2025/08/25
関東関西有名中学入試分析【マトリックスからわかる 中学受験&中高一貫校のメリットについて】その①
小学生のほとんどの皆さまは夏休みを過ごしていらっしゃるかと思います。中学受験生、特に小6生にとっては極めて重要な時期ですが、勉強は計画通りに進んでいますか?
今回は、中学受験に向けた勉強を進めているご家庭にとっては確認の意味で、他方、中学受験をするかしないか考えているご家庭や中学受験はしない前提のご家庭にとっても中学校進学に向けた検討材料として、中学受験をして中高一貫校に進学するメリットについて述べていきたいと思います。
■中学受験の基本メリット:行きたい学校、自分や家族と合う学校を選ぶことができる
これから中学受験のメリット(長所)を述べていきますが、どのご家庭にも共通するメリットとして、数多くある中学校のなかから、入学したいと思える中学校をお子さまやご家庭が主体的に選ぶことができる内容を挙げたいと思います。
公立中学校に進学をする場合、原則として、住民票登録をしている住所の通学区となっている公立中学校に自動的に進学することになります。勿論、その公立中学校をお子さまやご家族が気に入っている、納得ができているのであれば問題はありません。入試のための受験勉強をすることもなく入学することが可能です。しかし、その公立中学校ではやりたい部活動がない場合や教育方針や性格にあった他の中学校への進学を希望する場合、中学受験が必要となります。
12歳から18歳の中学生・高校生の時期に、お子さまがやりたいことや打ち込みたいことにこだわることができる学校、他方、そのやりたいことや打ち込みたいことが決まっていない場合でも、それらが見つかりやすい環境にある学校を、お子さまやご家族の意思やこだわりで探し、選ぶことができるのが中学受験です。もっとも、学力進捗の関係で第一志望校と決めた中学校に中学受験生それぞれが全員進学できるわけではないのですが、併願校となる中学校もお子さまやご家族の意思やこだわりで選ぶことができます。このことは大学受験の際にも言えることですが、大学進学や社会人となる前の12歳から18歳の時期をどのように過ごすのか、中学受験は主体的にその進路を考え、選択することができる機会でもあります。
■中高一貫校の3つのメリットと学校のスタイルでマトリックスができる
中学受験を経て入学をする中高一貫校には様々なメリット・長所がありますが、特に根幹となるメリットを3つ指摘したいと思います。なお、今回のコラムは私立の中高一貫校を前提とした内容となります。公立中高一貫校や国立大学附属の中学校や中等教育学校にはあてはまらない内容もあるかもしれません。ご了承ください。
メリットその1:中学と高校に連続性がある 高校入試による分断がない
中学受験を実施する中学校のほとんどが中高一貫教育体制を整えており、余程の学力停滞がない限りは高校入試やそのための受験勉強の必要なく、併設の高校(高校課程)に進学することが可能です。そのため、中学校と高校には連続性があり、後述するカリキュラムや部活動、課外活動なども中3から高1の時期の分断を抑えて進めることが可能です。中3や高1の時期に修学旅行や合宿、留学、ホームステイなどがしやすいのも中高一貫校の特徴です。
メリットその2:独自性のあるカリキュラム
中学校に限ったことではありませんが、私立学校は各校の設立理念や教育方針、キリスト教や仏教などの特定宗教に基づく学校の場合はその宗教理念に基づき、それぞれの学校が独自性のある教育カリキュラムを設定しています。英語や数学などの教科科目の授業時間を多くしたり、英語以外の外国語の履修を必修や選択必修としていたり、高校においては大学の授業を履修可能としていたり、学校によって多種多様なカリキュラムや取り組みがなされています。公立の中学校や高校では履修や選択が難しい科目や内容もあり、また中学・高校での学習の被りをなくして、ムリムダを抑えた効率的な学習ができる点も、中高一貫校を選ぶメリットと言えるでしょう。
メリットその3:生徒、保護者、教師・指導者、卒業生の同質性 価値観の共有性
基本メリットの説明のパートでも述べたように、中学受験による進学となる中学校は受験生やその保護者が主体的に選んで、受験や合格後の入学が決まります。つまり、自分以外の生徒や保護者とは学校選択の尺度や価値観が共通していたり、近い可能性が高く、その学校の先生や(部活動等の)指導者、卒業生も含めて、その中学校は価値観の合う人が比較的多い、ある意味で居心地のいい、ストレスや摩擦が起こりにくいコミュニティとも言えます。
■中高一貫校を望む3つの類型:大学受験進学校、内部進学制度のある学校、独自活動尊重校
中学受験、つまり中高一貫校進学を希望するお子さまやご家族において、その希望志向は様々ですが、大きく集約すると3つの類型で希望する学校像が現れてきます。
大学受験進学校...難関国立大学や医学部進学を志向
第一の類型は大学受験進学校です。東京大学や京都大学などの難関国立大学および医学部医学科への大学入試合格実績を残している中高一貫校です。首都圏では開成中・高(東京都荒川区)、桜蔭中・高(同文京区)、聖光学院中・高(横浜市中区)、関西圏だと灘中・高(神戸市東灘区)、東大寺学園中・高(奈良市)などです。これらの中学校合格には高い水準の学力が必要になります。
内部進学制度のある学校...有名私立大学への内部進学を前提
第二の類型は内部進学制度のある学校です。早稲田大学、慶應義塾大学、同志社大学など、一般入試での入学には高い学力水準が求められる有名私立総合大学の附属または系列の中学校です。中学校を経て高校に進学し、大学側が認めた一定水準を満たして高校を卒業すれば、当該大学に内部進学が可能となります。世間一般で知られている「エスカレーター校」という表現がありますが、大学側が求める学力水準や成績を満たしていない生徒に対しては、希望する学部・学科への進学はもとより、そもそも大学への内部進学が認められないケースもあり、注意が必要です。
独自活動尊重校...スポーツ、芸術、習い事、留学など、やりたいことに打ち込める
第三の類型は独自活動尊重校としました。部活動を含めたスポーツや音楽、美術、習い事(バレエ、古典芸能、将棋・囲碁など)、または中短期での海外留学や芸能活動など、大学進学やそれのための学力養成とは別の事項に打ち込める環境がある中学校のことです。英語や数学などの教科科目の学力養成よりも生徒各自が打ち込む活動との両立がしやすく、尊重される学校です。
今回は、中学受験をして中高一貫校に進学するメリットについて、総論をお伝えしました。その②ではより具体的にご説明していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
▼【マトリックスからわかる 中学受験&中高一貫校のメリットについて】その②
https://freestep-walker.com/blog/cat3/post_496.html
<文/開成教育グループ フリーステップ修学院教室チーフ 住本正之>