2023/11/06
関東 受験・進学情報だより【SSH・SGHを知っていますか?SGH・WWL編】
皆さんこんにちは。
「SSH・SGHを知っていますか? SSH編」に引き続き高校についてのお話ですが、中高一貫校とのかかわりも深いので、中学受験を考えているご家庭もぜひお読みください。
今回は関東のSGH=Super Global High school(スーパーグローバルハイスクール)について、そしてこの話題なら避けては通れないWWLについて詳しく紹介していきます。
>>SSH編はこちら
SGH:スーパーグローバルハイスクールとは?
スーパーグローバルハイスクールは、文部科学省が国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高等学校を指定する制度として2014年に始めたものです。
目的は、高等学校等におけるグローバル・リーダー育成を教育を通して行うことです。要は、生徒に教養やコミュニケーション能力・問題解決力等の国際的素養を身に付けさせて、国際的に活躍できる"グローバル・リーダー"を育てようということです。
現代では、人の活動においての国境の障壁はどんどん低くなっています。AIによる機械翻訳などもどんどん発達していますよね。ただ、それでも国際的な感覚、人の感じ方・表現の仕方・文化など、身につけているといないとでは大きく変わる要素があります。SGHと呼ばれる学校では、こういったいわゆる国際感覚とも呼ばれるような部分を高校生のうちから身につけていける環境になっているんですね。
国の取り組みとしてのSGHは2021年度で終了していますが、現在はSGHの取組を継続して実施する高等学校等が参加する「SGHネットワーク」という形で存続しています。
SGHにはどんな特徴があるの?
SGHネットワーク参加校では、国内外の大学や企業・国際機関等と連携して、国際的な社会課題やビジネス課題をテーマに横断的・総合的な学習および探究的な学習を行っていきます。
SGHに選ばれた学校では、地域や学校の特性を生かした学校ごとの「目指すべきグローバル人物像」を設定して、これを目標に具体的な課題や学習内容を決めていきます。
書き出してみると、
- 目指すグローバル人材像の設定
- 研究開発テーマ
- グローバルなビジネス課題・社会課題
- 課題研究(探求型の学習・海外フィールドワーク)
- 大学との連携
- 国際機関・企業等との連携
といった、他の高校には無い特徴があるんですね。
どんな学校がSGHネットワーク参加校なの?
令和5年度の関東での主な参加校(関東のフリーステップ生にかかわりの深い地域に絞っています)がこちらです。全国では120校が参加しています。
東京都
- 東京工業大学附属科学技術高校
- 筑波大学附属高校
- 東京学芸大学附属高校
- 東京学芸大学附属国際中等教育学校(高校募集無し ※ 帰国子女の若干名募集はあり)
- 佼成学園女子中学高校
- 昭和女子大学附属昭和高校(高校募集無し)
- 青山学院高等部
- 渋谷教育学園渋谷中学高校(高校募集無し)
- 富士見丘中学高校
- 大妻中野高校(高校募集無し)
- 順天高校
- 啓明学園中学高校
- 創価高校
埼玉県
- 筑波大学附属坂戸高校
- 市立浦和第一女子高校
- 不動岡高校
千葉県
- 佐倉高校
- 市立稲毛高校
- 渋谷教育学園幕張高校
"WWL"について
SGHについて調べていると、WWLという言葉にもよく出会います。このWWLとは一体何でしょう?
WWLとはWorld-wide-learning(ワールドワイドラーニング)の略で、直訳すれば「世界的な学習」となるでしょうか。
WWLとは、将来世界で活躍できるイノベーティブ(革新的)なグローバル人材を育成するための取り組みです。これまでのSGHの取組の実績等を活用し,高校等の先進的な学習内容を考えたり実践したりしながら体制を整え、高校等と国内外の大学、企業、国際機関等がともに働き、高校生に高度な学びを提供する仕組み(ALネットワーク)の形成を目指しています。
国の行うSGHという取り組みは終了した(そしてその後を引き継いだネットワークがある)と書きましたが、一部はこのWWLという取り組みに継承されているのですね。
WWLは「WWLコンソーシアム構築事業」という言葉でよく登場します。「コンソーシアム」とは「共同事業体」のことで、「WWLコンソーシアム」とは「グローバル人材を育てる取り組みを一緒に行う様々な人々(企業・団体・政府)の集まり」と言い換えることができるでしょうか。
SGHとWWLコンソーシアム構築事業は共同で「全国高校生フォーラム」を開催しています。
WWL拠点校
SGHネットワーク参加校のように、WWLにも拠点校と呼ばれる学校があります。SGHに比べると数は少ないですが、関東ではこれらの学校が拠点校として頑張っています。
東京都
- 南多摩中等教育学校(高校募集無し)
- 富士見丘高校
- 渋谷教育学園渋谷高校(高校募集無し)
埼玉県
- 筑波大学附属坂戸高校 ※ 指定年度は終了していますが取り組みを続ける学校として拠点校に指定されています
まとめ
上で、「課題研究(探求型の学習・海外フィールドワーク)」と書きましたが、少し例を見てみましょう。
2021年筑波大学附属坂戸高校「Impact of forest fires on soil(森林火災における土壌への影響)」
2021年南多摩中等教育学校「Cultivation Method and Popularizing Organic Cotton ~What I can do as a high school student~(オーガニックコットンの普及と新しい栽培法の取り組みについて)」
2018年浦和高校(当時SGH)「Learning from Danish examples to build a better future(デンマークの例に学ぶより良い未来の作り方)」
こういったテーマでの研究を英語で資料をまとめ大勢の前でプレゼンテーションしていきます。
SSHの記事でも書きましたが、こうした発表やそこに至るまでの情報をまとめ上げていく行動などは決して高校生の思い出作りのイベントなどではなく(大学や社会に出て行くと盛んに行われるような)実践的な活動ですので、そういった場を高校生のうちにたくさん経験できるというのが、ここまで紹介してきたSGHやWWL、SSHといった取り組みを行っている学校の利点と言えると思います。
「将来は国際的な道に進みたい/進ませたい」というご要望をお持ちの家庭も多いと思いますが、意外と学校の名前やコース名だけで国際系に強いことを見抜くのは難しいですよね。SGH・WWLに認定されているということは一つ大きな目安になると認識していただけると良いでしょう。
この記事を読んで、「SGHネットワーク参加校やWWL拠点校に進学したい」と思った方もいるのではないでしょうか。魅力を感じた方は、是非学校説明会や見学に行ってみてくださいね。
<文/開成教育グループ 教育技術研究所 小川真史>