間数以上の充実感と実力のレベルアップを感じることができるはずです。

【資料】 夏期朝学習のモデルプラン

  5:30 起床

  5:30~5:50 着替え 洗顔 軽飲食

  5:55~6:25 算数学習(計算・一行問題)

  6:30~6:45 ラジオ体操などの軽運動

  6:50~7:20 国語学習(読解問題)

  7:30~7:55 朝食

  (8:00~8:30 理科学習〔計算の伴う問題〕)

今回は「中学受験 夏の過ごし方(実践編)」と題して、具体例を示しながら中学受験生の受験勉強の計画づくりや勉強方法について述べてきました。夏期の学習はお盆までの"前半期"が勝負です。そして、暑くなる前の朝学習が極めて重要です。この2点を強く意識しながら、充実した夏の受験勉強となるように、夏休みの計画を組み立てて頂ければと思います。

<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>

 

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①前半期の学習ポイント