2025/08/25
大学推薦入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)のすべてを徹底解説
総合型選抜や学校推薦型入試などの各種推薦入試は「年内入試」と呼ばれ、基本的に年内に合否が判定される入試方式となっています。年内入試は、総合型選抜(旧AO入試)と学校推薦型選抜の2つに大きく分けられ、それぞれ求められる力や選考方法に違いがあります。この記事では、大学推薦入試(年内入試)の全体像から種類別の特徴、評価方法までを解説し、あなたに合った受験スタイルを見つける手助けをします。
※記事中で取り上げている大学の選考方法等の事例は、2025年7月時点の情報となります。詳細な情報は、必ず各大学のホームページで確認してください。
INDEX ■大学推薦入試全体の仕組みと一般選抜との違い |
■大学推薦入試全体の仕組みと一般選抜との違い
大学入試は大きく「一般選抜」と主に年内に入試が実施される「推薦入試(年内入試)」に分かれます。推薦入試(年内入試)には、出願にあたり学校長の推薦が必要な「学校推薦型選抜」と、出願資格に制限がなく主体的な志望理由が重視される「総合型選抜」があります。まずは、それぞれの選抜で求められる力や、一般選抜との違いを詳しく見ていきましょう。
大学推薦入試(年内入試)で求められる力と一般選抜における評価の比較
一般選抜では、大学入学共通テストや大学独自の個別試験といった学力試験の得点が重視され、点数に基づく合否判定が基本となります。受験生の学力を客観的に測ることを主眼とした評価方法です。
これに対して大学推薦入試(年内入試)では、書類(志望理由書・活動報告書など)や面接、小論文などを通じて、受験生の人物像や資質を多面的に評価する点が大きな特徴です。
中でも総合型選抜では、大学が求める学生像と受験生とのマッチングが重視されます。そのため、アドミッションポリシーに基づいた志望理由の明確さや、課外活動・探究活動などを通じた主体性の発揮が評価対象となります。自分のテーマを深めてきた探究学習や、学校外の取り組み(ボランティア・コンテスト入賞など)も強みになります。
一方、学校推薦型選抜では、学校長の推薦を得ることが出願条件となり、「校内選抜を経て推薦される信頼性」が評価の土台になります。具体的には、「学校内での成績(評定平均)」や「部活動・生徒会などの実績」など、日頃の学校生活への取り組みが重視されます。学校長の推薦に加えて学力テストを課す大学や、出願条件に評定基準を設けている大学もあり、学力と学校内での信頼性の双方を兼ね備えた受験生が求められていると言えるでしょう。
例として、近畿大学経済学部の年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)を見てみましょう。総合型選抜ではいくつかのコースが用意されていますが、その中の一つである「総合型選抜C(起業志向型)」では、次のいずれかを出願条件としています。
①近畿大学在学中に起業を強く志望していること
②すでに起業経験があること
③高校入学後にビジネスコンテストやアイデアコンテストなどで受賞歴があること
選考は、これらの条件を証明する資料、志望理由書、そして事業・活動計画に関するプレゼンテーション動画の内容を総合的に評価して行われます。
一方、学校推薦型選抜(公募制)では、学校長から「学業・人物ともに優れており推薦に値する」と認められた生徒であることが出願の条件です。選考には事前課題として小論文の提出が求められ、出身校が作成する調査書と、12月上旬に実施される2教科(外国語・数学または国語)の試験の得点が、総合的に評価されます。他大学との併願も可能で、判定方法にはいくつかの型があります。すべての科目を等しい配点で評価する「スタンダード型」、得点の高い科目を2倍に換算し、他の科目とあわせて判定する「高得点科目重視型」、さらにTOEICや英検などの資格試験の成績を「外国語」の得点として活用できる「外部試験利用制度」など、多様な方式が用意されています。
評定平均値と活動実績の重要性
近畿大学の事例からも分かるように、大学推薦入試(年内入試)では、試験だけでなく書類やこれまでの取り組みが合否を左右します。中でも特に重要なのが、評定平均値と活動実績です。
学校推薦型選抜では、評定平均値が出願条件となる大学が多く、合否に直結する重要な指標です。国公立大学では、全体の評定平均値4.0以上や学業成績概評A以上が求められることが多く、私立大学でも3.0以上や3.5以上など、大学ごとに基準が設けられている場合があります。これらは1年生からの定期テストや提出物、授業態度の積み重ねで決まるため、早期からの意識と継続的な成績管理が不可欠です。
さらに、部活動・生徒会・ボランティア・コンテスト入賞などの活動実績も評価対象となる場合があります。特に総合型選抜では、単なる実績ではなく、「どのような課題にどう取り組み、何を得たか」という過程と自己理解が重視されます。
これらの情報を出願時に正確に伝えるためにも、日頃からポートフォリオや活動記録を整理・保存しておく習慣が非常に有効です。こうした準備が、書類作成や面接対策をスムーズに進める土台になります。
■総合型選抜(旧AO入試)とは?概要と特徴を理解する
総合型選抜は、学力試験以外の力を評価する入試として広がってきました。学校長の推薦を必要としない場合が多く、自分のこれまでの取り組みや志望理由を伝えて合否が決まる点で、他の入試とは大きく異なります。ここでは、その特徴について詳しく紹介していきます。
総合型選抜を実施している大学(一部)
【関西】
関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学・京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学・京都工芸繊維大学・神戸大学・奈良女子大学・大阪公立大学・大阪大学など
【関東】
早稲田大学・慶應義塾大学・学習院大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学・東洋大学・筑波大学・お茶の水女子大・横浜国立大学・東京科学大学など
以上のように総合型選抜は、非常に多くの大学で導入されています。
旧AO入試からの変更点と大学が求める学生像
かつてのAO入試は、「やる気重視」といったイメージが先行し、文部科学省によると、「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」を十分に問わない入試として受け取られていた側面がありました。そのため、大学入学後の教育とつながりにくく、本来の趣旨や目的を十分に果たしていないという課題が指摘されていました。
こうした問題を改善するため、現在の総合型選抜では、評価方法や書類提出の要件が明確に定められています。すべての大学は、出願書類(調査書など)に加えて、以下のいずれかの方法を必ず取り入れることが義務づけられています。
・各大学が独自に実施する評価(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技試験、教科・科目に関するテスト、資格・検定試験の成績など)
・大学入学共通テストの活用
さらに、志願者が自ら作成する資料(活動報告書、入学希望理由書、学修計画書など)も、評価の重要な要素として積極的に活用されることが求められています。
総合型選抜では、大学が求める学生像と受験生とのマッチングが重視されます。そのため、出願前に各大学のアドミッションポリシー(入学者受け入れの方針)をよく読み、自分の考え方や経験、将来の目標がその方針と一致しているかを確認することが大切です。アドミッションポリシーは大学ごとに異なるため、自分に適した進学先を選ぶうえでも欠かせない情報源となります。
たとえば、近畿大学経済学部のアドミッションポリシーでは、以下のような学生を求めています。
1.人間・社会・経済に対する強い関心を持つ人。
2.日本語・外国語の読解力や論理的思考能力を中心とした基礎学力を有する人。
総合型選抜のメリット・デメリット
総合型選抜の大きなメリットは、自分の強みやこれまでの活動・志望理由を直接アピールできる点です。一般選抜とは異なり、学力試験の得点だけで判断されるのではなく、自分の個性や経験、将来への意欲も評価対象になります。そのため、学力以外に強みがある生徒にとっては有利になるケースがあります。
一方で、出願に向けた準備には時間と労力が必要です。志望理由書の作成、活動記録の整理、プレゼン資料の準備など、夏休み前から計画的に動く必要があります。また、学力検査を課す大学も増えているため、学習をおろそかにするのは危険です。
さらに、一般選抜に比べて募集人数が少ない点も注意が必要です。たとえば、大阪公立大学の工学部(2026年度入試)では、全体の募集人員741名のうち、総合型選抜の枠はわずか8名にとどまっています。こうした競争率や勉強時間の配分にも目を向け、メリット・デメリットを理解したうえで活用することが重要です。
■学校推薦型選抜とは?仕組みと特徴をチェック
学校推薦型選抜は、学校長の推薦を受けて出願する形式の入試です。評定平均など一定の基準を満たすことが必要で、校内での選抜を経て出願者が決まります。この方式には「指定校推薦」と「公募推薦」の2種類があり、大学や学部、募集人数によって仕組みが異なります。
学校推薦型選抜(公募推薦)を実施している大学(一部)
【関西】
関西大学・同志社大学・京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学・京都工芸繊維大学・奈良女子大学・大阪公立大学・神戸大学・大阪大学など
【関東】
上智大学・学習院大学・明治大学・青山学院大学・東洋大学・筑波大学・お茶の水女子大・横浜国立大学・一橋大学・東京科学大学など
指定校推薦とは
指定校推薦とは、大学が特定の高校に対して出願枠を割り当て、その高校内で選抜された生徒が出願できる制度です。校内での選抜に通過し、学校長の推薦を受けた生徒が対象となり、推薦枠の信頼性を背景に、合格率は高い傾向があります。大学側からの「確約」に近いケースも存在するため、確実に進学したい生徒にとっては魅力的な方式といえます。
ただし、合格後の辞退は原則認められず、進学が前提条件となるため、大学選びは慎重に行う必要があります。また、出願前には必ず校内選考が実施され、大学側の選考では主に調査書(成績や学校生活の記録)が重視されます。したがって、定期テストの点数や提出物、授業態度など、日頃の取り組みが直接合否に関わります。
制度の実施状況は大学の設置形態によって異なります。国立大学では原則として指定校推薦は実施されておらず、公募推薦のみが基本です。一方、公立大学では一部で指定校推薦を実施している場合があり、「県内出身者限定」「市内の高校に通う者限定」など、地域を条件とした推薦制度が設けられていることもあります。私立大学では、指定校推薦と公募推薦を併用している大学が多く、学校ごとに出願機会が異なる点にも注意が必要です。
公募推薦とは
公募推薦とは、大学が定める出願条件を満たせば、どの高校の生徒でも出願可能な推薦入試の形式です。指定校推薦と異なり、全国の高校生に門戸が開かれている自由度の高い制度である一方、倍率が高くなる傾向があり、十分な対策が欠かせません。
国立大学では原則としてこの公募推薦の形式が採用されており、大学入学共通テストの受験が出願条件となっている場合も多く見られます。たとえば京都工芸繊維大学では、志望理由書や推薦書などの出願書類と共通テストの成績を総合的に用いて合否が判定されます。こうした大学では、一定の学力を前提としたうえで、意欲や適性なども併せて評価される傾向があります。
選考方法は大学によって異なりますが、調査書等の事前書類、学力試験、小論文、面接、実技のうち2つ以上を組み合わせて評価します。
総合型選抜と比べて、調査書や学力試験をより重視するため、学力対策は怠れません。特に、国公立大学や関西圏の私立大学では、共通テストや独自の学力試験を課すことが多いです。
また、公募推薦において重要ポイントして、特に関西の私立大学においては、他大学との併願可能なケースがあります。これは、志望校合格への非常に重要な受験戦略として活用できます。たとえば、公募推薦で安全校に合格できれば、一般選抜では第一志望やワンランク上の大学に絞って対策することが可能になります。
当然、公募推薦の受験には、準備が必要です。事前書類の作成は、ほぼどの大学でも課されます。学力試験が課される場合はその対策も必要です。同じ大学でも、公募推薦と一般選抜とで出題傾向や評価基準が異なること場合、事実上「2種類の入試対策」が必要になることがあります。志望校合格へのカギは、「どれだけ早く受験校を決定し、入試対策に着手できるか」にあります。
■まとめ・総括
年内入試である総合型選抜と学校推薦型選抜は、一般選抜とは異なる評価軸で合否が決まる入試方式です。学力試験だけでなく、志望理由書・活動報告・面接などを通じて、受験生の人物像や意欲が多面的に評価されます。総合型選抜では大学が求める学生像とのマッチングが、学校推薦型選抜では校内での信頼性と成績が重視されます。指定校推薦と公募推薦の違いや、国公立・私立大学ごとの傾向も押さえておくべきポイントです。準備には時間と労力が必要ですが、早期に合格を得ることで一般選抜の戦略に幅が出るという利点もあります。評定平均や活動実績、志望理由などを、どれだけ整理し、自分の強みとして説得力のある形で伝えられるかが、合否を左右する重要なポイントとなります。大学推薦入試(年内入試)の特性を理解し、自分に合った方式を選び、計画的に対策を進めていきましょう。
<文/開成教育グループ 個別指導統括本部 教育技術研究所>