2022/05/23

【大学受験】今から始める共通テスト「数学」のための学習法

 共通テストを受験する予定の皆さん、どんな勉強をするか決まっていますか?受験生でなくても「2022年度の共通テスト数学が難しかった」というのは知っているのではないでしょうか。

 共通テスト数学は、これまでの入試数学といったい何が違うのでしょうか。重要なのは、今までの勉強方法で対応ができるのかどうか、という点です。特別な対策が必要なのかどうか、数学が得意な人も苦手な人も参考にしていただければと思います。

「共通テスト数学」の意図とは?

 まずはどんな問題だったのか、共通テストの問題を実際に見てみましょう。実際に見ながらチェックしてもらうのが一番よくわかると思います。

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 皆さんは共通テストが「思考力、判断力、表現力を問うねらいがある」と聞いたことはありますか?数学において、どういう問題が思考力を問うでしょうか。

 教科書の例題と比較して考えるととても分かりやすいですね。基本例題は、すでに「何を計算したらいいのかわかっている状態」です。ただ、計算するための方法を知らないと解けないので、計算するための方法を教わります。これがいわゆる数学の授業です。考え方をシンプルにするために小学生の学習を思い出してみてください。「分数のかけ算」を例に考えてみましょう。
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 分数のかけ算では分子どうし、分母どうしをそれぞれかけ算することで計算できます。そんなことは知っている?そうですね。これが従来の「知識を問う問題」です。方法を知っているかどうかを問う問題です。方法を知ってさえいれば簡単に正解にたどり着くことができますね。いわゆる「計算ドリル」式の問題ですね。では次の問題はどうでしょうか?

1本のペットボトルに入った水をコップに入れかえると、コップの 2 3 の量になることがわかった。
このペットボトルの 1 2 の量の水をコップに入れると、コップにどれだけの量が入るだろうか?
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 文章から同じように式に表せましたか?いわゆる文章題は、すでに式になっている問題を解くだけではなく、文章が表す状況から「どのような式で表すか」を考え、どんな方法で解くのが最適かを判断しないといけません。計算する式は同じなので、計算の難易度は同じはずですが、正答率はぐっと下がってしまうのです。計算ドリルのように単純な作業で答えが出せないからですね。

 この、文章で表された状況から計算式を導くことを「焦点化」という言葉で表すことがあります。これが共通テスト数学のねらいのひとつです。共通テストを攻略するためには、この焦点化の練習をすることが大事になります。

「共通テスト数学」攻略の4ステップ

 このように、焦点化の練習をすることが大事だと分かりましが、さっそく共通テストのような類題をたくさん解くのが効率的とは限りません!しっかり段階を踏んでレベルアップできるように作戦を立てましょう。

■Step①

基本例題練習=与えられた計算式を正しい方法で解くことができるようになるようになろう!

複雑な問題ではなく、各単元の基本的な例題を計算ドリルのように解けるようになりましょう。これは努力がモノをいいます。数学がニガテな人はここを飛ばしている人が多いですよ。とことん反復練習です。

■Step②

発展問題練習=複雑な条件が与えられた問題を考えて解く練習をしよう!

志望校に応じて求められるレベルは様々ですが、まずは「黄色チャート」の章末問題レベルを基準にしておくといいでしょう。はじめは時間無制限でかまいません。早く解くよりも、正確に解くことを心がけます。

■Step③

共通テストで出題されるような焦点化が必要な問題を解く練習をしよう!

Step②までが十分練習できていれば、共通テストで課題になるのは「焦点化が必要な問題」になります。共通テストも全問が思考力を求められるわけではなく、基本的な解法で正解できる問題も多いです!これもはじめは時間無制限で練習しましょう。正しく読み取って立式する練習が大事です。

■Step④

判断力・計算力UP!スピードを上げての練習をしよう!

最後は共通テストの新傾向ともいえる「計算量」です。特に2022年度の問題は、文章の問題レベルもさることながら立式した後の計算も複雑でした。最後の敵は「制限時間」ともいえるでしょう。制限時間を意識した練習をしていないと、共通テストでは焦って思わぬミスにつながることもあるでしょう。まず、おすすめの練習方法は、一度解いたことのある問題を、制限時間をつけてもう一度解きなおしをすることです。

「センター数学」の過去問は使っても大丈夫?

 センター数学を使って練習しても大丈夫です。特にStep①②の練習には最適な練習材料です。ただし、共通テストになってからは、やはり状況を読み取る問題が複雑になっています。日常の話題を数学的にとらえて焦点化する問題は独特なので、センター数学だけで完結せずに、共通テスト模試や過去問、試行テストなどを使って練習することは必須です。

得点が伸び悩んでいる君にアドバイス

 共通テストはまんべんなく広い範囲から出題され、横断的な問題も出題されます。かといって、まんべんなくStep①だけの勉強を進めてもなかなか得点が伸びません。
数学はStep①と、②③を分けて学習を進めてみるのもおすすめです。苦手な人ほど、順番にこだわって問題集をじっくりゆっくり進めてしまう傾向にあります!Step①は計算ドリルのように習慣的に毎日たくさんの範囲を進めて、基礎力が落ちないように反復するといいでしょう。筋トレと同じ要領です。①にどうしても時間がかかる場合は解答を横において、詰まったら解答をすぐ見ててきぱきとこなしても大丈夫です。
 対して③は時間をかけて考える、解法にたどり着く練習なので、すぐに答えを見るのではなく、試行錯誤することが重要です。時間がない場合は重点課題から順にコツコツ固めていく手順がいいでしょう。焦りは禁物です。

最後に

 ②③のような思考力を鍛える問題は塾や予備校の講師の考え方を真似るのが効率のいい方法です。代ゼミサテライン予備校では、課題の単元を効率よく学習することができます。受験生一人ひとりの課題に応じた質の高い講座を提案することが出来ます。ライブ授業を配信しているので今年度の最新の共通テスト講義を受講できます。どうしても学習に時間がかかる場合はいちど体験にお越しください。また、個別指導学院フリーステップでは個別の課題に応じたカリキュラムで指導することができます。特定の単元がニガテで克服したい場合などは特に有効。良いとこどりできるカリキュラムを選択できます。迷われている方はぜひ一度近くの教室に足を運んでみてください!

〈文/開成教育グループ 代ゼミサテライン予備校大学受験専門館 中村裕也〉