2025/03/17
【大学受験】高校生の定期テスト対策ガイド
今回は高校における定期テストの成績とテスト対策勉強が大学受験へどのように影響し、この定期テストを活用することでどのような恩恵を得られるかを説明します。新しい環境で不安な新高校1年生、そろそろ慣れてきて適当になりがちな新高校2年生、受験勉強との両立が困難だと感じている新高校3年生は必読です!
INDEX ■定期テストの重要性と受験への影響 |
■定期テストの重要性と受験への影響
まず、なぜ定期テストを頑張った方が良いのか、それはズバリ、難関大学への合格可能性が高くなるからです!基本的に大学受験の選抜方法は、一般選抜と学校推薦型選抜と総合型選抜の3種類があり、一般選抜は共通テストや大学独自の入試問題を解き、その点数で評価されます。対して、学校推薦型選抜と総合型選抜は定期テストの結果が重要となります。
①学校推薦型選抜(指定校制)
高校の評定平均を利用し、主に私立大学から高校に対して定員を設け、学校の基準を満たす生徒を推薦する専願制の入試方式です。
②学校推薦型選抜(公募制)
大学が設定する出願基準を満たし、出身高校の学校長から推薦を受けることで受験できる入試方式で、国公立大学は基本的に専願制、私立大学に関しては、関西では併願制で関東では専願制が主流となっています。また、国公立大学に関して、大学によっては共通テストの成績を加味する場合もあるので、興味のある大学があれば確認しておきましょう。
③総合型選抜
かつてAO入試と呼ばれていた入試で、名前の通り、総合的な方法で受験者が評価される方式で、例えば志望理由書や面接、小論文、グループディスカッション、大学独自の総合問題など多岐にわたります。
では実際にどのような選抜が行われているのか確認してみましょう。
大阪大学 総合型選抜 文学部(令和7年度)
ここで、提出書類とは、①調査書、②志望理由書、③志望者評価書を指し、①と②は一般に志望者の高校での成績や活動が反映されます。例えば、神戸大学や慶應義塾大学では、以下のような記載があります。
神戸大学 海洋政策科学部 志入試(令和7年度)
「調査書における「全体の学習成績の状況」が4.0以上の者」
慶應義塾大学 法学部 総合型選抜(令和7年度)
「調査書における「全体の学習成績の状況」が4.1以上の者」
このように、難関大学でも高校での成績がよければ出願資格を得られることがあり、単に志望校への受験回数を増やして合格可能性が上がるだけでなく、一般入試の難解な問題を解かなくても、下準備を計画的にしていれば合格できる可能性が大きく上がります。また、このような総合型選抜の出願要件として要求される評定は、あくまでおおよそですが少なくとも4.0は必要であり、指定校制の学校推薦型選抜を狙うならば4.5は獲得しておきたいところです。高校の定期テストに対して、目標ややる気をなかなか持てないでいる人は、大学受験で合格可能性を高めるためにまずは評定を4.0以上めざしてみてはどうでしょう。
■効率的な定期テスト勉強法
次に、効率的な定期テストの勉強法を伝授します。やる気はあるけどどう勉強すればいいかわからないという声をよく耳にするので、要点を抑えて、しっかり効率的に勉強しましょう!
授業の板書をしっかり取る
当たり前のことではありますが、まずは板書をしっかり取りましょう。なぜなら、板書を取るか取らないかでは大きな違いがあり、板書とは言い換えれば教師のまとめノートです。その教師のまとめノートとはおおよそ定期テストに出す範囲であり、これを最低限暗記・理解してしまえば、無駄な部分を勉強せずに済みます。また、一度板書を書いておくと、定期テスト勉強時に行う作業は「新しい知識のインプット」ではなく「一度扱った範囲の思い出し」となり、後者の方が記憶に定着しやすいです。
基本部分を徹底
定期テストで出題される範囲は、その科目の基礎部分であることがほとんどです。20~30点は応用問題が出題されることがありますが、それ以外は基礎部分ばかりだったりするので、基礎がうろ覚えのまま応用問題や入試問題に取り組んだとしても、テスト時に基礎部分が答えられないというリスクが生じるので、数学や物理であれば問題集・教科書の基本例題や演習問題、歴史科目であればまずは主要人物や主要な出来事の把握取り組みましょう。高校の定期テストは科目が多いので、他の科目の理解度も踏まえたうえで、余裕があったら応用問題やあまり教師が扱わなかった範囲まで勉強しましょう。
量の重視
上記のように基礎部分の徹底が重要だと述べましたが、それに付随して重要なのが、同じ範囲を何周もすることです。たった1回の学習で理解・暗記するのは至難の業です。1回で覚えるために、じっくり一つの範囲を暗記しようとしてしまうと、勉強時間が足りず、まったく勉強できていない箇所やほとんど理解できていない箇所が発生してしまい、理解度にムラができてしまいます。反対に、定期テストの範囲を最初から最後まで何周もすると、テスト範囲のボリュームが把握でき、かつ暗記や基礎の理解が進むので、こちらを積極的に意識しましょう。要約すると、授業で主に取り扱った範囲の基礎部分や教師が重要と言った部分を何周もすることです。暗記系であれば、友人や塾の先生に問題を出してもらうのも有効な手段です。また、同じ学校の先輩などに過去問をもらうのも作戦の一つです。先生ごとに問題にクセや傾向がみられるため、同じ先生の過去問をもらえるならばもらってみても良いかと思います。
■勉強計画と時間確保のポイント
効率的な勉強法を知っても、高校の定期テストでは科目数が10近くあり、定期テスト勉強期間と定められている1週間だけでは満足に勉強計画を練り、勉強時間を確保するのが難しいことがあると思うので、ここでは勉強計画の練り方と時間確保のポイントを教えます。
まず、勉強計画は少なくとも定期テストの2週間前から始め、進め方は以下の順がおすすめです。
理系科目(未理解)→文系科目(未理解)→暗記系→演習→(応用範囲)→最終チェック
ここで重要なのは、勉強計画を練る前に自己分析をすることです。今回の定期テスト範囲で今の自分は何が理解できて、何が理解できていないか。そして、未理解な範囲を割り出し、先につぶしておかないと、定期テストを直前に控えたタイミングでは焦燥感に駆られ十分な理解ができず、受験勉強にも響きます。
時間に余裕がある時にまずは未理解の範囲を解決し、次に何周もするため最低限時間の要する暗記系をこなし、後半はひたすら解くだけでさらに理解度を向上できる演習問題(テスト時に提出する問題集など)を完成させ、それでも余裕があれば応用的な部分に取り組んでみましょう。ここでマストなのは、テスト前日はその科目の最終チェックを欠かさないことで、それを行うことで記憶から漏れていた部分をおさえられます。
次に心配な点として、定期テスト勉強期間外では部活や学校の活動があり、あまり時間を確保できないことです。上記のおすすめの勉強計画では最初に未理解範囲の理解を進めることで、これはまずは自分で考えてみて、それでも理解できなかったら教師や塾の先生に尋ねると良いです。そのため、例えばその科目の授業の前後や授業の空いているタイミングでサクッと聞いて、その後の少しの時間で理解を進められればたいした時間は要さないです。また、次にくる暗記系は、就寝の1時間前でもいいので、板書ノートなどをペラペラ読み進めるだけでいいのです。そうすることで、本格的に定期テスト対策を定期テスト勉強期間から始めたとしても十分に時間を有効活用できます。
■定期テストを受験勉強に活かす方法
あまり推薦入試を考えていない高校生にとって、定期テストはただの時間と労力の無駄でしかないと捉えがちですがそのようなことはなく、適切な方法を用いることによって、受験勉強に大いに生かすことができます。定期テストである程度理解や暗記を済ませておけば、その後受験勉強に取り組む際、時間を大きく節約できます。そのため、受験勉強も見据えたうえで、定期テストで出た範囲はテスト後でもいいので、まとめノートを作成し、何ができて何ができなかったかまで記しておきましょう。以下にその例を示します。
高校2年 2学期中間テスト 数学Ⅱ
範囲:三角関数・指数対数・軌跡
三角関数:公式集[sinα±sinβ=2sin½(α±β)cos½(α∓β)]etc..
三角関数:感想 2倍角や半角の公式を使った問題は解けたけど、和積の公式を使った問題は公式を覚えていなかったからできなかった。余弦定理や正弦定理は応用問題まで解けた。
上記のように今回は1科目1単元についてだけでしたが、各科目、各単元のまとめや感想を記したノートを作っておくと、記憶の整理に繋がり、また受験勉強を始める際、自分がどれほどその単元について理解度があるかがおおよそ把握でき、受験勉強計画が練りやすくなったり、自分の立ち位置が把握できたりするので、逆算的にスケジュールを組みやすくなります。また、定期テストでおさえた基礎部分をその後もしっかり復習していれば、受験期にまた最初から覚えなおすというもったいない行動をせずに済みます。
また、推薦入試を考えている人であれば、定期テスト期間以外にも日ごろから勉強しておく必要があります。部活動や友だちと遊ぶ時間ももちろん大切ですが、定期テストで高得点を取るためにも1日最低30分は勉強しましょう。
■定期テストと受験勉強の両立のコツ
この記事全体で述べたいことは、定期テストを定期テストで終わらせないことです。高校3年生にもなると、定期テストの重要性が落ちてしまいがちになりまずが、大学受験の出題範囲は高校で学んだ全範囲で、言い換えると高校3年学年末テストと言えます。定期テストと受験勉強の両立のコツは、定期テスト勉強の延長線上に受験勉強があるという意識を持ち、定期テスト勉強として行っていることがどのように受験勉強に活かせるか考えてみましょう。それに加え、定期テスト対策時に入試問題まで取り組むことができればベストです。
■まとめ:自分に合った定期テスト戦略を見つけるために
自分に合った定期テスト戦略を見つけるために重要なことは、定期テストを控えている科目に対してどれぐらい理解しているかを分析し、余裕の持った勉強計画と効率的な勉強法をいろいろ試して見つけることです。ここで述べた方法はあくまで一例なので、まず試してみて、合わなかったら合わなかった部分を変更して、自分ならではの最効率な勉強法を見つけ、確立しましょう!
<文/開成教育グループ 大学受験専門館 高槻教室 中西大悟>