2022/10/31

【高校生対象】共通テスト直前対策

 大学受験生のみなさん、いかがお過ごしでしょうか。いよいよ大学入学共通テストの日が近づいてきましたね。この記事では、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)に向けて、入試直前期にやっておくべきことについて紹介していきます。

2023年共通テストの出題傾向はどうなる?

2022年共通テストのふり返り ~平均点が大幅に下がった科目の多い年となった~

まずは、2023年度入試の共通テストの対策について述べるにあたって、昨年度入試(2022年度入試)の結果をふり返ってみましょう。

共通テスト2年目となる2022年の共通テストは、共通テスト1年目がセンター試験の平均点を上回ったことから、難化すると予想されていました。実際には、予想を上回り共通テスト2年目は事前の予想を超える平均点の下がり幅となりました。特筆すべきは数学で、数学Ⅰ・Aでは約20点下がり37.96点、数学Ⅱ・Bでは約17点下がり43.06点と、大幅なダウンとなりました。他にも、生物マイナス23.83点、国語マイナス7.25点、日本史Bマイナス11.45点など平均点が大きく下がったことで、多くの国公立大学入試で必要とされる5教科7科目の平均点は文系・理系ともに前年よりも50点程度マイナスとなり、苦労した受験生が多かった年となりました。

この共通テスト2年目の結果を踏まえて、2023年の共通テストに向けた出題傾向・対策を確認していきましょう。

出題傾向~「読解力」がより重要視される出題形式。情報整理力が問われる~

2022年の共通テストはなぜ難化したのでしょうか?その要因を確認していきましょう。2022年の共通テストでは、問題文の長文化や対話・会話文形式といった「読解力」が重視される問題が、文系理系を問わず増加しました。数学の平均点が大幅に減少したのも、設問が長文化し、計算力に加えて思考力を問う出題となったことが一つの理由と考えられています。それにより2022年は知識だけではなく、思考力・読解力・判断力がより重視され、長文・対話文から必要な情報を読み取る情報整理力を問う問題構成となりました。この出題傾向は、2023年も同様の傾向となると予想されています。

対策方法~共通テスト2年目の問題難易度・出題形式の類題演習で慣れておこう~

まず、難易度ですが、数学以外の科目については2022年から大きな変化はないと考えられます。なぜかというと、大学入試センターが共通テスト導入前に目安としていた平均点が50%程度であり、2022年の平均点は数学以外の科目はおおむね50%程度となっていたからです。次に、出題傾向は前述のとおり、知識だけではなく思考力や読解力を必要とする内容が継続して出題されるでしょう。

よって、対策すべき難易度・形式としては、2022年の共通テストと近い難易度・出題形式の問題演習を繰り返すことが有効です。共通テスト対策用の予想問題集を用意しておき、出題形式に慣れるための演習をこなしていきましょう。なお、センター試験の過去問は基礎力強化のために利用し、問題の傾向に慣れるためではなく「何がわからなかったのか」「どのように間違えたのか」を自分でチェックすることが重要です。共通テスト本番でどのような問題が出題されても動揺しなくてすむ準備を整えておきましょう。

さて、ここからは、共通テストの類題演習や過去問対策をするにあたっての効果的な方法をご紹介していきます。

時間配分・解答順序を意識した過去問演習を繰り返す

 受験直前期にさしかかるこの時期から受験本番まで、過去問演習を何度も繰り返すことと思います。仮に共通テストやセンター試験の過去問を10年分行うとして、演習の際は点数だけではなく、いかにその時の自分の実力や結果を知り、整理することが大切です。そして、次の演習までの間でどのような勉強を行うかをしっかり考えるようにしましょう。

受験で最高のパフォーマンスを発揮するためには学力に加え、試験への戦略も重要となります。中でも各大問にどれだけの時間をかけるかという時間配分は事前にしっかりと計画をしておくことも重要です。

教育技術研究所_共通テスト直前対策.png

本番のシミュレーションを行う

過去問や模擬問題を使って、各大問でどれくらい時間がかかるかを計り、本番の試験でどのくらいのペースで解くかのシミュレーションをしておくとよいでしょう。また、解答順序を決めることも戦略の一つです。例えば、国語であれば知識で解ける問題がある古文と漢文を先に解くのが一般的です。自分にとって最適な解答順序については、過去問演習を通じてあらかじめ確立させておきましょう。

弱点を見つけ出す

時間配分についての戦略を立てることは自分自身の弱点と向き合うことにつながります。全体でかかった時間だけではなく、大問ごとにどれだけの時間がかかったかを確認しておくことをお勧めします。時間がかかり過ぎている問題がある人はそこが自分の弱点です。この弱点を見つける際に活用するとよいのが、過去問用ノートです。過去問用ノートを使うことによって、弱点を見つけるだけでなく、その弱点がどのような間違いによって起きているものなのかを把握することが簡単にできるようになります。過去問用ノートについては9月に配信されたフリステウォーカーの記事「【大学受験】「過去問用ノート」を作成して実力を最大化しよう」で紹介していますので参考にしてください。

見つけた弱点の分析をする

時間がかかる要因について、例えば数学の場合であれば、計算をするのに時間がかかっているのか、それとも解法を思いつくのに時間がかかっているのかによっても対策が異なります。計算に時間がかかり過ぎている人は計算の演習量を増やして計算力を高めることが重要です。また、解法を思いつくのに時間がかかり過ぎている人は、発想力を鍛える訓練はもちろん、時間をかけると解けそうな問題と時間をかけても解けそうにない問題の見極める力をつけることが重要です。この判断がうまくいかないと時間をかければ解けたはずの問題が、解けなかったということが起こりかねません。このような点に注意しながら受験本番前までに弱点を補強していきましょう。

本番と同じスケジュールで過ごそう ~本番をイメージトレーニング!~

 試験当日までに本番と同じスケジュールで対策をしておくことは重要です。2日間で長時間の試験を受験するため、思考のスタミナが重要になります。30分程度で休憩をとらなければ集中を持続させることが難しい人は、試験本番で長時間の問題に対して集中を持続させることは困難です。定められた時間で最高のパフォーマンスを発揮するだけの集中力を持続させるためにも、普段の学習においても試験本番の時間に合わせていくことが重要です。試験時間だけではなく、休憩時間も本番のスケジュールに合わせて模擬問題をやってみて、試験当日の1日の流れを体感しておくこともお勧めです。また夜型の学習習慣や普段の就寝時間にバラつきがある人は、遅くとも3か月前には朝方の習慣を身につけておくことが重要です。人間の脳が最も効率的に働くのは起床の4時間後と言われます。そのためには試験までの時間を逆算した生活習慣を身につけておくことが重要です。

マークシートへの解答方法 ~本番の試験で正しくマークをするために~

マークシート形式の試験を受験にするにあたり、次の3点に気をつけておいてください。まずは、1ページごと、もしくは大問ごとの「区切り」でまとめ塗りすることをお勧めします。中には、最後にまとめて塗るほうが効率的と考える人もいるかもしれませんが、この方法は、マークシートにずれて解答していた場合に、最後までそのことに気づかない可能性もあり、危険です。

2つ目に、自分の解答に自信がなく、時間が余ったら後でじっくり考えたいという問題についても、その時点での自分の解答をマークしておくことをお勧めします。後で考えようと問題を空けてしまうと、次の問題でうっかりそこにマークをしてしまう可能性があるからです。後でじっくり考えたい問題については問題用紙にチェックをしておくようにしましょう。

最後に、マークシート形式の試験には、シャープペンシルではなく、あまり尖っていない鉛筆を何本か準備して、試験に臨みましょう。尖っていない鉛筆を使った方が、マークシートを塗る時間を節約することができるためです。「マークを塗る時間なんてほんの数秒の差じゃないか」と考える人もいるかもしれませんが、共通テストでは非常に多くの問題に解答しなければならず、ほんの数秒の短縮も、積み重なることで大きな時間の短縮につながります。その時間で迷っていた最後の1問を解くことができたり、うっかり間違えていた解答に気づいたりすることができます。入試ではたった1問で合否が変わる場合も多々あります。貪欲に点数を狙いにいく姿勢で臨みましょう。

これまで、いくつかのアドバイスをお話してきましたが、受験は「いかに戦略的に臨めるか」が鍵となります。本番を目の前にした今、緊張や不安を感じることも多いかと思います

が、くれぐれも体調には気を付けて、ラストスパート、乗り切っていきましょう!

<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>