2021/05/10
学部の違いって何?「文学部語学系学科」&「外国語大学」&「国際関係学部」前編
前編
このややこしい学部の違いって何だろう?どの大学、学部が自分には最適なのだろう?文系志望の学生を悩ませるこの問題について、3月某日、フリーステップの現役学生講師7人にお集まりいただき聞いてみた。どうやって学部選択をしたのか?実際、大学ではどんなことをしているのか?
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Duran まずは志望動機、「なぜ、その学部を選んだのか?」から伺っていきたいと思います。語学系の学部を選択されたということは、やはり皆さん語学が得意だったのでしょうか?
後藤 僕の場合、最初は自分が文系なのか理系なのかも分からずに高校時代を過ごしていました。最初は数学の方ができていたので理系かな、なんて(笑)。でも一番早くから受験勉強に取り組んだのが英語で、そのせいもあって英語教員を目指すようになりました。僕の学部は、アメリカ文学・英文学・言語学にコースが分かれているのですが、言語学コースに教員向きの授業が多いので、そこを選びました。
三村 僕も1教員志望です。僕は中1の最初の試験でいきなり英語で高得点がとれて、それ以来、そんな単純な理由から、少しずつ英語が「好き」になってしまって、それ以降、英語一本で受験をしのいできた、って感じです。「大学では英語を勉強することになるんだろう」と、漠然と思っていました。ですから大学は、グローバル、とか、~英語とかが付く大学になるだろうと。その時は、「英語が学びたい!!」という抽象的なイメージを持っていました。
河野 僕も高校の時から英語が得意だったので、それを得点源に学部を考えました。大阪大学の外国語学部は英語の配点が高いので(500点満点中英語が300点)。ただ僕はヒンディー語の専攻です。インドに興味があり、成長しているインドのことを学びたかったからです。ヒンディー語はテキストのほとんどが英語で書かれていますので、大学では英語でずっと本を読んでいる感じです。
櫻井 僕は中学の頃から、英語よりは国語の方が点は良かったです。高校では数学は挫折したのですが、先生が「国語ができる子は英語もできるよ」と言ってくれて、その声に乗りました。高1から自分は文系だと思っていました。関西外語大は受験科目が英語と国語しかないので、合格には割と自信がありました(笑)。大学では英語のみの授業が多くあり、学生はみな英語で会話をすることに躊躇がないですね。日本語で話すことよりも英語で話すことの方が多いくらいです。
Duran 櫻井さんのように英語のみで取り組む授業は当然のようにあるのでしょうか?
(7人全員が挙手)
中野 私も高校の時は英語が得意だと思っていたのですが、合格点を見たら「そうでもないかな」って(笑)。でも、英語のみの受験で通っていたんだから、やっぱり得意だったのかなぁ(笑)。高校は俗にいう進学校ではなくて、卒業後は就職を選択する人もたくさんいるような高校でした。先に話された方と同じで、私も教員を目指しています。
私の大学は1回生の時に強制留学をさせられるのですが、珍しいのではないかと思います。行かなかったら退学です。ですから言語は必然的に上手になります。
藤井 私のところも強制留学があって、今私はオンライン留学中です。この状況下なので、オンラインでイギリスの学校の授業につないで、授業も試験もオンラインで受けています。留学は卒業条件です。私は中学から同志社系の学校で、その頃から異文化に興味がありました。言語を使って学びたいなと漠然と思っていたんですよね。法学部や公務員狙いの学部も考えたのですが、当時の思いを尊重してこの学部に決めました。
桂 私は皆さんと違って、小学校から立命館だったんです。他の受験は考えられませんでした。学部も中学・高校の学校の授業を通じて少しずつ国際問題に興味をもつようになったという感じです。国際関係学部は入学後、6ヶ国語から一つを選ぶのですが、私は話している人口の多い中国語を選びました。
Duran 志望動機でもう少し聞きたいのですが、今の学部を志望すると決定するのに当たって、①受験教科や科目から入った、②やりたいことから入った、③それ以外の3つぐらいが考えられると思うのですが。挙手でお願いします。①教科・科目から入ったという方?
(河野、櫻井、三村が挙手)
Duran では、②やりたいことから入った、という方?
(桂・中野・藤井・後藤が挙手)
Duran ということは③その他は、いらっしゃらないというわけですね。
では、実際に入ってみて「文学系に入ったけど、語学系の方がよかったな」とか「国際系にしといたらよかったな」とかいうのは無いものなのでしょうか?
後藤 今僕は、高校の時からは考えられないほどの量の本を読んでいます。戯曲や詩、特に詩の評論をめちゃくちゃやりました。このあいだ、なにげに書いたレポートの総数をカウントしてみたら25,000字を越えていました。たった2単位を取るのに25,000字って割に合わないんですよ。ただ、本当に苦しい作業だし、こんな作業、就職にも全く関係ないだろうって気がしていたんですが、それを重ねてやることで「モノの見方」が身に付いた気がしています。いろいろな方面からモノを見る、ということが今は本当に体感できて、「本を読んで文字を書く」という簡単そうでなかなかできないことを得られたのは、文学部に行ったおかげだと思います。
櫻井 僕は大学に入って「英語を、英語で聞いて、英語で考えて、英語で話し返す」という、日本語よりも英語の使用頻度の高い日常の体験をすることになったわけです。高校時代に英語が使いたかったけれどもそんな環境にいなかったなんて人は、「英語を話したい」ということを主眼に考えれば、外国語大学はいいと思います。
後藤 補足させてください。文学部は書くばっかじゃなくて、話す授業もあるんですよ。ただ、量で言ったらやはり「話す」よりも「書く」が多いとは思います。
藤井 私の学部は国際関係とはいっても、海外に関することならなんでも学べます。歴史・文学・政治経済・ジェンダー・移民難民などなんでも。人によってやっていることもバラバラなんです。私は漠然と海外の文化面に興味があったんですけれども、そのいろいろなジャンルの一つひとつから、漠然としたものが段々と一つのハッキリとした形になっていく...。そういった学びができるのがこの学部に来てよかったことなのかな、と思います。
桂 私の学部では、授業としての英語の時間は、世界中で起きたことを取り上げて英語で学び考える、というのが多いですかね。
Duran 大阪大学といえば日本でも最も多い語学部数がある大学なんですけれども、入ってからはいかがでしたか?
河野 ヒンディー語専攻という観点から話をします。ヒンディー語は週5コマ授業があるのですが、それぞれが違う教授が授業をされます。一言語を5人の教授から教わることが出来るというのは、まさに素晴らしい環境です。ネイティブの方もいらっしゃいますし。1年次は文法や会話表現、そしてネイティブの先生からは会話を中心に学びます。2年次からは文化、経済なども詳しく学んでいきます。その国と地域に興味のある学生なら、満足のいく講義が受けられると思います。ただ、その言語に特化して学ぶことになる、ということは注意しておいた方がいいかもしれませんが。
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前半は皆さんの志望動機を中心に、それぞれの学部の実情に迫りました。それぞれご自身の「今の学部に入ってよかったな」と満足されていて、意欲的に学ばれている印象があります。
ここまでで皆さんの先輩でもある講師の方々の台詞から、Duranの心を打ったものを抜粋しておきます。これが正に金言ではないでしょうか。
後編では、各部の就職に関する実情についてお聞きしていきます。
▶「文学部語学系学科」&「外国語大学」&「国際関係学部」後編
<文/開成教育グループ 個別指導部フリステウォーカー講師編集部:藤本憲一(Duran)>