2025/03/03
関東関西有名中学入試分析【中学受験「はじめの二歩目」受験勉強の方向性を決めましょう!】
1月には関西圏などの西日本や埼玉県、千葉県などでも中学入試が行われ、2月1日以降は東京都や神奈川県などでも中学入試が行われました。今年の小6生の中学受験は最終盤となりましたが、来年以降の中学受験を目指される小5生以下の皆さまや保護者の皆さまにとっては勝負の一年のスタートともいえる時期でもあります。
志望校とする中学校や志望する学校群(大学合格実績に定評のある進学校、大学系列校、公立中高一貫校など)は既に決まっている方も多いかと思います。志望校や志望学校群が決まり、学校や入試に関する情報収集が済んだら、受験勉強の方向性を決めて、受験勉強を開始する必要があります。ここで言う「(中学)受験勉強の方向性」とは、家庭学習中心、塾通学、通信教育の利用など、受験勉強を進めるにあたっての手段やサービスの利用の有無、取捨選択のことです。わかりやすく言えば、参考書や問題集などを使った家庭学習や保護者さまの指導で受験勉強を進めるか、塾や家庭教師、動画授業など、中学受験に関するサービスや商品も使いながら受験勉強を進めるか、の選択決定のことです。今回は中学受験の「はじめの二歩目」である受験勉強の方向性について、高校受験や大学受験との違いにも触れながら述べていきたいと思います。
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関東関西有名中学入試分析【中学受験の基本のキホンを確認しましょう!】
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自己学習の進めやすさ...大学受験>>>高校受験>中学受験
中学受験、高校受験、大学受験のなかで、受験生自身の自己学習で受験勉強が進めやすいのは、断然に大学受験です。進学校とされる高校のほとんどは、高校の授業をしっかりと学習することで生徒の多くが進学を希望する大学に合格できることを目標にカリキュラムを組んでいます。大学受験予備校の講師や動画の授業が受講できたり、教師やチューターによる個別指導や質問・相談対応が可能な体制を整えている高校が公立私立に関わらず多くなっています。また、大学受験に関する参考書や問題集、大学・学部の情報や受験勉強のノウハウについての動画の充実など、塾や予備校に行かなくても、学習ツールや勉強ノウハウ、大学や入試に関する情報を高校生は難なく得ることは可能です。
では、高校受験(中学生)と中学受験(小学生)とでは、どちらが自己学習のみでの受験勉強が進めやすいでしょうか?大学受験と比べると差は縮まりますが、私は高校受験のほうが中学受験に比べると自己学習での受験勉強は進めやすいと考えます。その理由は学校の授業面と進路指導面にあります。
高校受験を前提とする中学生のほとんどは公立の中学校に通っています。中学生のほとんどは高校進学を希望します。都道府県や地域によっても多少の差はありますが、私立高校よりは公立高校への進学希望者のほうが、ほとんどの都道府県では多いはずです。公立高校でも推薦入試や学力試験を課さない、もしくは簡素化した入試を行う高校もありますが、公立高校(全日制)は一般的に中学校での学習範囲に基づく学力試験を実施して、その得点や中学校の成績(内申点)などに基づいて合格者を決定します。つまり、中学校での授業内容、教科書の内容が高校入試に直結をするものとなっています。また、中学校は必ず(高校進学希望者に限定はされないのですが)希望進路に関する情報収集や進路指導を行い、中学校の先生も(進路主任や中3生担任に限られる場合が多いのですが)高校入試を担当する各地方自治体の教育委員会や公立・私立の各高校による教員対象の入試説明会に参加をし、高校や入試に関する情報の理解や把握に努めています。
他方、小学校の場合は、公立中学校よりも国私立中学校への進学希望者が多い傾向がある一部の私立小学校は別ですが、同じ地域(市町村区内)の公立中学校に進学をする児童が多数となる公立小学校の場合、担任を含めて、小学校の先生が主体的になって入試受験が必要となる中学校に関する情報の収集や提供、進路相談を行うケースは少ないのが一般的です。また、公立小学校の授業はもちろん小学校用の検定教科書をベースに進められますが、中学入試に必要な体系的かつ網羅的な知識の学習指導までは進むことはありません。学校側からの指導や面談がないほうがいいと考える保護者にとっては別ですが、公立小学校に通う場合は中学受験に関する情報やアドバイスは、保護者が直接中学校とコンタクトを取ったり、塾を含めた外部から得ることが基本線となります。
塾に通わない中学受験戦略のポイント...保護者のマネジメントと学習素材・ツールの精選
詳細は次章で述べますが、中学受験にむけた学習は自己学習(家庭学習)よりは塾を使ったほうが効率的であるとは考えますが、諸般の理由で塾に通うのが難しい生徒さん、ご家庭もあるかと思います。塾に通わなければ中学入試に合格できないことはありません。塾なしの中学受験突破においては、保護者のマネジメントと学習素材やツールの精選がポイントとなります。
【保護者のマネジメント】
中学受験を目指すが塾には通わない。その理由は生徒さんやご家庭によって様々だと思いますが、習い事や今生徒さんが熱中していること(スポーツなど)とのスケジュールが塾と合わない、塾に通う時間的余裕が少ない、というご家庭が多いと思います。その場合は特に、保護者のマネジメント(管理)が重要になります。受験勉強が十分に可能な曜日・日の学習計画、逆にまとまった時間の学習が難しい曜日・日の「すき間勉強」の設定、中学校の説明会や外部模試の日程確認など、受験生である小学生のお子さまのマネジメントが必要です。お子さんが解いた問題の丸付けや得点(到達度・習熟度)の確認、解説も必要となるケースもあります。
【学習素材やツールの精選】
このことは大学受験や高校受験にも言えることですが、時代が進み、科学技術、特にIT技術が進化をして、受験勉強に使用する学習素材やツールもここ十数年で大きく進化しました。今では小学生でもスマートフォンやタブレットを使って調べ物をしたり、動画媒体の映像授業を受講したりすることも可能です。YouTubeなどの動画サイトには、中学受験に向けた学習用動画が無料で掲載されていたりもします。他方、中学入試における試験そのものは、ほとんどの中学校では紙媒体で実施されています。中学受験に関する参考書や問題集も、電子書籍のものもありますが、基本的には紙媒体のものを使用して学習をするのが基本であることに変わりはありません。紙面に鉛筆またはシャープペンシルで筆記をしながら、問題の解き方を身につける、答案作成の練習をすることが必要です。
紙媒体のもの、電子媒体のもの、インターネットを使ったものなど、受験勉強用の学習素材やツールのなかで、何を使用していくのかを決めることも、保護者に求められます。先に述べたように、中学入試は引き続き紙面を使ったものですから、参考書や問題集、志望校の過去問、または読書や学習まんがを通じての学習など、紙媒体を使用することが基本となります。一方で、理解や記憶の効果が高いもの、お子さん自身が使いやすいもの、意欲的になれるものであれば、電子媒体や動画媒体の学習素材やツールを利用していくこともいいでしょう。ただし、電子媒体や動画媒体に依存をし続けると、観たり、使ったりしているだけで勉強をしている感覚となり、学習した項目や知識が定着していないままの場合もあります。また、電子媒体や動画媒体の使いすぎは目の酷使や眼精疲労、ひいては視力の低下に繋がりやすいものです。電子媒体や動画媒体を活用する場合においても、保護者のマネジメントが必要となります。
中学受験に向けた塾選びのポイント
ここまで塾に通わない場合の中学受験に向けた学習のポイントを述べてきましたが、高校生(大学受験)や中学生(高校受験)と比べて、心身や自律性など発育途上である小学生の中学受験は保護者の関わりの必要度が大きく、共働きをされていたり、別の子どもの育児などでも忙しい保護者にとっては負担が大きいものとなります。その点もあり、もしもお子さんの一週間の予定において、通塾が可能であるのであれば、また集団指導塾、個別指導塾に関わらず、お子さんが塾に通うことに前向きになれるのであれば、中学受験の学習は塾への通塾をベースとすることをお勧めいたします。
私自身、個別指導塾の運営に携わっているため、保護者の皆さまからすると「塾を勧めるのが当然でしょう」と思われるかもしれません。しかし、中学受験対応の塾にも様々なものがあり、塾それぞれに特徴、個性、強み(逆に弱点も)があります。塾の特徴、個性、強みがお子さん、そして保護者とマッチするところを選ぶことを意識してください。
塾選びのポイント① 交通アクセスで無理のないところに
小学生である中学受験生の塾選びのポイントのひとつ目は交通アクセスの利便性です。有名な塾、カリスマ講師のいる塾に通うために、自宅から遠方の塾に、子ども本人による電車通学をする、または自動車で保護者が送迎をする、という話も聞きます。電車通学による通塾を頭ごなしには否定をしませんが、学校終わりの平日は塾の行き来の時間帯とも帰宅ラッシュの時間帯と重なります。また自動車での送迎は保護者にとっても負担になると思います。できるだけ徒歩圏内にある塾、どうしても電車やバスなどの公共交通機関を使用する必要がある場合でも、できるだけ近隣のところにしたり、混雑しやすい特急・急行などの電車ではなく、比較的空いている普通電車や各駅停車を使う、女の子の場合は女性専用車両に乗るなど、安全にかつ心身の負担が最小限となる通学を心がけるといいでしょう。
塾選びのポイント② 志望校や合格必要学力水準にあった塾選び
私立中学校が多くある首都圏や関西圏には中学受験対象の塾が数多くあります。開成中(東京都荒川区)、桜蔭中(東京都文京区)、灘中(神戸市東灘区)などの難関校や早稲田大学、慶應義塾大学の附属中学校・系列中学校などの人気校への合格実績でしのぎを削る大手進学塾もあれば、地域にある公立中高一貫校や地元人気校への合格に定評のある地域塾、個人塾などもあります。
前者にある難関校や難関私立大学の関連校に合格をするには高い学力水準が必要になります。特に集団指導塾(1クラス数十人単位でのクラス授業による指導を進める塾)は小学校での学習指導範囲を超えた内容の授業カリキュラムが速く進むため、その塾に入塾(編入)をするためには塾のカリキュラムについていけるか否かを確認することを目的とした入塾テストを受験する必要があるのが一般的です。入塾後の授業のスピードも速く、塾内でのテストも多く、その結果によりクラスの昇降もあります。授業の予習や復習においては保護者のマネジメントが求められる場合もあり、それが保護者にとって負担と感じられるケースもあります。
中学受験は入学したいと思う中学校に合格をすることが目的であり、志望する中学校への合格実績が最も高い塾に通うこと自体が目的ではありません。その塾が合わないと感じたら、別の塾を検討することが可能ですし、他方、入塾テストに合格できなかったけれども、どうしてもその塾に通いたいと感じた場合は、どの時期で再度入塾テストを受けるかを検討して、それまでの学習をどのように進めるのか、別の集団指導塾や個別指導塾を使うのかを検討するといいでしょう。
塾選びのポイント③ 個性、価値観、信頼関係に基づいた塾選びを
人間は十人十色。個性や価値観も異なります。塾選びや中学受験の学校選びも同様で、お子さんや保護者の個性や価値観よって、選ぶ対象も変わってくると思います。初めての中学受験の塾選びであれば、まずは近隣にある塾のホームページや資料を見比べて、直感で構いません、「ここは良さそう」、「見てみたい」と思える塾を2~3校選んでみるといいでしょう。そのうえで電話やインターネットで塾に問い合わせをして、塾長や教室責任者と面談をしてみるといいでしょう。ほとんどの塾は無料で体験授業を実施していますが、ホームページや資料を見た全ての塾に体験授業を受けるとなると、お子さんは疲れてしまうはずです。中学受験は(高校受験、大学受験と比べて)保護者の関わりが大きくなる側面もあるため、まずは保護者のみでの面接や教室見学、授業風景見学で、お子さんが体験授業を受講する塾を絞り込むほうがいいと思います。
塾長や教室責任者とのコミュニケーションでのポイントは紹介の有無と価値観、個性の共有ができるか否かです。もしも、面談先の塾に近親者やお友達のお子さんが通っていたり、卒塾生だったりなどの紹介があるのであれば、保護者の方はもちろんですが、塾の運営者にとっても、初めてのご縁の方と比べて、お互いに信頼感を持ってコミュニケーションが可能となります。塾によってはお知り合いからの紹介の場合、入塾の際の優待制度がある場合あります。紹介できる塾ということは、それだけいいと思える塾ということであり、他方、塾の運営者からしても、そのような紹介者様に感謝と期待に応えたいという気持ちになります。
そのような信頼関係の醸成とともに、中学受験やその先の教育方針について、塾長や責任者、担当講師がお子さんや保護者の価値観や個性を尊重した相談や提案ができるか否かも重要になります。単に成績の上げ方や学校情報・入試情報を提供するのではなく、時にはカウンセラー、時にはコンサルタントとして、お子さんや保護者の希望、時にはこだわりに応じた相談や提案が柔軟にできるか否かも、塾を選ぶポイントになります。
今回は『中学受験「はじめの二歩目」受験勉強の方向性を決めましょう!』という表題で、中学受験に向けた勉強の方向性として、塾に通わない場合のポイントと中学受験向けの塾選びのポイントについて述べてきました。塾に通う場合も通わない場合も、中学受験は高校受験や大学受験と比べて、受験生であるお子さんと保護者との共同作業の要素が強いものとなります。その分、保護者の労力や負担も必要となるものですが、どのご家庭においても、その労力や負担が報われる中学受験であって欲しいと願っています。今回のコラムが「二歩目」に進む中学受験を見据えたご家族の参考となれば幸いです。
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>
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