2025/06/23

中学生社会の勉強法決定版!暗記プラス思考力で成績を伸ばすポイント

 社会科は「暗記科目」と思われがちですが、実は思考力こそが点数アップの鍵です。この記事では、知識を土台に"考える力"を伸ばす具体的な勉強法を紹介します。

INDEX

■「社会=暗記だけ」はもう古い?最新の出題傾向と求められる力
■分野別に学ぶ!地理・歴史・公民それぞれの効率的な勉強法
■ノートのまとめは必要?効果的なノート活用
■定期テストと高校受験を見据えた社会勉強法
■社会科の成績を伸ばすヒント|思考力を高める学習習慣
■まとめ|暗記+思考力で中学社会を得意科目にしよう!

■「社会=暗記だけ」はもう古い?最新の出題傾向と求められる力

 近年の大学入試改革や、文部科学省による新学習指導要領の全面実施の関係で高校入試はもちろん、中学校の定期テストでも求められる知識や力が変化しています。

暗記だけで対応できない問題が増えている理由

 これまでの社会科は、用語を覚えることで対応できる問題が中心でした。しかし近年は、用語の意味や背景を理解し自分の言葉で説明したり、資料を読み取って判断したりする力が求められています。そのため、単なる暗記では解けない問題が増えており、知識を活用した思考力や表現力がより重視されるようになってきているのです。

思考力・判断力が重視されるテスト形式を知ろう

 思考力や判断力、また表現力が重視される問題とはどのような問題なのでしょうか。たとえば、日本のある地域の人口推移と高齢化率の変化を示したグラフが資料として提示され、その地域の人口構成の変化や、その変化が地域社会に与える影響について述べるように指示されたとします。このような問題には、単に用語の暗記では対応できません。資料を正しく読み取り、読み取った内容と今まで学習した内容を結び付けて、自分の言葉で説明していく力が必要です。

 

■分野別に学ぶ!地理・歴史・公民それぞれの効率的な勉強法

 思考力や表現力が求められる問題に対応していくには、どのような勉強方法に取り組めば良いのでしょうか。地理・歴史・公民に分けて紹介していきます。

地理|資料集や地図を使った理解中心の学習

 地理分野では、地図や資料を読み取る力が特に求められます。地図や統計資料を用いた理解中心の学習を通じて考察する力を養うことが得点力アップにつながります。以下のステップに沿って、思考力を養っていきましょう。

【ステップ1】地図と資料で地域の特徴を整理

 地図帳や資料集で気候・地形・産業などを比較して、地域ごとの違いを整理します。たとえば、稲作や野菜栽培がさかんな地域に注目し、地形・気候・用水の有無や川の流れ方といった項目を調べてメモしていきましょう。

【ステップ2】自分の言葉で説明する

 資料をもとに地域と産業の関係を、自分なりの理由づけで表現します。たとえば、なぜ越後平野で米作がさかんなのか、夏の高温・水はけのよい土壌などをもとに自分で説明してみましょう。

 フリーステップでは、この「自分の言葉で説明する」というプロセスを重要視し、学習方法の一つとして「発問学習」を採用しています。発問学習とは、講師が生徒に用語の定義や現象の理由などを問いかけ、生徒に自分の言葉で説明してもらうというものです。このように問いかけられることで、生徒は「なぜそうなるのか」と、自分の考えを深める必要が出てきます。単に正解を覚えるだけでなく、その背景や根拠を考える過程を通じて、思考力や判断力が養われていきます。さらに、自分の言葉で説明するという行為そのものが、学んだ内容をより深く理解し、記憶に定着させる助けとなります。人に説明できるということは、その内容を本当に理解していることの何よりの証拠です。こうした指導は、生徒一人ひとりの理解度に寄り添いながら、確かな学力を築くうえで非常に効果的です。自分のペースで「わかる」を積み重ねられる環境が、フリーステップの大きな強みです。

【ステップ3】資料問題に挑戦し、読み取る力を鍛えていく

 教科書やワークの問題に取り組み、実際に資料から答えを導く練習をします。

歴史|年表だけに頼らない、流れをつかむ勉強術

 歴史の学習では、年号や出来事を暗記するだけでなく、因果関係や時代の流れを理解することで、背景や意味を考える力が育ち、自分の言葉で説明する力の向上にもつながります。

【ステップ1】出来事の順番をおさえて、歴史の流れをつかむ

 教科書を読み、1つの時代の重要な出来事の時系列を整理します。たとえば鎌倉時代は、「鎌倉幕府成立→元寇→幕府の衰退」と整理していきます。

【ステップ2】「なぜ起きた?どうなった?」を考えて、つながりを見つける

 その出来事が「なぜ起きたのか」「どんな結果をもたらしたのか」を、因果関係としてノートにまとめましょう。たとえば、元寇は元が日本に服属を求めたものの、日本がそれを拒否されたため起こりました。幕府は元と戦った者に対して恩賞を十分に与えなかったため、御家人の不満が高まり、幕府の力は弱まるという結果をもたらしました。

【ステップ3】資料や図を使って、時代の全体像をイメージする

 資料集や図解を使い、政治・経済・文化の関係を図や矢印で表現して整理します。

【ステップ4】学んだことを自分の言葉で説明できるようにする

 まとめた知識を使って時代の特徴を説明する練習をします。たとえば、鎌倉幕府の場合は、以下のような説明をできるようにしていきます。

 鎌倉時代は、武士が初めて政治の中心となった時代で、将軍と御家人が主従関係を結ぶ「御恩と奉公」によって政治が進められた。元寇を経験したことで、外敵に備える体制が強まったが、戦いに対する恩賞が少なかったため、御家人の不満が高まり、幕府の力が弱まっていった。

公民|時事問題と関連させて興味を広げるコツ

 公民は時事問題と関連させて学ぶことで、社会の仕組みを自分ごととして捉えやすくなり、知識の活用力や意見を述べる力が高まります。ニュースや新聞に対して、以下のように取り組むと効果的です。

【ステップ1】ニュースや新聞を見ながら「何の単元と関係するか」を考える

 たとえば、選挙のニュース は、「国民主権」「民主政治」といった単元と関連がありそうです。

【ステップ2】教科書でその単元を確認する

 ステップ1で考えた単元をもとに、ニュースで出てきた内容と関連する用語や仕組みを教科書で再確認し、「公民のどの原理や制度が関係しているか」を整理していきましょう。選挙についてのニュースであれば、与党と野党の違いや普通選挙、平等選挙といった選挙の原則を確認すると理解が深まります。

【ステップ3】自分の意見を持つ

 「なぜこういう問題が起きているのか」「自分ならどう考えるか」を短くノートに書いていきます。

【ステップ4】用語と結びつけて説明する練習をする

 たとえば「少子化対策として、税金を使って支援を行うことには賛成か」など、公民用語を用いて自分の意見を述べる練習をします。この場合は、「税金」「財政」「社会保障」「公共の福祉」などが使えそうです。

 

■ノートのまとめは必要?効果的なノート活用

 社会の授業では、重要ポイントをおさえたまとまりのある板書をする先生が多いため、しっかりと板書を写すことでまとまりのあるノートになります。重要語句に関してはマーカーを引くだけではなく、歴史の流れや関連する地域まで学習しておくと効果的です。詳細は、「中学生のためのノート取り完全ガイド」を参考してください。

 

■定期テストと高校受験を見据えた社会勉強法

 近年の定期テストや高校入試の傾向を踏まえて社会を勉強していく上では、記述問題の対策や、計画的な学習が不可欠です。また、自身の力試しには模擬試験(模試)の活用がおすすめです。定期テストなどに向けた学習と並行して、模試で苦手な問題形式や単元を割り出し、復習していくことで、効率的に入試に対応する力をつけていけます。

記述問題の対策|要点を的確にまとめるトレーニング

 最初にも述べたように、高校入試や中学校の定期テストでは、説明文から用語を導く暗記力から、用語の意味や背景を理解し、自分の言葉で説明する力へと、求められる力が変化しています。そのため、社会の定期テストや高校入試に備えるには、要点を的確にまとめるトレーニングをしていきましょう。

 問題に対して、以下のようなステップで解答を作っていく練習をしていくと効果的です。

【ステップ1】設問の問い方を正確に読み取る

 問題に取り組む際にはまず、「なぜ」「どのように」「どんな影響があるか」など、問いの種類を把握し、何を求められているかを明確にします。

【ステップ2】資料や本文から必要な情報を抜き出す

 グラフ・地図・本文・年表などからキーワードや数字、関係性を抜き出していきます。マーカーなどで印をつけ、根拠となる情報を視覚的に整理すると分かりやすくなります。

【ステップ3】主語と述語を意識してまとめる練習

 短い文でも意味が通じるように、「だれが・なにを・なぜ・どうした」の要素を含めて構文を組み立てる練習をしていきます。たとえば、「地形が平らで、水が豊富だったため、稲作が発展した。」といった要素が明確な文になるように意識していきましょう。

【ステップ4】30字・50字など指定字数で書く練習

 語数指定がある問題に対応していくためには、最初は字数を気にせずに書き、その後で不要な語を削ることで、要点を取捨選択する力を養うことができます。文を作成した後は、「だれが・なにを・なぜ」といった要素が分かりやすく述べてあるか、などを見直す習慣をつけます。

予習・復習のバランスを考えたスケジュール管理

 高校入試を見据えて勉強していくには、勉強スケジュールの管理が不可欠です。遅くとも中学3年生の12月には中学3年生の学習範囲を終わらせ、過去問演習などの入試対策に入れるようにスケジュールを組み、勉強を進めていきましょう。中学3年生の夏には中1~中3の1学期までの総復習に取り組み、中学3年生の2学期以降は、履修した内容を都度完璧にしていきます。

 定期テストの対策については、「予習→演習→復習」のサイクルで学習に取り組んでいきます。まず予習に取り組み、教科書などに目を通して単元の内容を頭に入れておきます。実際に授業で学習した後は教科書や問題集のワークで理解が不十分な箇所を洗い出し、再度教科書やノートを見直すなどの復習をして学習内容を詰めていきましょう。

 フリーステップには、My Step Log(マイ ステップ ログ)という機能があり、一つひとつの授業の理解度や進捗、苦手単元や定期テストの予想点数、これまでの成績推移にいたるまで、幅広く管理することができます。また、教室チーフが学習プランナーとして、生徒それぞれの進捗状況や単元理解度を定期的に確認し、必要に応じて学習計画を調整します。これらを活用することで、効率的かつスムーズに定期テスト対策に取り組むことができます。

 

■社会科の成績を伸ばすヒント|思考力を高める学習習慣

 社会科で高得点を取るためには、知識の暗記だけでは不十分だということは最初に述べました。この章では、地図やグラフ、ニュースなどを活用しながら思考力を高め、社会科の理解を深める学習習慣を紹介します。

地図やグラフ・統計が示す情報を読み解く力を鍛える

 地図・グラフ・統計資料から情報を読み解く力を鍛えるためには、「読む→比べる→考える→自分の言葉で表現する」という一連の思考プロセスを定着させていきましょう。以下のことを意識してトレーニングを行うと効果的です。教科書や問題集の地図やグラフを題材にして取り組んでみましょう。

【ステップ1】資料の基本的な特徴をつかむ

 地図なら「地域・方位・凡例・縮尺」、グラフなら「縦軸・横軸・単位」、統計なら「何年の、どんなデータか」を確認します。最初は「何を示しているか」を説明する練習から始めましょう。

【ステップ2】比較して気づきを得る

 地図なら「A地域とB地域で違うのは何か」、グラフなら「どの時期に増減したか」、統計なら「全国平均と比較してどうか」など、比較の視点を持ちます。「一番多い」「急に減った」「この年だけ高い」などの具体的な気づきを言語化していくと情報を整理しやすくなります。

【ステップ3】原因や背景を考える

 「なぜこの地域で野菜の生産が多いのか」「なぜこの年だけ観光客が減っているのか」など、資料に現れた傾向の理由を予想・説明する力を養います。地理・歴史・公民で今まで身につけた知識と結びつけて多角的に考えてみましょう。

【ステップ4】資料から答えを導く問題に挑戦

 実際の入試問題や問題集で、資料を根拠にした選択肢選びや記述の問題に取り組みます。「資料を見ずに答えるのではなく、必ず資料を根拠にする」習慣をつけましょう。

身近なニュースを教材にするメリット

 思考力を高めるには、身近なニュースを教材にしていく習慣づけも効果的です。身近なニュースに目を向けることで、社会の動きと学習内容が結びつき、問題に対して自ら考える力がつきます。社会科で必要とされる思考力を、身近なニュースを使って鍛える方法は、以下のように段階的に進めると効果的です。

【ステップ1】ニュースを「自分ごと」として読む

 最近のニュースから、自分の生活に関わる話題(例:最低賃金、災害、選挙、エネルギー問題など)を選びましょう。「これが自分や家族にどう関係しているか」を考えながら読む習慣をつけます。

【ステップ2】5W1Hで情報を整理する

 ニュースの内容を「いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どうした」の観点でまとめます。要点を把握する力と、事実と意見の区別をつける力を養っていきましょう。

【ステップ3】原因と結果を考える

 「なぜその問題が起きたのか」「それによって社会にどんな影響があるのか」など、因果関係を自分の言葉で説明していきましょう。高齢化や環境問題など、今まで学習した内容を利用して、自分の想像ではなく、根拠のある説明になるように意識していきましょう。

 

■まとめ|暗記+思考力で中学社会を得意科目にしよう!

 中学社会を得意科目にするためには、「覚える力」だけでなく、「考える力」も伸ばしていく必要があります。地理では資料をもとに地域の特徴を読み解く力、歴史では出来事のつながりを考察する力、公民では時事問題と結びつけて自分の意見を持つ力を養っていきましょう。加えて、資料やグラフの読み取り、記述問題への対応も重要です。これらは全て、単なる暗記では対応できない思考力が鍵になります。日々の学習で「なぜ?」「どうして?」と問いかけながら学ぶ習慣を身につけ、私たちが暮らす社会の土台となる制度や構造を深く理解していきましょう。フリーステップでは、こうした「問いかける学び」を大切にし、講師からの発問を通じて生徒自身が言葉にして説明する機会を多く設けています。その中で知識を活かす思考力が磨かれ、社会科の本当の面白さに気づいていくことができます。

 

< 文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所 >