2025/03/17

新高1が春休みに取り組むべき勉強法ガイド

 この記事では、高校入試を終えた新高校1年生に向けて、春休み期間にやるべきことをお伝えします。高校生活を前向きに過ごしていくためのポイントを知ることができますので、ぜひ実践してみてください。

INDEX

■新高1の春休みに勉強を頑張るべき理由
■春休みの効率的な勉強計画と時間配分
■中学の復習と高校の予習を効果的に進める方法
■塾・教材の活用と学習環境の整備
■目標設定と志望校合格に向けた基礎固め
■まとめとこれからの勉強に向けて

■新高1の春休みに勉強を頑張るべき理由

 高校より先の進路で希望を叶えるためには、最初の定期テストで成績上位をとることが重要です。学力と関係なく地域の生徒が通う中学校とは違い、入試を経て生徒が集まった高校入学時点では全員がある程度同じ範囲の学力レベルに属するため、高校受験後すぐの時点では成績はほぼ横一線です。しかし、高校に入ると、入学して最初のテストから、成績上位者と成績下位者との二極化が進みます。そして、この高校1年生の最初に出た成績から、ほとんど変わらないまま高校3年生まで推移していくケースが多いのです。

 なぜ、入学時点では同じぐらいの学力なのに、1学期の間で成績の二極化が進むのでしょうか。高校の勉強は中学校と比べると、科目数が増加し、内容も難しくなり、進度も速くなります。テスト前だけの勉強では全ての教科を仕上げることが難しい(間に合わない)ことが多く、求められる勉強の質も量も中学の時より増えます。しかし、入試が終わると、多くの生徒は受験生であった中学3年生の時に比べて勉強習慣や時間を大幅に減らしてしまいます。その結果、高校入学後に思ったような成績が取れなくなるのです。

 皆さんの中には、最初のテストで上位に入ることができなくても次のテストで取り返せばいいのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、最初のテスト順位は最後まであまり変化することがありません。それだけ、最初の段階で高校内容の学習についていけたかどうかの影響は大きいのです。そのため、高校入学前の春休みに中学の学習内容を復習して基礎を固めた上で、英語と数学を予習して高校の学習内容を先取りしておくことが、高校で良い成績をとるためには非常に重要になってきます。

学習習慣をつける大切さとその理由

 高校入学後、初めての定期テストで良い成績をとるためには、高校受験で身につけた学習習慣をきちんと維持しておくことが大切です。高校では、定期テスト前に焦って勉強を始めても間に合わないことがほとんどです。その理由は様々ですが、多い理由としては前項でも述べた「教科数の増加」「学習内容の難化」「進度の速さ」があげられます。例えば「教科数の増加」を例にあげると、中学のときは数学という1つの科目だったのが、高校では数学Ⅰ、数学Aと分かれます。数学Ⅰと数学Aのそれぞれ定期テストがあるので、テスト勉強にかかる時間も多くなるのは想像に難くないと思います。また、部活動も一段と忙しくなることが多いです。そのため、普段の授業から常に予習と復習をして、大事なポイントは押さえて次の授業を迎えることが重要になるのです。

 また、人は現状維持バイアスといって、何かしらの選択をする際にはたとえ良い変化となりそうな選択肢があっても、慣れ親しんだものを選んでしまいがちです(現状から変化を起こすのって勇気と覚悟がいりますよね)。そのため、学力が横一線状態で新しい環境となる高校入学前・入学後すぐは、自分の学習習慣をよりよくできる絶好の機会といえるのです。

 

■春休みの効率的な勉強計画と時間配分

 高校生になると、ただ勉強量を増やすだけではなく、効率よく勉強するための工夫も必要となってきます。高校では中学よりも科目数が増加することに加え、通学時間が延び、自由時間が減少することが多いです。さらに部活動を頑張っている人は土日も練習や試合などで忙しくなるでしょう。そのため、良い成績をとるためには効率よく勉強する必要があります。そこで、春休みを使って1週間ごとのスケジュールを立てて活動する習慣をつけることをおすすめします。スケジュールを立てることで何をしなければならないかが明確になり、どのタイミングであれば実行できるのかが可視化されます。時間が足りなくて失敗する人の特徴として、やるべきことを後回しにした結果、時間が足りなくて出来なかった、不測の事態が起こって時間を作れなかったなどがあげられます。1週間分のスケジュールを作ってそれに即して活動することで、いつ、何をする必要があるのかを整理することができます。ここでポイントとなるのは毎日スケジュールを詰めるのではなく、調整日を作ることです。

 なぜ調整日を作るのが大切なのでしょうか。それは1週間単位での勉強スケジュールを無理なく進めていくためです。例えば、月曜日にどうしても勉強が思うように進まなかったとします。その場合は、月曜日にできなかったことを調整日として設定した水曜日に行うことで、1週間単位で見ると予定していた勉強を予定通りに進めることができます。人はできないことや失敗が続くとやる気がなくなっていきがちです。失敗をカバーできる日があると気持ちも楽になります。また、勉強を毎日しなければならない!と思うと、逆にやりたくなくなってしまうこともあるので、月曜日と火曜日頑張ったら水曜日は好きなことができる!という風にモチベーションを保つことにも役立つでしょう。まずは、下の表のように、月の目標を立てたうえで曜日ごとに勉強時間(予習・復習)を設定してみましょう。何時から何時まで勉強する! と決めておけば習慣になりやすいです。慣れてきたら日ごとに何を勉強するのかを具体的に計画しましょう。勉強が予定通りできた日はカレンダーにシールを貼ったりすると達成感も得ることができます。以下にスケジュールの例をあげています。春休みのうちからスケジュールを立てて勉強していくことで、高校入学後も計画的な勉強が習慣化しやすくなります。

1週間のスケジュールの例 ~「いつ」「何をするのか」の行動目標を決めよう~

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復習が完了したら、予習にチャレンジしてみましょう。

予習で何をすればよいかは次項を参考にしてみてください。

 

■中学の復習と高校の予習を効果的に進める方法

 春休み中の学習は主に中学の復習と高校の予習を中心に計画を立て、進めていきましょう。

中学の復習で基礎固めを徹底

 春休み中の学習において、まず取り組んでほしいことは、中学の復習です。高校英語・高校数学は特に、中学内容を発展的・応用的に学ぶ単元が多いです。例えば英語では、中学で学習した動詞の過去形・進行形・現在完了形に加え、高校では過去完了や未来完了について学習します。いずれも中学の学習単元の理解がしっかりできていないとつまずきやすい単元になります。そのため、時間に余裕がある春休みのうちに中学の復習、特に高校1学期の学習内容と関係が深い単元を優先的に行うことで、不安要素なく高校の学習に臨めるようにしてほしいのです。

高校の予習で先取り学習をスタートする重要性

 中学の復習ができたら、高校の先取り学習を始めましょう。最初の「新高1の春休みに勉強を頑張るべき理由」でも述べたように、高校で良い成績をキープしていくには、まずは最初の定期テストで良い結果を出すことが重要になってきます。しかし、高校では授業の速度や内容の複雑さが増し、最初は自分の学習ペースを掴むのが難しいかもしれません。春休みに高校の学習内容を予習しておけば、そのような場合でも無理せず学校の授業についていくことができます。次項以降では、具体的に何を学習しておけばよいのかを紹介していきます。

英語:中学学習単元の総復習+α

 高校生になると必要語彙数も格段に増え、文法も複雑になります。高校生になるまでに中学校で習った単元で苦手なものがあれば、そこを徹底的に克服して高校の授業を迎えましょう。復習は、文法と読解にわけて考えて、苦手なところを集中的に行う形ですすめましょう。先取り学習は、高校文法の導入部分を取り扱っていきます。

【重要な学習ポイント】
□【復習】中学英語の文法を定着させる
(5文型・完了時制・受動態・不定詞・関係代名詞・比較・接続詞・助動詞)
□【復習】英文読解の速度と精度を上げる(中学レベルの文章)
□【予習】高校英文法を先取り学習する(特に5文型、品詞の知識は完璧にしておく)
□ 単語の暗記方法を決定する

数学:計算・関数から押さえる

 高校1年生が学習する数学Ⅰの1学期のスケジュールは、「数と式」から始まり、「関数」へと進みます。また、数学Aは「場合の数と確率」を扱うでしょう。まずは、夏までに習う、数学Ⅰの計算と関数に絞って復習を行い、スムーズに学校授業に取り組める準備をしましょう。一通り中学範囲の復習が終わった後は、高校範囲の先取りに入りましょう。

【重要な学習ポイント】
□【復習】文字式の取り扱いなど中学で習った計算を復習する(一次方程式・展開・因数分解・二次方程式)
□【復習】関数の性質やグラフと式の関係を復習する(比例・反比例・一次関数・二次関数)
□【予習】高校範囲の計算を先取り学習する
□【予習・発展】高校範囲の関数を先取り学習する

国語:古文を苦手にしない

 高校の現代文は問題文中の言葉(単語)が難しくなるので、意味のわからない言葉が出てきたら辞書などで調べる癖をつけましょう。問題集の丸付けも注意が必要で、正解だった、不正解だったことだけにこだわるのではなく、「どこが違っていたのか?」や「解答の根拠は正しかったのか?」にこだわるようにしましょう。また、高校生が学ぶ国語の大きな特徴(変更)は、「古文をしっかり時間をかけて文法から学ぶ」ことになります。いろいろな暗記項目もありますが、しっかりと覚えて苦手にしないようにしましょう。

【重要な学習ポイント】
□【現代文】言葉の意味に敏感になる(わからないときは調べる習慣をつける)
□【現代文】誤答理由にこだわる
□【古文】品詞の種類・特徴を覚える
□【古文】品詞分解ができるようになる

 

■塾・教材の利用と学習環境の整備

 春休みの学習を効率的に進めていくには、塾や映像授業などの利用も効果的です。

春期講習に参加するメリット

 春休みには、多くの塾や予備校で春期講習が開講されています。春休み中の勉強に行き詰まったり、モチベーションが上手く保てなかったりする場合は、春期講習や勉強イベントに参加してみるのも一つの方法です。講師が生徒の理解度に合わせて教材の選択や授業を進めてくれるので、一人では難しい高校内容の予習もスムーズに行うことができます。また、強制的に勉強に集中する時間を設定できるので、学習習慣作りの一環としても効果的です。集団指導形式や個別指導形式など様々な形式の春期講習が存在するので、自分に合った講習に参加してみましょう。

映像授業を使った学習

 まとまった空き時間の確保が難しい場合は、すきま時間に映像授業を活用する方法もおすすめです。映像授業を利用するメリットの一つは、いつ・どこでも自分の予定に合わせて学習できるところにあります。

 フリーステップでは、Lapマスターという学習ツールを提供しています。忙しい日々でも、Lapマスターで英語や数学の単元を解説した動画を活用して就寝前に動画を一つ見て復習するといった積み重ねで勉強不足を補うことができます。

 

■目標設定と志望校合格に向けた基礎固め

 高校入学時から志望大学や将来やりたいことなどがはっきりしている人はあまり多くないと思いますが、進路に関しては絶対に意識してほしいです。今後どのような流れで進路を決めていくのか春休みの間に確認しておけば、入学後も自分の進路を意識しながら学校生活を送ることができます。まず、進路を決定していく流れには大きく分けて4つのステップが存在します。

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 そのうち、文系・理系の選択は1年生の間に行う学校が多数派です。得意・不得意で決めるのではなく、これから進路選択をどのように進めていけば良いのか、自分の思い描いている進路を考えながら、以下の4つのポイントを確認していきましょう。

ポイント①「やりたいこと」を確認 苦手意識をあまり重要視しない!

 目標を持つことが大切です。興味のある学問や職業について確認しましょう。「あの職業に就きたい」「あの学問について学びたい」「あの大学でキャンパスライフを送りたい」そういった強い目標があれば、今の時期に苦手教科があっても、十分に克服できるはずです。

ポイント② 大学受験を見据えよう 大学への意識は成績上昇には不可欠

 「大学受験なんてまだまだ先のこと」そう思っていませんか?この時期から大学や、大学で行われている講義内容、研究内容などについて調べることで、新たな目標が生まれるかもしれません。先のことだと思わず積極的に情報を収集してみましょう。

ポイント③ 重点的に学習する教科を決め、学習体制を整えよう!

 文理選択の時期が迫れば、力を入れるべき教科や分野が明確になってきます。必要な教科の中に不得意なものがあったとしても、得意教科に変えるチャンスです。この機会に学習体制を整えましょう。

ポイント④ 今の自分の学力を把握 弱点を克服しよう!

 文理選択の時期に、模試などを利用して今の自分の学力状況について、詳しく知っておきましょう。明らかになった苦手教科や弱点分野を、文理選択を考えるこの時期から克服に向けて対策していきましょう。

参考:高校生になるとここが変わる!~高校では将来の目標を考える機会が増える~ | (freestep-walker.com)

大学受験を意識した勉強の始め方

 将来の大学受験に繋がっていると意識して、日々の学習にも取り組んでいきましょう。高校入試を終えた皆さんは思い出して欲しいのですが、夏休みで志望校の見学に行って、秋ごろ受験校を絞り込んでいって、冬になってから本格的な受験勉強を始めた、なんて人も多かったのではないでしょうか。大学受験に関して言うと、もっとペースが速いとお伝えしておきます。まず、学力による勝負である、もっともイメージしやすい入試「一般選抜」であっても「大学入学共通テスト」が1月中旬にはありますし、1月下旬から2月初頭から私大の入試が始まります。入試を有利にする英語外部検定も、遅くとも3年生の秋には必要な級やスコアを取得しておかないと使用することができません。そして「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」では高3の夏には「出願できるかどうか」など諸々決まっていきますので、その対策や準備という視点ではさらに早くから行っている必要があると言えます。これを聞いて、「うわー、なんか大変そう!」と思う人もいるかもしれませんが、早めの対策が将来の選択肢を増やすという視点だけは忘れないで欲しいと思います。

 たとえば学校推薦型選抜では、評定平均という「高校1年生から、高校3年生1学期までの全科目の5段階成績の平均値」が一定以上であれば出願可能といった条件が設定されています。この必要な評定平均は4.0以上あれば難関大含めて相当多数の進路が選択肢に入ります。3.5以上でも中堅以上のかなりの大学が選択肢に入ります。高1最初の成績が上位になれば、その後評定平均4.0や3.5が現実味を帯びてきますが、最初に評定平均3.0くらいだとその後何度も成績アップを達成しないと評定平均3.5に届かせることも大変です。推薦を取るか取らないかにかかわらず、「それを選ぶことができるかも」というのは気持ち的にも相当安心感があるのではないでしょうか。

 最初にお伝えした通り、高校に入学した時点では周囲の生徒と学力に大差はない状態です。努力が反映されやすい環境で、気を緩めずに学習することで良いスタートダッシュを切ることができます。良いスタートを切ることができれば、進路の面でも「より良い選択肢」に手が届く状態で学習を進めていくことができます。極端に大変な思いをしろ、勉強漬けの日々を送れ、というわけではありません。高校生なりのペースを掴んで、まずは学習習慣をつけていきましょう。

 

■まとめとこれからの勉強に向けて

・高校入学後、良い成績をキープし、希望の進路を叶えるには、最初の定期テストで良い結果を残すことが重要です。

・高校では授業内容が難化し、進度も早くなります。部活動なども忙しくなる中で確実に学力をつけていくには、普段から復習と予習を習慣づけていく必要があります。

・効率よく勉強するためには、1週間ごとのスケジュールを立てて勉強していきましょう。スケジュールを立てることで、何をしなければならないかを明確にでき、いつまでに予習や復習をする必要があるのかを整理することができます。

・春休み中に取り組むべき学習は、高校の学習単元の土台となる中学の復習と、高校1学期の予習です。春期講習や映像授業も適宜活用し、効率よく勉強を進めていきましょう。

・高校入学時から、進路を意識するようにしましょう。まずは自分のペースに合った学習習慣をつけることから始めていきます。

 

 春休みは、勉強以外の予定も楽しみながら、少しずつ高校生活に向けた準備をしていきましょう。皆さんが充実した春休みを送り、高校生として良いスタートが切れるように願っています。

 

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>