2021/09/27

【大学受験】公募制推薦ってどんなもの?受験したほうがいい?

そもそも公募制推薦入試って何?

いわゆる推薦入試ですが、文部科学省による入試区分の名称変更によって、2021年度から「学校推薦型選抜」と呼ばれるようになりました。推薦入試には「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」の2つがあります。

旧来の「指定校推薦」「公募制推薦」を学校推薦型選抜と呼び、「AO入試」と呼ばれていた入試方式を総合型選抜と呼びます。区分や呼び方が変わりましたが、今回は特に「公募制推薦」の注意するポイントをまとめておきましょう。

表:公募制推薦

公募制推薦入試.jpg


 図の通り、公募制推薦といっても、上記のとおり4種類に分類しておくと分かりやすいと思います。①②は「一般推薦」と呼ばれ、評定平均などの学校基準をクリアしていれば受験が可能です。一方、③④については学校成績だけでなく、資格試験、課外活動、スポーツ等で優秀な成績を残した人が受験できる「特別推薦」と呼ばれています。スポーツ推薦などの呼ばれ方をすることもあり、AO入試に近い入試方式となります。

②④の専願制の場合は、複数の出願ではなく、一般的に第一志望への出願となるので迷うことは少ないでしょう。

そのため、ここでは①の「併願可能な公募制推薦」について説明していきます。公募制推薦は表の通り、大学が提示した出願条件を満たし、校長先生からの推薦状を得られれば全国の高校から受験することができる入試で、既卒生でも受験を認める大学もあります。試験の実施時期は主に11月~12月です。出願条件とは、主に学校の評定平均です。判定方式は、学校の評定を加味せず試験当日の点数だけで合否判定をする方式や英検等の資格を利用できる方式など様々な形が存在します。

公募制推薦入試を受けるメリットは?

公募制推薦入試にはたくさんのメリットがあります。

1】公募制推薦で合格することができたときの一般入試での時間的・精神的な余裕

例1:A大学が第一志望校の受験生が一般入試でB大学・C大学を併願する場合

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例2:A大学が第一志望校の受験生が公募制推薦入試でB大学・C大学に合格した場合

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1の受験生は入試直前期にABCそれぞれの大学の対策をバランスよくこなす必要があります。一方。例2の受験生は公募制推薦入試合格から一般入試までのおよそ2か月間、A大学の対策のみに専念することができます。受験生にとって、「第一志望校のみに集中する」という時間は非常に貴重です。そのため、大学入試においては、早期に安全校を確保することは、第一志望校の合格率を高めるための有効な戦略のひとつです。

「滑り止めを受ける」ことをネガティブにとらえてしまう受験生もいますが、大学受験ではこういった戦略を活用することも検討してみてください。これまでの経験上、例1と例2を比較すると、時間的な余裕だけでなく、精神的な余裕を持てることでポジティブに勉強できる生徒も多いです。

2】受験本番という貴重な経験。受験に慣れることができる。

 多くの受験生にとって「初めての大学受験本番」は1月の共通テストであることが多いですね。しかし、この「本番」の緊張感やプレッシャーは本当に忘れられないものです。受験本番に慣れるということは本当に重要で、「同じ大学を何回も受けて慣れる」のは基本戦略です。その点で公募制推薦は、受験本番のチャンスが増えるので、共通テストや本命の大学の練習と割り切って受験することにも大きな価値があります。

 特に、模試の時に緊張して普段どおりの得点が取れない受験生におすすめです。浪人生が強いのは単に長い時間勉強しているからというだけではなく、この「受験経験」の有無は大きいものです。合否も重要ですが、公募制推薦にチャレンジすることで、受験本番を経験することも重要な機会だと思います。

3】高校生活での頑張りを評価してもらえる。

 大学にもよりますが、一部評定平均(学校成績)が得点化されて評価される入試方式もあります。学校成績の良い受験生にとっては有利に受験ができる入試です。

公募制推薦入試で不合格になるが怖くて受けたくない・・・

私は代ゼミサテライン予備校大学受験専門館でフェローとして働いています。実際に受験生と相談をしていると「不合格で落ち込むことが嫌だから公募制推薦は受けたくない」といった声を耳にします。もちろん不合格になることはショックだとは思います。

しかし、不合格になったとしても、受験生にとっては意味が無かったということはありません。ある生徒は公募制推薦にて、かねてから進学したいと思っていたB大学にあと1点足りず合格を逃してしまいました。すごく落ち込みましたがその悔しさから、「落ちた大学よりも偏差値の高いA大学に行ってやる!」という思いで勉強した結果、無事、A大学にも合格しました。その生徒は、公募制推薦で不合格になったからこそ、悔しさを晴らしたいという思いで必死に勉強することができたと言っていました。

 受験生にとって、不合格になることは本当に怖いことです。しかし、恐れずに挑戦をすることで成長することができると考えています。公募制推薦は失敗しても、次のチャンスがあります。自信がないと悩んでいる人にこそ、ぜひ、挑戦してみてほしいと思います。

国公立受験者は私立大学の公募制推薦入試を受けるべき?

公募制推薦のデメリットとして、入学手続きによる費用面があります。公募制推薦入試で合格しても、一般入試の滑り止めにするには、一度入学手続きをする必要のある大学が多いです。

 国公立受験者にとっても、公募制推薦が同様に有効な戦略ですが、合格した大学への入学金の負担が重なる場合だと、併願パターンを慎重に検討するケースもあると思います。

3:A大学が第一志望校の受験生が公募制推薦入試でC大学・一般入試でB大学に合格した場合

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 例3の場合、入学金がC大学とB大学両方でかかってしまうことがデメリットになりますが、時間的・精神的な余裕を確保したい場合は公募制推薦を活用して国公立大学の受験をすることも十分ありえます。

 MARCHや関関同立といった難関私大では①の公募制推薦は少ないので、第二志望の大学によって戦略がかわる事が多いです。迷ったら相談することをおすすめします。

公募推薦入試をうまく活用していこう

上記の通り、実際の受験生をみていると公募制推薦は合否にかかわらず受験生に多大なメリットをもたらす仕組みです。しかし、一方で公募制推薦に限らず大学入試の仕組みは大学によっていろいろ仕組みが異なりますし、複雑です。どうすればいいか迷ったら塾や学校の先生に相談してみてください。

代ゼミサテライン予備校大学受験専門館ではこうした推薦入試の受験校選定も生徒との面談を通してフォローいたします。

公募制推薦に向けた演習授業や志望理由書・面接などの対策講義もあります。何かあれば気軽に相談に来てくださいね!

〈文/開成教育グループ 代ゼミサテライン予備校大学受験専門館 茨木教室 勝本虎太朗〉