2021/10/25

学部の違いって何?「商学部×経済学部」後編

後編

前編はこちらから

講師のお二人

壺見 政弘FS武庫之荘) 大阪市立大学 商学部

永井 匠 (FS淡路駅前) 同志社大学 経済学部

質問者

高山萌々子:フリステウォーカー講師編集部員。

 

Q.経済学部や商学部を卒業される方はどのような就職先を選ぶ方が多いのでしょうか?

壺見:私の周りには、民間企業への就職を希望している人が多いですが、公務員を希望している人もいます。民間企業の中では製造業と金融業が多いような印象を受けます。

永井:正直、まだ2年生ということもあって全然考えていない人が多いです。ただ、税理士になりたいという人もいます。大学の先輩を見ていると、銀行などの金融系や企業の経営をする人が多いのかなと感じています。

壺見:文系の学部では就職先に大きな違いはないと思うので、文系であれば特殊な進路を考えない限りは就職先で学部を選択する必要はあまりないと思います。

永井:そうですね。理系の学部であればそれぞれ学んだことが就職に直結することもあると思いますが、文系は学部によって就職できる先が大きく変わることは少ないと思います。

Q.お二人は将来の就職などについてはどのように考えていますか?

壺見:私は中学校教員になりたいので社会科の教職課程をとっています。

永井:情報系の企業に進みたいなと考えていましたが、今はIT企業に絶対入りたいというわけではなく、ICTを利用して社会を発展させたいと考えています。今の世の中、IT企業だけでなく、様々な業種がICTを活用しています。まだ職種などは考えていませんが、企業に就職してICTを活用した仕事をしたいと考えています。また、新技術を開発するのではなく、その活用方法を考えるうえでは、経済学部入って経済を学べてよかったと考えています。

Q.お互いに、経済学部からみた商学部、商学部からみた経済学部のイメージはどのようなものでしょうか?

壺見:履修登録のタイミングなどでいろいろな話が耳に入ってきますが、そこで聞く限りは似たような授業もあるようです。実際のところ、お互いに何をやってるかはよくわかっていないのではないでしょうか。

永井:勉強面でいえば、商学部は会計などの授業が多く、経済学部は経済理論に関する授業が多いイメージです。僕の大学の話だけでいえば、商学部は楽そうだなと(笑)。

壺見:うちの大学でも経済学部と商学部でお互いに相手のほうが簡単だと言い合っていますね(笑)。

Q.今の学部を選んでよかった瞬間はありますか?

永井:経済理論に興味があったので、期待通りのことを学べたという点が良かったです。また個人的には、情報の授業を受けたからこそ今興味がある情報システムやITに出会えたということが良かった点です。僕の大学の商学部では情報の授業がないので、経済学部を選んでよかったなと思います。

壺見:私は数学が苦手なので経済学にしなくて良かったなと(笑)。高校の時には経済学部と教育学部を中心に考えていたので、最終的に商学部を選んでよかったと思います。またさまざまな授業において、実際に企業で働いている方の講義を聴く機会があることが商学部を選んでよかったと思う点です。有名企業の方がどのようにマネジメントやマーケティングをしているのか、普段であれば聞けないような話を聞けるのがいいなと思います。

Q.学部選びに悩んでいる高校生へのアドバイスをお願いします。

永井:まずは自分のやりたいことと、反対にやりたくないことを分析するべきだと思います。たとえば経済学部では、経済理論を学ぶ上で数学なども高校数学や大学数学の学習が求められます。自分のやりたいことがあいまいで、就職に役立つかもしれないからと経済学部を選択しようとしている方は要注意です。理論的なことを学びたいのであれば経済学部、より実践的なことを学びたいのであれば商学部がいいのかなと思います。

壺見:商学部で学ぶ内容は最終的に経済や社会の動きを見ることになるので高校の公民科の延長線上にあるように感じます。その中でも、高校までに学習してきた社会科との最大の違いは専門的知識を用いて自分の考えを深めるという点にあると思います。興味のある学部がないからといって、名前だけで経済学部や商学部を選択すると後で痛い目をみることになりかねません。

永井:学部は慎重に選んだほうがいいと思いますね。自分が興味があることや得意なことなどを分析して選択したほうがいいと思います。

壺見:とくに注意してほしいのは、同じ学部名であっても大学や教授によって学ぶことが微妙に異なるということです。また、教職を目指している人に向けて言うのであれば、教育学部を目指すことも選択肢の一つですが、科目によっては他の学部であっても取得できます。教職課程の履修は大変ではありますが、自分の専門性を高めることも選択肢として持っていてほしいなと思います。視野を狭めすぎないでほしいと思います。

Q.同じ学部名であっても学ぶ内容が異なる場合、どの大学で何を学べるかということはどのように調べたらいいのでしょうか?

永井:大規模な大学であれば教員数も多いのである程度専門分野はそろっていると思います。ただ、小規模な大学を選ぶときにはしっかり調べる必要があります。オープンキャンパスや資料請求などでカリキュラムに関する資料を手に入れて、きちんと確認するといいと思います。

壺見:そうですね、オープンキャンパスや大学のホームページなどを見るといいと思います。入試直前になると大学によっては入試の特設サイトが開設されたり、動画投稿サイトなどで大学紹介の動画が配信されたりします。それらを視聴して情報を集めるといいのではないでしょうか。

Q.大学に入る前にやっておいたほうがよかった、やってよかったと思うことはありますか?

永井:やってよかったと思うことは、自分で学習する力をつけることです。高校生まではフリーステップなどでも学習のサポートがありますが、大学に入ったら基本的に一人で勉強しなくてはならない環境になります。そのため一人でも、勉強ができる『独学力』を鍛えたほうがいいと思います。

壺見:あまり「これをやっておいたほうがよかった」と思うことは少ないですね。しかし、フリーステップで講師をしている中で、永井さんの言う通り、「自分でなんとかする力」を身につけてほしいなと生徒に対して感じています。個別指導塾に通っている生徒の中には、学習のスケジュールなどを講師に頼りっぱなしになってしまっている子も多くいます。大学に入ってからも、サークルの先輩や友達など頼れる人はいるかもしれませんが、結局最後は自分でなんとかしなければなりません。大学に入ってからでは苦労することになるので、早めにその力をつけてほしいなと思います。

 

まとめ

今回は文系の学部の中でも、その違いがわかりにくい経済学部と商学部についていろいろなお話を伺うことができました。

学部の名前だけで選択すると、後悔してしまう人も多くいます。

これから大学や学部を選択していく中で、将来やりたいことがはっきりと決まっておらず悩むこともあるかもしれません。

その時にはぜひ、自分の興味のあることや好きなこと、得意なことなどを今一度分析して考えてみてください。

迷ったときにはフリーステップの教室チーフや講師を含め周りの人にも恐れず相談してみましょう。

 

<取材・文/開成教育グループ 個別指導部フリステウォーカー講師編集部:高山萌々子>

 

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